思った数十倍モチベが保ててます。
※(2026/05/23)追記
誤字報告ありがとうこざいます。ネタにマジレスされて傷つく人の気持ちがわかった気がします。
誤「……見てもらう方が光速いだろう。」
正「……見てもらう方が速いだろう。」
翌朝、日の出から数時間して目が覚める。
どうやらソファで寝てしまっていたようだ。少し固まった体をほぐし、朝ご飯の準備をすることにした。
「さて、何があるか……」
冷蔵庫の中を見ると、どうやら自炊する人間だったようで、ある程度の食材が入っていた。その中から卵とソーセージを取り出し、キッチンへ向かう。
「思ったより揃ってるね?」
私はどれだけ料理好きだったのだろうか、基本的な家電だけでなく、少しマイナーなものまで置いてあった。
トースターにテーブルの上にあった食パンを中に入れスイッチを入れておく。
その間にフライパンを取り出し、目玉焼きを作る。ソーセージも2つ乗せ、中火にして蓋を閉じ暫く待つ。
「飲み物は……まぁいいか。コーヒーは本当に苦手なんだよな……」
数分後、いい感じの焼き目が付いた食パンに半熟気味の目玉焼きを乗せ、適宜ソーセージをつまむ形の朝食が出来た。
「うん、美味しいね?適当に作ったにしてはいいものが出来たかな。」
そうして朝食を済ませた後、一足先に集合場所のルミナスクエアに向かい、街を見て回ることにした。スマホというのはとても便利で、少し操作が覚束無い所があれど私一人でも辿り着くことができた。
何処から回ろうかと考えていたその時、一際人混みの多い場所を見つけたのでそこに向かうことにした。
すると、喧騒の声がようやく聞き取れるようになってきた。
「キャーー!雅様ー!!こっち向いて〜!!」
「マサマサーー!!!好きだァ!!!!!」
「ええと……これは一体何の集まりなんだ?」
そう呟いた次の瞬間、私の隣で恍惚としていた女性が声をかけてきた。
「えぇ!?お兄さん今日凱旋パレードの日なのに知らないのぉ?!」
「そうだね、生憎ここに来て日が浅いから……知らないんだ、何も。」
「あの雅様率いる対ホロウ六課だよ!?本当に知らないのぉ?!」
「うーん……私はそのみやび様とやらも知らないんだけれど……」
「そんなことまで知らないだなんて……!勿体ないよぉ本当に!!折角だし教えてあげようかぁ?」
「そうだね。そうしてくれるとありがたいかな。」
「りょーかいだよぉ!まずね!対ホロウ六課っていうのは……」
星見雅ファンクラブ会員だと言う彼女の言の葉は留まることを知らず、ある程度有用な知識も得られたが彼女の弁のその殆どはその星見雅という人物についてだった。
「ふむ、そうなのか……」
結局、彼女から解放されたのは集合時間から1時間程経ってのことだった。
ー集合場所、HIAセンター前にてー
「で?遅れてきたことについてなにか弁明はあるか?」
「すまない……話に花が咲いてしまって……」
「いや途中から見てたから事情は知ってるけどよ。」
「見てたならなんで助けてくれなかったのさ……?」
「触らぬ神に祟りなしってやつだ。お前は犠牲になったんだよ。」
「そうか……そうだったのか……」
「まぁそう落ち込むんじゃねぇよ。エーテル適性検査は丁度これからだ。行くぞ。」
「分かったよ……」
そうしてHIAセンター内に入っていくと、アトロスが手配してくれていたようで、カウンターにいた受付の女性にアトロスが話しかけるとすぐにテスト出来るとの事で、移動することになった。
部屋に案内されて中に入るとなんだか物々しい機械と共に研究員と思しき男性がこちらを迎えた。
「ええと……リアンさん、でよろしいですね。エーテル適性について改めて説明致しますが、よろしいですか?」
「あぁ、よろしく頼む。」
「かしこまりました。では僭越ながら、エーテルとはなにか、エーテル適性とは何かについて説明させていただきます。」
「まず、ホロウにはエーテルと呼ばれる物質が満ちています。エーテルは現在、加工すれば石油や石炭に変わるエネルギーとして利用できます。特にホロウ内では結晶化できるほど高い濃度で存在していますが、ホロウ外ではほとんど存在していません。またエーテルには強い侵食性があり、ホロウ内が不安定な原因の一つとなっています。」
「では、そんなふうに無機物に、空間に作用するエーテルですが、生物に対してはどのように作用するでしょうか?リアンさん。」
「ええと……エーテリアスという化け物になる、で合っているかな?」
「まぁ正解です。ホロウに入ると、エーテルに侵食されいずれエーテリアスになってしまいます。この速度は個人差があり、暫くの間なんの影響も受けずに活動できる人もいれば、入るイコール死を意味する人もいらっしゃいます。これがエーテル適性です。」
「侵食度によって呼称が異なったりもしますが、今回はまぁいいでしょう。」
「というわけで、これからリアンさんにパッチテストという形でエーテル適性を調べさせていただきますが、なにか質問はございますか?」
「うん……なにか目安はあるのかい?この反応だと何時間まで居られる、みたいな。」
「そうですね……
「なるほどね……うん。分かった、質問は以上だよ。始めようじゃないか。」
「かしこまりました。」
そうして、パッチテストが始まった。
検査用のエーテルを当てるのは4箇所で、それぞれ両手足の適当な場所に何度か分けて当てていった。
1度目、15秒で反応。
2度目、47秒で反応。
3度目、39秒で反応。
4度目、24秒で反応。
侵食を受けた時、あの煙戦争の時期にL社とG社周辺に立ち込めた煙を吸い込んだ時と同じ感覚がしたが、これはただのフラッシュバックだろう。なんにせよ、テストは滞りなく進み、結果を見た研究員は少し震えているようにも見えた。
「……試験は以上になります。何処か不調等はござな離さなかいますか?」
「いや、特にないかな。それで、結果はどうだった?」
「実に素晴らしいです。今すぐにでもHIAにスカウトしたい程。」
「はは、相当高いようで良かったよ。アトロスにいい土産が出来たね」
「リアンさんが望むのであれば今すぐにでも手続き可能ですが……」
「いや、私はいいかな。自由に生きたいんだ。」
「そうですか……心変わりがあれば是非お越しください。こちら、今回のテストの結果になります。」
「あぁ、ありがとう。お世話になったよ。」
そうして検査結果の紙を貰い部屋を出ると、アトロスはカウンターの女性と会話の花を咲かせていた。少し話しかけずらい雰囲気ではあったが、少し申し訳ない気持ちを持ちつつ話しかけることにした。
「あ、アトロス……全部終わったよ。……楽しんでたみたいだね?」
「あ?おぉ、すまねぇな、連れが来ちまった。また話せる時があればな。……お疲れ様だな、リアン。で?結果はどうだったんだ?」
「私が話すより見てもらう方が速いだろう。ほら、見てみるといい。」
「ありがとな……は?バケモンかお前?」
「ははっ、お前がそこまで驚いているなら、私の適性は相当に良いんだろうね?」
「そりゃそうだろ!?これだけを見たらお前は虚狩り級だからな?」
「へぇ、あの星見雅さんと……思ったよりすごく聞こえないな。」
「お前はそうだと思ったよ……記憶と一緒に常識が飛んじまってるからなぁ……」
「う〜ん、とても酷い言われようだね、ほとんど事実ではあるけれど……」
「それで?手伝う話、どう?適性は大丈夫だってわかったけど?」
「……かーっ、認めるしかねぇよなぁ……分かったよ。いいぜ、手伝わせてやるよ。安全第一、だがな。」
「!やったね。ありがとう、アトロス。」
「仕事の時間は後で伝える。その時にOJT……実地指導つったらいいのか?とにかくそれをするから、動きやすい服装でな。別に今の服でもいいが……」
「分かったよ。」
そうして、HIAセンターを離れた私たちは少し言葉を交わして解散する……はずだった。
「それじゃあ、今日はこれで解散かな?」
「待て待て待て、まだ俺はお前に用事があんだよ。」
「?特に用事はないけれど、どうしたんだ?」
「腹減ったろ、飯に行くぞ、もちろん俺の奢りだ。」
思わぬ提案を聞き、少し困惑してしまう。言葉の真意を問うと、思わぬ答えが帰ってきた。
「……それは随分急なお誘いだね?やることも無いしいいけれど、どうしたんだ?」
「いや、これは俺のエゴなんだが……言っちゃ何だが、仕事をする"仲間"とは1度同じ釜の飯を食っときたくてな。飯を食って話をして、それでお互いの人となりを理解して、そういう事をやっておくだけでも、仕事に対するモチベーションに繋がるしな。」
「仲間か……いい響きだな。」
「それに、俺らの世代はホロウ災害で家を失ってる奴らがうじゃうじゃいたんだが、最初の方は本当に酷かったんだぜ?」
「そうなのか?そうは見えないが……」
「そりゃあ今はな。昔は本当に地獄だったよ。自分を助けられるのは自分だけ、周りの人間は利用するだけの存在って考えがメジャーだったんだからなぁ。一宿一飯の恩義って言ったら大袈裟だが、そういう契約で縛りでもせにゃダメだったんだよ。俺の足はそれで切る羽目になっちまったからな。」
「……」
「……けどよ、俺ァ人の飯を食う姿が好きだったんだ。そうやって飯を食わせて、一緒に仕事をしてってのを繰り返して、地道に信頼を勝ち取ってたら、いつの間にかこの無駄に広い顔が出来上がった訳だが……まぁ、悪い気はしねぇよな。……こりゃあ長話が過ぎたな、出会って数日のやつにする話でもねぇし……なぁ、火鍋は食べた事あるか?」
「……あ、いや、無いな。似たようなのは食べた事があると記憶しているけれど。」
「なら、決まりだな。丁度近くに美味い火鍋屋があるんだ。行くぞ。」
「あぁ、喜んで。」
そうして、私たちはアトロスイチオシの火鍋屋で卓を囲むことになった。火鍋が都市で食べたものより大分辛味が強く、むせてしまうという軽いアクシデントはあったが、アトロスとの繋がりが一層強まった気がした。
店を後にし、帰路に着く。その道中でアトロスの言っていた過去の話について反芻し始めた。
この空気の澄んだ場所でも昔は都市の裏路地と同程度の治安だったという。それを聞き、人はあまり変わらないのだと思った。また、つまり都市は人の苦痛を糧に生きているようだとも。
アトロスの話す様はまるで自分に言い聞かせるようでもあった。きっと、最初の災害で大切な人を失うことがあったのだろう。私の愛しい娘のように。……ヨシヒデは死んだわけではないけれど、兎に角、彼はそれを乗り越えて今を生きてきたのだから。
そんな考えをしていると我が家に着いていた。スマートフォンを見てみるとアトロスからノックノックが届いていた。仕事の日程を確認し終わったようだ。
『お前の初めての仕事は○○日、△△時から始める。遅刻するとは思っちゃいねぇが、早く来すぎても何もねぇけど30分前くらいに来い。簡単な事前説明をするからな。』
すごいな、指令の100倍は分かりやすい指示だぞ。やはり人は学ぶということなのだろうな。積み重ねてきたものがちゃんと利用されていると感じる。
『わかった』
色々考えたが最終的に端的でいいだろうと思い、こう送ったが大丈夫だろうか……と、考えているとアトロスから返信が来た。
『あのなぁ……会社なら兎も角、無理に返信しなくてもいいぞ?見てるのは分かるシステムがあるからな。特にお前は老人並みにインターノット音痴だしな。』
『しんがいだ。どりょくする。』
このあと少しまた会話をしたあと、支度を整え、眠りにつくことにした。
この世界はまだ分からないことが多くあるが、早急にスマホの扱いだけはマスターせねばと思う1日だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
深夜。誰もが寝静まった時間に、子供の机の上、そこに役目を終えた端末機があった。物言わぬはずのそれから、紡がれるはずのない音が出る。
ーーーーピピッ
この音に
【リアンへ、カドゥケウスを自由に使えるようにしました。ホロウに入る際には必ず持っていくこと。】
何者かの意志によって私物化された神託が何を指すのかは私には分からないけれど、きっと子供にはいい影響を与えるでしょうね。
この話は今はここまで。また会いましょう?
・普通にカルメン?
→こんな面白いことあのCソリプおばさんが食いつかないはずない。
心象を()口頭での会話を「」ノックノック等のネット上の会話を『』にすることにしました。見やすくなるといいな。