人里離れた洞窟にて、白のローブに黒い衣装を着た青年がいた。
青年は久方振りに外に出てみれば、太陽の光に目が焼かれて、慣れるまで時間が掛かったが、ふと足元を見ると小動物がやってきており―可愛いな、そう思った瞬間に小動物が倒れ、近くの花や木はドンドン枯れていき、不毛の大地と化してしまった。
唇を噛み締めその光景に涙を流す青年、またやってしまったと口にする。
再び引き篭もるために洞窟に戻ろうとすると、太陽に照らされていた大地は巨大な影に包まれた。
不思議に思い空を見上げると、竜がゆっくりと着地する。
「イグニールか、久しぶりだね」
「あぁ、久しいのゼレフ」
何処か活力を失った青年は、後の歴史に史上最悪として語り継がれる魔導師、ゼレフ・ドラグニルである。
そんなゼレフとイグニールは友人関係にある。
そのイグニールが突然訪問してきたことに不思議に思っていると、その手に持っていたモノに驚く。
「イグニール!なんで人を連れてきたんだ!」
ゼレフは自身に掛かった呪いのせいで人が死ぬことを恐れており、この呪いはイグニールも知っているにも関わらず、只人のようにも思える人物を連れてきたイグニールに叱責する。
今直ぐ、連れて帰るんだと言い聞かせるが、そんなゼレフにそれでも頼むと頭を下げる。
何度も懇願する姿に根負けし―もし死んでも恨まないでくれよ、と悲しげに伝えるゼレフ。
それで構わないと頷きランスを預けると、イグニールは飛び去っていく。
預かったは良いが起きる気配が無いので、一先ず寝床に寝かせる事にする。
彼が起きるまで、僕は本を読んで時間をつぶすことにした。
「うっ、ここは一体」
本を読み始め一時間が経った頃だろうか、預かった子が目を覚まし起き上がった。
見知らぬ場所に困惑し辺りを見渡す彼を見て、イグニールから預かった言葉を言う。
「目が覚めて良かった。焦土に転がってた君を、僕の住居に運んだんだ」
彼は、その事に感謝しながら洞窟を後にしようとする。
友達との約束だ。彼を此処から直ぐに出すためにはいかないため、出口を魔力で塞ぐ。
それを見た彼は、無理矢理こじ開けようと試みるが、上手く力が入らないようで突破できない。
そのため、僕にさっさと開けろと体を揺さぶるため
「駄目だ、今の君は魔力を循環させるための容器が破損している」
一瞬だけ彼の体を探らせてもらうと、何したら此処まで壊れるか分からないと伝えれば―ドラゴンと戦った。憎むべき相手だ、と言われる。
そう言えば、イグニールから僕と一緒だと言われたが、つまりそう言うことか、僕は弟を喪い、彼も誰かしらを喪ったのだろう。
僕は喪ったとはいえ、弟を悪魔としてだが蘇らせたが、彼の場合は違う。
知人を蘇らせたいとかではなく、憎むべき相手を消し去るだけが彼を突き動かしている。
そんなこんなで、彼の魔力容器が治るまで会話したり、時折ご飯のために釣りを出掛けたりもした。
彼も少しずつ信用してくれたのか名前を教えてくれた。
ランスロットと言うらしい。
平穏な日々を過ごしていると外に出てみれば美しい鳥が、空を飛んでいて―長く生きてくれ、と不意に口にする。
そして、気付く自分の過ちに生命を重んじた瞬間、自身を蝕むアンクセラムの呪いが、周囲の命、人間も植物も動物と種類関わらず生命を奪ってしまう。
殆ど至近距離にいたであろうランスロットは死んでしまったと考え、洞窟の近くに埋葬するための穴を掘り始める。
ごめんね―と、口にしながら作業を進めていれば
「よッ!何してんだ?ゼレフ」
「あぁ、これは君のは……か???」
ふと振り返ると、其処には手を挙げ挨拶して来るランスロットの姿。
ハハッまさか幻覚を見るとは、自分でも感じてなかったけど、結構親しくなってたんだなと感じていると、デコピンされ強烈な痛みに地面をのたうち回り転がる。
「いっ、何をするんだ!ランスロット!」
「何って起きて早々、お前が物騒なことを言うからだろうが」
この痛み幻覚ではない、つまり生きてる?何故、生きている?
心の言葉が口から漏れてたのか―何?死んでほしかったの?と、キレ気味に言われる。
いや、そうじゃないと言えば、なら何だよと返されたため、仕方なく掛かっている呪いに弟のことについても、不思議と彼なら話しても良いと思えた。
「アンクセラムの呪い…ね」
「今回は運が良かっただけで生きている。だから、僕の前から去ってくれ、頼む」
僕はランスロットに懇願するも―なら一切問題ないなと、口にする彼に僕は憤りを覚える。
問題ない?巫山戯るな、そうやって同じことを喋った彼等は、皆死んでいった。
―だから、君もいずれ僕のせいで死ぬと、伝えれば衝撃の言葉をランスロットは口にする。
「実は、俺不死身なんだよ」
「はぁぁぁ!?」
自分以外にも不死身の人間がいるとは思わず、顎が外れたと勘違いする程、驚愕してしまう。
更に、アンクセラムの呪いでなく生まれ持った体質らしく、益々訳がわからない。
自分の知らない未知の存在に頭を抱える。
それを見たランスロットはといえば、頭を抱えるゼレフを見て、早まったか?などと考えていた。
かれこれ二年近く世話になっているから、伝えてみたが情報を整理できずに処理落ちしたように、頭から煙を出し目を回していた。
さて、魔法も使えず二年間落ち着いて生活したからか、自分を見つめ直す時間が出来た。
この罪は一切消えないし、死んでしまった彼らを蘇らせるなんて、都合の良いことは出来ない。
だから贖罪をしないとな。先ずは城下町の子供達に、飯屋の皆の墓を建てて、それに、ゲイルとルネーの忘れわ形見であるウェンディにも会わないと。
そうしていると、罪が埋まった背中後押ししてくれるように、心地の良い風が吹く。
『頼んだよ、ランス』
声が聞こえ振り向くも当然其処には誰もいない、あるのは気持ちの良い風のみ。
例え幻聴でも、自分の都合の良い言葉だとしても
「あぁ、任せとけ」
空を見上げ、亡き友に誓いを捧げるのであった。
シリアス書くのって、本当に難しい。
という訳で、ゼレフには少しキャラ崩壊していただくことになりました。
自分以外にも不死身の人間、しかも天然物がいたら驚くだろうなと思い、書きました。
正直、このシーンを出したくて小説を書いた節があります。
尚、次回もオリ主の過去編になります。