真・恋姫無双 華琳の兄は死神   作:八神刹那24

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第十二話

Side:早苗

 

目的地に到着し、刹那様の元に召集された。

 

「密偵からの情報によると敵の数は二万ほどです」

 

「敵数は予定通りだな。我軍が八千、劉備軍が三千。我らの勝ちは揺らがない」

 

桂花ちゃんの説明に煉華様が続く。

 

敵の数が倍近いけど、そこは精鋭と賊徒の差があるので楽勝だろう。

劉備軍の装備は貧弱すぎるので対して当てにはしていない。ちょっと可哀想な気もするけど、こんなご時世だからしょうがない。

 

「予定外のこともあるわよ。連中、今朝近くを通りかかった官軍と戦って勝っているわ」

 

「なるほど。今は勝利に浮かれているというわけだ」

 

「そう。普段役にも立たない官軍だけど、今回は役にたってくれたわね」

 

 

桂花ちゃんが作戦に付いて説明してくれた。作戦は刹那様と桂花ちゃんで考えたらしい。向こうはやっぱり弱小軍なので、形式的には話し合いのはずだが発言力はない。流石に孔明ともなると北郷とは違ってその辺はわきまえている。

 

作戦はシンプル。

まず、劉備軍に横隊を組ませて正面から攻めさせる。

浮かれている敵は対応が遅れる。

だが圧倒的な兵力差で押し返してくる。

練度では劉備軍が上だが、装備は大差ない。押しに押されるだろう。

その隙に凪ちゃん率いる、少数の歩兵隊で備蓄している兵糧に火をつける。

敵が混乱する。

後は総攻撃で一気に殲滅。

 

 

決めては二つ。

劉備軍がどれだけ敵を惹きつけてくれるか。

凪ちゃん達が火を上手くつけられるか。

 

重要な役目を任された凪ちゃんは緊張しまくり。大丈夫かな。

 

「凪、そんなに緊張するな。お前達が失敗したら終わりって訳じゃないんだから」

 

「ああ。お前が失敗しても刹那様と私が尻拭いはしてやる。そもそも正面からやっても勝てる敵なんだ」

 

凪ちゃんは刹那様と煉華様の言葉で幾分落ち着いた。

 

さて、後は伝令を兵士に頼んで相手に伝えたら作戦開始かな。

 

「早苗、劉備軍に作戦を伝えて来い」

 

「了解。兵に命じてきます……って、えぇぇぇ!!私が行くんですか!?」

 

「そう言っただろうが」

 

「いやいや!私が行ったらまた北郷に絡まれて話が進まなくなりますよ!」

 

「………」

 

せ、刹那様が私を見つめている!これはひょっとして恋!?

……なんて冗談が言える雰囲気じゃない。真面目な話だ。

私も気を引き締めて聞かないと。

 

「早苗。お前には俺も煉華、もちろん華琳だって期待している。お前はそのうち、華琳や俺の名代として、諸侯や豪族と会うことだってあるかもしれん。今回はその第一歩だと思え。あんな小僧ぐらいうまくかわしてこい」

 

「……あの、期待してもらっているのは凄く嬉しい、っていうか恐縮っていうか。……えっと。…あの。……なんで北郷があんな必死に私に絡んでくるのか聞かないんですか?

私に心当たりがあるってことぐらい、刹那様は分かっていますよね」

 

「それは今重要なことか?」

 

「重要ですよ!だってそれを使えばもっとこっちに有利に進められ」

 

「お前、俺を馬鹿にしているのか?」

 

「……え?」

 

「俺はガキのころから一癖も二癖もある連中を相手にして来ているんだ。しかも大体はとても友好的とはいえない態度の連中をだ。あんな小僧ぐらい軽く捻れる。

 

だからお前が無理して話す必要はない。くだらないことは心配するな。お前が本当に話しても良いと思った時に話してくれ。それまでいくらでも待つよ」

 

……私は煉華様と凪ちゃんを見る。

 

二人とも頷いてくれた。

 

あ、ありがとう…ございます。

 

私は必死に涙をこらえた。

 

 

 

本当はそんなたいしたことじゃないかもしれない。

 

前世の記憶があるだけなんだ。

 

でも、頭がおかしいとかって思われるのが怖い。

 

実際私がそうだった。

 

テレビとかで前世の記憶があるっていう人がたまにいた。私はどうせ嘘だろ、テレビに出たいだけじゃないか、としか思っていなかった。

 

あの人たちの中に本当に記憶がある人がいたら申し訳なかったな。

 

 

 

「早苗、いつまでぐだぐだしている。時間に余裕はないぞ。早くお前の任務を果たして来い」

 

「っはい!必ず皆さまのご期待に応えてみせます!!」

 

 

 

 

この遠征が終わって落ち着いたら必ず話そう。

 

それまで待っていてください。

 

 

よーし!北郷一刀来るなら来い!お前なんかに私の邪魔はさせない!!

 


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