休日の朝だった。
本来なら、ゆっくり寝ている予定だった。
少なくともあなたはそう思っていた。
「ノクス」
左から声。
「何」
顔を向ける。
すぐ近くにルミナがいた。
近い。
最近ずっと近い。
肩が触れそうな距離。
というか、ほぼ触れている。
本人は平然としている。
平然としているから困る。
「髪」
「髪?」
「跳ねてる」
そう言いながら前髪へ手を伸ばしてくる。
「いや自分でやるから」
「動かない」
整えられる。
当然のように。
「……ありがとう」
「うん」
満足そうに頷くルミナ。
その時だった。
後ろから体重がかかった。
「ノークースー!」
「うわっ!?」
勢いよく背中へ抱きついてきたのはステラだった。
「補給!」
「人を何だと思ってるんだ」
「ノクスの!」
「答えになってねぇ」
ぎゅう。
抱きつかれる。
逃げようとするとさらに強くなる。
酷い。
「離れろ」
「嫌!」
「即答するな」
「嫌だから!」
本当に酷い。
すると、目の前に影が落ちた。
見上げる。
プリンだった。
「何だよ」
「ノクス」
「何」
「空いています」
「何が」
プリンはあなたの膝を見る。
嫌な予感がした。
「待て」
「座ります」
「待てって」
待たなかった。
当然のように膝へ座る。
「プリン!?」
「安定しています」
「俺が安定してないんだよ!」
ルミナ。
ステラ。
プリン。
三方向、逃げ場なし。
何なんだ本当に。
ルミナが首を傾げる。
「顔赤い」
「誰のせいだと思ってるんだ」
「熱ある?」
「ない!」
ステラが覗き込んでくる。
「でも真っ赤」
「近い近い近い!」
プリンも不思議そうな顔。
「照れています」
「分析するな!」
あなたは頭を抱えた。
最近ずっとこうだ。
ルミナは距離が近い。
ステラは隙あらばくっついてくる。
プリンは何故かさらに近い。
悪意はない。
むしろ好意だ。
だから困る。
最近本当に心臓が休まらない。
「ノクス」
プリンが見上げる。
「何」
「嫌ですか?」
その言葉に、少しだけ詰まる。
嫌じゃないから困るのだ。
「そういう話じゃない」
「?」
分かってない顔。
ステラも。
ルミナも。
三人とも分かっていない。
あなただけが勝手に死にかけている。
限界だった。
「ちょっと出てくる」
あなたは立ち上がった。
「どこに?」
ルミナが聞く。
「散歩」
「一人で?」
「一人で」
即答だった。
これ以上ここにいたら心臓が持たない。
あなたは逃げるように家を出た。
*
十分後。
街を適当に歩いているとスマホが震えた。
画面を見る。
秋葉だった。
『今暇か』
『暇だけど』
『なら付き合え』
『命令?』
『半分くらいは』
相変わらずだった。
あなたは少しだけ笑う。
『どこ行けばいい』
すぐに位置情報が送られてくる。
近くだった。
『了解』
返信して向かう。
*
待ち合わせ場所には既に秋葉がいた。
管理庁の制服ではない。
珍しく私服だった。
それでも背筋は真っ直ぐで。
どこか上官らしい空気は消えていない。
「待たせたか」
「いや」
秋葉があなたを見る。
数秒。
「……何だその顔」
「何でもない」
「絶対何かあるだろ」
「少し疲れているように見えた」
図星だった。
あなたは視線を逸らす。
秋葉は小さく笑った。
「なるほど」
「何が」
「最近大変そうだからな」
「知ってるのか」
「見ていれば分かる」
酷い。
だが否定できない。
秋葉は肩をすくめる。
「まあいい」
「それで用事って何だ」
「付き合えと言っただろう」
「だから何に」
「買い物だ」
「荷物持ちか」
「そうとも言う」
即答だった。
あなたはため息を吐く。
「断る権利は」
「ある」
「珍しいな」
「だが断るな」
「結局命令じゃねぇか」
秋葉が少しだけ楽しそうに笑った。
そして歩き出す。
あなたもその隣へ並ぶ。
気付けば、さっきまでの騒がしさが少し遠くなっていた。
それだけで、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
少しだけ肩の力が抜けた気がした。
休日の街は賑やかだった。
人通りも多い。
買い物客。
家族連れ。
学生。
平和な光景だ。
秋葉はそんな人混みを慣れた様子で歩いていく。
あなたもその隣を歩いた。
「最近、落ち着かない顔をしているな」
秋葉がふと口を開いた。
「そう見えるか?」
「見える」
即答だった。
あなたは小さくため息をつく。
「実はさ……」
少し迷ってから言葉を続ける。
「ルミナも、ステラも、プリンも……みんな妙に距離が近いというか」
秋葉は黙って聞いている。
「好いてくれてるのは嬉しいんだ」
「だろうな」
「でも、その……三人ともそれぞれ違う形で好意を向けてくるから」
あなたは頭をかく。
「毎日ドキドキして落ち着かない」
正直な本音だった。
誰か一人でも十分に振り回されそうなのに。
三人同時となればなおさらだ。
秋葉は少しだけ目を細めた。
「贅沢な悩みだな」
「自分でもそう思う」
「だが、悩む気持ちも分かる」
意外な返答だった。
「分かるのか?」
「好意を向けられるのは嬉しい。だが、それにどう向き合うかは別問題だ」
秋葉は淡々と言う。
「無理に答えを出そうとするな」
「でもさ」
「焦るな」
静かな声だった。
「今のお前は、三人のことを大切に思っている。それで十分だ」
あなたは少し黙る。
「そういうものか?」
「そういうものだ」
秋葉は小さく肩をすくめた。
「毎日ドキドキするなら、それも今しか味わえない時間だと思っておけ」
「他人事だと思って」
「他人事だから言える」
少しだけ笑う。
その表情に、あなたもつられて笑ってしまった。
「どこまで進んだ」
秋葉が不意に聞いた。
「何が」
「恋愛方面だ」
「帰るぞ」
あなたは真顔で答えた。
秋葉は少しだけ目を細める。
「その反応を見る限り、何かあったな」
「何もない」
「嘘が下手だ」
「尋問か?」
「職業病だ」
即答だった。
秋葉は楽しそうでもなく、本気でもなく、ただ自然に歩く。
「それで」
秋葉が続ける。
「ルミナ」
「何で確定なんだよ」
「違うのか?」
「違わないけど」
「なるほど」
何もなるほどじゃない。
「ステラ」
「違う」
「違わないのか」
「違わないけど違う」
「面白いな」
秋葉が小さく笑う。
そして。
「プリン」
「…………」
あなたが黙る。
秋葉も黙る。
数秒。
「なるほど」
「何がだよ」
「一番面倒そうだ」
「否定できねぇ……」
秋葉が珍しく声を立てて笑った。
本当に珍しい。
あなたは少し驚く。
「……楽しそうだな」
「そうか?」
「そうだよ」
秋葉は少し考える。
それから。
「まあ」
小さく肩をすくめた。
「お前が元気そうだからな」
その言葉に。
あなたは少しだけ黙った。
ただ元気そうだと言われるのが妙にくすぐったかった。
「……別に普通だろ」
あなたは視線を逸らした。
「普通なら休日に家から逃げ出したりしない」
「逃げてねぇよ」
「そうか」
「そうだ」
「なら散歩だな」
「散歩だ」
秋葉は少しだけ笑った。
完全に信じていない顔だった。
酷い。
だが反論もできない。
実際、半分くらいは逃げてきたようなものだ。
「しかし」
秋葉がふと呟く。
「なるほどな」
「何が」
「お前が落ち着かない理由だ」
「だから言っただろ」
「想像以上だった」
「俺もそう思う」
即答だった。
秋葉が小さく吹き出す。
あなたは少し目を丸くした。
「そんなに面白いか?」
「少しな」
「性格悪いぞ」
「知っている」
即答だった。
そのまま二人で歩く。
人混みの中。
特に目的もなく。
ただ話しながら。
不思議と居心地は悪くなかった。
むしろ楽だった。
家では常に誰かがいる。
誰かの視線がある。
誰かの好意がある。
それは嬉しい。
嬉しいのだが。
今みたいな静かな時間も嫌いじゃない。
「そういえば」
秋葉が言う。
「今日はデートだったな」
「違う」
「そうだったか?」
「そうだよ」
「私はそういうつもりだったんだが」
「やめろ」
あなたは即座に返した。
秋葉がまた笑う。
完全に面白がっている。
「なら、お姉さんとのデートは楽で安心するな」
「……は?」
「恋愛的な圧も無い」
「無いな」
「距離も近くない」
「近くない」
「毎日顔を赤くする必要もない」
「最高だな」
即答だった。
秋葉の足が少しだけ止まった。
「…………」
「何だよ」
「いや」
秋葉は前を向く。
「随分と即答するなと思ってな」
「だって事実だろ」
「そうか」
何故か少しだけ不満そうだった。
意味が分からない。
そして数秒後。
不意に、手首を掴まれた。
「え」
そのまま指が絡む。
恋人繋ぎだった。
「秋葉さん!?」
「何だ」
「何だじゃねぇ!」
秋葉は平然としている。
「人が多い」
「理由になってない!」
「はぐれたら面倒だ」
「普通に手を繋げ!」
「これも手を繋いでいる」
正論だった。
だが違う。
全然違う。
あなたの顔が熱くなる。
秋葉はそんな様子を見て。
少しだけ満足そうに目を細めた。
「おかしいな」
「何が」
「お姉さん相手なら安心するのではなかったか?」
「うるさい」
「顔も赤くならないはずだったな」
「うるさい!」
秋葉が小さく笑う。
本当に楽しそうだった。
あなたは頭を抱える。
「……これじゃ家と一緒だろ」
ぼやくように言う。
繋がれた手を見る。
恋人繋ぎ。
どう考えても落ち着かない。
すると秋葉は即答した。
「そうか?」
「そうだよ」
「家では三人だろう」
「そうだけど」
「今は一人だ」
平然と言う。
「まだマシだろう」
「基準がおかしいんだよ……」
秋葉は少しだけ笑った。
それ以上は何も言わない。
繋いだ手も離さない。
あなただけが一人で振り回されながら。
二人は休日の街を歩いていった。
*
結局。
その後も秋葉は手を離さなかった。
あなたが何度か抗議しても。
「人が多い」
の一点張りである。
絶対嘘だろ。
そう思う。
「不服そうだな」
「不服だよ」
「そうか」
秋葉は少しだけ笑う。
本当に機嫌が良さそうだった。
こんな風に笑うところをあまり見たことがない。
「何だ」
「いや」
あなたは少し考える。
「意外だなって」
「何が」
「秋葉さんでもこういう顔するんだな」
秋葉が少しだけ目を細める。
「どういう顔だ」
「楽しそうな顔」
数秒。
沈黙。
それから。
「私を何だと思っている」
「怖そうな上官」
「酷いな」
否定しなかった。
図星らしい。
あなたは少し笑う。
秋葉も肩をすくめた。
「私も人間だ」
「知ってる」
「ならいい」
それだけ言う。
少し風が吹いた。
秋葉の髪が揺れる。
休日の街。
平和な時間。
不思議な感覚だった。
こうして何も考えず歩いているだけで。
妙に心が軽い。
「……助かった」
ぽつりと漏れる。
秋葉が視線を向けた。
「何がだ」
「今日」
あなたは少し笑う。
「楽だ」
本音だった。
「何も起きないし」
「最近ずっと騒がしかったからな」
「そうか」
静かな返事。
だが、その声は少しだけ柔らかかった。
「なら良かった」
たったそれだけ。
なのに、何故だろう。
その言葉が妙に嬉しかった。
あなたは少しだけ首を傾げる。
前から思っていたことだ。
秋葉は時々、妙に優しい。
もちろん普段から面倒見は良い。
だが、それとは少し違う。
何かを見守るような。
大切なものを見るような。
そんな目をする時がある。
「秋葉さん」
「何だ」
「俺の顔に何かついてるか?」
秋葉が瞬きをした。
「何故だ」
「いや」
少し迷う。
「たまに変な顔するから」
「変な顔か」
「優しいっていうか」
「懐かしそうっていうか」
言葉を探す。
「何か変だ」
秋葉は数秒黙った。
本当に一瞬だけ。
何かを考えるように。
それから。
「気のせいだ」
「そうか?」
「ああ」
即答だった。
だが、どこか誤魔化された気がした。
あなたが首を傾げると。
秋葉は話題を変えるように前を向く。
「さて」
「ん?」
「昼飯にするか」
「誤魔化したな」
「気のせいだ」
「絶対違う」
秋葉は答えない。
代わりに。
少しだけ歩く速度を速めた。
その横顔はいつも通りだった。
けれど、何故だろう。
少しだけ、寂しそうに見えた気がした。
だが、次の瞬間にはいつもの秋葉へ戻っていた。
「ほら、置いていくぞ」
「待てよ」
慌てて後を追う。
秋葉は駅前の通りを抜け、大通り沿いの店へ入った。
昼時には少し早い。
それでも店内には客がそこそこいる。
窓際の席へ案内される。
向かい合って座る。
「好きな物を頼め」
「奢り?」
「奢りだ」
秋葉はメニューを開く。
あなたも続いた。
注文を済ませる。
少しして料理が運ばれてくる。
他愛もない話をする。
三人のこと。
任務のこと。
最近のニュース。
本当に何でもない話だった。
だからだろうか。
気付けば時間が過ぎていた。
食事を終えて店を出る。
その後も買い物へ付き合った。
荷物持ちをさせられ。
文句を言い。
秋葉に流される。
そんな時間だった。
特別なことは何もない。
だが、不思議と悪くなかった。
*
気付けば夕方だった。
空が少し赤い。
人通りも昼より落ち着いている。
「結構歩いたな」
あなたが呟く。
「そうだな」
秋葉も頷いた。
「満足したか」
「まあ」
買い物袋を見ながら答える。
「荷物持ちとしての仕事は果たした」
「ご苦労」
「労いが軽い」
「そうか?」
秋葉は少し笑う。
その笑顔を見て。
あなたもつられて笑った。
今日だけで何度見ただろう。
「何だ」
「いや」
視線が合う。
「こういうのも悪くないなって」
「デートか?」
「違う」
即答だった。
秋葉が吹き出す。
「そこは即答するんだな」
「する」
「そうか」
どこか楽しそうだった。
しばらく歩く。
夕陽が街を染めていく。
その時だった。
秋葉がふと口を開く。
「なあ」
「ん?」
「お前は」
少しだけ間。
「どこまで思い出している?」
あなたは首を傾げた。
「何を?」
秋葉も少し首を傾げる。
それから。
「……いや」
小さく息を吐いた。
「忘れろ」
「は?」
「今のは無しだ」
「気になるだろ」
「気にするな」
「無茶言うな」
秋葉は少しだけ困ったように笑った。
「そうだな」
「何の話だったんだよ」
「昔話だ」
「昔?」
「気にするな」
「だから気になるって」
秋葉は答えない。
代わりに。
ぽん、と。
あなたの頭へ軽く手を置いた。
「考えすぎだ」
「聞いたのお前だろ」
「そうだったか」
「そうだよ」
秋葉が少し笑う。
本当に少しだけ。
それ以上は何も言わなかった。
だからあなたも追及しない。
ただ、その時だけ。
秋葉の目が少し遠くを見ていた気がした。
だが、それも一瞬だった。
「さて」
秋葉が手を叩く。
「帰るか」
「急に切り替えたな」
「いつまでも引っ張る話でもない」
「引っ張ったのあんただろ」
「そうだったか」
「最近それ多くないか?」
秋葉は答えない。
代わりに少しだけ笑った。
相変わらずだった。
*
駅へ向かう道を歩く。
夕方の空気は少し涼しい。
人通りも昼より減っていた。
気付けば、いつの間にか手も離れている。
少しだけほっとした。
「何だその顔は」
「何でもない」
「失礼なことを考えているな」
「考えてない」
「そうか」
絶対信じていない顔だった。
「しかし」
秋葉が前を向いたまま言う。
「今日は少し安心した」
「何が」
「お前だ」
あなたは瞬きをした。
「俺?」
「ああ」
秋葉はそれ以上説明しない。
しないのだが。
「お前は何でも抱え込む」
「そんなこと」
「ある」
即答だった。
「否定するな」
反論できなかった。
少なくとも。
秋葉はそう見ているらしい。
「だから」
秋葉が肩をすくめる。
「たまには今日みたいな日も必要だ」
「……そうかもな」
秋葉は満足そうに頷いた。
「よし」
「何だよ」
「なら今後も定期的に呼び出す」
「は?」
「拒否権はある」
「おお」
「だが断るな」
「結局命令じゃねぇか!」
秋葉が声を立てて笑った。
本当に珍しく。
楽しそうに。
その笑顔を見て。
あなたもつられて笑ってしまう。
夕陽が沈んでいく。
長い影が並ぶ。
そんな帰り道だった。
*
そして、家の前まで戻ってきた時。
あなたは小さく息を吐いた。
「帰りたくねぇ……」
本音だった。
秋葉が吹き出す。
「そこまでか」
「ルミナとステラとプリンが待ってる」
「そうだな」
「絶対何か言われる」
「言われるだろうな」
「他人事だな」
「他人事だからな」
酷い。
本当に酷い。
だが、少しだけ笑ってしまった。
今日一日で、随分気が楽になった気がする。
「じゃあな」
秋葉が踵を返す。
「おう」
数歩歩いて。
ふと振り返った。
「ノクス」
「ん?」
秋葉は少しだけ目を細める。
いつもの上官の顔でも。
今日のお姉さんみたいな顔でもない。
どこか穏やかな表情だった。
「元気でいろ」
たったそれだけ。
それだけ言って。
秋葉は去っていった。
あなたはその背中を見送る。
変な言葉だなと思った。
だが、嫌な気分ではなかった。
だから。
「……うん」
小さく返事をして。
あなたは家の扉を開けた。
案の定、中では三人が待ち構えていた。
「ただいま」
「おかえり」
ルミナ。
「おかえりー」
ステラ。
「おかえりなさい」
プリン。
返事は普通だった。
普通だったのだが。
何故か嫌な確信があった。
「……何だよ」
三人が顔を見合わせる。
そして。
「秋葉さんとデートしてた」
ルミナが言った。
あなたは固まった。
「は?」
「デート」
ステラが頷く。
「デートです」
プリンまで続く。
「何で知ってるんだよ!?」
三人とも少し黙った。
嫌な予感がする。
すると。
ルミナが視線を逸らした。
「……心配だったから」
「ん?」
「一人で出て行ったから」
嫌な予感が大きくなる。
ステラも気まずそうな顔。
「ちょっとだけ」
「ちょっとだけ?」
「後つけた」
「お前ら!?」
思わず叫んだ。
ルミナが肩をすくめる。
「だって急に出て行くから」
「心配だったし」
ステラも続く。
「何かあったら嫌だなーって」
プリンが当然のように言う。
「ストーカーです」
「言い方!」
正直すぎる。
ルミナが頭を抱えた。
「もっと他の言い方あるでしょ」
「尾行です」
「変わってねぇ!」
思わず突っ込む。
するとステラが小さく手を上げた。
「でも途中でやめた」
「……やめた?」
「うん」
「秋葉さんいたから」
三人が揃って頷く。
あなたは少し黙った。
そして、ため息を吐く。
「それなら最初からやるな」
「ごめん」
「反省してる」
「最悪、見つからないようにします」
「反省してねぇ!」
即座に突っ込む。
プリンが不思議そうに首を傾げた。
駄目だこいつ。
だが、少しだけ考える。
秋葉がいたからやめた。
つまり、監視したかったわけじゃない。
本当に心配だったのだ。
何かあったんじゃないか。
無理をしているんじゃないか。
そう思ったから追いかけた。
秋葉が一緒にいるのを見て。
安心した。
それだけ。
そう考えると、怒る気も少し失せる。
「……次はちゃんと言え」
三人が少し驚いた顔をする。
「心配なら」
「聞け」
「勝手についてくるな」
しばらく沈黙。
それから。
「うん」
ルミナが頷く。
「分かった!」
ステラも。
「善処します」
「プリン」
「はい」
「お前だけ返事がおかしい」
思わず頭を抱えた。
三人とも少し笑う。
その顔を見て。
結局あなたも笑ってしまった。
どうしようもない。
本当に、どうしようもない三人だった。
誰が好き?
-
ノクス
-
ルミナ
-
ステラ
-
プリン
-
秋葉