次の飼い猫は私?! 幼馴染とはいえ、なんで大嫌いな女のためにこの私が…… 作:顔のない女
時は昼休憩になり、私は親友の
彼女は小学生からの付き合いで、唯一私が化け物であることを知っている友人だ。
属性をひとことで言い表すなら、面白いことが大好きで、少し性格の悪いギャル――といったところだろうか。
「玲香、今日すっごく機嫌悪そうじゃ〜ん。幼馴染相手にあんなキレ散らかしてたの、超久しぶりにみたかも」
「昨日は散々な目に遭ったので、それの仕返しですよ。こっちは全然やり足りないくらいです」
「あーね。まぁ私もあんな嫌がらせされたら、バチギレちゃうし、そうやって言い返せる方が健全で良いのかも?」
「……変人極まってる貴女を虐める人なんて、どこにもいないでしょうけど」
「ひどーい。あ、でもああいうのはさ、隣で葵のズッ友やってる莉子ちゃんが止めてくれればいいのにって思っちゃうよね。自分だけいじめに参加してないしさ」
「
「おっほ〜、やっぱ超お怒りだ」
ほんと、葵は性格の悪いカス女である。
それをなんで私は昨日、手を差し伸べてしまったのやら……
あまりに気の迷いが過ぎている。
「ちなみになんでそんな眠そうなん?」
「あぁ……これはですね…………」
私は昨夜の出来事を包み隠さず、ぺらぺらと喋った。
あの馬鹿幼馴染のプライバシーなんて、知ったことではない。
「おぉ……玲香ってば、そんなことする優しさがあったんだ。驚き〜」
「現在は絶賛大後悔中ですよ。今、ほんっっとに眠くて、頭おかしくなりそうです。この後にバイトが控えてるとか、考えたくもありません」
「バイトとか辞めればいいのに。やってる理由が好きなおにぎりを爆買いしたいだけって理由っしょ〜? 普通にそれだけの為にやってるの、馬鹿じゃん」
「はい?? 貴女は知らないかもですが、筋子おにぎりは天下無双、筋子おにぎりは頭脳明晰、筋子おにぎりは傾城傾国なんですよ?」
「あっ、うん。そうだね」
まぁ佳織の言うことも分かるが、これだけは譲れない。
食を欠かすと人は生きていけないのだから。
それに私は結構な大食いであるため、普通にご飯を食べてたら、食べすぎてお婆ちゃんに迷惑がかかってしまう。
もう高校一年生になったのだから、食費分くらい自分で稼がなくてはならない。
「そういえばさ、最近玲香のバイト先のコンビニに行ったんだけど、おにぎりコーナーの筋子の列、二列分くらい増えてなかった?……アレ、何?」
「分かってることを、わざわざ口にする必要もないでしょう」
「えぇ…………ドン引きぃー。ちなみに聞いてると思うけど、バイトしてるのが先生達にバレたら」
「長期休暇消し飛ぶんですよね。もちろん把握済みです。それを踏まえても辞めるつもりはありませんが」
うちの高校の校則は、時代錯誤なまでに厳しい。
バイトが発覚すれば即座に赤点補習組と合流させられ、夏休みも冬休みも勉学に捧げる羽目になる。
わざわざ休暇を潰してまで馬鹿な生徒を拘束し、自分の時間を費やす先生たちの気が知れない。
他にやるべきことは山ほどあるだろうに。
「今食べてるおにぎりで何個目なん?」
「これで10」
「一個分けて欲しい言ったら?」
「死んでも嫌ですね」
「ケチだなぁ。……そんなデカい弁当箱を空にした後で、よくそれだけ食べられるよね。なんで太らないのか不思議だよ」
「なんで太らないのかって言われても、それは私が化物だからって話で、片がついちゃいそうですけど」
「それもそっか〜。一般人が食べれる量じゃないもんね」
やがて昼休憩が終わり、睡魔の限界に挑むような五時間目と六時間目をなんとか耐え抜き、ようやく放課後のチャイムが鳴った。
私は誰よりも早く教室を脱出し、バイト先へと急いだ。
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コンビニの制服に着替え、レジカウンターに立つ。
接客の準備を整えようと顔を上げた瞬間、私の右手にあるおにぎりコーナーに、今、最も会いたくない人間が立っていた。
「なんで……貴女が、ここに……?」
「あ、玲香じゃん。こんなところでバイトしてたんだ? 超・奇遇ー!」
私の大嫌いな幼馴染――椎名葵はとてもニヤついた顔で、私の顔を見ていた。