先日投稿した概要の通り、この作品は大人気ゲーム『ポケットモンスター』を原作とした二次創作小説です。
ポケットモンスター、縮めてポケモン。
彼らが存在する世界では、我々の世界の動物たちのように、様々な場所で、様々なポケモンたちが暮らしています。
森、海、街、空、火山、そして宇宙にも。
いたるところで生き生きと暮らすポケモンたち。
そんな世界の中には、ポケモン同士で戦い競い合うという内容の競技である『ポケモンバトル』、もしくは『ポケモン勝負』というものが存在します。(今作の世界では『ポケモンバトル』が正式名称となっています。)
この作品は、そんな『ポケモンバトル』の猛者たちが集い競い合う、『デルタ地方』というオリジナル地方を舞台にして、物語が展開されていきます。
そこには、各地方のチャンピオンたちですら苦戦するような強敵や、団結しないと止められない、災害級の黒幕が物語の要所要所で立ちはだかります。
この『ポケットモンスター 新たなる旅路』は、ひとつの地方を冒険してチャンピオンとなった少年少女にスポットライトを置き、デルタ地方という新たなる旅路での冒険による彼らの成長を描く物語です。
さぁ、説明はこんなところにしまして、みなさんも出発しましょう!
夢と冒険と!ポケットモンスターの世界へ!レッツ ゴー!
第一話 チャンピオンになったので殿堂入り後の世界を冒険しようと思います
《読者視点》
「ナッキー、インファイト!」
「ドドゲザン、ドゲザンです!」
ズシャァ!
「キキィ……。」
「ゲザァ……。」
『コノヨザル、ドドゲザン、同時に戦闘不能。』
ここはパルデア地方のパルデアの大穴付近に所在する、ポケモンリーグ屋上のバトルコート。
四天王をすべて倒すとようやく到達できる、地方最強に最も近い場所……。
その頂上で、トップチャンピオンであるオモダカと、挑戦者であるホムラという少年が、チャンピオンテストの試合を行っていた。
「残り一匹、ですね。……フフ!アハ!アハハハハ!まだ弛んではいけませんよ!」
「もちろんです!」
オモダカも、ホムラも、両者共に強者の笑顔で、全力でバトルを楽しんでいる。
「いけえっ、ほげた!」
「行きなさい、キラフロル。」
「ほっげぇ!」
「ふろろろろっ!」
「魂の輝きを、咆哮を、その胸に!テラスタル‼」
「トレーナーを導く光あれ、キラフロル!」
両ポケモンの体が発光し、テラスタルの光を纏う。
ほげたはフェアリータイプ、そしてキラフロルはいわタイプのジュエルを頭上に携え、輝く結晶を打ち破って姿を現す。
「ほう、フェアリータイプとは。まるでいわタイプにテラスタルするのを知っていたかのようですね?チャンピオンネモとの試合の時はどくテラスタルでしたので、情報は漏れていないはずですが……。」
「いえ、僕の相棒はほげたですから、それを読んでいわテラスタルにしてくるんじゃないかと考えた上でのフェアリーテラスタルです。」
あまりの洞察力に少し驚いたのか、一瞬目を見開くオモダカ。
だが、すぐに視線を真剣なものに戻し、全力で
「そうですか……。なら!ヘドロウェーブです!」
「ふろろろろろろっ!」
自身が回転することでまき散らすヘドロの量をさらに多くし、フェアリーテラスタルしたほげたにとって痛手にもなりうる一撃を放つ。
だが、ホムラもほげたも、こんな状況慣れっこだったため、即座に対応。
「ほげた、じだんだ!」
「ほげほげほげほげぇ!」
地面を連打した衝撃で、スタジアムがいくらか剥げ、その破片を足場にし……
「今だ、ジャンプ!」
「ほっげぇ!」
「な…ッ!その手がありましたか。」
オモダカがそう言う頃には、ほげたが元居た足場は毒の波に侵されていた。
そして、上空に舞い上がったほげたに、ホムラが次の指示を出す。
「テラバースト!」
「ほぉぉぉぉぉっ……げぇぇぇっ!」
「キラフロル!」
「ふろふぃいっ!」
フェアリータイプの細かい結晶の波を上空から発生させることで、キラフロルの逃げ場を無くした一手。
キラフロルは間一髪で回避し、命中はしなかった。
だが、ホムラにとっては
「今だ!上空からドロップじだんだ!」
「ほげぇぇぇぇっ!」
テラバーストを囮にし、逃げ場を無くして戸惑うキラフロルの隙を突き、上空からの落下ダメージに加えて、先ほど外したテラバーストの分よりパワーアップしたじだんだのこうかばつぐんの攻撃。4倍弱点ではないにしろ、それは大きな痛手となるのは間違いない。
よって、この状況、オモダカ側としては何としてでも回避したいものだが……。
「ッ⁉キラフロル、避け───」
「ふろ───」
ズドオオオオオンッ!
上空からの超火力じだんだは避けられず、直撃。
何とか一撃瀕死は免れるものの、キラフロルは虫の息だった。
「ほげた、そのまま決めるぞ!テラバースト!」
ほげたはキラフロルの上で空気を吸い始める。
いくら素早いキラフロルと言えども、さすがにこの状況にこのダメージはお手上げだ。
「ほぉぉぉぉぉっ、げぇぇぇぇぇっ!」
ドッシャァァァァァッ!
フェアリータイプのエネルギーの荒波に呑まれたキラフロルは、もちろん爆煙が収まるころにはダウンしていた。
「ふろ、ろろろ…ろ……っ。」
『キラフロル、戦闘不能、ホゲータの勝ち。よって勝者、チャレンジャーホムラ。』
「やったぁぁぁ!」
「……想像をゆうに超える…!」
トップチャンピオンオモダカとの勝負に勝った!
✫
《ホムラ視点》
僕はホムラ。
パルデア地方グレープアカデミーの1年生。
ここからは、僕の視点でお届けするよ。
頂点での死闘から約10日後のこと。
あの後ネモとの本気の試合をし、無事勝利。
他の友達たちとの冒険も一通り区切りを付けて、ついでのようにエリアゼロにまで潜入し、帰還したりもした。
友達の一人であるハルトは校外学習に行ったようでおらず、ほかのメンバーも普通に日々を過ごしている。
でも、僕は違った。
もっと新たな衝撃が、刺激が欲しい。
まだ見ぬ高みへ行ってみたい。
一般的に、人は常に貪欲だ。
なにかとほしいものに手を伸ばす。
それと同じ状況だった。
とは言ったものの、グレープアカデミーに在学しているため、課外授業期間中とは言え無許可で他地方に行くわけにもいかないのが正直なところだ。
お隣のカロス地方とか行ってみたいんだけどなぁ……。
なんて、思っていたとある日の夜だった。
『ロトロトロト……ロトロトロト……』
「ん?電話?誰だよこんな時間に?」
寮にいてお風呂に入ろうとしたタイミングで、スマホロトムに通話を知らせる音が耳に入った。
「校長先生から?どうしたんだろう。もしもし?」
『あっ、出ましたか。もしもし、夜分遅くにすみません。校長のクラベルです。』
「もしもし。なにか御用でしょうか?」
『はい。来れるのであればですが、なるべく早くアカデミーの校長室に来ていただけないでしょうか?』
「校長室ですか?わかりました、すぐ向かいます。」
『よろしくお願いします。』
通話を終了後、お風呂に入ろうとしていたことなんてすっかり忘れて、僕はすぐに校長室に向かった。
なんだか、冒険のにおいがした。
大きな大きな、このパルデアの冒険をも超えるほどの大きな冒険が、僕を待っている気がした。
✫
校長室のドアを数回ノックし、ドアを開ける。
「失礼します。」
「こんばんは、ホムラさん。来ていただいてうれしいです!」
「こんばんは。ところで、今日はどのような用件で?」
「とある方より、ご提案があるみたいです。」
とある方……。そして、校長先生のうれしそうな顔……。
ホムラは、あらかたその検討をつけていた……はずだったのだが。
ピコン♪
「…へぇ。」
その人物は、僕が予想だにしなかった人物だった。
『よっす。久しいな、ホムラ!』
「……よっしい⁉え゛っ⁉」
かつて旅を共にした友とも言える存在、よっしいだった。
彼は、オモダカさんを倒してパルデアチャンピオンランクの称号を手にした後、他地方への冒険をしに旅に出て行った。
その天才的なバトルセンスに、僕は幾度となく苦戦し、幾度となく参考にさせてもらった。
そして、そんな男が今日、画面の向こう側とは言え僕の目の前に姿を現したのだ。
「今どこにいるんだ?」
『ん?ああ、とある地方にいるんだ。知りたいか?』
「ああ!」
『そう……この場所こそが、俺が君に提案したい内容に大きく関連しているんだ。』
「詳しく!」
まぁまぁそう焦るなと言わんばかりに手で勢いを制すジェスチャーをし、
『落ち着け落ち着け。まず順を追って説明しよう。』
「よろしく。」
『まず、俺はいくつかの地方を旅したのは知ってるよな。』
「もちろん。」
『俺はカロス、ガラル、そしてアローラの順に旅をして、力を蓄えたんだ。その後、この地……名をデルタ地方にやって来たんだ。』
そのタイミングで、校長先生が補足を加える。
「よっしいさんは、デルタ地方で初代チャンピオンを務めているんですよ。その戦歴は、未だ無敗。元ガラルチャンピオンのダンデ氏には歴では劣りますが戦力的には圧倒的によっしいさんの方が上だとダンデ氏本人も語るほどの強さの持ち主です。」
「うわーお、なんかいつの間にかバケモンになってんじゃん?」
『で、だ。言い損ねたが、チャンピオンクラス昇格おめでとう。ということで、ホムラもデルタ地方に来ないか?』
「……なるほど、そういうことね?」
ホムラは一瞬悩んでいるような素振りを見せるが、答えなんてもう既に決まっている。
「行かせてくれ、そのデルタ地方に!」
『……そうか。オッケー、いい返事、もらった!それじゃあ飛行機の手配をするから、後日また連絡するな。よろしく!それじゃあ、切りますよ。』
プツン……
「…ということでした。ちなみにですが、ここで行ったのは、サプライズと私への確認が理由だそうです。」
「そうだったんですね。………フフフッ…!」
新たな冒険に、まだ見ぬ地方、未知の強豪トレーナーたち……。
これを想像しただけで、ホムラの口角は上がりっぱなしだった。
それを見たクラベルは、指摘するでもなく、ただただ貪欲に成長を求めるホムラを静かに応援するのであった。
✫
そして、新しくできたテーブルシティの空港より、新しい地方へ出発したホムラは、数時間程度のフライトを経て、新天地・デルタ地方にたどり着いた。
最近開通された新しいメジャー地方というのもあってか、人がかなり多かった。
そして、空港の窓口から出ると………
「よっす!久しいな、ホムラ!」
よっしいの姿があった。
昔よく見たグレープアカデミーの制服姿とは打って変わって、白いフーディー*1を着こなし、ズボンは長い黒ズボンを履いている。
「おーす、意外と寒いな、ここ?」
「そりゃ、ここはこの地方の最北端だからな?そしてなにより、今は夏の終わりだし。ほら、ガラルって夏の終わりら辺でも冷えてるだろ?」
「そうなんだ?」
「そうなんだよ。それはそうとして、だ。到着してばっかりで悪いが、今日取ってあるホテルまで歩くぞ。そしたら今日は自由行動だ。」
「了解。それじゃ、歩いてる間に世間話でもするとしようか!」
「ああ、名案だな。」
そうして僕らは、繫華街に到着するまでの十分程度、ゆっくり歩きながら世間話に花を咲かせるのであった。
✫
「さぁ、着いたぜ。ここがお前のホテルだ。」
「案内ありがとう。」
「いいんだよ。それはともかく、まずは部屋のチェックインだ。」
部屋のチェックインを済ませ、部屋に到着する。
「ふぅ。やっと一息つけるや。」
「邪魔するぜ~。」
「邪魔するなら入ってこないで?」
「辛辣でダイソウゲン。」
互いにいつもの軽口を叩きながら、部屋に入る。
「さて、と。そろそろ日課のボール磨きでもしますかね。」
「どうぞどうぞ~。」
そしておよそ10分後。
僕がボール磨きに集中していると、よっしいが横から話しかけてきた。
「おっ、それ、マスターボールじゃん。もらったのか?」
「え?ああ、これね。これ、実は僕がパルデアに引っ越してくる前から持ってたんだけど……。」
「そうだったか?」
僕が手にしていたマスターボールを見て、よっしいが反応した。
よっしいにはある程度見慣れているボールだからか、はたまた僕がチャンピオンであるために持っていてもおかしくないと思っているからか、大した反応はしないが、それでも少し意外そうにしていた。
「中には何のポケモンが入ってるんだよ?」
「秘密。」
「え~。なんだよ、伝説でも入ってんのか?それともなんだ、色違いか?」
「だから秘密だって言ってるでしょ。」
「ケチだなぁ~。」
それ以上深堀りしても無駄だと察したのか、尋問をやめて食い下がった。
「んじゃ、俺は先に下に降りてるから。こっからは好きにすればいい。明日まではこの町にいるし、スマホに連絡先があるからなんかあったら呼んでくれ。」
「ああ、わかった。色々ありがとうな。」
「おう。」
よっしいが座っていたベッドから立ち上がると、スタスタ歩いて去っていこうとし……。
扉に手をかけたところで、手を止めてこう言い放った。
「ホムラ。お前、ここのチャンピオンマッチには挑むんだろうな?」
「もちろんだ。」
「そうかい。なら、こう告げておこう……。」
少し間を空け、スゥ……と息をし、はっきりとこう告げた。
「頂上で待つよ。
そうとだけ告げると、別れの挨拶も告げずに扉を開け、静かに、ただ大きな余韻を残して去っていこうとした。
「……頂上で待つ、ね……。」
頂上、なんて、よくもまぁこんな格好つけたこと言えたもんだよ。全く……。
なら、僕も格好つけた返事しなきゃ、だね?
じゃあ、言ってやろうじゃないか。
「首洗って待ってろよ。
すると、再びよっしいは一瞬だけ手を止め、フッ、と嬉しそうな笑みをこぼし、部屋の扉を閉めて去っていった。
✫
そして数時間後、夜8時頃。
「ん~……。なかなかバトルしてくれそうな人がいないなぁ……。」
バトルをしたい衝動に駆られ繫華街に出たはいいものの、なかなか相手が見つからない。
というのも、今この時間はたいていの人は家にいるし、如何せんここはパルデアではないので、どのようにバトルを仕掛ければいいのかわからないのだ。
(よっしいに訊いておくべきだったな、これは。)
パルデアではバトルするにはバトルの申し出をするだけでいいのだが、ここでの常識がよくわかっていない以上、むやみやたらとバトルを申し出るわけにもいかない。
正直一刻も早くバトルしたいのだが、まぁ仕方がない。
「今日のところはいったん帰って───ん?」
すると、ある程度の人の喧騒の中で、ひときわ目立つ男女の言い争いの声が聞こえてきた。
「やめてください!ナンパならほかの方にして頂いてもいいですか⁉」
「違う違う、ナンパじゃないよ、バトルの申し出だよ!勝てばアメちゃんあげるよ?」
「遠慮します!お引き取りください!あんまりしつこいと警察呼びますよ⁉」
(ナンパ……勝負……つまりは……バトルの申し出⁉)
バトルと聞いて、黙っていられるほど僕はお利口じゃない。
文句は言われるかもしれないが、少女は嫌がっているようだし、代わりに引き受けてもいいのではなかろうか?
そう考えた僕は、気づけば足が動いていた。
「おじさん、不快ですからナンパはやめてください。」
「ん?なんだい少年?」
反応してこっちに振り向いた男。その隙を見て、僕は大柄なナンパ男の腕を掴み、すこーし握力を加える。
ググググ……
「痛いッ⁉」
「おじさん、僕と勝負するのはどうですか?僕ならおじさんの求めるレベル以上のバトルができると思いますが?」
「あ、バトルしたいのね?それなら大歓迎!戦ろうじゃないか、ポケモンバトル!」
「そうしましょう。」
最後に決め顔で決め台詞を言い、その場を丸く収めて、さらにバトルまで持ってきた。
やはり僕は凄い!
なんて思うはずもなく……
(なんかノリで行ったら快諾されたんですけど~⁉)
僕自身は、成功したのに驚いた。
なんでこんなうまくいくのでしょうねぇ?
すると、後ろから、さっきまで絡まれていた少女がこっちまで来て、お礼を言ってきた。
「あ、あの……ありがとうございます!」
謝りに来た少女の顔を見ると、一瞬
ん?この顔、どこかで……。
だが、正直さっさとバトルしたかった僕は、かまわないとの旨だけ伝えて、バトルコートに向かうことにした。
「ん?ああ、全然いいんだよ。それじゃ、バトルしてくるね。」
走り去り、どんどん離れていく僕らの
僕は気づかなかったが、去り際に、少女は小さくこう口走った。
「いいバトル見せてよね、パルデアチャンピオンさん?」
✫
そして、バトルコートにて。
「よぉし!それじゃあバトルを始めようか!ルールは1対1、切り札システムは1回ずつまで!これでいいかな?」
「はい、それじゃあ始めましょう。」
ポケモントレーナーのカールが勝負を仕掛けてきた!
「ゆけっ、バンギラス!」
「やるぞ、ライダー!」
「バッギャァァ!」
「アギャァス!」
相手がバンギラス、僕がライダーことミライドンを繰り出して、勝負が開始される。
「バンギラス、ストーンエッジ!」
「ライダー、様子を見ながらチャージビームだ!」
「バッギャァ!」
「アギャァス!」
ゴッシャァ!
巨大な岩石と電撃の閃光が混じり、小さな爆発が巻き起こる。
相殺され、一見不発に終わったように見えるが……
ライダーの特攻が上がった!
「7割を引いたか……!」
「そのままイナズマドライブ!」
「ストーンエッジで防げ!」
「アギャァァァッ!」
「バッギャァ!」
ライダーが吠え、回転しながらエネルギーの充填を速やかに行う。
一方のバンギラスは、ストーンエッジで防御網を築いていた。
ズガッシャァァァッ!
「アギャッ…!」
「バギャッ⁉」
結果、両者に攻撃が直撃。
ただ、イナズマドライブはストーンエッジで軽減され、ダメージが軽くなっているように見えた。
すると、相手は腕から何やら白いリングを取り出し、正面に構えた。
「バンギラス、いくぞ!」
「えっ⁉なんだそのアイテム⁉」
僕が言い切る前に、相手はリングに表示されていたマークをプッシュし、遺伝子のような紋章を浮かび上がらせた。
「かつての力をその手に!メガシンカ‼」
「バギャァァァァス!」
瞬く間にバンギラスは岩のような繭に包まれ、少ししてからそれを破壊し、中から様変わりした姿を現す。
「バギャァァァァァァッ‼」
「な……ッ⁉」
バンギラスのころよりもより鎧のような部分が増えてさらにゴツくなり、よりかっこよさと威圧感が増していた。
「驚いたか?こいつはメガバンギラス……。バンギラスナイトをバンギラスにもたせると、この姿になれる。」
「そう……なのか。初見のポケモンだけど、対応できるか……。タイプは変わってるのかなぁ?」
昔、よっしいからメガシンカの話を聞かされたことがある。
基本的に僕は海の向こうに関しては興味のない人間だったのであまり知らないのだが、メガシンカは最近になって様々な地方で使用されている切り札システムらしい。
僕らでいう、テラスタルと同等のものらしく、カロス地方やアローラ地方ではそれが盛んに使われているらしい。
そしてこいつに関してだが……
よくよく思い出してみれば、一回は聞いたことある気がする。
昔よっしいに借りたメガシンカ図鑑に載っていたような記憶があるのだ。
タイプはたしか……。
「いや、タイプはそのままだったはず。」
いわとあく。つまりタイプに変化はない。
だから、戦法を変える必要性はないはず!
「チャージビーム連射!」
「じしんで攻撃!」
「アギャギャギャギャァ!」
バチバチと電撃の流れる音が周囲に響く。
その中に被弾した音も交じってはいたが、バンギラスは体制を崩さない。
「バンギアアアアアアアッ‼」
刹那、地が揺れる。
古代の力を感じさせる覇気のこもった咆哮は、大地を揺るがし、僕らを怖気づかせてきた。
「アギャガッ……!」
「く……ッ!」
じしんのダメージは想像以上。
ここまで火力の高いポケモンは戦ったことがない。
この地方、やっぱレベル高いな……!
「ストーンエッジでフィニッシュ!」
「パラボラチャージで回避しつつ回復!」
「バッギャァァァァァ!」
ズドガァァァァン!
地面から巨大な岩石が吹き出し、ライダーを狙って突撃してくる。
こんな破壊力の岩石、ぶつけられたらひとたまりもないのは一目見ればわかる話だ。
「アギャァァァス!」
「背後に回ってパラボラチャージ!」
「背後にアイアンテール!」
バンギラスの背後で行われる、ちょっとした攻防。
ただ、どうやらバンギラスのとある
「アギャァァァス!」
「バンギャァ⁉」
バチバチと電流の走る音が発生し、みるみるうちにライダーの体力は回復していく。
「遅かったか……。まぁいい!バンギラス、ばかぢからで倒してしまえ!」
すると、バンギラスは重そうな足取りで前を向く。
ただ、背後での攻防戦を経て、あのバンギラスの弱点が明白になった今、僕らの敵じゃない。
「ライダー、上空からチャージビーム!」
「アギャギャギャギャァ!」
「バンギィ⁉」
上空からの雷の嵐。
一発一発のダメージは低いが、それは確実にバンギラスの体力を奪っていっていて。
「バンギラス、大丈夫か⁉」
「バンギィ……。」
ある程度攻撃が終わるころには、バンギラスは満身創痍だった。
「そんなボロボロの体じゃ、重くなった鎧を着こなすのも難しそうですねぇ?」
「!」
そう、僕が見出したバンギラスの弱点は、鎧が重すぎることだ。
背後に攻撃するためには背後を見る必要があり、そのためには体を動かす必要があるのだが、その時の動きが非常に遅かった。
パワー自体はものすごいのだが、この試合、バンギラスは一度もその場から動いていない。
おそらく、このバンギラスにとっては鎧が重すぎるのだろう。
だから、体力の消耗を最小限にするために、ここで固定砲台となる戦法をとっているのだ。
「バンギャッ…!」
「よし、いくぞ、ライダー!」
そして僕は、テラスタルオーブを構える。
テラスタルを発動させて、一気に決める作戦だ。
「魂の輝きを、咆哮を、その胸に!テラスタル‼」
テラスタルエネルギーを充満させたテラスタルオーブを放ち、ライダーをテラスタルさせる。
そう、フェアリータイプに!
「アギャァァァッス‼」
「いっけぇ!」
よっしいに教えてもらった伝家の宝刀!
ここで早速お試しさせてもらうぜ!
「テラバースト・
「アギャァァァァァァァァス‼」
「バ、バギャァァァァァァ!」
「うおおおおおお⁉」
ドッカァァァァァァァァァッ!
ものすごい濃度のフェアリーエネルギーがあたりに霧散していくと同時に、爆発によって発生した爆煙によって隠されていた視界が徐々にクリアになっていく。
「バン……ギャ……ッ。」
バンギラスは、地面に突っ伏して動かなくなっていた。
✫
「いやぁ、いい試合だったよホムラ少年!」
「え?なんで僕の名前を……?」
「そりゃ、チャンピオンなんだしすぐわかるだろ。」
試合後、カールさんが僕のほうへ近づいてくると、背後からよっしいが姿を現した。
「確かにそう……ってよっしい!」
「よっす。お疲れさまです、カールさん。」
「ああ!やはりこの少年、君の見込み通り超優秀な人材だよ!是非是非
ん?ポケモンリーグに雇いたい?
ちょっとまて、どうゆうこっちゃこの状況は?
「いわれてなかっただろうから言うが、この人はポケモンリーグ運営スタッフの責任者であるカールさんだ。今回はお前のトレーナーとしての実力を試すためにわざわざここまで来てもらったのさ。」
「ええっ⁉めっちゃ偉い人じゃん⁉な、舐めた口きいてすみませんでした!」
「いやいや、いいんだよ。あそこで不審者から困っている少女を助けられるか、っていうチャンピオンの器や人望とかも確かめてたからね。」
え、バトル前にそんなこと調べられてたの?
なにそれこわぁ……。
「多少口調は荒かったけど、守るために自信にヘイトを買うことで、不審者の他者への興味を完全カットするのはいい策だったと思うよ。」
「あはは……。いやまぁ、思い出すと若干恥ずかしいのでやめていただけると……。」
さっきまでのこの人の不審者っぽさはどこへやら、ただの優しいおじさんに変貌。
なんだ、この人ってスパイだったのか?それともリーグの人はみんなスパイ属性を持っているのか?
などと僕に困惑を誘ったが、その後は特にこれといった大きなイベントは起こらなかった。
そしてしばらく雑談した後、僕らはカールさんと別れた。
「気さくでいい人だった……。」
「だろ?さっきのバトルでお前は分かったと思うけど、あの人はまだ実力を隠してるからな。」
「だよねー。なんかそんな感じしたんだよなぁ……。」
僕らが歩きながらしゃべっていると、さっき僕が助けた少女が近寄ってきて、トントン、と僕の肩を叩いて話しかけてきた。
「さっきのバトル、すごかったよ!」
「ん?ああ、ありがとう。ところで君は……」
僕がそう言いかけたとき、その少女の瞳が目に入る。
茶色の髪に、さらに茶色の大きめな瞳。
その瞳には、確かな強い闘志が宿っており……そこにはさらにチャンピオンの覇気を感じた。
つまり、この少女の正体は……
「あたしはガラルチャンピオンのユウリ!よろしくね、パルデアチャンピオンランクのホムラくん?」
伝説の無敗の王者を完敗させたという今最も注目されているトレーナーの一人である、
ガラルチャンピオンのユウリだった。
To be continued……
テラバースト・
使用可能ポケモン ホムラのミライドン
効果 フェアリータイプのテラバースト。相手の攻撃か特攻を下げ、自分の攻撃か特攻を1段階上げる。その後、相手に与えたダメージの1/3を回復する。
次回 第二話『門出の祝いにガラルチャンピオンを倒そうと思います』