黄金の焔旗   作:青瑠璃

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君が忘れた陽だまり

 

ーエリジウム三人称視点ー

 

「それで、テンニンカの後ろにあの子がいるって訳?」

 エリジウムは、テンニンカの後ろを歩くフォックステイルを遠巻きで眺めていた。

 丁寧な口調で少し世間知らずなヴァルポの彼の噂は、ロドス中であっという間に広がったのである。

 まだ実戦にも行っていないのになぜそこまで有名になったかというと……フォックステイルは、常にあの天真爛漫なテンニンカの後ろをついて歩いていたからだ。

 ロドスはすれ違う人の名前すら知らないってくらい人が多いというのに、テンニンカは違う。どの戦場でも皆の資源を守り、または円滑な物流を作り出し、オペレーターたちの戦いの士気を高めるテンニンカは、どの任務でも引っ張りだこだったのだ。つまり、テンニンカはロドスの中では有名人。その有名人とついて回るフォックステイルは、皆の注目の的だった。

「いい? フォックスちゃん、ここで一番大事なのは食堂なの!」テンニンカは後ろについて歩くフォックステイルに向かって話し出す。「食堂はロドスの任務の次に大変な戦いの場所! ゆーっくり、慎重に入るんだからね!」

「はい、大将軍様!」

 しかしフォックステイルは、テンニンカの二倍の背丈はある青年。テンニンカはキッチンの下で隠れているが、フォックステイルは思い切り頭が突き出ている。

「おや、こんにちは。新入りですか?」

 キッチンの守り神ともいえるマッターホルンがフォックステイルに声を掛ける。えぇっと……と困惑しているフォックステイルの足元で、テンニンカはするりとキッチンに入って行ったのをエリジウムは高みの見物で楽しんでいた。

「ねぇねぇソーンズ、あの二人、なんだか楽しそうじゃない?」

 エリジウムは向かいの席で、今度は端末と睨み合っているソーンズに話し掛けた。今回もまた、よく分からない口実でソーンズを食堂に連れ出したエリジウムだったが、そんなことは全く気にせず、キッチンの前でオロオロしている新人をもう一度眺めた。

 その新人が、マッターホルンと握手を始めた。なるほど、初対面の挨拶としては丁寧で……普通過ぎる。

 やっぱり面白いことなんてなかったなぁなんて思った矢先、エリジウムの視点からではハッキリと見えるテンニンカが、何かが入った紙袋を持ってキッチンから出てきたのを見逃さなかった。

「へぇ、あの二人、やっぱり面白いよ。ソーンズ、ちょっとついて行こう!」

「おい、引っ張るな、エリジウム……」

 エリジウムはソーンズの肩をかなり強めに引きながら、テンニンカたちの後をついて行ったのである。

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