続けられるよう頑張ります
そしてこの回は主人公の独白の形で進むため会話が一切ありません。
次回からしっかりキャラの掛け合いも入ってきます。
目覚め、そして独白。
その日、俺は生まれ直した。
名前はケント、それがこの世界で与えられた名前だ。
髪は茶髪に同じく茶色の瞳。身体つきは少なくともサトシくんくらいには引き締まっている。
生前……いや、転生前か。
うつ病を患い引きこもっていたがそれではダメだと一念発起してアルバイトの面接に行き、そこで車に轢かれて死んだんだろう。
気が付けば、身体は6歳に。
この身体のそれまでの記憶と、共に。
ポケットモンスターの世界は羨ましかった。
ポケモンがいれば、何でも出来る。
どこにでも進んでいける。
不条理な上司もない、パワハラもない。
そんな、眩しい世界に憧れていた。
ポケモンの世界に転生したのは、その願望のせいかもしれない。
意識が覚醒し、しばらく何もなく過ごしていた。
気付いたのは、ゲームのポケモン世界ではなくマサラタウンのサトシが生きている世界だということ。
マサラタウンのサトシ。
アニメにおいてカントー地方マサラタウンの出身であり、26年間主役としてお茶の間のチビッコたちを元気付けてくれた人物。
戦績はポケモンリーグだけでもセキエイ大会ベスト16、ジョウトリーグベスト8、ホウエンリーグベスト8、シンオウリーグベスト4、イッシュリーグベスト8、カロスリーグ準優勝、そしてアローラリーグ優勝・初代チャンピオン。
他にもオレンジリーグ名誉トレーナー、カントーバトルフロンティア全制覇及びフロンティアブレーン内定。
そして最後は歴代チャンピオンが集ったポケモンワールドチャンピオンシップスのマスターズトーナメントにて優勝し、世界チャンピオンとなってその姿をテレビから消してしまった。
そんなサトシくんに憧れは確かにあった。
けしてエリート街道を進んだわけではない。
むしろシゲルを始めとした他のマサラタウン出身トレーナーより劣っているところからスタートして努力と根性だけで成り上がっていった。
俺は、そんなサトシくんとライバルになれる立ち位置に転生していたらしい。
サトシくんとシゲルと同じ歳でマサラタウン出身。
意識が覚醒したのは、サトシくんが寝坊したあのサマースクールに参加した時。
あの時にミュウに触れたことで意識が覚醒したのだ。
ミュウもコラッタに変身していたので当時は気づかなかった。
当時の記憶でわかるのは『コラッタに触れた瞬間、いきなりコラッタが光り輝いて一気に転生前の記憶が流れ込み気絶してしまったこと』だけである。
状況証拠しかないが無論コラッタはフラッシュなぞ使えないしそこらのコラッタにそんな力はない。
だが、このサマースクールでゴウくんがミュウに出会った話を覚えていたのできっとミュウが記憶を呼び起こしたのだと推理した。
ミュウは幻のポケモン、そしてあのミュウツーの実質的な親なのである。
それぐらいの不思議な力があっても不思議なことではない。
意識を取り戻してから3年。
俺はひたすら訓練をした。
当たり前だが身体は6歳だったのだ。
成人男性の感覚で動けば身体は着いてこず、最初は歩くことすら出来なかった。
必死に努力をした。
生前以上に頑張った自負がある。
その甲斐あって9歳の時には外でサトシくんと遊びに行ったりシゲルとオーキド博士の手伝いをしたりするくらいにまでなった。
そしてもう1人語らねばならない人がいる。
髪は緑で蒼の瞳、そしてムウマとトモダチになった女の子。
名前はニノ。
ムウマとはオーキド研究所に迷い込んできたのがきっかけで出会い、俺のトモダチのカラカラが傷の手当てをしていたのを俺が見つけたのが出会いだった。
その時俺はニノにムウマを任せて博士を呼びに行ったんだったな。
博士は「こりゃムウマではないか!」と大層驚いていたな。
それでカラカラと一緒にムウマの看病をしていたところを見て気になったので博士がいなくなってから聞いてみた。
「ゲンガーの種族値は?」
「60.65.130.75.110」
「サトシくんのヒトカゲを捨てたトレーナーの声優は?」
「緑川光」
このやり取りで確信した。
ニノも俺と同じ転生者だと。
覚醒したのもサマースクールの時だと。
最近になって遊ぶようになったのも動けるようになるのに時間がかかったからということも。
それ以来たまにニノと遊ぶようになった。
ニノも同じ歳で転生者。
マサラタウンを出て旅に出るのだから情報は擦り合わせるに限る。
それからカラカラとムウマの世話もした。
旅立ちの日までは博士に預かって貰っている。
カラカラとの出会いは……そのうち話すことにする。
そして俺は旅立ちの日まで過ごしていたのだった。
それから月日が流れ、遂に10歳になった。
10歳になったマサラタウンの子供はオーキド博士からポケモン図鑑と御三家ポケモンの誰かを貰い旅に出るのだ。
とりあえずサトシくんのためにも寝坊はしないよう気をつけねば。
サトシくんが間に合ってしまえばピカ様との出会いもない。
サトシくんにはピカ様が必要なのだから。
そして旅立ちの日。
オーキド研究所に来たのはシゲルと俺と、ニノ。
サトシくんはやはり寝坊していた。
「好きなポケモンをやろう、1匹な。」
シゲルはやはりゼニガメを選んだ。
シゲルといえばやはりカメックスだからな。
「ニノ、じゃんけんだ。勝ったら好きなポケモン選んでいいぞ。」
「なら、負けないよ!」
じゃんけんの結果は、俺の勝ちだ。
容赦なくモンスターボールを手にした。
「……来い、ヒトカゲ!最強のリザードンを目指すぞ!」
ヒトカゲのモンスターボールだ。
そしてシゲルが外に出た時に博士が更に2つのモンスターボールを出してきた。
「それと待たせたな。ケントにはカラカラ、ニノにはムウマのモンスターボールじゃ。」
博士からそれぞれモンスターボールを受け取る。
シゲルが退室したということはもうすぐサトシくんがやってくる。
「博士、失礼します。」
俺はそう言って研究所から出た。
俺の旅は、こうして始まった。
サトシとシゲルの喧嘩とシゲルを乗せた車が発進する音を背中に、俺は1番道路へと歩いていったのだった。
色々駆け足で語ったが、これが俺の旅立ちだ。
これは、俺が最強のリザードン使いになるための『物語』だ。
ヒトカゲ、カラカラ。
俺の最初の仲間たちと、最初の一歩を踏み出したのだった。
次回から描写増えていきます。
久しぶりに書くと描写する力がなくなっていて泣ける。