黄金の焔旗   作:青瑠璃

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君が忘れた陽だまり

 

ーエリジウム三人称視点ー

 

「それでさ、今日の任務で向かう場所は、僕も前に行ったことがあるところで……ソーンズ、聞いてる?」

 ある日、ロドスの任務で移動中、エリジウムはいつものようにソーンズとお喋りをしていた。

 ソーンズがあまりこっちの話に取り合わないのは知ってはいたが、任務に向かっている途中でも何かの紙をずっと見つめているものだから、エリジウムはとうとう問い掛けた。

「ああ」

 しかしソーンズから返ってきたのはそれだけで、エリジウムの話を聞いているのかいないのか分からない。エリジウムは、仕方なくソーンズの手元にある紙を覗き込むことにした。

「今日は何を見ているの? 自分の実験結果? それともどこかの論文?」

 とエリジウムはソーンズの紙をよく見て酷く驚いた。

「え、ソーンズ……それって、造影検査の結果表……?」エリジウムは造影検査結果の表とソーンズの顔を交互に見た。「え、ソーンズ、まさか鉱石病に……?」

「これは俺の検査結果ではない」と言いながら、ソーンズは誰かの検査結果をエリジウムに差し出した。「見てみろ、これ。フォックステイルの検査結果だ」

「え、フォックステイルくんの? なんでソーンズが持ってるの?」

 訳が分からない、と思いながらも、とりあえずソーンズに押し付けられた検査結果を受け取るエリジウム。ソーンズは涼しい顔で淡々と話し続けた。

「パスクアラからコピーを貰った。アイツには売って置いた恩があるからな」

「パスクアラ……? あー、あのオデコちゃんのこと?」

 とはいえ、この時のエリジウムは、フォックステイルとローズソルトのやり取りを知らないので、なぜあの子がフォックステイルの検査をしたんだ? と全く理解が追いついていなかった。

「で、そのオデコちゃんが検査したフォックステイルくんの造影検査がこれ……って何これ?」

 エリジウムは、フォックステイルの検査結果を見てまたまたギョッとした。

「ああ、人の姿をしていないんだ」

 ソーンズはほとんど変わらない表情で事実だけ述べる。

「これって……いやいやいや、まさか!」

 ハハッと笑ってみせたが、エリジウムは自分が上手く笑えたか自信がなかった。

 そりゃあフォックステイルの正体は焔尾獣って知ってたけどさ……。

 エリジウムは自分の手にしている、フォックステイルの検査結果をもう一度見つめる。

 そこには、本来なら鉱石病の兆しがあるかどうか映るものが、ノイズだらけだったのだ。そのノイズの中に、ぼんやりとした炎のようなものが映っている。

(大丈夫かな……今から僕たち、テンニンカとフォックステイルくんのいる作戦に合流するんだよね……?)

 ロドスの任務用の自動車が、無情にも目的地に近づいていた──。

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