同人ゲーに転生したけど、肝心の主人公が死んだ 作:一般ユーザー
劇的な出会いでもないし、運命的な出会いでもないが・・・俺は・・・
これは、夢だ
「よぉ 元気になったのかレン」
目の前にいるのは、小学生の時のクラスメイトと小学生の時の自分がいた。
(これは、もしかして転生初日の登校の時か)
あの時の事は、よく覚えている。
転生した当初は、熱で学校を休んでいたから登校していた時にクラスメイトが心配して声をかけてくれたのだ。
「うん 問題ないよ、熱も引いたし」
「なら、いいけどみんな心配していたぜ」
そういえば、こんなやり取りをしていたな
この後もクラスメイトの子達や先生にも心配されたのを覚えている。
「そっか とりあえず僕は、元気だから、大丈夫だよ」
「そうか それなら早く行こうぜ ちなみに・・・」
この時の俺は、クラスメイトの言葉に相槌をうちながら周り様子を見ている。
登校している人達や、学校の入り口に見える先生の姿
登校していた時に、みえたいつもの通学路等を見ながら夢中なクラスメイトに聞こえないほど小さい言葉でつぶやく
「あぁ・・・本当に、気持ち悪い」
「それで・それで 今日の給食は・・・」
どうやら、話に夢中で目の前の子に聞こえてなかったらしい。
(思い出した・・・そうだ俺・・・)
どうして忘れていたのか・・・いや、思い出したくなかったのだ 俺は・・・
(この世界に転生してからどんなに慣れようとしても前世の時の俺の記憶との違いで見る景色も周りの人も違う、どうしても見ている物全てがズレて見える)
俺は、いつか慣れると思っていた。
この世界で友人が出来て周りの人に恵まれていて十分に幸せで
だからこそ、この時に吐いた言葉を忘れていたかった。
(ああ・・・そうか、やっぱり半端物なんだよ・・・俺は)
慣れる事が出来なかった。
どうしても、この世界が作り物に感じてしまって苦しかった。
この世界の人は、生きている・・・決して同人ゲームのただのNPCや登場人物じゃなくて今を生きている人間なのに俺は、それを理解しているのに・・・どうしても拭えない気持ち悪さがあった。
本当は、同人ゲームの知識なんて前世の記憶なんてなければきっと何不自由なく生きる事だって出来た。
(でも、忘れられない・・・前世の記憶もほとんど衰えてないし同人ゲームの知識も中途半端に覚えたままだ。)
だからこそ足掻いた、こんな半端物の俺でも変えられると思った。
前世の知識があって、同人知識があるからこそ他の誰でもない自分の意思でアイツらやトウヤを幸せにすると、現実で考えればクソみたいな可能性の未来を変えられると思い足掻いたのに・・・俺は、何も出来なかった。
(トウヤが死んで、周りの人達が泣いていた時に俺だけが泣いてなかった)
皆が、トウヤの死を悲しんで泣いていたのに親友の俺が泣いてなかった。
心が苦しいのに、胸が痛みで張り裂けそうだ、何度も自分の無力さを呪った。
・・・でも、俺だけがあの場でただ一人泣いてなかった。
(・・・俺は、心のどこかで思っているんだ・・・この世界は、同人ゲームの世界で作り物の誰かが作った作品の中だと)
・・・そんな思いを俺は、否定したかった。
だから、トウヤがいなくなってからも皆の様子を見てから自分で何とかしようと足掻いて・足掻いて・そして・・・
『・・・天堂君、もう私の家に来なくていいよ』
・・・花園の言葉に何も言えなかった。
(あんなに苦しんでいる花園をトウヤなら救えたかもしれない)
でも、中途半端な俺が花園に出来たことは、余計な事ばかりで・・・
俺は、目の前の花園をただの原作ヒロインの一人としてしか思っていなかったかもしれない。
(・・・そうか 俺は、この世界の不純物なんだ)
アイツらの笑った笑顔が好きだった・・・純粋で綺麗で見惚れて、守りたいと思った。
・・・でも 俺は、なにも・・・何ひとつ守れなかった。
夢の中の色彩が消えていく・・・夢から覚めようとしている
(俺は、今の俺が嫌いだ・・・)
夢から目が覚めた。
いつもの朝、あの日から・・・トウヤがいなくなってから俺の世界から色彩が消えた。
全てがモノクロに見える世界で俺は、生きている。
(罰かもなぁ、今までこの世界に向き合っていなかった自分への)
それでも、今日も一日が始まるからいつものように行動しないといけない。
眠気を覚ますため洗面台で顔を洗い、朝の準備をして親が作ってくれた朝食を食べる。
その後、いつものように朝食を食べた時に気づいたが
(味がしない・・・そうか、もう味も感じられなくなったか)
親に不審に思われたが、美味しいと嘘を言いながら朝食を食べる。
親の前で嘘を言うのも、笑顔のフリをしている自分に嫌気がさした。
今日は、学校も休みで親も仕事に行ったから家で一人だ。
(・・・なに言っているんだよ 元々、この世界で半端物の俺は、一人だけだろ・・・)
何もやる気がおきなくてスマホを見る。
先輩から体調を心配するメッセージが届いたので大丈夫と嘘の返信をしつつ花園にメッセージを送ろうとしてやめる。
(花園に昨日言われたばかりなのに、何やっているんだ 俺・・・)
そのままスマホを閉じてから味がしないコーヒーを飲みつつ窓の外を見る。
「何もする気がおきない・・・外でも行くか・・・」
外は、灰色の景色だが家の中でも変わらないのでそのまま着替えて外に出る。
今は、ただどこかに逃げたい気分だった。
外を出歩いて目的なく歩いていたら人通りが多い所まで来てしまった。
(人が多いし、少し裏道を使うか)
意味も目的もない外出だ特に行先もなく裏道に入っていく。
そのまましばらくで裏道から人通りが少ない所に出ようとして
「オイ・・・俺にぶつかっておいてただで済むと思っているのか」
「やっちゃいましょうよ 兄貴」
前の前の男二人組が一人の男子を囲っていた。
二人組は、いかにも不良って感じだが
もう一方の男は、ぽっちゃり体系の男子で周りに助けを求めている表情をしていたので
(はぁー どうしてよりによって)
今は、なにもやる気がおきないっていうのに面倒事だけがおきる。
(裏道に入った俺も悪いが、治安が悪いなぁ・・・ここ)
ただ、無視するのも後味が悪いから目の前の二人組に声をかける。
「オイ、なにやっているんだ そんな所で」
「あん・・・誰だよ・・・テメェ」
二人組の一人が振り返りこちらにやってくる。
「テメェ この俺様が誰か分かっているのか」
「知らんし、興味もないけど通行の邪魔だ」
いつもなら冷静に言い返すのだが・・・今の俺は、普段みたいに冷静じゃない。
「・・・いいぜ、邪魔ならどけよ・・・テメェがなぁ」
急に目の前の男がこちらを殴ってきたから、顔だけ拳の軌道から避けてその勢いのまま自分の拳で相手の腹を殴ってしまった。
ボゴォ!・・・・・ドサッ
目の前の男が一発で気絶したみたいだ・・・
「アニキ―・・・ヒィー」
目の前のもう一人の連れは、そのまま俺の顔見てから逃げ出していった
(えっ・・・弱すぎる、そんな力入れてなかったのに)
少しだけ呆然としてしまったが、とりあえず二人組に囲まれていた男に声をかける
「・・・その、大丈夫か?」
「・・・驚いたでござる、まさか一発で人を気絶させるとは」
目の前の男は、落ちていた眼鏡・・・いや、なんだ・・・そのグルグル眼鏡!
この世界で初めて見たぞ、そんな眼鏡・・・でも、少し割れてしまっているな
「あー、さっきのぶつかって落ちた時に壊れてたでござる・・・気に入っていたのに」
そうやって、眼鏡を胸ポケットにしまいながら
「それより、助けていただいて感謝ですぞ」
「・・・いや、別にそんなつもりは、なかったが目の方は大丈夫か、その・・・眼鏡なくて」
「ああ・・・拙者、視力が両目1.0あるので大丈夫でござる・・・この眼鏡もただの趣味ですぞ」
目の前で大丈夫そうにしていたので、少し安心してから落ちていた紙袋を渡す。
「・・・これ、落ちていたぞ」
「おおー ありがとうでござる」
早くその場を離れよと思ったら目の前で紙袋からとあるフィギュアが入った箱を取り出してこの場で状態を確認しだしたのでつい言葉をかけてしまう。
「それ、物理異世界召喚録の主人公の相棒のゴリラか」
「おお 知っておられましたかこの作品」
「ああ・・・・・友人が好きだったからな・・・」
そう、初めてトウヤにプレゼントしたゴリラの人形がこの作品で出てくる主人公の相棒のキャラクターであった。
(結構、続いているんだよな・・・この作品)
少しだけトウヤとの思い出に感傷的になっていると
「そうでした、せっかく助けていただいたのですし 良ければ拙者のおすすめのお店でお礼をさせていただきたい」
何だか話が勝手に進んでいたので断ろうと思い相手の顔を見て言葉を止めてしまう。
(・・・山田に似ているな、いや全然顔とか喋り方が似ていないのに雰囲気が)
そう、前世の友人で趣味がゲーム作りのアイツと
だからか、断るつもりだったのに・・・
「分かった・・・それと俺は、天堂っていうけど・・・」
「おお! 拙者としたことが自己紹介を忘れるとは、・・・では、改めて 拙者の名前は、上尾 タクロウと申します。 天堂殿 先程は、本当に助かったでござる。」
こちらが、喋り終わる前に向こうも・・・上尾も自己紹介を済ませた
「それじゃ 行きますぞ 天堂殿」
そんな、上尾の案内でついていく・・・
これが、俺と上尾の奇妙な出会いの始まりの日だった。
冒頭の部分は、プロローグ第1話の黒塗りの部分です
主人公は、この時から今まで常に精神力を削られています。
また、前世の夢も常に見ていたので2重で精神を削られています。
普通な人なら精神的なショクで倒れてもおかしくないのですが
主人公が今、倒れたらこの作品が終わるので彼には、耐えてもらいます。