同人ゲーに転生したけど、肝心の主人公が死んだ 作:一般ユーザー
山田
「俺は、人生に迷う事があったら自分に正直な道を選ぶ・・・なんせ、俺自身が今までの人生で恥じない生き方をしてきたつもりだからこそきっと上手く行くと思ってるからだ」
上尾 タクロウ
本人は、よく皆にオタク君と呼ばれ本人も自負しているらしい。
そんな彼は、今日のお目当ての買い物(限定版フィギュア)を買ってウキウキで帰っていた時に先程の不良に誤ってぶつかってしまい謝罪したらしいが不良に絡まれてしまい裏道まで連れ込まれた際にちょうど俺が来たみたいだったそうだ。
「いやー 天堂殿が助けてくれなかったら今頃どうなっていたやら」
そんな彼の案内で近くの喫茶店に連れてきてもらったが
(凄いな、至る所にアニメグッズが飾っているな)
ここの喫茶店のオーナーとは、オタク仲間らしくよく利用しているらしい。
ちなみに、上尾も同じ高校一年生らしいそうだ。
「しかし、まさか天堂殿も同じ年とは思わなかったでござる てっきり年上の方と思いましたぞ」
「いや・・・俺も同い年とは、思わなかった」
喫茶店についてから、彼にお礼として奢ってもらっているが味がしないのでコーヒーと軽いケーキを頼んでいる。
注文が届くまでの間に、軽い世間話をしているが
「いや・・・驚きました、天堂殿アニメに結構くわしのですな」
「あー 周りの影響もあるし、俺自身も気にならアニメガあったら見るからな」
彼との会話は、少しだけ前世の友人を思い出してしまうほど心地よかった。
(懐かしいな・・・似てないのに雰囲気が山田とそっくりだ)
特に好きな事になると早口になるが、結構詳しい事や興味を惹かれる内容を丁寧に教えてくれて、さらにわかりやすく楽しそうに教えてくれるのだ。
(アイツもゲームの事になると人の事でも自分事のように喜んでいたな)
そんな風に、アニメの話が盛り上がっていた所で注文していた食べ物が届いた。
見た目が白黒で分かりにくいがショートケーキに珈琲が届いたみたいだ。
「いただきます・・・美味いな・・・」
味がしないが多分本当は、美味いんだろうとゆっくりフォークを進めながら前を見ると
「・・・・・」
何故か、上尾がこちらを見たまま自分の届いた食べ物に手を付けていないのだ
「どうかしたか、食べないのか?」
そう質問すると、少し悩む様子を見せてから
「・・・すまないでござるが、拙者気になった事があったら口に出てしまう性分なので失礼を承知で天堂殿に質問をしても良いか」
「・・・俺に答えられることならいいけど」
なんだか、あまりにも真剣な様子だったのでつい返事をしてしまったら
「その、天堂殿もしかしてあまりここの味が口に合わなかったでござるか・・・その、食べ物を食べている時に何か無理をしているようですし」
「・・・・・」
上尾が小声で聞いてきたが、その内容に驚いてしまった。
上尾は、俺の嘘を見抜いていたのだ。
「その反応からしてやはりそうですか・・・ここの喫茶店拙者のお気に入りでしたのですが」
少しだけいや・・・あまりにもションボリしていたので慌ててフォローをする
「いや違うんだ・・・その今日の朝から食べ物の味がしないだけなんだ」
「・・・味がしないのでござるか」
本当は、言うつもりなんてなかったがこれまでの食べ物を食べてから味がしなくなった経緯を話したら
「その拙者に詳しい事は、わからないでござるが病院に行った方が良いのではないかと」
「・・・たしかにそうかもしれないが・・・」
本当は、味以外にも目の異常もあるし・・・
(治る保証も分からないからな・・・)
そうやって、悩んでいる様子を見てからなのか
「ふむ、もしかして天堂殿・・・何か悩みでもあるのですか」
「・・・驚いた、そんなに分かりやすいか俺は」
たしかに、目の異常やアイツらとの今の関係に悩みを抱えていたりするが初めてあっただけで分かるほど顔に出ていたのか確認すると
「いや・・・拙者は、人間観察も趣味でございまして・・・天堂殿の顔つきが嘘をついたりする時の人の表情や無理に笑う人の表情によく似ておりましたので」
「そうか・・・参ったな、隠していたつもりだったんだが」
本当は、誰に言うつもりじゃなかったのに、何故か上尾に色々と言ってしまったなぁと後悔していると
「もしよければ、失礼でなければ拙者が天堂殿の悩みを聞きますぞ」
「上尾が・・・俺の悩みを聞くのか」
「そうですぞ! 拙者と天堂殿は、今日あっただけの仲ですがだからこそ話せる事もあるかと思いますぞ・・・もちろん、嫌なら拙者に話さなくてもよいですし話を聞いて誰かに話せる程のコミュニティは無いですので安心していいでござる」
そう、自信満々に言う上尾の姿が親友の山田と重なって見えて
「そうか・・・それなら聞いてもらえるか」
色々とぼかす部分があるがこれまでの悩みの話せる部分を上尾に話した。
・・・もしかしたら 俺は、誰かに話を聞いて欲しかったかもしれなかったかもしれん
話を掻い摘んで上尾に話したら
「ふむ・・・・・」
上尾が顔を上に向けて目を瞑り、腕を組んで考えているみたいだ
(無理もないか、話の内容もまとまりがないしぼかしている所もあるし)
さすがに、トウヤの事や転生の事や目の異常などは、話せなかったが少し遠回しに話した。内容としては、最近大切な物をなくしてしまった事や、友人関係が上手く行かず悩む友人達に何も出来なかった所か余計な事ばかりしてしまった事・・・本当は、俺が友人を大切にしてなかったかもしれない事等
本当は、ここまで話すつもりがなかったが全てを聞いた上で、上尾は
「天堂殿、はっきりと言いますが・・・拙者に天堂殿が何を悩んでいるか分からないですぞ」
「え・・・いや、俺は」
「確かに天堂殿が、拙者に想像できない程大切な物をなくして悲しみに包まれている事や友人関係に悩んでいる事は、分かりましたぞ」
続けようとした言葉は、その後の上尾の言葉で黙ってしまった。
「なら、なんで分からないだよ!」
少しだけ、声を荒げてしまったら
「何故、天堂殿が友人を大切にしてない等などの嘘を言っているのか分からないからでござる」
その上尾の言葉に目を見開いてしまう。
「いや・・・俺は、俺はアイツらを・・・」
同人ゲームの住人と思っていた・・・周りの人達をNPCや登場人物と思っている最低なヤツであると言いそうになってやめた・・・これは、この世界で生きている人間全てに対して失礼な発言だ。
「天堂殿がそう思う理由が心の中にあるのも、拙者が天堂殿の本当に抱えている問題を解決できるとは最初から思っていません」
「だったら・・・どうして俺の話を聞いたんだよ・・・」
「拙者に天堂殿の話を・・・いや、天堂殿だからこそ分かる事が一つあるからでござる」
その言葉に。俯いて顔を上げると
「天堂殿は、凄くいい人ですぞ・・・決して友人を大切にしないこと等ありえませんからこそ天堂殿が友人を大切にしてないという悩みが分からないのでござる」
「違う! 俺は・・・」
それは、違う・・・だっていつだって同人ゲームの知識を利用していた時だってきっと心の中でアイツらの事をゲームの設定の何かと思っていたに違いない。
「天堂殿の考えまでは、拙者に分かりませんが・・・本当に友人を大切な人は、きっとそんなに苦しそうに自分を責めないと思いますぞ」
その言葉に思考が止まる。
「天堂殿がずっと自分を責めている理由がきっとあるかもしれませんが、少なくとも拙者からすると天堂殿が優しい事もその友人の人達を本当に大切にしているからこそ苦しんでいる様に見えましたぞ」
「俺は、優しくなんてない 全て自分の自己満足にしか過ぎないだけだ」
きっと、転生してからの全てが俺の自己満足での行動でしかない。
「それでよいと思いますぞ 自己満足でも天堂殿が望むことであれば」
「俺が・・・望むこと」
いつのまにかだが、目の前の上尾の体に色彩が少しずつ広がっていく
「はいですぞ! きっと今の天堂殿は、己の心を抑えすぎでござる、もっと自己満足で自由に動いていいと思いますぞ」
「その結果が、余計な事ばかりしてきたんだが」
反論した、俺が花園を自分勝手に傷つけてしまったのだから
「それこそ間違いですぞ 天堂殿がそう思うのは、今の自分の状態を苦しんでいる心に気付いてないから見えてないだけですぞ」
「俺が・・・苦しんでいる」
視界が少しずつ本当に少しずつ広がっている。
「そうですぞ、先程の話の内容のほとんどが自分を責めていてばかりでビックリしましたぞ」
上尾の色が分かる髪が黒色で目も黒色だがそのどこまでも真剣な目が俺を映している。
「本当の意味で自身の悩みを解決するなら、天堂殿自身が自分の問題に向き合う必要がありますぞ、拙者や他の人でダメでも、天堂殿だからこそ気づけることできる事もありますぞ」
「俺だからこそ・・・」
「そうです それに拙者にとって天堂殿が優しい証明なら簡単ですぞ」
その言葉に無言で相手の目を向いて話を聞くと
「拙者を助けてくれた事や拙者の話を聞いてくれることこそが何よりの証明でござる」
「・・・いや それは、俺じゃなくても」
「ですが、あの時助けてくれたのが天堂殿で、今も拙者の話を最後まで聞いている人もここにいる天堂殿だけでござる・・・他の人じゃなくて天堂殿だからこそ今ここにいるのですぞ」
色彩が世界に広がる・・・
「拙者は、好きな事になると早口になる癖がありますが天堂殿は、最後まで拙者の話を聞いてくれましたし あの時、不良に囲まれている時に助けを求めていたあの時に他の人が見て見ぬふりをしていた中で天堂殿だけが助けてくれましたぞ。」
「でも・・・俺は、肝心な時に何も出来なかった」
「それでも、あの時天堂殿自身に余裕がなくても人の為に行動しようとした結果が変わる事は、ありませんぞ!」
あんなにモノクロだった世界にいつもの色彩が世界に色が戻ってきた。
「今の天堂殿が自身に自信が持てないなら、拙者が証明になりますぞ! 天堂殿は、拙者みたいなオタクでも、いや誰でも困った人や助けを求める人がいたら自分の身を顧みず助けてしまうほどのお人好しである事を」
「ははは・・・そうか、お人好しか」
上尾の話につい笑ってしまった、そんなつもりがなかったが上尾が自分を少し卑下しながらも真剣に言う姿が少しだけおかしくて今まで肩に入っていた力が抜けて笑ってしまった。
上尾に悩みを打ち明けたおかげで、不思議と今までの体の重りが外れて身軽になった気分だ。
その事で、感謝をしたら
「いや 拙者は、口を勝手に出しただけで悩みを解決できたのは天堂殿自身ですぞ」
そう返されてしまったのでこの恩は、別の日にきっちり返すとしよう。
その後も、食事を再開したがどうやら味もいつもの様に感じるようになりここの喫茶店に改めて来ようと心に決めた。
喫茶店で連絡先まで交換して喫茶店を出た時の帰り際に
「天堂殿、一つ拙者からのアドバイスですぞ もし迷う事があれば自分に正直でいる事が大事ですぞ 天堂殿は、きっとその方が上手く行くと思うでござる。」
その言葉に、前世の友人が言っていた言葉が重なり
「・・・ああ、分かった 迷ったらそうするぜ じゃあ・・・またな、タクロウ」
上尾・・・いや、タクロウに別れてから弾んだ足取りで家に帰る。
(山田も言っていたな・・・自身が恥じない事をしていたらきっと上手く行くって)
根性論かもしれないが、確かに今のどうしていいか分からない俺には、ピッタリの言葉だ。
そんな事を思いつつ家に帰る途中でスマホが鳴る。
宛先が、どうやら九藤さんの所のメイドからだったので嫌な予感がして出ると
「すみません、お嬢様が天堂様の所に行きませんでしたか」
どうやら、だいぶ慌てていたので落ち着いて理由を聞くと
「お嬢様が突然屋敷からいなくなったのです」
(それは、そうかそうだよな)
その、事から原作でのあるイベント・・・九藤さんのヒミツにも関係するイベントを思い出していつもの俺なら焦るが
「分かりました こちらに任せてください 必ず九藤さんを見つけますから」
スマホを切り、町の中を全力で走る。
行先に心当たりがあるが、町の構造や知っている知識が漠然とした物であり確証に至ってないが心と体がいつもより軽いし力が漲ってくる。
(待っていろよ! 必ず、俺が助ける)
かつて九藤さんの執事さんとの約束を守るためにも立ち止まるわけに行かないのだから
タクロウとの奇妙な出会いが終わり、原作のイベントが来たが今の俺には、何一つ恐れるものがなかった・・・今の俺は、転生してから一番、身勝手で正直に生きると決めたのだから。
人物紹介
上尾 タクロウ
黒髪、黒目のぽちゃり体系男子(声が渋いのが特徴)
両目が1.0だが趣味でグルグル眼鏡(度なし)を着用している。
オタクである事に誇りを持ち、趣味が人間観察と好きな作品を布教する事
思ったことを口に出してしまう事を気にしているが、それで救われた人が彼の周りに結構いるので本人が思っている以上に周りに慕われている。
ちなみに、拙者口調やござる口調は本人が好きでしているだけである。
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