名探偵プリキュア、最終回妄想譚!   作:水漏れ老舗

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オリジナル展開が凄い

カプ厨要素があるので注意してください











中編

 

 

 

 大王の本拠地。暗黒の中は生きているかのように脈打っていた。まるで巨大な何かの胎内にいるような。そんな気持ちの悪さがあった。

 ぬめりを帯びた空気が蔓延し、辺りに黒い触手がうごめく。

 

 そんな中、私たちはそれに捕まらないように、前へ前へ進んでいた。

 

 だがその時、触手はよりパワーを増し、アルカナの腕を掴んだ。うねうねと動き、触手が私たちの周りを囲む。

 

 「アルカナ!」

 

 私は叫んだ。

 踵を返し、その触手に攻撃を加えようとしたその時、アルカナがアルカナロッドを掲げ、私の動きを制止した。

 

 「…先に行って。ここは私に任せなさい」

 「でもアルカナを一人にはできないよ!」

 「行ってよ、アンサー、ミスティック」

 

 私とアルカナの間に、キュアエクレールが立った。

 

 「アルカナ…るるかには私もついているから」

 「エクレール」

 「もう二度と失いたくないの。後悔したくないの。だからここは先輩探偵に花を持たせてちょうだい」

 「そうよ。行きなさい、名探偵さんたち」

 

 アルカナはロッドを振りかざし、自身の技、アルカナスターレインを繰り出し、一部の触手を破壊した。そのおかげで通り道ができる。

 

 だが、触手はまだまだ元気といった風に、ますます蠢き、活発になりそうだった。矛先はアルカナとエクレールに向かおうとしている。

 

 「さあ早く!」

 

 一瞬のすきをついて、アンサーとミスティックは、ポチタンとともに前へ進んだ。振り返らず、真っ直ぐ。

 

 

 ──より暗くなってくる。

 肌に気持ちの悪い感触をひしひしと感じ、より深部へ近づいているといった感じだった。

 

 そしてたどり着く。

 

 目の前には、大きな黒い人間が佇んでいた。これが恐怖の大王。まことみらいタウンを嘘で覆った、全ての元凶であった。

 

 「とうとうきたか、名探偵プリキュア」

 

 大王が喋る。それだけで空気が震えた。凄まじいほどのプレッシャーに、二人は少しだけひるんでしまう。

 

 「ポチ!」

 「時空の妖精か…。ははっ、貴様のおかげでずいぶんと苦労した」

 

 そう言う大王は、どこか不敵に笑っていた。

 

 「大王! 町を嘘から解放しなさい!」

 

 ミスティックが叫んだ。

 

 「それは無理な話だ」

 

 大王が殴りかかってくる。二人はなんとかそれを避け、体勢を整えた。

 

 「願いを叶えたくば、私を屠ってみせよ。名探偵ェ!」

 「なんてパワー!」

 「このままじゃ勝てないよ…」

 

 だんだんとミスティックの顔が曇る。

 

 それを他所に、アンサーはジェット先輩が発明したプリキットを手に取った。

 

 「それは」

 「もうこれしかないよね」

 「でもアンサー、どうやって使えば…。そもそもそれで勝てるかどうかって」

 「大丈夫だよ、きっと。ジェット先輩の発明だもん。ミスティックもいるもん。だから大丈夫だよ!」

 「アンサー…」 

 

 何の根拠にもなってはいない。

 

 だが、彼女の持つ愚直なまでの真っ直ぐさ。それはいつだって、ピンチを切り開き、みんなに力を与えてきた。みくるにもそうだった。

 

 「そうだよね…! うん、アンサーが言うなら、そうなんだよね!」

 「行こう! これが答えだ!」

 

 その時、プリキットが光る。アンサーの持つものが、他の三人も同様だった。

 

 「これは…!」

  

 そして、4つの光は一つの剣となり、アンサーとミスティックの元に降り立った。凄まじいパワーを秘めていた。

 

 「なんだそれは…」

 

 大王が恐れおののく。

 

 「ミスティック!」

 「アンサー!」

 

 二人はお互いの名前を呼ぶと、剣を手に取り、さながらケーキ入刀といった具合に振りかざした。

 

 「これが!」

 「私たちのアンサーだああぁぁ!」

 

 そしてとうとう大王は斬られてしまう、筈だった。剣が振りかざされる直前、大王はぽつりと呟く。

 

 「嘘よ、覆え! キュアアンサー!」

 

 その瞬間、アンサーの意識は遠退き、真っ暗闇の空間に落とされた。

 

 「ここは…」

 「貴様の意識の中だ。いま、私は貴様の意識に話し掛けている」

 

 目の前に大王が現れる。

 

 「どういうこと!?」

 「提案があるのだ。だから話し合いの席を設ける必要があった」

 「っ話し合い…?」

 「私を見逃すのだ」

 

 大王の口から発せられたのは、驚くほど厚顔無恥な発言だった。

 

 「今さら命乞いなの!?」

 「キュアアンサー、情けないことだが、私は貴様らに勝てない。だからその剣を鞘に納め、私の作り出す世界で生きてみないか? そういう提案だ」

 「あり得ない! 私たちは嘘を終わらせにきたの! あなたを倒して!」

 「──貴様自身が、嘘そのものだったとしてもか?」

 

 ニヤリと嫌な顔で笑い、手を掲げる大王。

 

 「どういうこと?」

 

 本来、ただの命乞いの発言。荒唐無稽で、聞くに値しない言葉なのだが、直感というべきだろうか、アンサーはそれに耳を傾けてしまっていた。

 

 「キュアアンサー。いや明智あんな、貴様という存在は何だ? 何故この時代に存在している?」

 「何を言って…」

 「ふふっ…簡潔に答えを示そう。私を倒した瞬間、明智あんな、貴様という存在は同時に消滅するのだ」

 「!?」

 

 アンサーは目を見開いた。驚きで声も出せなかった。否定したかったのに、脳が喉に信号を出さない。

 

 「2027年から1999年……長い時を越え、一度も考えたことはなかったか? 貴様の親という存在を」

 「親…。お母さんと…お父さん…」

 「いや考えないようにしてきたという方が正確か…。つまり貴様の両親は──」

 

 聞きたくない。目を背けたい。

 

 「小林みくるとジェットだ」

 

 もう何も──

 

 「ち、違う…」

 「瞳の色、髪色、髪型ァ…。全てが事実を裏付けている。貴様も何となく感じてたんだろう? そして直視しないようにしてきた」

 「…私は」

 「何故なら、自分のせいで歴史を変えてしまった可能性があったから。本来の歴史では、あの日──貴様が空から降ってきた日、小林みくるは名探偵のいない探偵事務所の有り様に落胆し、ロンドンへ帰る予定であった」

 

 大王は淡々と話を続ける。

 

 「そして数10年後、ロンドンでジェットと出会い、奴と恋に落ち、貴様を産み落とした。それがルーツであり、お前たちの生きた本来の歴史だ。しかし貴様が1999年にタイムスリップしたことで、その歴史に綻びを生じさせてしまった」

 「そ、そんなのおかしいよ! いま、ジェット先輩はみくるといるよ! もう既に出会ってるよ! 出会い方は違くても……歴史は同じように…」

 「バタフライエフェクト」

 「…!」

 「蝶の小さな羽ばたきが、大きな竜巻を生む。歴史は、どれほど些末な出来事でも大きな影響を及ぼすものだ。つまり、貴様がこの時代に存在し、出会い、プリキュアになった。その時点でもう歴史は改変されたのだ!」

 

 大王が意気揚々と、そう宣言した。

 これは大王が勝手に言っているだけだ。証拠も何もない。ただの命乞いに、耳を貸す必要などない。

 内容にしてみても何の根拠も説得力もなく、否定できる材料はまだたくさんある。

 

 でも、それなのに、どうしてか言葉を紡ぐことができなかった。

 

 「ふふっ…人の逢瀬とはかくて不思議なものだ。たった一日、いや数分違うだけでも、人々は他人同士になるなんて。" 奇跡の二人 "とはよく言ったものよ…」

 

 大王はしたり顔でそう言った。かと思えばすぐに相好を崩し、アンサーに手を差し伸べた。

 

 「──だが安心したまえ。貴様を消滅から救う手立てはある」

 「え…」

 「私の嘘で覆う力。それを使えば、どんな現実でもねじ曲げることができる。お前は消滅せず、また元の幸せな日々を享受できる。これでハッピーエンドなのだ。しかし私を倒してしまうと──」

 「私は消える…」

 「そう。これが真実だ」

 

 アンサーは以前ジェットが言っていた『未来は常に変化しているんだ』という言葉を思い出した。

 

 

 

 …どこかで薄々分かっていた。

 

 

 私がこの時代に来たことで、何か歯車が狂ってしまっているんじゃないかって。いつも、そんな不安が片隅にあった。直視しないよう、極力言葉にするのは止めていたけど…。

 

 …やっぱりそうだったんだ。

 

 「分かってくれたか? キュアアンサーよ」

 

 でも──

 

 「…分からない!」

 

 それでも──

 

 「私はあなたの提案には乗らない! この世界を嘘で覆われたものになんて絶対にさせない!」

 「貴様ぁ! 貴様が消えてもか!?」

 「私一人幸せになって、みんなが不幸になっていい筈がないんだ!!」

 

 ───私は、自分の答えは自分で出す。

 

 それが名探偵プリキュアだから。

 

 

 「…!」

 

 

 そう宣言した刹那。急に暗闇が晴れて、アンサーは元の場所に──大王を斬る直前に引き戻された。

 

 「アンサー!」

 「ミスティック…!」

 

 手に力をこめる。

 

 「これが私のアンサーだああああ!!」 

 

 

 

 もう振りかざす手を止める気など、彼女にはなかった。

 

 

 

 

 

 






タイムパラドックス要素を無理くり入れたら、こうなった…





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