あんな奴を好きだった自分、ホント馬鹿じゃねぇ? 百合カップル? クソだよクソ! 過去に戻れたら絶対に選ばんわ! 作:Yunoko
『え、マジ? 結局復縁したの? アレと?』
「復縁なんかしてないよ。セフレにはしたけど」
『え、セフレて。いやいや、余計に意味分かんね。なぜそうなるし』
電話口の相手から困惑している気配をひしひしと感じる。
まあ、そりゃそうなる。
ついこないだまで、ぜってぇつぶす、後悔さしたる、ボロカスに言いまくると豪語していた私が、何をとち狂ったのか、セフレになっとるからな。
いや、私も時間が経てば経つほど、何やってんだ私という気持ちが強くなってる。
最初に徹底的に傷付けてやるとか息巻いてたのに、大した事も言ってない。むしろ、今後関わる機会を与えてしまい、アイツを喜ばせてしまう始末だ。
復讐心より性欲を優先するとか何やってんのマジで。馬鹿じゃないの。
いや、絶対馬鹿だね、馬鹿だよ、馬鹿でした。
多少演技もあるだろうけど、なんか暗くなったしメンヘラっぽいし、構ってちゃんな部分が強くなってんし、あの時の事を悪いとは思ってるけど私も可哀想みたいな雰囲気出してきてるし、本来はボコボコにして縁をばっさり切るべきだったと分かってんだホントは。
「うーん、ボロカスに悪口言って責めて別れようと思ったけど、どうせなら性欲満たして仲直りできるかも? ってタイミングで捨てようかなと」
自分の口から出た言葉のくそっぷりよ。
ここまでやったら、私にもアイツをとやかく言う資格はないだろう。
裏切られる痛みを知ってる私が、それを相手にもしてやろうというのだから。
『……刺されても知らねえぞ。あの子とあんま関わりすぎない方がいいと思うが』
「うん、分かってる。深入りしすぎない程度にする。それにアイツには絶対住所とか教えないし、離れる時は静かにフェードアウトしてくから」
『マジでやりすぎないようにしときなよ』
「うん、気を付ける。ありがとね千早」
『はいはい』
その後、二言三言とやり取りをして通話を切る。
今喋っていた千早は小学生の頃からの同級生だ。
アイツの裏切りを受けた際、私の味方側に立ってくれた数少ない友人。
私の性癖やら性的指向、腹黒い部分などを知った上で交流を続けてくれている、貴重な人材でもある。
アイツとは違い、こちらは大事にしなくてはいけない。
「そろそろ時間だし、準備すっか」
※ ※ ※
「あっ、ほのちゃん!」
「おう」
コイツをセフレにしてから、また出会うまでに1週間が経った。
あの再会の日、すぐにホテルへ直行……となる私ではない。
すぐ抱きつこうとしたコイツを押しのけ、まず私がやらせた事は一つ。
「あれ、持ってきた?」
「もちろん! ちゃっ、ちゃんと異常なしだった! 私の身体、大丈夫だから! へへっ……」
はにかみ笑顔で嬉しそうに両手で差し出す紙。
とある病院の検査結果。何の検査結果かといえば。
「全部マイナス……陰性か。うん、病気は無さそうか」
「そうだよ、性病じゃなかったよ。安心安全だよ」
そう言ってにへらと笑うコイツ。
自分の身体を抱きしめながらクネクネしててキモイので無視。
コイツにさせたのは性病検査。
私はコイツ以外、そういった行為は一切していない。
一途だとか気取るつもりはない。そういった相手があれから出てこなかっただけだ。
性欲モンスターな私だが、それでも男としようとはならず、かといって身近でそういう事をしてくれる女もいなかったのである。
一方コイツは私と別れて以降、元彼の面々や元旦那とそういう事はしてるわけで。
となれば、高くはないのだが性病のリスクを考えてしまう。
まあ、性病検査してきてと私が言った時はびっくりして、そのあとショックだ、信じられないみたいな顔してて面白かった。
「私、そんな病気になるような相手としたりとかしてないよ。信じてもらえないかもだけど、誰とでもしてるわけじゃないよ」
なんて言い出すので、そこはまあテキトーに言いくるめた。
旦那さん浮気してたんでしょ? その相手が性病持ちだったら伝染しちゃうかもしれない、もしアンタにも感染してたら(私の身体が)心配だから、まずは検査してきてなんてね。
「そんなの、考えた事もなかった……私、こんな最低なのに心配してくれて、ほのちゃんはやっぱり優しいんだね……ありがとね」
ちったぁ考えろや。
優しいとかじゃなくて、単に私が性病持ちのやつとヤリたくないだけだ。
あと単純にお前の身体汚いかもしんないから、って意味合いで検査受けさせたのもあるぞ。つまり嫌がらせ。
性病全体の検査ってなればそこそこ費用掛かるらしいからな。まあ、そこは私に払うつもりだった迷惑料で補わせたけど。
「…………うん、ちゃんと確認した」
あらためて検査結果の紙を見て、同時に私のスマホの中の画像と見比べる。
検査結果が分かった際、その場でコイツに写真を撮らせて私に送信させたのだ。
もちろん、病院内と分かる場所でな。写真について聞かれたら、親が心配してたから先に送って安心させたいとか言っとけと伝えてある。
元旦那が浮気して違う女とした事や、なんか怪しい様子だったから自分も不安になって……とか言っておけば、向こうは勝手に察するというか、勘違いしてくれるし一石二鳥よ。
元旦那は地元の人らしくて、なんなら私とも同級生だったらしいからな。
名字にまったくピンと来ないあたり、マジで記憶にないけど。
そして、コイツが通ったクリニックの看護師の中にはやたらと口の軽いやつ(守秘義務をちゃんと守れや)がいるし、そいつがじわじわと噂を広げてくれれば勝手に元旦那の悪評も広まるだろ。
その事を伝えた時も、コイツは何を思ったのか泣き出す始末。
「ほのちゃんが私の為に考えてくれて嬉しい」
とかほざきよる。
検査をスムーズに受けさせるための方便だっつーの。
まあ、わざわざ言わんけど。飴と鞭は上手に使っていかなくちゃいけない。
おっと、結果も分かったからにはさっさと要件を済ませよう。
「じゃあ……」
「安心してエッチできるね!」
爽やかな笑顔で言うな。
白メインの清楚系コーデで固めてきてるから、清楚系ビッチみてぇだ。
「どっちの車で行く? 私、全然運転するよ!」
ハンドルを捌くジェスチャーをしているコイツを無視して、私は車のキーを取り出す。
お前の運転は荒くて怖いから、私の車で行く。
明日は仕事休みだけど、明後日は仕事なんだ。事故でも起こされたらたまったもんじゃないからな。
「うん! わぁ、久しぶりだなぁ、ホントに久しぶりすぎて、なんだろ、ドキドキしてるよ私」
「アンタと別れてからだからね。4年か5年だっけか」
「ほのちゃんは、私と別れてから誰かとした?」
「してない」
「…………そっか、じゃあ、私だけだね。ほのちゃんの隅々を知ってるの」
「歳取ったから多少変わってるだろうけどな。ホクロとか増えてくるし。ほら、小指にもできちまった」
「ホントだぁ。じゃあ今夜はじっくりチェックしなくちゃね! 楽しみぃ!」
そんなこんな話してる内にホテル到着。
私の現住所と地元の中間くらいに位置し、今回初めての利用である。
まあまあ綺麗な感じの建物だし、道路の脇道から入っていく感じなので、あんまり目立たないのは好印象。
ラブホは入っていく時はともかく、出てくる時が気になっちゃうからな。
事前調査は欠かせぬ。
「ところでそのミニトランク何?」
「ふふふっ、秘密! 部屋に着いてから教えるね! 今夜楽しむために準備してきたんですよ!」
テンション高い……さっきから思っていたが、少しずつ昔のコイツに戻ってきてる気がする。
まあ、中身はどうせエッチ関係の道具だろ。コイツは昂ると上も下も液体出まくるからな。ペットシーツだのラバーやら持ってきたのかもしんない。
最初の頃とか、疲れてベッドに横になったらコイツの液体だらけで冷たくて飛び起きたくらいだし。
「部屋適当でいい?」
「どれでもいいよ。あ、でもこの広いやついいかも」
「はいはい、じゃあここで宿泊……と」
パネルで部屋を選択してフロントで鍵を貰い、進んでいく。
なんでラブホのエレベーターってのはこんなに狭いんだ。昔ならこの狭い空間で乳繰り合ったりしたが、今はそういう気分にならない。
「アンタ、パイ当ててきてる?」
「そう! どうぞ!」
両腕で抱え込むように持ち上げてきたため、こちらも失礼のないようにむんずと掴む。
ん? あっ、コイツ、ブラを着けてない!
「下スカートだけど、まさか」
「もちろん履いてない! 確かめてみていいよ」
「…………」
本当に履いてねぇ……この痴女が! 興奮する!
つい数十秒前までの言葉を撤回し、乳やら尻やら揉みながら部屋へ向かう。
鍵を開けて中に入るなり、コイツは……亜紗はベッドにミニトランクの中身を出していった。
中身はまあ、案の定というか、なんというか。
「私ね、色々準備したんだよ! ペットシーツとかラバーとか、指ゴムとかあとコレも……」
「うわ、媚薬。これドンキで売ってるやつじゃん、結構高いやつだし」
「全然! 2本で2万円もいかなかった! 塗るやつも買った!」
金銭感覚どうなってんだよお前は。
すべて今夜のために用意したであろう品々。そんなに楽しみだったのか、そんなに尽くすつもりだったのか、どうなんだろう。
「どんだけ金使ってんの。いくら? 私も出す」
「いらない。これは私の気持ちだから。今日はね、ほのちゃんに奉仕する日なの。だから、ほのちゃんは1円だって出さなくていいの」
さっきまでの笑顔はどこへやら、真顔になるコイツ。
目つきが私の知っているコイツらしくて、ちょっとドキッとしてしまった。
腹立たしいので「かっこつけんな」と言って乳を揉む。揉み続ける。あえぐんじゃねぇ。上目遣いで私を見るんじゃねぇよ。
あー、ムラムラしてきた。さっさとシよう!
性欲を発散させている時、馬鹿みたいに絡み合ってる時、私は憎い気持ちとか、黒い感情を忘れていられた。
ホントに久しぶりに、コイツの名前を連呼してた。
名前を連呼してはあちこち触って、舐めて、噛んで、コイツを弄んだ。
この時間だけは、何もかも懐かしかった。
何やってんだろ、私。