「蒼月、ここが雄英高校?」
「さっき看板書いてあっただろう、見てなかったのか竜魔?」
「いや、あの先生だったら嘘の住所教えて、変な幻覚見せてきそうだから…」
「確かに、あのクソ師匠なら疑いたい気持ちは分かるが、こういう嘘はつかんだろう」
「確かに、それじゃあ行こう」
「ああ」
雄英高校ヒーロー科一般入試の会場に到着した二人の少年が、ここで間違いないか話していると、周りにも同じ受験者達が進んでおり、間違いないことを確信して会場に向かった。
『受験生のリスナー、今日は俺のライブにようこそ!エブリバディセイヘイ!』
シーン
雄英高校で教師をしているプロヒーロー『プレゼント・マイク』が会場の反応を聞くと静寂と言って良い。
そんな中先ほどの二人の少年は小声で話していた。
「山田さん本当に教師やってたんだね」
「耳栓使わずに済む声ってのも珍しいけどな」
『こいつはシヴィー。なら受験生のリスナーに実技試験の概要をさくっとプレゼンするぜ。アーユーレディー?イエー!』
再び会場の反応を確認するがやはり静寂、沈黙の雰囲気となる。
実技試験の内容は、各自指定の演習会場に向かいそこで10分間の模擬市街地演習を行うという内容である。ついでに付け加えると持ち込みは自由とのこと、そのため、二人は持ってきた自分の武器を再度握って気合を入れ直す。
少年達はお互いの受験票を確認すると、違う会場になっていることに気付いた。
「これって…連番や同じ学校の人とは組ませないようにして、連携を取らせないようにしてるのかな?」
「だろうな。それにワシらの事はここの教師達も把握しておるから、それも考慮する材料としておるだろう」
演習会場の場所を把握した二人は、プレゼント・マイクの続きの説明が始まり、それに集中し始めた。
『演習場は、仮想
「つまり、それを多く壊してポイントを稼げば良いのか」
「つまらん…そんなオモチャを壊すだけとはな…ん?」
「どうしたの?」
「…数が合わん」
「え…」
『もちろん他人への攻撃など、アンチヒーローな行為はご法度だぜ』
「質問よろしいでしょうか!プリントには
「すみません…」
大柄なメガネの受験者が後ろの席に座っていた受験者に注意をすると、その光景に笑い声が僅かに響く。
「俺達も喋ってたのに…」
「聞こえてなかったんだろう」
片方の少年は申し訳なさそうだったが、もう片方の少年は関係ないと無視していた。
しかし、先ほどの質問はもう片方の少年と同じ疑問であったため、彼はその説明を待っていた。
『オーケーオーケー、受験番号7111君。ナイスなお便りサンキューな』
プレゼント・マイクの説明によると4種目の
以上でプレゼント・マイクの説明が終わった。
「なんだただの独活の大木か」
「俺達には問題ないね」
『最後にリスナーへ、我が校校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った“真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者”と、さらに向こうへPlusUltra!それでは皆、良き受難を!』
実技試験の説明が終わり、2人の少年もそれぞれの会場へ向かった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
(試験会場C)
試験会場Cに着いた少年は、袋に入れていた自身の武器を取り出した。
「何だアレ剣か?」
「あんなの試験の役に立つのかよ」
「あれ?なんか見たことあるような剣だな」
他の受験者達は少年の取り出した剣に注目していた。
柄の先端には竜の頭の装飾がされており、少年のような武器を持っている受験者は少ないため目につくものではある。
少年は剣を特殊な鞘に納め、いつでも出れる準備をした。
(試験会場D)
試験会場Dに着いた少年は、布で包んでいた自身の武器を露にさせた。
「槍!?」
「おいおいあんな槍使えるわけないだろう」
他の受験者は少年が握る槍を馬鹿にする者さえいた。
持ち手は木製であり、穂は太くさらには小さな傷が目立っていた。武器として扱うことが出来るのか疑問と思えるような槍である。
しかし、少年は無視していつでも出れる準備をした。
『ハイ、スタートー』
少年は地面を蹴飛ばして、会場の中に進んでいく、後ろからの戸惑いや少年の行動に勘違いをしていた声が聞こえるが、少年は気にせず試験会場を走り抜ける。
『どうした?実戦にカウントなんざねえんだよ!走れ走れ!賽はなげられてんだぞ!!』
プレゼント・マイクの言葉に他の受験者達も一斉に走り出すが、最初に駆け出した少年はすでに仮想
『標的ほ…』
「邪魔じゃ!」
少年は仮想
「今ので20
少年は一度足を止め、僅かに“個性”を発動させ、先にいる仮想
「この程度あの修業に比べれば甘すぎる」
少年は再び駆け出し、仮想
(試験会場C)
剣を持った少年は、槍の少年と同じタイミングで駆け出していたが、倒した仮想
「いまは確か30
少年は剣を構え、襲ってきた仮想
「いまので32、かな?」
少年は剣を鞘に納め、会場内を走り出した。
(試験会場D)
槍の少年が仮想
(今ので80
槍の少年が別の行動に移ろうとした時、地面が揺れているのに気づいた。その揺れが時間が経つにつれ大きくなっているの事にも、
(なんじゃ?地面が…っておいおい)
槍の少年が上を見上げると、そこには巨大な0ポイント
「まったく、面倒じゃのう」
少年は、自身の“個性”を完全に発動させた。
体が肥大化していき、服は破けて姿は完全に人間とは違う存在になっていった。
金色の毛並みをして、顔の下半分に二本の黒い隈取りが現れ、爪と歯は鋭くなり、虎に似た獣へと変身した。
「さあて、壊すとするかのう」
獣となった少年は、そう言って仮想
(試験会場C)
0ポイント
そんな中、剣の少年は“個性”を発動させ、右手に力を込め始める。すると少年の右手の甲が光り出し、竜を思わせるような紋章が現れた。
(既に85
少年の頭の中では、0ポイント
そして剣の少年も空を飛ぶと突然試験会場Cにだけ雷雲が集まり出していた。
(アレなら一瞬で決められる)
ギガデイン!!
巨大な雷が少年の剣に集まり、凄まじいエネルギーを纏った剣になった。
(試験会場D)
獣となった少年は、0ポイント
「あばよ独活の大木」
少年は全身から雷を放ち、0ポイント
(試験会場C)
剣の少年が、雷のエネルギーを纏った剣を振り上げ、急降下と同時に振り下ろした。
ギガブレイク!
少年の剣が、0ポイント
『終ー了ー!!』
少年たちが0ポイント
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
実技試験を終え、師匠に連絡していた二人の少年だったが、その師匠から返事に二人は耳を疑った。
「先生すいませんもう一度言ってくれませんか」
『だから、もう俺のところに帰ってこなくて良いからって言ってるだよ!』
「まさか、ワシに金を多く渡したのは…」
『運賃それでたりるだろう?』
「まあ大丈夫だが…」
「あの先生!俺は?」
『お前は迎えが行ってるからそれで大丈夫だ。じゃあな』
「あ、あの!?」
剣の少年が、会話を続けようとしたがしたが、通話相手である師匠は既に切っており、スマホには機械音しか聞こえてこなかった。
「…まあワシは一足先帰るが、お前も気を付けろよ」
「…うん」
二人の少年は雄英高校の校門を抜けると、別々の方向に歩いて行った。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
剣の少年の迎えは、彼の知り合いであったようで顔を見てすぐに気づいた。
「車田さん?」
名前を呼び、車田と呼ばれた男は少年を見ると大きく口を開いた。
「ケェーーーー!!
「お久しぶりです。皆さんも元気ですか?」
「オウよ!首を長くして待ってるぜぇ!早く乗りな!!」
「お願いします」
剣の少年、心人は車田の運転する車に乗って、目的地へと向かった。車内では、車田と心人は近況報告を始めた。
「どうだった試験は?」
「問題ないと思います。筆記はわかりませんが、実技では85ポイント稼げましたから」
「85ポイント!?そりゃあすげぇ!」
「そちらは?」
「あの
「推薦!やっぱりすごいな!」
「あの人たちもまた坊と暮らせるのを楽しみにしてるだぜ。あの
「そうなんですか!?」
「オウよ!おっ、着いたぜ!」
目的地に着き、車から降りて、車田に御礼を言って心人は目的の入り口を見上げる。立派な門にその奥には日本家屋があり、心人の心に懐かしさが広がってきた。
門を潜ると、後ろから何者かの腕が心人の首に絡みつくが、彼はすぐにその正体に気付いた。
「お久しぶりです!
自分と同じくらいの白髪の青年の姿を見て心人は笑顔で青年の名前、轟燈矢を呼んだ。
「おいおい、もう少し驚いても良いだろう」
「驚く前に、燈矢さんって気づいたので」
「どうやってだよ」
燈矢と並んで日本家屋の玄関を開けようとしたその時、玄関が開いた。
「心人くー--ん!」
「心人君、お帰り!」
「冬美さん!夏雄さん!」
メガネをした白髪の女性、轟冬美と、同じ白髪の大柄の青年、轟夏雄が心人を抱きしめる。
「お久しぶりです!」
「元気にしてたか?」
「はい!」
「大きくなったね!もしかしたらもうすぐ燈矢兄の身長追い越すんじゃない?」
「やめて冬美ちゃん、それ俺も薄々思ってるから」
「あははは、あっ!」
玄関で微笑んで見ている長髪で白髪の女性に気付いた心人は、嬉しそうに近づく。
「お久しぶりです冷さん」
「久しぶり心人君。こんなに立派になって、だんだんあの人に似てきたわね」
「本当ですか!?」
「ええ、そうよねアナタ」
「ああ、本当にそうだな」
「炎司さん!」
見上げる程の体格と鍛え上げられた肉体を持つ男轟炎司に、心人はさらに嬉しさが増していく。一方炎司も後ろに最後の自分の子供を呼ぶ。
「さあ、あとお前だけだぞ」
「…うん」
父に呼ばれて玄関にきた人物に心人は、今すぐにでも抱きつきたい衝動が廻ったが、なんとか踏みとどまった。
そして、赤と白が分かれた母親と同じくらいの長さの女の子が来ると、二人は再開の挨拶をした。
「お帰り、心人」
「ただいま、
そこから、轟家では心人が帰ってきたことのお祝いパーティーが始まった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
人気のない実家に到着した槍の少年は、シンプルな家と立派な寺があり、家の扉を開けると、いきなり二人分の手が伸びてきて槍の少年は特に抵抗することなく担がれた。
「よく帰って来たな
「元気にしてだった?」
「オルカさん、シシドさん久しぶり。あと下せ」
シャチの姿をした男とライオンを思わせるような風貌の男に担がれた槍の少年、虎人は下すように要求すると二人は渋々従って、虎人を下した。
「で、どうだったよ試験?」
「大丈夫だと思う」
「まあ、お前が落ちるなんて俺は全く思っていないがな」
「ちょっと待てギャングオルカ!俺だって虎人が落ちるなんて少しも思ってねぇんだよ!勝手に自分だけ違うアピールするな!!」
「なんだとシシド!」
「やる気か?」
「喧嘩するなら外でやってくれ」
「「うっ…すまん」」
「全く、向こうでの三年間の話でも聞きます?」
「もちろん聞かせてくれ!」
「どんな修業だったのか俺達も気になるからよ」
ギャングオルカもシシドも、虎人の修業の話が気になってその日は、虎人の三年間の修業の話をすることで夜が更けていった。
そして一週間後二人に雄英からの合格通知が届き、虎人は2位、心人は1位だったことが告げられた。
「実技総合成績が出ました」
雄英高校の教師達は実技試験での点数をみて、教師たちは今回の実技試験で注目していた者達の感想を言い合っていた。
「
「仮想
「対照的に
「アレに立ち向かったのは過去にいたけど、ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「思わずYEAH!って言っちゃったからな」
「だけど特筆すべきはこの二人だ」
一人の教師が二人の受験者の映像を映し出す。
それは心人と虎人であった。
「1位の彼は
「2位の彼も
「でしょうね。なんせこの二人はあの人の元で三年修業してたんですから」
「あの人って…まさかあの人が!?」
「そんな彼から、ある要望が届いているのさ」
校長が要望書をモニターに出すと、それにはこう書かれていた。
『アイツら二人とも合格してたら、同じクラスにしろ』
「これは…」
「実質命令じゃん…」
「あの人を敵に回したら誰も勝てないわよ」
「それじゃあ彼ら二人は同じクラスで問題ないね?」
『異議なし!』
その後、他の合格者のクラス分け等の話し合いが続いていった。