妖精の大罪人   作:ラーメンは豚骨

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 まずは、感想ありがとうございます。

 何も思いつかず、凄くありきたりな言葉にはなりますが、皆様が、今後も楽しめるように、気合を入れますので、是非当作品をよろしくお願いします。

 そして、昨日の夜に投稿が間に合わなく申し訳ない。
 戦闘描写に四苦八苦し、難産となってしまいました。

 更にですが、今話は、七つの大罪の二作目の映画より、技が出てきますのでご注意ください


10話

 ニルヴァーナの上空で、悪魔とランスが交戦していた。

 

「刃の嵐」

 

 廃墟の住宅街に、数多の剣が突き刺さり、倒壊する。

 剣を躱しながら、接近しようとするランス。

 

「離れなさい」

 

 突如、悪魔との距離が遠ざかり、攻撃が届かない。

 チッ、あの言霊魔法、本当に厄介だな。

 

「ンッンッン、私にダメージを与えたのは見事ですが、やはり魔力がないアナタでは、相手になりませんね」

 

 奴の言う通りだ、幾ら物理的にダメージを与えても、致命的とまでは行かない、ましてや、たった一言で、完全回復されてしまう。

 仮に、攻撃を届かせることは出来ても、倒す決め手に欠けて、拉致があかない。

 そんな時、グレイたちが向かったであろう位置から、爆発音が聞こえてくる。

 瞬間、ニルヴァーナの足が崩れ始め、傾いていく。

 ナツたちが、破壊したのを察知して、にししと笑うランス。

 崩れゆくニルヴァーナを目にした悪魔は、ため息をつく。

 

「はぁ、折角の玩具も壊れてしまいましたか」

「残念だったな、お前の仲間は全員倒れたみたいだぞ」

 

 俺の言葉に、首を傾げる悪魔。

 

「仲間?…あぁ、彼らですか」

 

 六魔将軍オラシオンセイスの筈なのに、他人事のように話す悪魔に、疑問をいだく。

 

「アレらは、アナタ方と遊ぶための、ただの駒。ですから、仲間なんて、勘違いしないで頂きたい」

 

 倒れた仲間たちを駒だと言い、仲間を蔑ろにする発言に、反吐が出るといった感じで、拳を握りしめる俺。

 

「ですが、彼らが夢を語るのは、見てて愉しかった。例え、ニルヴァーナを得られても、私が鏖にして奪取する予定でしたから、そうとも知らずに健気に頑張る姿は、実に愉快でしたね」

 

 仮に敵であったとしても、自身の仲間を此処まで侮辱する悪魔に憤り、()()()が腕に発生し、攻撃を仕掛ける。

 

「真空の壁、危ない危ない」

 

 だが、奴の言霊魔法によって生成された壁に防がれる。

 無意味だと、ニタニタ笑う悪魔。

 そんな中、俺は自分の手を見つめていた。

 今の一撃、微かにだが魔力が乗っていた。

 つまり、今ならば魔力を使える筈、だが、悪魔は俺が魔力を使用出来る事にに気付いていない様子。

 そうと決まれば、状況を整えるために、悪魔が視認出来ない速度で、この場を離れようとするが

 

「逃げるな」

 

 その瞬間、退こうとした体が硬直する。

 まだ、そんな隠し技を持っていたのかと、目を見開く。

 仕方ない、このまま戦いながら、呼び出すしかねぇ。

 すると、ニルヴァーナの瓦礫から氷の矢が飛んでくる。

 その矢は当たるも、かすり傷すら付くことなく、首を傾げながら、見下ろす悪魔。

 思わず、視線を下げると、グレイとリオンが、カタパルトを作り氷の矢を発射していた。

 魔力が殆ど残ってないのにも関わらず、援護する二人。

 

「イイですよ、アナタ達。中々に鬱陶しく、愚か。コレは細やかなお礼です……刃の嵐」

 

 刃物が上空から、グレイたち目掛けて振り注ぐが、間一髪の所でエルザとジュラによって、防がれる。

 一安心していると、悪魔の背中に白い羽が見えた。

 まさか―と思えば、ハッピーによって空を飛ぶナツが、悪魔に拳を食らわせようとしていた。

 

「停止しなさい…落ちなさい」

 

 だが、気取られていたようで、悪魔に止められ、ナツとハッピーは地面に落とされる。

 地面に叩きつけられる瞬間、ルーシィが大量の羊の毛と共に現れ、それがクッションになって着地する。

 

「ンッンッンッ、アナタのような同胞が、あの愚かな人間共と行動しているのか、甚だ疑問です」

「ハッ、仲間を駒としか見てない、お前じゃ到底理解できねぇよ」

 

 下劣な発言しかしない悪魔を、鼻で笑うランス。

 このまま行けば、魔力は元に戻り、万全の状態で戦いに挑む事が出来る。あと少し、注意を引き寄せるだけで良い。

 そうしていると、ウェンディが現れてしまった。

 

「そういえば、アナタが大事そうにしていた人間ですね、アレは…刃の嵐」

 

 悪魔は、ニヒルな笑みを浮かべる。

 ウェンディに向かって、放出される無数の刃物の雨、全速力でウェンディの側に向かい、次々と襲いかかる刃物を小剣で弾き飛ばすが、限度があったのか、次第に体中は傷だらけになっていった。 

 自分を護るために、傷ついてしまったランスを見て、ウェンディは涙を流していた。

 ウェンディの頭に、手を置くランス。

 

「心配すんな、かすり傷だ」

 

 安心させるように、笑みを浮かべ優しく語りかける。

 その光景に、何処か懐かしい感覚になるウェンディ。

 上空にいる悪魔は、攻撃を防ぎ切るとは思っていなかったようで、盛大に拍手を送っている。

 

「矮小な人間を守る為に犠牲になるとは、とても良い見世物でした。ですので、少しテイストを変えて、アンコールといきましょう……雷の槍」

 

 悪魔は、夥しい数の槍を形どった雷を空に浮かべる。

 ウェンディは、ランスに逃げてと言う。

 

「安心しろ、反撃開始だ」

 

 それは、安心させるための虚勢、否、自信に満ち溢れたが故の発言だった。

 悪魔によって封印されていたランスの魔力は、完全に解き放たれた。

 仲間に対しては、とても暖かく居心地のいい魔力。だが、悪魔にとっては悍ましい程、冷徹で無慈悲な魔力に感じていた。

 ウェンディは、ある事に気付く。

 ランスの手に持っていた小剣の代わりに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を握っていた。

 悪魔は、武器が変わっていることに気づかず槍を射出する。

 

「…神器解放」

 

 手に持った小剣の峰の部分をなぞる。

 すると、目の前にいたランスの体が、一瞬だけボヤケたため、目を擦るウェンディ。

 次に目を開ければ、飛来する雷の槍が、余すことなく弾き返されていた。

 

「消えなさい」

 

 ランスによって、跳ね返された魔法は、悪魔の一言により、魔力の残滓となり消え去る。

 

「ふむ、適用時間内のはずですが、まぁ、結構結構。次は、より強固に付与するだけのこと」

 

 ウェンディを守るために、無防備に地面に立つランスを見据え、何処からともなく、表紙に五つ葉のクローバーが載った黒い本を取り出し、異界の言葉で詠唱する。

 

「言霊魔法…魔力封印

 

 地に立つランスに、黒い鎖の紋様が巻き付いていく。

 すると、周囲を覆う程の膨大な魔力は、収縮していき最後には消失する。

 再びランスの魔力が、失われたことに慌てる面々。

 だが、エルザとジュラだけは反応が違った。

 慌てることなく、落ち着き戦場を静観する。

 何故なら、ランスの手に持っている神器の特性について、把握していたからだ。

 

「折角の機会を逃すとは、残念な。愉しい余興でしたが、これで終幕にしましょう。では、頭上にご注意してください」

 

 理解していない悪魔は、勝ち誇ったように、頬を吊り上げ凶悪な笑みを浮かべていた。

 悪魔が、魔法を詠唱しようとした瞬間。

 

「お前は、後方に気をつけろよ」

 

 背後から、本来であれば聞こえる筈のない声を耳にし、ゾクリと背筋を凍らせる。

 次の瞬間、背中に打撃を受け、地面に前方から落下し叩きつけられる。

 墜落した場所は、地面が割れ隆起し、その衝撃は樹海に振動を与え、大きく揺らす。

 ナツたちは、神器を使った戦闘を初めて見たため、空を飛んでいるランスと、側に居るランスを二度見する。

 

「さて、よくも好き勝手してくれたな、こっからは」

 

 地面に伏せる悪魔を見下ろし、先程とは真逆の立ち位置となったランスと悪魔。

 歯軋りする悪魔に、ニヤリと不敵な笑みを零すランス。

 

「お前のターンは来ないぜ?」

 

 傲慢にもコチラを見下すランスを、悪魔はねめつける。

 

「コチラの世界に絆された分際で、少しは身の程を弁えなさい」

 

 奴の側にある本が、怪しく光ると魔力が増大した。

 悍ましく凶悪な魔力に、周囲の樹木は黒く染まり、命を吸い取られたように、枯れ果ててゆく。

 

「膠着しなさい」

 

 悪魔の一言により、ランスの体は金縛りのごとく、空中にて身動きを封じられる。

 ランスが停止している間に、絶望させるためにウェンディを、抹消しようと近づく悪魔。

 一歩また一歩と、恐怖を与えるように、ゆったりと。

 

「折角ですから、良い悲鳴をお願いしま……す?」

 

 近付くが、何かに当たり止まる。

 ふと目線を下に向けてみれば、金色のナニカが視界に入ると、間髪入れずに顎が、大きな衝撃に見舞われる。

 あまりの威力に宙に浮く悪魔。

 ランスが、剣を持たない左手を、天に掲げていた。

 吹き飛んだ悪魔は、激昂していた。

 

「興醒めだ、名も聞かぬ、魔力が多いだけの羽虫が、私に歯向かうなど愚行無益」

 

 吹き飛んだ悪魔が、呪言のようにブツブツと呟く

 

「ましてや、穢く這いずり回る事しかできない、矮小で愚鈍な塵芥を守るとは、言語道断。図に乗るな、下等生物ごときが」

 

 ドス黒い魔力は、樹海を覆ってゆく、魔力に晒された面々は、吐き気を催し立つことすら、ままならない。

 

付与(エンチャント)獄炎(ヘルブレイズ)

 

 悪魔の魔力に晒されても、何一つ顔色を変えず、神器に黒い炎を纏わせる。

 

 

「言霊魔法…」

 

 対抗するため悪魔が、詠唱を開始しようとした瞬刻。

 眼前には、剣に黒炎を宿し振り下ろすランスがいた。

 

「神千斬りッ!」

 

 悪魔の腕が関節部分から、切り裂かれる。

 

「戻りなさい……ッ治らないだと?貴様ァ何をしたッ!」

 

 悪魔は修復を試みるが、治らなかった。

 魔法は発動したはずなのに、切断された腕は元通りにならず、隻腕のまま不審に思い、ランスをニヒルに笑っていた。

 

魔力封じ(マジック・シール)、お前の魔力は封じさせてもらった」

「は?」

 

 魔力を封じた事を、さも当然のように話すランスに、悪魔は呆然としてしまう。

 悪魔が棲まう世界で、その特権は自身のみであった。

 そして、自身の魔法は上位存在には、通用しなかった。

 だが、ランスの魔法は悪魔に効いてしまった。

 そのため、ランスが自身と同等か、はたまた実力が上だという事が判明したため、悪寒が走る。

 

「言っただろ、もう、お前の番は無いって」

 

 瞳をギラリと光らせ、鋭い眼光で神器を突きつける。

 悪魔は、必死に足掻こうと魔法を発動しようとするが、一切発動しない。

 どうにか、この場を切り抜けようにも、身体能力は互角、否、それは、ランスが魔力が封印時の話、魔力を自在に相手が使える分、コチラが圧倒的に不利。

 その現実を突きつけられ、先程までの威勢はどこへやら、一歩一歩後退る。

 

「何もせず、大人しく帰ってれば、命まで取るつもりはなかったんだがな」

 

 感情の抜けたような、酷く冷めきった声で、悪魔を追い詰めるランス。

 

「しょうがねぇ、お前は俺の大事なモンを傷つけすぎた」

 

 ランスの怒りに共鳴し、漆黒の魔力が放出されてゆく。

 それを見た悪魔は、恥も外聞きもかなぐり捨て、逃げようと空に飛翔する。

 天高く他の追随を許さない程の速さで、その場を離れるも、既に先回りされており、腕を切られた時に宿った黒炎は、更に膨張していた。

 

「逃亡は赦さねぇ、しっかり、償ってもらうぜ」

「ガア゙ァ゙ァ゙ーッ!!!」

 

 ランスによって、超高速の斬撃が繰り出され、体を切り刻まれ、悶絶しながら血と思わしき黒い粒子が噴出する。

 逃走することは、不可能だと悟り、一矢報いろうとランスの腕を掴もうとするが、神器からどす黒い炎が放出される。

 

暗黒星(ダークプロミネンス)

「あ゙りえな゙い…こん゙なことが」

 

 全身を飲み込まれた悪魔は、顔を絶望に染め上げる。

 ランスは、横薙ぎに振り払い、纏った炎を消し納刀を終えると、穏やかな笑顔で仲間たちの元へと降りていく。

 空に残るのは、風に消えゆく黒い粒子だけであった。

 

 





 一先ず、六魔将軍との戦いは、これにて幕引きです。
 次回は、化猫の宿から話を開始したいと思います。
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