転移者たちの代理戦争   作:蕎麦味噌オンザライス

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初めに他の召喚成功者を書き連ねてますが、飛ばしてしまっても大丈夫だと思います。……たぶん!


08.結成に向けて

 

 

 まず天ヶ崎(元)先生こと天ヶ崎竜馬さんと、相方の厳格そうなイケメン天使ラージ。

 天ヶ崎先生は後方支援タイプで、ラージさんは剣を扱う他、光魔法と神聖魔法が得意。

 

 次に柏崎空さんと、緑と白の毛並みの犬・コマ。

 柏崎さんは棍を使った前衛タイプで、コマさんは直接戦闘と風魔術を使えるほか、風と同化する能力を持っている。

 

 その次は真田明人くんと牙が赤熱化せいてイノシシのゲン。

 真田くんは槍も魔術も使える万能タイプで、ゲンさんは完全な前衛タイプであり、魔術は使えないものの炎を纏うことができるらしい。

 

 次に書いたのは穴沢美紀さんと、目の青い白兎のミミ。

 穴沢さんは魔銃を使う後衛タイプで、ミミさんは水魔術が使える他、同期すれば水の中でも呼吸することができるようになるんだとか。

 

 次はしぶしぶと言った様子で書いていた東条一樹くんと、がたいの良い闘牛のベガ。

 東条くんは魔術も使えるけど前衛タイプで、ベガさんは雷を纏える他、周囲に放電する能力がある。系統的には真田くんのゲンと同じタイプだろう。

 

 権田原義人くん、相方の優しげなイケメン悪魔・ベルは召喚術のクラスが一緒だった人だ。

 権田原くんは魔銃と剣を使った前衛タイプで、ベルさんは闇魔術と呪術を使えるが、槍を使った前衛の方が得意なんだとか。

 

 その次が波多野秀くん。相方は宙を泳いでるけど人魚のセーレ。

 波多野くんは前衛タイプで、セーレさんは水魔術の他に神聖魔法が使える。一応宙を泳いでるけどそれは彼女が精霊に近い存在らしく、ミミと同じように同期すれば水中で呼吸もできる様になる。

 

 次に書いたのは沢木莉奈さんと、その相方の黄色の鳥・ライチ。

 沢木さん本人は薙刀を使った前衛タイプで、ライチさんは雷を纏っての攻撃や、雷魔術を使った援護もできる万能タイプ。体が小さいため人を乗せることはできないが、その代わり機敏性に優れているとのこと。

 

 次は皆川さくらさんと、尻尾が赤い狐のほたる。

 皆川さんは魔術による後衛・支援タイプで、ほたるさんは火の魔術を使った後衛が得意なほか、幻術も使えるんだとか。

 

 その次は弓場鏡花さんと相方の下半身がクモの女性、モナ。

 弓場さんは弓と魔術による後衛タイプで、モナは幾つかの支援魔術が使えるものの、生成する糸でトラップを仕掛けるのが得意らしい。

 

 次は星野傑くんと、相方の青白い光の塊・ヘレナ。

 星野くんは魔銃と魔術を使う後衛タイプで、ヘレナさんは身体が無いので直接戦闘はできないけど、光魔術と神聖魔術を使う他、幻術も使えるらしい。

 

 そしてその次は江守拓真くん。相方はでかい亀のタロウ。

 江守くんはトンファーのような魔銃で牽制して格闘戦を挑む近接特化タイプで、相方のタロウさんは水魔術と土魔術による援護や回復のような支援を行わせるようにするんだとか。

 

 次に佐々木隼大くんと、ダチョウのウエシマ。

 佐々木くんは魔銃だけを扱う後衛タイプで、ウエシマさんは魔術は使えないものの、驚異的な速度で走ることができる上に、空中を走る能力があるんだとか。

 

 次に書いた萩原颯太くんの相方は、雲を纏った馬のハヤテ。

 萩原くんは剣と魔術を使う万能タイプで、ハヤテさんは空を駆けられる他、風魔術を使って援護や支援を行うことができる。

 

 次の人は大貫銀仁朗と、その相方のクマ・キンタロウ。

 大貫くんはその体格からは見当もつかない程の魔術師でもあり、日本にいた頃から格闘術の経験者。キンタロウさんは完全なパワー型の前衛で、身体を金属で硬質化させる能力を持っている。

 

 次は天ヶ崎アリアさんと、その相方の幼女天使・エル。

 天ヶ崎アリアさんは狙撃型魔銃の使い手で、エルさんは光魔術や神聖魔法を使うものの、その幼い見た目に反して大剣による接近戦が得意。戦闘時には彼女の身体が大きく成長し、戦闘できるだけの体つきになるらしい(彼女曰くミカエルモード)。

 

 次に書いたのは、真っ赤なアルマジロのジローが相方の玉川昌幸くん。

 玉川くん本人曰くは何でもできるけど得意なものは無い器用貧乏で、ジローは火を纏った高速回転が得意だが方向転換ができず、火の魔術も補助魔法が殆どなんだとか。

 

 次の人は長谷勇介くん。相方は小人のノーシス。

 長谷くんは戦闘もできる生産職といった能力らしく、ノーシスは土魔術が得意な他、素材の特性とか色々な知識を持っているらしい。

 

 次に回ってきたのは高宮さん。

 高宮さんは風以外の5属性の魔術が使える他、剣もそれなりに使える万能タイプらしい。相方の竜・リーンは切り裂く竜巻を起こすブレスや風の魔術が使えるほか、ドラゴンとしての戦い方もできる万能タイプ。

 

 俺に回ってきたが、もちろん省略。

 

 そしてオールウェイさんと美人悪魔さんの番。

 オールウェイさんは刀を使った前衛タイプで、悪魔のエリーさんは以前に言っていた通り槍による戦闘もこなせるが、得意なのは闇魔術と呪術での援護。その他にも魔眼などによる魅了のような精神干渉も行えるが、試してはいないらしい。

 

 最後が九条佑季くんと、相方の黒猫・朔。

 九条くんは斥候のような支援タイプで、朔さんは闇魔術などを使うほか、夜には同期することで闇と同化できる能力を持っているんだとか。

 

 以上が、俺を除く21名の召喚士とその召喚獣の大まかな能力。

 

 

 

 

 

「――前衛は召喚士が7人で、召喚獣が6。後衛は召喚士が7人、召喚獣が9。支援が召喚士3人の召喚獣が3。状況によって変えられる万能な者は召喚士が5人で召喚獣は4、か」

 

 黒板に書かれたそれぞれの記述を見て、天ヶ崎元先生が言った。

 素人目で考えるなら、前衛も後衛もできる人に回って貰えば、色々な状況に対応できそうな数だと思う。

 天ヶ崎元先生も同じ考えなのか、黒板から俺たち全員を見渡すように視線を移して、それから口を開く。

 

「色々な状況に対応できるだけの数字だと思うが、どうだろう。他の部隊ではできない戦術がいろいろと考えられて、それはこの部隊の強みになる」

 

 そう言い切ってから、少し間を開けて元先生は俺たちに問いかける。

 

「部隊の結成に反対の人はいますか? 反対の意見があるのなら、是非発言して欲しい。それはきっと今後改善するべき課題になるだろうし、できるなら話し合いたいと思っている」

 

 いつの間にか、結成が前提の話し合いになっていた。

 とはいえ、彼の意見に悪い感情を抱く人は誰もおらず、ただ一人だけがバツが悪そうに手を挙げた。

 

 最初にも反対意見を言っていた男子、東条くんだ。

 

「東条くん。君の意見は変わらないのかな」

「……」

 

 沈黙の肯定。

 何が彼をそこまで頑なにしているのかわからないけど、部隊を組むことの利点は理解した上で拒否しているのだから、相当の決意なんだと思う。

 でも、天ヶ崎元先生も引かなかった。

 

「なら、私は元教師として、同じ故郷を持つ者として君に決闘を申し込む」

 

 その言葉に、俺以外の全員が驚愕し、ざわついた。

 俺だって意外に思ったし驚きたいんだけど、天珠のせいで「ふーん」としか思えないんですよ。

 冷たい人間じゃないんだ。天珠のせいなんだ。

 いざという時のため、俺が内心で言い訳の練習をしている間にも、話は進む。

 

「……なんでそうなるんすか」

「私は君を死なせたくないからですよ。私に負けるようでは、道半ばで倒れることは明らかですから」

 

 正論だ。

 東条くんもそう思ってしまったようで、反論できずにいる。

 そこに、天ヶ崎元先生は言葉を続けた。

 

「そうですね……部隊を組むことの利点も知っていただきたいですから、私は頬凪くんと組みます」

「なっ! 4対2かよ!」

「一人で戦えるというのなら証明してください。数で勝る相手にも徒党を組む必要はないと」

「ぐっ……!」

 

 またもや逃げ道を塞がれてしまった東条くんに、天ヶ崎先生は笑いかける。

 

「先ほど黒板にも書きましたが、私たちのスタイルは貴方程戦闘に秀でていません。それでも、組めば君に勝てると証明して見せましょう」

 

 ここまで言われて逃げるのなら、初めから一人で戦うとは言わなかっただろう。

 

「……やってやる。支援しかできない元教師と魔術がつかえないヘタレぐらい、ぶっ倒してやる! 俺が勝ったら二度と邪魔すんじゃねえぞ!」

「わかりました」

 

 こうして元先生と俺対東条くんの模擬戦が決定した。

 因みに俺は肯定も否定もしていない。

 だというのに、全く話に関われないまま決定してしまった。

 だからだろうか。

 

「バカですかあんたら。ご主人の意向を無視して勝手に決めて、何様ですか?」

 

 教室に響く、かわいらしい声の毒。

 ミュールさんの表情は微笑んでいるのに、目が全く笑っていないのが恐ろしいのか、オールウェイさんや高宮さんも目を瞬かせながら唖然としている。

 

(ありがとう。俺が黙っていたのが悪かったね)

(ご主人?)

「口を挿んですいません。魔術が全く使えない人間でも役に立つのかどうか、良い実験だと思いますし、俺は構いません」

 

 どうぞ話を続けてください。

 そう示すと、やや困惑しながら天ヶ崎元先生は口を開いた。

 

「他に反対意見の方はいませんか? いないのであれば、一旦採決を取りたいと思います」

「ちょっと、いいっすか」

 

 言葉を遮る様に手を挙げたのは玉川くん。

 集中する視線に一瞬たじろぎながら、彼は元先生に向けて提案した。

 

「俺、先生たちの決闘見てから決めたいんですけど……。ほら、俺って器用貧乏だし、役に立つか心配なんで……」

「なら、君が一緒に戦ってみるかい?」

「い、いや、そこはお譲りするっす」

 

 元先生は戦闘能力に劣る者なら誰でも良かったらしく、玉川くんを誘ってみるもののすげなく断られてしまった。

 まあ逆の立場なら俺も結果がどうなるか気になっていただろうし、彼の反応に対して思う所はありません。

 

 他にも興味がある人はいるようで、それを見て取った天ヶ崎先生は少し思案した後、東条くん、そして俺に視線を送ってくる。

 

「君たちが良ければ、今すぐ始めたいのですが」

「俺はいいぜ」

 

 東条くんは即答。

 俺に視線が集まってくるけど、天珠のおかげでどうということはないから、少し考えてみる。

 

 今すぐやるを拒否するとして、俺が準備できるようなものは師範の言っていた術くらい。

 でも、そんな直ぐに習得できるかどうかわからないし、付け焼刃が通用するとも思えない。

 

 だから、答えは1つだ。

 

「俺も大丈夫です」

「決まりですね」

 

 こうして、組織結成の採決は模擬戦終了時に、ということになった。

 結果が気になるのか、模擬戦を行う競技場に向かおうと全員が席を立つ。

 

 そんな中、依然教室にいる俺は、二人の美女に行く手を阻まれていた。

 

「謙虚も行き過ぎるとただの卑屈だから」

 

 と言って呆れているのは高宮さん。

 

「アオってさ、真面目すぎて絶対色んな事抱え込んで背負っちゃうタイプでしょ。そんなんじゃ、いつか潰れちゃうよ?」

 

 オールウェイさんは半眼で俺を見据えながらそう言った。

 俺はただただ彼女たちの言葉を真摯に受け止めながら、内心でガルルルルと牙を剥いているミュールさんを宥めることに終始するしかなかった。

 

「気をつけます」

 

 そう言ってなんとかその場は乗り切ったものの、教室を出ると今度は天ヶ崎さん……天ヶ崎アリアさんが俺たち三人を見て歩み寄ってきた。

 

「頬凪くん、少しいいでしょうか」

 

 探知で教室の外にいたのは分かっていたけど、俺を待っていたとは思わなかった。

 それは高宮さんたちも同じらしく、少し驚いていたものの、彼女の様子から空気を読んで先に競技場に向かってくれた。

 そんな二人を見送り、周囲に誰の影もなくなってから、天ヶ崎さんは俺に向き直り、

 

「ごめんなさい!」

 

 と頭を下げた。

 

「天ヶ崎さんに何かされた覚えは無いんだけど……」

 

 そう正直に告げると、彼女はゆっくり頭を上げて俺から視線を逸らした。

 その表情は後ろめたさだけでなく、羞恥心のような感情も混ざっているのか、少しだけ頬が赤く染まっている。

 

「その……天ヶ崎竜馬は、私の叔父なんです……ですから、先に謝ろうと思いまして……」

 

 なるほど。

 彼女にとって今回の元先生の行動は、身内の恥と言うか、謝罪するような不始末だと判断したらしい。

 

「なら謝る必要はないよ。本当にいい機会だと思ってるし、何より天ヶ崎さんには何の落ち度もないしね」

「……そう言って頂けると、助かります」

 

 少しは罪悪感が削がれたのか、柔らかく微笑む天ヶ崎さん。

 やがて何かに気付いたのか居住まいを正し、

 

「改めまして、天ヶ崎アリアと申します。それと――」

「エルでしゅ! よろしく!」

「よろしくお願いします」

 

 そう名乗り、礼儀正しく頭を下げた。

 

「頬凪藍と妖精のミュールです。よろしく」

「よろしくお願いしまーす」

 

 俺と一緒に敬称略で紹介したミュールさんも頭を下げる。

 特に固っ苦しいとか思うこともなく自然な空気で互いに自己紹介を終え、俺たちは競技場に向かった。

 

 待っていた元先生に迎えられた際、彼を見た天ヶ崎さんは表情こそそのままに、視線の温度が急降下。

 元先生は顔を引き攣らせ、逃げるようにして俺に話しかけてきた。

 

「備品の武器を選べるけど、君は何にする? 因みに東条くんは大剣で、僕は杖だ」

 

 先程よりも、若干砕けた口調。

 天ヶ崎さんに変化が無い辺り、これが素に近い状態なのかもしれない。

 

 そんなことを頭の隅で考えながら選んだのは、手の甲に鉄のプレートがあるだけの指ぬきグローブ。

 手を握ったり軽く手を振ったりしても違和感はなく、いつも通りに動けそうだ。

 

 そんな俺の様子を見て、元先生は満足そうに一度頷く。

 すぐに表情を引き締めてから、彼は改めて口を開いた。

 

「じゃあ作戦を説明しよう。申し訳ないけど、君が前衛でラージが後衛、そして僕が支援魔術でサポートする。ここまではいいかい?」

「はい」

 

 一通りの作戦の説明を受けた後、備え付けの運動着に着替えて準備は完了。

 元先生と俺は、東条くんの待つ競技場に向かった。

 

 

 

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