真・恋姫無双 華琳の兄は死神   作:八神刹那24

16 / 81
第六話

Side:刹那

 

凪達も加わったので一度状況をまとめることになった。

 

俺達の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団である。

この手の自然発生する暴徒を倒す定石としては、まず頭である張角を倒し、組織の自然解体を狙うことだ。

しかし正確な場所が中々つかめない。

特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性が高い。

 

ふー。さて、どうするか。華琳や桂花も良い案が出ないでいる。

俺も何か根本的なことを忘れている気がするのだが、それが分からない。

 

沙和が街の住人に配る糧食が無くなったので、軍用の糧食を配っていいかと聞いてきた。

義勇軍の加入などにより糧食はあまり余裕がない。しかしここで出し渋れば騒ぎになりかねないので、取りあえず三日分で様子を見ることになった。

 

…待てよ。……そうか糧食か。忘れていたことが分かった。

 

「どうかした、兄さん。何か思いついたの?」

 

俺が笑っているのに華琳が気が付いて声を掛けてきた。

 

「ああ、奴らの見つけ方が分かった」

 

「流石ですね曹進さま!それでどうやって見つけるんですか?」

 

「季衣、人が生きていくのに絶対に必要なのは何だ?」

 

「えっと…ご飯ですか?」

 

「そうだ。空気、水、食糧。この三つが必ず必要だ。空気は特定の場所以外はそこらにあるから気にすることはない。水もある程度現地調達は可能だ。しかし食糧は層はいかない。少しなら可能だが数千、数万分の糧食など現地調達は不可能だ。どこかに物資の集積地点があるはずだ。物資の移動を追っていけば張角に辿り着くかもしれない」

 

「お言葉ですが刹那様。糧食等の追跡、発見は確かに有効だと思います。しかし、そのような重要なものの集積地点、経路は巧妙に隠されているものです。探すのは一苦労かと」

 

桂花の指摘は最もだ。だが、それは真っ当な軍での話だ。それなりの指導者が現れたとはいえ、所詮は素人だ。連中がそんな細かいことができるとは思えない。

 

華琳と糧食の配給をしている沙和以外のもので偵察に出た。

 

春蘭が敵の陣地を発見した。ここから半日ほどのところだ。

 

敵は既に物資の移動の準備を始めていたようで、早急に手を打つ必要がある。

 

直ぐに陣を撤収しまだ戻ってきていない者たちとは、現地で合流することにした。

 

予備の糧食は沙和の部隊が残り配給することになった。

 

 

敵の砦にたどりついた。敵の本隊は近くの官軍を迎撃しに行っているようで、残りは一万程度のようだ。こちらは義勇軍と併せて、八千と少々。向こうはこちらに気が付いていないし、荷物の搬出で精一杯のようだ。

 

今なら絶好の機会。一気に攻め落とす。

 

桂花の提案により戦闘終了後、全ての隊の手持ちの軍旗を全て砦に立てて帰ることになった。

真桜が誰が一番高い所に旗を立てられるか競争しようと言い始め、春蘭達が乗った。華琳も認め、一番の者には褒美を出すとまで言った。

それにより他の者たちもやる気を出し始めた。

 

なぜか凪もやる気みたいだ。真面目な凪のことだから真桜のことをたしなめるかと思ったが、勢いよく食いついた。

何か望でもあるのか?

 

部隊の配置は四天王を中心に行われた。義勇軍の連中は正規軍の動きに合わせられないので一纏めにして、俺が凪を補佐に付けて指揮することにした。

真桜は秋蘭の部隊に入れ、秋蘭の指揮を見せておく。

 

 

 

戦闘はあっけなく終わった。敵の主力、指揮官が本隊にいたようで、雑魚ばかりだった。大量の糧食を焼かれたこともあり、敵はしばらくはおとなしくなるだろう。補給線が復活すれば、優先順位の高い順から補給をまわす。あとはそれを追っていけば張角に行きつく可能性は高い。

 

 

旗の件は、季衣が一番だった。季衣は特に欲しいものはないらしい。一つ貸しとしておいて欲しいものができたらその時にと。

 

凪は二番だった。顔には出していないが悔しそうだった。そんなに欲しいものがあるのか?

 

ん~。

 

「一番の季衣は華琳が褒美を出すから、二番の凪には俺が褒美を出してやろう」

 

「本当ですか!?」

 

俺の提案に凪が凄い勢いで食いついてきた。

 

「ああ、だが華琳と違って叶えられることは限られるぞ。何が望だ?」

 

「私を刹那様の傍においてください!」

 

……は?

 

「なんで俺の傍なんかに?」

 

「私は刹那様の傍にいて、色々と学びたいのです。あなたに付いていけば、私はもっと強くなれる気がするんです!」

 

凪が俺の何処にそれを感じたのか分からんが、やる気があるのなら俺としては拒む気はない。

 

だが華琳の了承は必要なので、華琳の方を見る。

 

「構わないわよ、凪。兄さんに付いて行くのは大変だろうけど、頑張りなさい。必ず大きく成長できるはずよ」

 

「はい!!」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。