8000年過ぎた頃からもっと恋しくなった……? 作:グラナデンロップイヤー
一五回目。
「いえいえ、赤ん坊の泣き声が聴こえたんで……むしろ、俺の方から、良ければお渡ししたいものがありまして……実家から早く相手を見つけて結婚しろってうるさくて、昨日荷物が届いたんですが、ベビー用品とかが沢山来ちゃいまして困ってたんです」
そう言ってベビー用品とスマコンを渡す。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も、深呼吸した。
二十回目。
「いえいえ、赤ん坊の泣き声が聴こえたんで……むしろ、俺の方から、良ければお渡ししたいものがありまして……実家から早く相手を見つけて結婚しろってうるさくて、昨日荷物が届いたんですが、ベビー用品とかが沢山来ちゃいまして困ってたんです」
そう言ってベビー用品とスマコンを渡す。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も、深呼吸した。
三十回目。
「いえいえ、赤ん坊の泣き声が聴こえたんで……むしろ、俺の方から、良ければお渡ししたいものがありまして……実家から早く相手を見つけて結婚しろってうるさくて、昨日荷物が届いたんですが、ベビー用品とかが沢山来ちゃいまして困ってたんです」
そう言ってベビー用品とスマコンを渡す。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も……深呼吸した。
五十回目。
「いえいえ、赤ん坊の泣き声が聴こえたんで……むしろ、俺の方から、良ければお渡ししたいものがありまして……実家から早く相手を見つけて結婚しろってうるさくて、昨日荷物が届いたんですが、ベビー用品とかが沢山来ちゃいまして困ってたんです」
そう言ってベビー用品とスマコンを渡す。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も……深呼吸した。
心臓が微かに痛んだのは絶対に、気のせいだ。
百回目。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
「えっ……あ、ちょっ」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も……深呼吸した。
心臓が微かに痛んだのは絶対に、気のせいだ。
百五十回目。
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
「えっ……あ、ちょっ」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も……深呼吸した。
心臓が痛んだのは絶対に、気のせいだ。
二百回目。
「え?」
「申し訳ないですが、ここにあるのは本当にいらなくて……返品不可でお願いします! では!」
「えっ……あ、ちょっ」
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
「あ、ちょ、ちょっと引っ張らないでってば」
「欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!」
「いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの」
「いーからいーから~」
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も、何度も……深呼吸した。
心臓が痛いのは絶対に、気のせいだ。
二二五回目。
――え?
――えっ……あ、ちょっ。
そう言って部屋に戻った。
そして八月に入り。
――あ、あの、隣に住んでいる者です。この度引っ越すこととなったので……以前子供用品をいただいた分を、お返しさせていただきます。
――あ、ちょ、ちょっと引っ張らないでってば。
――欲しいっていう人にはあげてもいいけど、いらないっていう人にはあげる方が迷惑だも~ん。だったら望み通りかぐや達のために使うのが一番だよね!
――いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの。
――いーからいーから~。
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も、何度も……深呼吸した。
心臓が痛いのは、気のせいだ。
二五〇回目。
――す、すみませんっ、うるさかったですよね? 今、静かになりましたんで……えっ?
――え?
――えっ……あ、ちょっ。
八月。
――あ、あの、隣に住んでいる者です。この度引っ越すこととなったので……以前子供用品をいただいた分を、お返しさせていただきます。
――あ、ちょ、ちょっと引っ張らないでってば。
――いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの。
――いーからいーから~。
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
落ち着くまで何度も、何度も……深呼吸した。
心臓が痛いのは……気のせいだ。
頭が痛いのは、気のせいだ。
二七五回目。
――す、すみませんっ、うるさかったですよね? 今、静かになりましたんで……えっ?
――え?
――えっ……あ、ちょっ。
八月。
――あ、あの、隣に住んでいる者です。この度引っ越すこととなったので……以前子供用品をいただいた分を、お返しさせていただきます。
――でも、いただいた分はせめてお支払いさせてください。
――ダメ! これは返すお金だって言ったでしょ?
――あ、ちょ、ちょっと引っ張らないでってば。
――いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの。
その声を最後に扉を閉めた。
一人となった空間で深呼吸する。
心臓が……痛い。
頭が……痛い。
三百回目。
――ッ、やばっ、やっぱうるさかったか。
――す、すみませんっ、うるさかったですよね? 今、静かになりましたんで……えっ?
――え?
――えっ……あ、ちょっ。
――あ、あの、隣に住んでいる者です。この度引っ越すこととなったので……以前子供用品をいただいた分を、お返しさせていただきます。
――でも、いただいた分はせめてお支払いさせてください。
――で、でも……。
――いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの。
心臓が、痛い。
頭が、痛い。
思考が、まとまらない。
余計な感情が、溢れてくる。
まるで心にできた大きな棘が壁に罅を入れた様に、壁を突き破った様に。
余計な思考が、入り乱れる。
まるでオレの行動が正しくないみたいに、間違ってるみたいに。
まるで解答みたいに、感情と思考が入り乱れる。
ノイズのように、脳内に映像が浮かび上がる。
――ッ、やばっ、やっぱうるさかったか。
ドアの向こうから聴こえる……いろはの疲れ切った声。
――す、すみませんっ、うるさかったですよね? 今、静かになりましたんで……えっ?
オレに恐縮しきった謝罪をする……いろはの姿。
――あ、あの、隣に住んでいる者です。この度引っ越すこととなったので……以前子供用品をいただいた分を、お返しさせていただきます。
赤の他人であるオレにそう言って恐縮しきった……いろはの顔。
――いや、ま、待って、これは常識としてやらなきゃいけないことなの。
赤の他人であるオレのせいでかぐやに反対する……いろはの表情。
ノイズとして走るその映像を見る度に、割れる様に頭が痛くなった。
ノイズとして走るその映像を見る度に、握りつぶされる様に心臓が痛くなった。
ノイズとして走るその映像を見る度に、俺を責める様に思考が入り乱れた。
ノイズとして走るその映像を見る度に、俺を責める感情が溢れ出した。
そうか。
いろはが笑わないのは――俺のせいだったんだ。