自己加速しすぎてスタープラチナ・ザ・ワールド   作:常谷 優大

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完全に俺の自己満小説なんですが…暇つぶし程度に読んでくれると嬉しいです。

経緯としては、今やってる魔法科の映画を見て熱が入りました。

やれるとこまでやったります。後悔はしてない。


第1話

 

アインシュタインの相対性理論曰く、

「可愛い女の子と一緒に座っている一時間は一分に感じられ、熱いストーブの上に座っている一分は一時間より長く感じられる。それが相対性だ。」

生憎前者は経験無しだが、後者の言わんとすることは分かる。1世紀程前の理論だが、西暦2095年の現代まで続く『時間と空間』という物理学においての立派な発見だ。

 

人類は様々な発展を遂げた。火から電気へ。そして電気から、想子(サイオン)という情報粒子を介した「魔法」という名の技術体系へ。

なんとも胡散臭い概念だ。空想やファンタジーの世界の中だけでの話だと思っていたが、まさかこれが現実だとは。相対性理論云々の話は俺が使う魔法に関連してる。まぁそれは置いといて。

 

21世紀初頭に発見されたこの概念はいつしか人類の道具として扱われた。各国が魔法を扱える者、『魔法師』を育成し始め、それは国の兵器となった。

現代は魔法社会。我関せず。を貫こうとしたが、どうやら神は俺を寵愛してるようだ。俺こと比企谷八幡は魔法師としての才能が開花し、今日、国立魔法大学付属第一高校に入学する。

 

 

春先の暖かい気温や風までもが入学を祝っているようでめでたいなと思いつつ、これからの高校生活に希望を見出している周りの入学生を眺める。

 

「納得いきません!」

 

「まだそれを言うのか…?」

 

しばらく眺めていると、校門の近くで何やら穏やかじゃない声が聞こえた。2人の男女が言い争っている。まず目を引いたのは女子の方。腰まで伸びた艶のある黒髪に、白い肌。整いすぎた顔立ちはまるで人形みたいで、感情の乗った瞳だけが強く印象に残る。道行く人がすれ違う度振り返られる程の美貌。俺じゃなきゃ惚れてたね。

 

それよりも……俺が目を引かれたのは男子の方だ。黒髪黒目の端正な顔立ち。派手さはないが、不思議と興味を持っていかれる。

服の上からでも分かる鍛えられた肉体。思わず「軍人かよ」と呟いてしまうほど同い年とは思えない風貌をしていた。

 

「ふぁぁ、ねっむ。」

 

その2人を横目に通り過ぎ、入学式の会場へ足を運ぶ。しかし早く着きすぎてしまったのか、まだ開場していなかったため近くのベンチで一息つくことにした。しばらくすると睡魔が襲ってきたので抗えないまま瞳を閉じる。そして俺は夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

「あ…あの!入学式始まっちゃいますよ!」

 

「……?」

 

どのくらい寝ていたのか分からないが、目を覚ました頃には目の前に少女が2人いた。1人は見るからに落ち着きがなさそうに、おろおろとこちらを覗き込んでいる少女。ふわっとウェーブがかった髪を揺らしながら、おろおろと不安そうにこちらを覗き込んできている。もう1人はその隣で対照的に、感情の起伏を一切感じさせない無機質な視線を向けてくる少女。彫刻のように整った顔立ちに、意志の強そうな瞳。その少女が纏う空気は、どこか俺と似たような雰囲気を漂わせている。

 

「あー、ご親切にどうも。」

 

「いえ!…同じ新入生の方ですか…?」

 

「おう。比企谷八幡だ。」

 

「比企谷さんですね!私は光井ほのかって言います!それで、この子が…」

 

「北山雫。」

 

光井に紹介された黒髪の少女はそう言った。北山…聞いたことがある名前だ。魔法科高校はエリートの宝庫とも伺っていたが、こんなに早くご令嬢に会えるとは。この学校が今までの生活とは違ったレベルにあると再認識した。

 

「そろそろ入学式始まっちゃうし、一緒に行こ?」

 

「なら…邪魔でなければお供させてもらう。」

 

「そんなことないですよ!」

 

俺と光井、北山はそのまま歩いて講堂へと歩いて向かった。

 

 

講堂の重厚な扉が見えてくると、そこにはすでに多くの生徒が集まっていた。俺たち3人は前の方に座って式の開始を待つ。

ふと周りの生徒たちを見ると、彼らの着る真新しい制服に目がいった。制服の左袖に刻まれた八角形の紋章――「花冠(ブルーム)」。

幸か不幸か、俺の腕にもそれと同じ証が貼り付いている。簡単に言うとこの学校は魔法の実力で一科生、二科生と別れている。前者が「花冠(ブルーム)」、後者が「雑草(ウィード)」と呼ばれて蔑まれている。

 

「くだらね。」

 

「…?何か言いました?」

 

「あぁ、ただの独り言だよ。」

 

考えていたことが口に出てしまっていたらしい。俺の隣に座る光井は不思議そうに俺の顔を見た。

 

「…何か考え事?」

 

「ブラウンとコニーの子供って絶対ブラウニーだよなって考えてた」

 

何を考えてたの??

 

誤魔化そうとして咄嗟に出た答えはどうやら刺さらなかったようだ。光井は苦笑いで、北山は無表情のままツッコミを入れた。

 

 

「……以上、新入生総代司波深雪。」

 

透き通るような声が講堂の音響システムを介して響き渡り、一瞬の静寂の後、爆発するような拍手が沸き起こった。

完璧。その二文字以外に形容のしようがないスピーチだった。容姿端麗、成績優秀、非の打ち所がない名門の系譜。

ステージから降りてくる彼女の一挙手一投足に、新入生だけでなく来賓のお偉いさん方までもが目を奪われた。彼女が階段を降りる瞬間、俺と一瞬目があったような気もしたが、そんなことはありえないため周りにつられて俺も拍手を送った。

 

「比企谷君、凄かったね……!」

 

俺の隣で興奮したように頬を少し上気させて話しかけてくる。その隣では、北山が小さく息を吐きながら、ステージの余韻を見つめていた。

 

「あぁ。凄かった。」

 

「同じ1年生だとは思えない。」

 

「ほんとにね…!仲良くなれたらいいなぁ…!」

 

「同じクラスになれば自然と仲良くなるもんじゃねえの?知らんけど。」

 

「ほのかは意外と人見知りなとこあるから、話しかけれないかもね。」

 

「ちょ!雫…!」

 

仲がよろしいようで何よりだな。無事に入学式が終了し、クラス分けの掲示がされていると言われた場所へと向かう。

 

「私はA組だったよ!雫と比企谷君は?」

 

「同じ。」

 

「俺もA組だわ。」

 

「ほんと!?やったぁ!」

 

北山と手を合わせて喜ぶ光井の姿に癒されながら俺もほっと息をつく。知り合いが一人もいないクラスはさすがに気が滅入るのでこうして同じクラスの知り合いがいるとありがたい。

 

「あ、そうだ!私と雫はこの後学校をまわる予定なんだけど比企谷くんはどうする?」

 

「せっかくだし一緒にどう?」

 

「あー、実はこの後予定があってな。すまん。」

 

「そっか…。じゃあ、また明日ね!」

 

「また明日。」

 

「おう。またな。」

 

せっかくの誘いを断ってしまって申し訳ない気持ちを抱えながら2人を見送る。罪悪感も少しだけ湧いたのでこの後の予定が少し憂鬱になってしまう。

 

「誘い受けときゃ良かったかな…」

 

自分の端末が震え続けているのを感じて、俺は少しどころじゃない重い足を、予定の場所に向かって運び始めた。

 

「…行くか。魔王のもとへ…。」

 

 

 

 

 

場所は都内某所の高級ホテル最上階。一般人は足を踏み入れることすら許されないスイートルーム重厚感ある扉を数回ノックしてから入る。

 

街を見下ろせる部屋の中央に、その人はいた。漆黒の夜を溶かし込んだようなドレスを纏い、この世の誰よりも優雅に、そして誰よりも冷徹に微笑む女性。

 

「ご入学おめでとうございます。八幡さん。」

 

「どうもありがとうございます。真夜さん。」

 

この人は四葉真夜。現代魔法界においてその名を知らぬ者はいない十師族『四葉家』の当主であり、俺の恩人でもある。その話はいつかするとして、こうやって直接会うのは半年ぶりくらいだろうか。

 

「本当なら入学祝いとしてささやかなプレゼントがあったのだけれど、少し遅くなりそうだわ。」

 

「気持ちだけ受け取っときますよ。身分不相応な一科生として入学したんですから。」

 

「あなたの『自己加速魔法』は、我が四葉の技術をもってしても完全に測定しきれない未知の領域。一科生として一高へ入れるのは当然のはずよ。」

 

俺が向かい側のソファーに腰掛けると、真夜さんは楽しそうに目を細めて紅茶を口にした。

ほんとこの人絵になるな…。

 

「俺の魔法については別にいいんですよ。」

 

俺は目の前にある紅茶を1口含んでから真夜さんをじっと見つめる。

真夜さんはティーカップをソーサーに静かに戻した。カツン、と小さく硬質な音が響く。それと同時に、彼女の瞳の奥にぞっとするほど甘く、冷徹な光が灯った。このまま見つめていれば本当に吸い込まれそうだ。

 

「これ、なんすか?」

 

真夜さんペースになるのは癪なので俺は端末を真夜さんに向け、つい先程届いた真夜さんからの連絡を見せる。

 

『司波達也、司波深雪の観察及び護衛』

 

俺に命じられたのはこれだった。

 

「これ、真夜さんの直令ですよね。つまり俺は華ある高校生活をこの司波っつー見ず知らずの奴らのストーカーで終わるんすか?」

 

司波達也に、司波深雪。

……司波深雪って、そういやさっき壇上で完璧な挨拶をキメてた、あの新入生総代の綺麗なお嬢様か。苗字が同じってことは司波達也って奴は彼女の兄貴か何かなのか?

 

「ふふっ。面白いことを言うわね。八幡さんは。でも仕方ないでしょう?」

 

真夜さんはソファーから身を乗り出して俺の手を取り、妖艶な笑みを浮かべながら言う。

 

「あなたの魔法ならあの2人、特に達也さんが暴走したとしても抑えられる可能性があるんだから。」

 

「…買い被りすぎですよ。てか達也さんそんなヤバいやつなの?」

 

「この世界を壊しかねない、強大な力を持ってるの。」

 

俺に死ねと?

 

恨ましげな視線を送っても綺麗な微笑で返されるだけ。顔がいいだけに何も言えねえ。俺は諦めたように息をふっと吐き、紅茶を飲み干す。

 

「…俺の魔法はそんな便利なもんじゃねえすよ。」

 

「あなたの『自己加速魔法』…いえ、『時を止める魔法』のどこが便利じゃないと言うの?」

 

「相対的に止まってるだけです。大したことないですよ。」

 

「立派な戦略級魔法よ?」

 

「…この話はもうやめにしましょ。」

 

「私はまだ続けてもいいわよ?」

 

「俺がもたねえんすよ…」

 

真夜さんが出してくれた最高級の紅茶も飲み干したことだし、「ごちそうさまでした」と言って席を立つ。

 

「観察の件はとりあえずやりますよ…あの2人がそんなに大事なんですか?」

 

「2人は『四葉』の血縁よ。私が大事にしないはずないじゃない。」

 

驚愕の事実。何かしら関係あるか、四葉の手駒にしたいものだと思っていたが、まさか血縁だとは。公表してないってことは、本人たちは穏やかに過ごしたいのだろうな。

俺も穏やかに過ごしたいし、親近感が湧く。もっとも……

 

「八幡さん、あの2人をよろしくね。」

 

この人に関わってる時点でそんなことは叶わないんだがな。

いつの間にか俺の目の前に来て手を取ってきた真夜さんは、天使か悪魔かは分からないがどちらとも取れる笑みを浮かべてそう言った。

 

 

「あんま期待しないでくださいね。」

 

やっぱあの2人の誘いに乗った方が良かったかもなぁ。

手を振って俺を見送る真夜さんを背に、ホテルの部屋から出て家路についた。

 

 

 

 

 

 

外は既に日が落ちきっていて、街灯が夜の街を照らしていた。夜の女王…あの人にはやっぱこの2つ名が似合うな。夜景の一部となった閑静な住宅街を見て真夜さんを連想したところで、人気の少ない交差点にたどり着く。

 

「…?」

 

ここで異変に気がつく。ここ…こんなに人通り少なかったか?カツン、と無機質な足音が、俺の背後と左右から響いた。

 

「見つけたぞ。比企谷八幡。」

 

闇の中から現れたのは、夜の街に溶け込んだような黒の服を着た男たち5人ほど。全員の手には一般の魔法師が持つようなスマートなCADではなく、軍用の物騒な魔法銃が握られている。

俺は咄嗟に周囲を見回すが、完全に退路を断たれていた。

 

 

「…あの、人違いじゃないっすかね。俺はただの高校生ですよ?」

 

「とぼけるな。3年前の沖縄であったことを忘れたとは言わせないぞ。」

 

3年前…沖縄…。修学旅行で行ったな。確かに3年前沖縄のどっかのリゾート地が物騒な戦火に巻き込まれて、俺も必死に逃げ回った記憶はある。

その時に死にそうな女性2人を魔法使って助けたし、明らかに悪っぽいやつもコツンと殴った記憶がある。

いやいや、まさかそんな。

 

「いやー、最近記憶力無くなってきちまって。覚えて---」

 

「問答無用!!雪辱を果たす!!!」

 

男の叫びと同時に、全員の魔法銃の銃口が青白い光を放った。空気を引き裂くような音と共に、不可避の速度で放たれる複数の想子弾。

常人であれば、術式を展開する暇もなく蜂の巣にされているタイミング。

 

 

だが、俺にとっては…

 

「……悪いな。」

 

小さく吐き捨てると同時に、俺は意識のギアを強引に引き上げた。

――カチリ、と頭の中で何かが噛み合う音がする。

 

「…もう、『加速』は終わってんだわ。」

 

その瞬間、世界から一切の『音』が消え失せた。

色鮮やかだった夜の景色が、まるで古い写真のようにモノクロームへと反転する。

男たちの歪んだ表情も、魔法銃の銃口から放たれた眩いマズルフラッシュも、そして俺の鼻先数センチメートルまで迫っていた青白い想子弾の軌跡も。

 

すべてが、嘘のように完全にその場に『静止』していた。

 

 

---これが、俺の魔法。誰にも干渉されない俺だけの領域。

 

「あん時の残党かなんかは知らんが、小町のご飯が冷めちまう。邪魔すんな。」

 

止まった世界の中で俺は億劫そうに呟きながら男たちのもとへと歩き出す。

一斉に魔法を放っていても、互いの魔法が混在することなく俺に向かっていることからこいつらが相当の手慣れだということを認識する。加重、振動、精神干渉…殺意高ぇなおい…。

 

俺は発動された魔法に想子(サイオン)の塊をぶつけて魔法式を吹き飛ばす。術式解体(グラム・デモリッション)だったか…?ついでに彼らの首筋に、1科生なら誰でも使えるような、術式すら持たない純粋な想子(サイオン)の塊を置いていく。

 

「これでよし、と。」

 

彼らの背後に完全に回り込み、俺は息を少し整えてから意識のギアを元に戻した。

 

 

世界に再び、『時間』が流れ出す。

 

 

 

「なっ---!?」

 

男たちが引き金を引いた瞬間、魔法銃は不発の音を立てる。それと同時に、彼らが「標的が消えた」と認識するよりも前に、彼らの首筋に設置された想子の塊が一斉に炸裂した。

 

「がはっ……!?」

 

「な、に…が……?」

 

何が起きたのか、自分たちがどうして倒れているのか理解できないまま地面に崩れ落ち、男たちは意識を失った。

 

 

「真夜さんに命令された初日にこれか…先が思いやられる…。」

 

夜の静寂に愚痴を溶かしながら、俺は一歩一歩、重い足を前に進める。明日からの学校が憂鬱で仕方なかった。

 





比企谷八幡:国立魔法大学付属第一高校1年A組。得意魔法は『自己加速魔法』で、加速しすぎて相対的に時間が止まる。ジョジョの空条承太郎がモデルだと思ってもらえれば。


司波達也:完璧超人お兄様。3年前の沖縄海戦で自分と家族を救ってくれた人物を探している。


時系列的には魔法科は原作通り、俺ガイルの原作軸が中学時代にずれています。お分かりの方もいらっしゃるとは思うんですが、八幡の強さは達也とほぼ同じです。こいつハイスペックすぎる。2人が戦ったら条件次第で勝敗分かれるタイプですね。

完全見切り発車なんでおかしいとこあるかもですが許してください。

ではまた次回。
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