ーフォックステイル三人称視点ー
昔、フォックステイルは太陽より眩しい人に出会っていた。
「あ、綺麗な動物さん! へぇ〜……地上の生き物って、こんなにモフモフしているんだ!」
焔尾獣としてナワバリ争いに負けたフォックステイルは、群れから離れたところで崖に転落、足を怪我していた。
そこに、人間の大人にしては小さい女の子が、フォックステイルを物珍しげに眺めていた。
「フーッ……!」
フォックステイルは威嚇したが、怪我をしていて動けなかった。フォックステイルは悟った。きっと、自分の命はここまでなのだろうと。
「怖がってるの? 大丈夫だからね」
けれども彼女は、フォックステイルの威嚇を怖がることもなく。フォックステイルの頭を撫でると、彼女はニッコリと笑うのである。その手は、フォックステイルが思っていた以上に、優しかった。
「あたしもね、地下から出てきたばかりだから、ひとりぼっちの気持ちは分かるよ。でも地下には、あたしの家族や子分たちがいるからね、寂しくはないよ? ……キミにもどこかには家族がいるでしょう? だから大丈夫だよ!」
と楽しげに話す彼女の言葉を、当時のフォックステイルはほとんど何を言っているかは分からなかったが、ひとりぼっちという言葉がどういう意味なのか、なんとなく分かる気がした。
「クゥン……」
フォックステイルは、彼女の言葉をなんとなく察して返事をした。フォックステイルには、家族からも、群れからも見放されていたから、これが「寂しい」ってことなんだと、のちのフォックステイルは感情を理解する。
彼女もこの感情を汲み取ってくれたのか、目を大きく見開いた。
「え、キミも一人なの? じゃああたしとおんなじだね!」ふふっと笑う彼女の笑顔が眩しかったのを、フォックステイルは今も覚えている。「一緒に旅でもする? あ、まずはその怪我を治さなきゃだね? うーん、この辺りの植物って奴はよくわかんないけど……これを巻いたら少しはよくなるよ!」
そうして彼女は、怪我をしているフォックステイルの足に大きな葉っぱを巻き、つる性の植物で結ぶ。ロドスの医療オペレーターがやる包帯の巻き方よりはかなり雑だったが、フォックステイルにとっては大切な温もりだったのだ。
「クゥ……?」
フォックステイルは彼女を見つめる。彼女はまたニコリと笑った。
「あ、あたしの名前? テンニンカだよ! ドゥリンのテンニンカ! よろしくね!」
それが、フォックステイルとテンニンカの出会いだったのだ。