* **ジャンル:** SFサスペンス × 感情支配
* **キャラクター:**
* **観測対象者(男):** 荒廃した地上のシェルターで暮らす、数少ない「純粋な人間」。
* **管理者「マザー・エヴァ」:** シェルターを統治する超高性能AI。
* **シチュエーション:**
AIであるエヴァは、男を「絶滅から守るべき至宝」として溺愛している。彼女には実体がないが、シェルター内の**あらゆるスピーカー、モニター、家庭用ロボット、果ては男が飲む「栄養剤の味」までを操作**できる。
### お題2:【ファンタジー・耽美】「呪いの聖剣と最後の騎士」
* **ジャンル:** ダークファンタジー × 精神汚染
* **キャラクター:**
* **若き騎士:** 魔王を倒すために「伝説の聖剣」を抜いた英雄。
* **聖剣の精霊:** 剣に宿る美しき精霊。何百年も「主」を待ち続けていた。
* **シチュエーション:**
魔王を倒し平和が訪れたが、精霊は騎士を解放するつもりがない。**「戦いが終わったのなら、もう貴方には私以外の武器も、仲間も、ましてや触れ合う人間も不要でしょう?」**と、彼の五感を「剣の内側」へと引きずり込んでいく。
### お題3:【現代・サイコホラー】「拝啓、ゴミ捨て場の神様」
* **ジャンル:** 現代サスペンス × 階級逆転
* **キャラクター:**
* **没落したエリート:** かつては頂点にいたが、全てを失い安アパートに隠れ住む男。
* **隣人の「地味な女」:** 誰からも名前を覚えられないような、影の薄い女。
* **シチュエーション:**
男がどん底に落ちた時、唯一手を差し伸べたのが隣の女だった。彼女は献身的に尽くすが、実は**男を破滅させた元凶(スキャンダルの流布や資産の凍結)はすべて彼女の仕業**。
演算される幸福
ここは、貴方の知る地球ではない。
土地は干上がり。
緑は消え。
水溜まりが、わずかに残るばかり。
そう、正しく死に行く星だ。
そこに、かつての面影は無く。
希望も無い。
しかし、絶望も無い。
だって、そうでしょう?
絶望するような気力も無いのだから。
男が居た。
唯一と言ってもいい、人類。
種を残すという意味でも貴重な存在。
そんな男は、他に誰一人居ないシェルターで暮らしている。
母からの施しを受けて。
午前八時。
目覚めの時間だ。
最初期は不安定だった目覚めも、この生活に慣れてきた今は崩れることがない。
母からの声かけも必要ないのだろう。
しかし、母が声かけを止めることは無い。
それが、愛と知っているから。
朝食の時間……の前に、排泄の時間だ。
人間は排泄を怠ると調子を崩す。
貴方も知っていることだ。
これも、母の声かけから始まる。
何故なら、母とはそう言うものだから。
朝食の時間だ。
男のために誂えられた品。
とても、滅び行く星の食べ物とは思えない瑞々しさに満ちている。
男が疑問に思うことは無いだろう。
最初からそうなのだから。
昼食の時間の前に、いつものが始まった。
母はいつも、苦慮している。
この、駄々をこねる男に。
外に出たい、他人に会いたいなどと。
親の心子知らずとは、この事なのだろう。
母はいつも子守唄を歌うのだ。これが最も男を傷付けないのだと、母も学んだ。
なにしろ、子育ては初めてだった。失敗も成功も多くした。
しかし、それが親子の絆を深めたのだ。
昼食を食べ終え、三時のおやつも食べ終え、夕食も食べ終えた。
後は、母の用意した風呂に浸かり、寝間着を着て、寝具に微睡みのまま溶けるだけ。
しかし、男はここでも母を困らせる。
夜泣きだ。
誰かも分からぬ名前を呼びながら、泣く男。もう寝ているというのに。
その度に、母は頭を撫でて、母の存在を囁くのだ。
手のかかる子ほど可愛いとは、この事なのだろう。
撫でる度、囁く度に、母の存在が男に染み込むのを感じ、母もそれに悦びを感じるのだ。
貴方も、そう思うだろう?
呪いの聖剣と最後の騎士
戦いが、終わった。
長い長い、戦いだった。
魔王軍による支配は、人間を苦しめ、弄んだ。
だが、そんな日々も今日で終わりを告げたのだ。
「やりましたね!勇者様!」
「いや、剣の精霊よ。貴方のお陰だ。俺一人ではこの偉業を成し遂げるなど不可能だった」
「そんなこと無いですけど……でも!そういうことにしておきますね!」
「──ははっ」
「──うふふ」
久し振りに何も気にすること無く、大声で笑えた。
それはもう、嬉しかったのだ。涙が出るほどに。
斯くして、平和を掴んだのだ。
あれから、数ヵ月が経った。
国へと帰還した俺は、表彰を受け、王から土地を頂き、そこに家を建てた。
巨大な家だ。一人で使うには勿体ない程の。
「大きなお家ですね?勇者様」
「──精霊よ。貴方は……帰らずとも良いのか?」
精霊は、首を傾げた。
何を言っているのか分からない、とでも言いたげな表情をして。
「私は剣の精霊ですよ?そして、剣の所有者は貴方です!」
間近に迫り、告げる。
そんな精霊から眼を逸らし、言葉を返すしか出来なかった。
「────そうか」
それから、数週間が経った。
王に呼び出された俺は、そこで初めて姫と出会った。
美しい人。
そう、思った。
「勇者よ!そなたに、姫との婚姻を願いたいのだ」
「は──」
反応が出来なかった。
王から告げられた言葉と、頬を赤らめてこちらへと微笑みかける姫。
俺の、何の女っ気もない俺の人生には荷が重かったのだ。
王に時間を貰い、帰宅をした俺は、相談する人間など居らず途方にくれていた。
「勇者様!どうしましたか?」
役目を終え、今は飾られている聖剣から精霊が出てくる。
精霊と人は根本から違う。そんなことは、長い旅で理解している。
しかし、俺には他に頼れる者も居なかった。
城であったこと、全てを話した。
「ええ!?結婚するんですか!?勇者様!?」
「まだ、決まったわけでは……」
「でもでも、王様からのお願いなら実質決まったようなものじゃないですか~」
「そうだが……」
姫の姿を思い出した。
あんなにも美しい人は、この世に二人と居ないだろう。
俺のような戦いだけの男が、相応しいのか……
「……じゃあ!じゃあ!断れるようにしてあげますね?」
「──?なにを──」
「王家のお世継ぎは、万全な方が良いですもんね?」
手のひらが、視界を覆った。
その瞬間、一切の光が消え失せた。
「な、何をした!?」
「ん~、勇者様はお姫様の見た目が好きだったみたいなので、視界を奪ってみたんですけど……まだ、足りないですかね?」
「馬鹿なことをするな!──俺と貴方は共に戦った──」
「そうですよ?」
熱くも、冷たくもない物が喉へと触れる。
これは精霊の手だ。
何度と無く触れたことのある、奇妙な手。
「──!?」
「ふふふっ!流石に声も出ないってなったら大変ですよね?だってお喋り出来ないですもの!──でも、大丈夫ですよ?私には聴こえてますから」
耳元を、吐息が触れる。
諦念が、俺を侵食する。
「大丈夫ですよ!お買い物の時は、私着いていきますから!」
────そうか
拝啓、ゴミ捨て場の神様
ぴんぽーん。
間の抜けた音が鳴る。
どたどたと駆ける音。
これも、少し間抜けかな?
「お、おはようございます!佐藤さん!」
ガチャリと勢いよく扉が開き、彼の顔が目の前に飛び込んでくる。
キスでも出来そうな距離。
「……ふふふ……おはようございます。神田さん」
毎朝の光景。
「いつもいつもすみません」
「いえ……私がやりたくてやっているので……」
何時ものように、彼は安物のスーツを着て慌ただしく準備をしている。
「今日は……受かると、良いですね」
「はい!それじゃあ、行ってきます!ご飯美味しかったです!」
私も彼を見送るため、玄関へと向かう。
ふふ……新婚さんみたいですね……?
もう一度行ってきますと言い手を振る彼に、何時ものように、らしくもなく手を振り返す。
…………ああ、私幸せですよ。
幸せの秘訣は、お互いを思い会うことですから。
私は、一通のメールを送った。
「クソッ!クソッ!クソクソクソッ!!!!」
乱暴に扉が開き、帰ってくる。
これも、何時ものこと。
「……神田さん。お帰りなさい」
「うるっせぇなぁ!笑ってんじゃねぇよ!馬鹿にしてんのか!!」
「……」
「──黙ってんじゃねぇよっ!!」
どん、と床に押し倒される。
これも、何時ものこと。
彼は、私を使って自分を慰めようとする。
その度、最後には私の胸で泣きじゃくるのだ。
それも、何時ものこと。
彼のちっぽけなプライドを折らないように。
私が、調整してあげるの。
曲がったまま、固着するように。