黒いモヤの
「障子くんみんなは?いるか?確認できるか?」
(焦凍…!)
「散り散りにはなっているが、この施設内にいる」
(よかった!)
障子の言葉にその場に残っていた者たちは、一応胸をなでおろす。
「くそ…物理攻撃無効でワープって最悪の個性だぜおい」
瀬呂が黒いモヤの
(いや…完全に無効じゃない)
それはさきほど、爆豪と切島が仕掛けた際に黒いモヤの
『危ない危ない』
(そう言うってことは、コイツにダメージを与える方法はとりあえずあるってことだ。そしてそれはおそらく…)
心人がそこまで考えるとあるエリアから轟音が響き渡った。
「なんだ!?」
「
障子の複製腕で作った耳で音のした方角を確認すると、その先は確かに火災ゾーンのドームがあった。
そして、その火災ゾーンのドームの中では、
「な…なんだよこのガキ…」
「本当にガキの力かよ…」
「ば…バケモノ」
火災ゾーンで待ち伏せていた
その途中で、意識だけははっきりして
「おい、聞きたいことに答えろ!」
「ひ、ヒィイイ!!」
「主犯は誰じゃ?それとオールマイトを殺すと言っておったが、何か秘策でもあるのか?」
「しゅ、主犯は多分し、死柄木さんって人だ!あの手だらけの男!俺達はあの人に誘われたんだ!」
「オールマイトを殺すってことに?」
「そ、そう!ガキを送るからそいつを殺すよう俺達は頼まれたんだ!」
「…あの脳みそがむき出しの
「し、死柄木さんが自慢げに言ってたんだ『コイツがオールマイトを殺すことが出来るヤツだ』って!!」
「じゃああの黒いモヤの
「く、黒霧さんのことか?あの人は死柄木さんの世話係みたいな人だよ…これ以上は何も知らない!!本当だ!!」
(本当に知らんようじゃな)
「そうか、ありがとうな」
虎人はこれ以上の情報が手に入らないとわかると
(数で潰すような戦法にチンピラの
「とりあえず、出てから決めるか」
虎人は火災ゾーンのドームの扉を開け外に出ると、他のエリアを遠くからでも確認できる範囲で確認すると、まず最初に消えた選択肢は『他のエリアに行ってその場にいるクラスメイトの救出』だった。
「あのレベルの奴らなら他は心配はないか」
(となるとやることは…)
虎人は、相澤がいるであろう中央の広場に視線を向ける。虎人は、緑谷を安心させるために簡単にはやられないと伝えていたが、相澤の欠点を虎人は知っていた。
(団体相手に長期戦は目を酷使するから、おそらくそろそろ相澤さんの目は限界に近いはずじゃ。それに
「決まりじゃ」
虎人はそう言って、中央の広場に走って向かった。
USJの出入口へと続く通路では、13号から提案に心人は反対した。
「13号先生、それは聞けません!」
「いや、これは君があの人から『弟子の中でトップの戦闘センスを誇っている』というお墨付きがあるから言うんだ」
「だからって俺が相澤先生の戦闘に加勢しろって…それじゃあ13号先生にどんな処罰がくだるか!!」
「僕だって本当は君を戦いに参加させたくない。だけど、本気のオールマイトですら勝てないあの人で鍛えられてた君に頼ることが最善という結論になってしまうんです」
「だけど!!」
「それに君の直感じゃ、誰が一番危険でどうすべきなのかは、既に君の頭の中で出来上がっているのでしょう?」
「っ!?」
13号の言い分に言葉が詰まる心人。13号の言う通り、心人の頭の中では誰を最初に倒すべきなのかは既に決めていた。
そして最も先に倒しておきたい存在が中央の広場にいる。
しかし心人が最も危険な戦闘に参加し、それが世間に公表されれば、雄英への避難、教師達の能力不足の指摘等、悪い予感が頭を過り、戦闘には極力参加するべきではないと考えていた。
だが、13号の一喝でその考えは消えた。
「最悪の事態になっても良いんですか!!」
「っ!!」
「全ての責任は僕が負います!今は、みんなを救う事に最善を尽くすべきなんです!!」
「…っ」
「行ってください」
「っ…はい!!」
覚悟が決まった心人は13号の指示通り、個性を使い中央の広場に向かって飛んで行った。
「委員長、君にも頼みたいことがあります」
「…なんでしょう?」
(ここであの少年を追う事は簡単だが、目の前の彼らを逃がすわけにはいかない…特にあの足が特徴的なメガネの彼が外に出ては困る…やはり、ここで張るのが良いですね)
心人が向かったのを見届けた13号は次に飯田に指示を出す。そんな中、黒霧は一瞬悩むがすぐに思いとどまり、入り口前から動かなかった。
「相澤先生!加勢…に…」
中央の広場に到着した心人は目の前の光景に言葉を失った。
それは相澤が脳みそむき出しの
「先生を助けに来たか…だけど少し遅かったな。ああでもこういうものか『ヒーローは遅れてやってくる』って」
「っ!!!」
ヒャダルコ!!
一見死柄木の挑発に乗ってしまったように見える行動だが心人は冷静である。その証拠に相澤の救出が最優先と決めていたため威力を抑えつつ脳みそがむき出しの
そして脳みそがむき出しの
「三人とも相澤先生を連れて今すぐ逃げて」
「竜魔ちゃん」
「な、何言ってるんだよ!お前も逃げろよ!!」
「俺の動きに目で追えてたなら、その言い分には賛成してたかもね…早く!」
心人の今まで見たことない目を見て、蛙吹と峰田は素直に言う事を聞いて、相澤を安全に持つ。しかし、緑谷だけは素直に言う事を聞く気はなかったようだ。
「竜魔くん!僕も何か手伝うこと「足手まといはいらない」…!」
初めて聞く心人の厳しい口調に思わず怯む緑谷だったが、心人が緑谷の耳元で小声でささやいた。
「まだ個性の調整出来ないんだろ?だったらみんなと一緒にいる方が使いやすくなるはずだ」
「!?」
どこで自分の個性の事を知ったのか、どこまで知っているのか一気に疑問が増えた緑谷だったが、心人の目を見て自身が何をすべきなのかすぐに理解した。
「気を付けてね竜魔くん!」
相澤を連れてその場から離れる緑谷達がある程度離れると、死柄木たちに向き合った。
「こんなに待ってくれるなんて変わってるね」
「お前一人この
死柄木が首を掻きながらそう言うと脳無と呼ばれたた
「『超速再生』の個性か」
「その通り、しかも素のパワーはオールマイト並に改造してあるし、『ショック吸収』の個性で攻撃は効かないんだ!お前みたいなガキに勝てるわけねえだろ」
「ガキはお前じゃ」
死柄木が自慢げに脳無について説明していると、中央広場に到着した虎人も説明をある程度聞いていたため、死柄木の事を馬鹿にした。
「手の内をそんな自慢げに語って、自分で墓穴を掘っておることに気付いておらぬのか?」
「虎人」
「死柄木はワシに任せろ。お前はあの脳無を頼む」
「ああ」
虎人は個性を発動させて変身して死柄木に、心人は脳無に狙いを定めた。
「別に脳無だけに集中しても良いんだぞ?」
「そんな安すぎ挑発にのる訳ないじゃろ」
虎人は死柄木の挑発を無視し、雷を放ち、心人と脳無から距離を離す。
一方心人は、剣を鞘に戻し、拳を構える。
(『ショック無効』や『反射』の類の個性ならやることは限られていたけど、『吸収』なら…)
一瞬で距離を詰め、脳無は反射的に殴りかかると、心人も個性で殴り、両者の拳がぶつかった。
(どんなに鍛え上げられた『吸収』でも許容限界はある!つまりは、根性勝負で勝てばいいだけ!!)
両者ともに防御をかなぐり捨てて殴り合いが始まり、その光景を死柄木は信じられないといった雰囲気で言った。
「あり得ない…脳無はオールマイト並の力に改造されてんだぞ…それなのにあのガキ、何で平然と脳無と渡り合える?」
「そのオールマイト並の力に脳無が改造してあるからじゃ」
炎を吐き、心人に近づけまいと距離を離し続ける虎人。死柄木の意識が自分に向かうように挑発も混ぜながら戦っていた。
「ワシらのクソ師匠の最大火力は、お前たちが殺したがっておるオールマイト
「くっ!」
「行かせるかよ阿呆!!」
心人に向かおうとする死柄木を、虎人は雷で足止めをする。
広場に到着する直前、緑谷達と偶然会い、そこで死柄木たちの個性を緑谷の話から、雄英バリアーを破ったのが死柄木であると判明し、遠距離攻撃が多い虎人にとって死柄木の天敵なのは理解していた。そしてその事実に慢心せず、常に一定の距離を保ちつつ、死柄木の足止めに専念していた。
一方で脳無と殴り合っていた心人は、少しずつ苛立ちを覚え始めていた。
(こんなのでオールマイトを殺そうなんて…そもそもなんでオールマイトは来てない?あの人が最初からいれば、こんな事態にはならなかったんだ)
脳無の拳が肩に直撃するが、心人は苛立ちでその痛みを感じていていなかった。
(あの人はいつもそうだ。テレビなんかで見ていつも思ったことは、『こんなのに相手をする必要があったのか?』っていう疑問だよ。他にも対応していたヒーローはいたはずだ)
脳無の攻撃を一撃受ける事と引き換えに、心人は数発殴り返す。
(炎司さんは、対応しているヒーローの能力を把握して、任せられるなら任せてる。なのにオールマイトはそれをしている様子が見えない目立ちたがり屋だ!!)
時間が経つにつれ、心人の殴るスピードは増していき、次第に脳無の拳が少なっていく。
(あんなのがナンバー1ってどういう事?最近のヒーローなんかオールマイト頼りな空気を感じて呆れるよ!)
殴るスピードが最高速度までに達し、脳無の拳も遂には出なくなっていった。
(本当のヒーローはオールマイトみたいじゃなくて炎司さんみたいな人が相応しいに決まってる!!)
脳無の巨体が、地から浮かんでいき、心人はその真下から殴り続ける。
「噓だろ…」
「さっさと吹き飛ばせ!!」
虎人の一喝と同時に、心人は個性を最大出力で解放させ、それと同時に拳に激しい炎が燃え上がった。
(心人は、修業時代メラ系とヒャド系の呪文の稽古を毎日しておった。その結果、あのクソ師匠でさも脅威と認識するほどのモノへとなった。なんせ無詠唱で体のどこからでも発動できるようにしたのじゃからのう)
(紋章の力にメラゾーマの火力を乗せた修業で編み出した必殺技!)
赫灼竜拳・ドラゴフィストバーン!!
全ての力を乗せた拳が脳無の体を貫き、竜を思わせる炎が脳無を飲み込みドームに大穴を開けて吹き飛ばした。
「あんなヤツにここまでやられるなんて、俺もまだまだ修行が足りないな」
怒りが収まった事もあり、脳無にやられた全身からの痛みを今頃になって感じながらも平然を装い、笑いながら言う心人。
それを見ていた死柄木は苛立ちをさらに露骨にあらわした。
「ふざけんなよ!対平和の象徴に改造されてんだぞ!それがあんなガキにやられるとかクソだわ!!」
今までも首を掻いてはいたが、苛立ちも相まって出血してしまうのではと思ってしまう程激しく掻いていた。
状況では、死柄木が完全に追い詰められているように見えるが、虎人には余裕が全くなかった。
(あの馬鹿、脳無との戦いでもう立ってることも奇跡という程の体の筈じゃ。個性はおろか呪文も使えず、虫一匹どうすることもできない状態の竜魔を守りつつ、死柄木を抑えて戦うとはキツイのう)
「どうした?脳無ってヤツがいないと何もできないのか?」
(心人のハッタリはそう長くは続かんじゃろう…もし向こうが突っ込んできたら逃げるか…)
心人は死柄木の動きを封じるために強がるが、虎人は最悪の展開になった時のために逃げる準備を気づかれないようにする。
そんな状況で黒霧はやってきた。
「死柄木
「黒霧!今更何しに来た?」
「13号を行動不能にしましたが、生徒を1名逃してしまいました」
「はっ?‥‥‥黒霧‥‥‥お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ!」
「落ち着いてください。脳無を倒したあの紋章の少年、あれ程の力があるのにあなたに仕掛けてこないのは、脳無とのダメージで仕掛けることが出来ないからです」
「…つまり?」
「あの獣の少年は、紋章の少年を守らなければならない。つまり実質2対1なのです。私とあなたで紋章の少年の命を奪えば…」
「平和の象徴としての矜持を少しはへし折ることができるか…」
(マズい!)
黒霧が現れ、死柄木に助言と提案をすることで落ち着きを取り戻し、虎人は次の死柄木の動きを予測して先に行動に出たが、
「そう来ると思っていましたよ!」
それを読んでいた黒霧が、虎人の目の前に個性で移動し、ワープゲートを虎人の前に展開していた。
(しまった…!)
「何より脳無の敵!!」
虎人は自身の行動の失敗に悪態を心の中でつき、死柄木は真っすぐ心人に突っ込んでいく。この場にいる誰もが心人の死が頭に過り、死柄木の五指が心人に触れようとした時、横から氷が心人と死柄木の間を遮りるように展開されてきた。
「チッ!!」
「死柄木弔!」
咄嗟に後ろに下がる死柄木だったが、これには死柄木も無傷では済まず伸ばした腕も氷で凍っていた。黒霧も死柄木の身の安全を優先させ、虎人の前に展開していたワープゲートを解除し、死柄木の傍に移動した。
「あの氷は!」
虎人は発生してきた方向を見ると、そこには右足から氷を展開させていた焦凍がおり、左の炎もいつでも出せる準備は出来ていた。
「心人は、私が守る!」
「しょ…焦凍…」
焦凍の姿を見て安心したのか、心人は意識を失い倒れそうになる直前虎人が髪の毛で優しく受け止めた。
「無茶をしおって…」
「虎ちゃーん!」
「透!無事じゃったか!」
「焦凍ちゃんと同じところに飛ばされてたの!」
「そうか…じゃあ透ワシの髪の毛の先を掴んでくれ、コイツ寝かして運ぶ!」
「えっ?でも焦凍ちゃんは?」
「大丈夫じゃ。そろそろ…」
虎人がUSJの入り口のある通路に視線を向けると、扉が破壊され、煙が上がっていた。そしてその煙の中から現れたのは、
「もう大丈夫、私が来た!」
いつもの笑顔ではなく、怒りが露わとなり、死柄木たちの狙いでもあるオールマイトであった。
「…ゲームオーバーか…」
死柄木の言葉を合図に黒霧が死柄木を包み込み、逃走を図る。
「今回は失敗したが、次はオールマイトよりも先にお前達を殺す!紋章のガキと獣のガキ!!」
黒霧によって完全に包まれた死柄木と、死柄木を包んだ黒霧はその場から消えた。
こうして、USJ襲撃事件は幕を閉じた。
相澤と13号は重傷を負っていたが、心人はそれ以上の重傷であり、すぐに病院に搬送され手術が行っていた。
手術室の向かい側にある椅子に、無茶を言って同行した焦凍が不安と戦いながら待ってた。
『焦凍!!』
「…お母さん…燈矢兄…姉さん…夏兄…」
家族がやってきた事で焦凍は押さえていた涙が溢れ出した。
冷はそんな焦凍をなんとか落ち着かせようと抱きしめて頭を撫でる。
「心人が…心人が…」
「きっと大丈夫よ焦凍。だって
「‥‥‥うん」
「燈矢兄、お父さんは?」
「さっきオールマイトと会って二人で話してる」
母親のおかげで少しは落ち着いた焦凍。それと同時に手術中の点灯の明かりが消えた。
その頃、オールマイトと炎司は病院の屋上で向かい合っていた。
オールマイトは申し訳なそうにし、炎司はいつも以上に険しい表情だった。
「すまない。私がいればあんな事には…」
「…貴様、
「っ!」
「『何でも自分一人でやろうとすれば、自分がやらねばならない時に誰かがその尻拭いをすることになる』と、貴様の行動が今回の結果に繋がったのだ!」
「‥‥‥」
炎司の言葉にオールマイトは何も言えなかった。殉職したヒーローの言葉通りの事態になった現実と父親としての言葉の重みがオールマイトの口を開けないようにしたからだ。
「教師に集中するのか、ヒーローに集中するのか…さっさと決めろ。半端な集中は、碌な結果にならんからな」
炎司はオールマイトに言いたいだけ言うとそのまま屋上から去っていった。
そして、心人が眠っている病室に入ると、心電図が規則的な音がし、深く眠っている心人。その心人の手を焦凍は握っており、妻や他の子どもたちはそんな二人を見ていた。
「容体は?」
「鍛えられていたことと、個性故なのか回復力が優れていたから命に別状はないみたい。だけど目覚めるのは明日になるってお医者さんが…」
「そうか…病院に頼んで泊まり込みにしてもらえるようにしてくる」
「俺も行く。親父ってそういうの苦手だろ?」
「…すまんな燈矢」
「気にすんなよ」
「冬美、夏雄飲み物買いに行くから付き合って」
「「(うん/わかった)」」
病室から家族が出ていき、焦凍は握っていた手を顔に近づけた。
「…起きて心人」
医者からも大丈夫と言われていても焦凍は、一秒でも早く心人が目覚めることを涙を流しながら願った。
敗北した死柄木たちはとあるビルのバーの中に現れ、死柄木は傍にあった椅子を蹴飛ばした。
「クソっ!脳無を倒す程強いガキに!腹が立つガキ!手下どもも瞬殺だ。平和の象徴が出る前に脳無がやられた話が違うぞ先生!」
『違わないよ。ただ見通しが甘かったね』
『うむ、なめすぎたな。
『回収してないのかい?』
死柄木が先生と呼んだ男はテレビの画面に『SOUND ONLY』と表示され、顔は見えないが声だけが聞こえていた。
そして、先生の他にもう一人おり、その者から脳無がどうなったのか聞かれ、黒霧が答えた。
「吹き飛ばされました」
『何!?』
「正確な位置座標を把握で出来なければ、いくらワープとはいえ捜せないのです。そのような時間を取れない程油断できない少年もおりました」
『馬鹿な!?子供にそれ程の力が!?』
「アイツら、オールマイト以上の力のヤツに鍛えられたって言ってたぞ。そんなヤツがいるのか?」
『‥‥‥なるほど、そういう事か。どうやら今回は運もなかったようだ』
先生と言われた男は、原因が分かると少し嬉しそうにそう言った。
「先生?」
『悔やんでも仕方ない。今回だって、決して無駄ではなかったはずだ。精鋭を集めようじっくり時間をかけて。我々は自由に動けないだから、君のようなシンボルが必要なんだ。死柄木弔、次こそ君という恐怖を世に知らしめろ』
悪意はまだ、完全には潰えてなどおらず、より強く強大になりつつあった。
校長室で根津は、今回の一件に深く苛立ちと後悔をしていた。
理由は、守るはずの生徒に戦わせてしまった事も当然ある。しかしそれ以上に
そしてスマホを取り出し、友に連絡をする。
3コール程でその友に繋がった。
『よう根津なんだ?』
「ニュース見たかい?」
『ああ大変だったな』
「すまない。君の弟子を…」
『気にすんな!アイツらはトシ程度の実力でくたばるような鍛え方はしてねえよ!!」
「だけど…」
『俺に対して何か詫びをしたいなら、体育祭生配信はしっかりと放送してくれ!!』
「…わかった。最新技術のテレビカメラで送るよ」
『良いね!最高だ!じゃあな!!』
通話を終えた根津は、スマホを机に置き、窓越しで外の景色を見ていた。
「…より堅牢なものにしなくてはならないようだね」
根津はそういって、今後の事を個性で考えていった。