真・恋姫無双 華琳の兄は死神   作:八神刹那24

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第二十四話

Side:刹那

 

俺達は張三姉妹を華琳の元に連れていた。

 

「貴方達が張三姉妹ね」

 

「そうよ。悪い!」

 

捕えられているというのに随分強気だな。ひょっとして自分の置かれている状況が理解できていないのか?

 

「季衣。あなたの見た歌い手達で間違いない?」

 

「はい。ボクが見たのと同じ人達だと思います」

 

「しかし、どうしてこんな事をしたんだ?ただの旅芸人がするにしては大それているが」

 

「……色々あったのよ」

 

俺の質問に心底疲れ切ったように答えた。

 

「色々ねぇ……?ではその色々とやらを話してみなさい」

 

「話したら斬るつもりでしょう!私達に討伐の命令が下ってるのだって、知ってるんだから!」

 

華琳が話しているので本来なら口を挟むべきではないのだが、次女が自分の立場をわきまえず、ぎゃーぎゃー騒ぐのに若干苛立ち口を挟む。

 

「ふん。討伐命令が出ても仕方があるまい。お前達のせいでどれだけの罪なき人間が苦しみ、死んだか分かっているのか?」

 

「それはあいつ等が勝手にやって……」

 

「下を抑えられなければ同罪だ。

上に立つ者は完璧であるべきとはいわない。しかし下を扱いきれない程の無能は罪といってもいい。

自分だけでなく、周りのもの全てに害を与えるな」

 

「……分かっているわ」

 

こんな小娘たちに言ってもしょうがないのは分かっている。

 

だが、焼かれた家や惨たらしく殺された人々の光景を思い出すと言わずにはいられなかった。

 

「刹那。気持ちは分かるけどそこまでにしておきなさい」

 

華琳が俺のことを見詰めてくる。俺は軽く頷く。

 

「さて、あなた達の処遇は話を聞いてから決めるわ。それから、一つ誤解しているようだけれども……」

 

「何よ?」

 

「あなた達の正体を知っているのは、おそらく私達だけだわ」

 

「…………へ?」

 

華琳の告げた一言に、間の抜けた声が返ってきた。

 

華琳は桂花を近くに呼びつけ、説明するように言った。

 

「貴方達、ここ最近私達の領から出ていなかったでしょう」

 

「それは、あれだけ捜索や国境の警備が厳しくなったら……出て行きたくても行けないわ」

 

だから張角達の名は広がっているが、正体については不明のままだ。

 

しかも俺達があらゆる噂を流したのでもうめちゃくちゃだ。

 

人の噂は面白いな。人から人に話されるたびに少しずつ内容が変わっていく。

 

しかし全てが何も共通していない情報ばかりというのも良くない。

 

嘘の中に少し本当の事を混ぜることによって嘘が強められるものだ。

 

今回は無数の噂から信憑性の高い情報を集めると形になるように細工しておいた。

 

元は盗賊の長身、ちび、でぶの三兄弟。

 

これが優秀な情報処理ができるものなら辿り着く答えだ。

 

仮に本物の正体を知っている者がいたとしても、首魁を庇うための嘘だと思われる可能性は高い。

 

 

「という訳であなた達の正体がこれからばれる可能性は極めて低いわ」

 

「可能性あるんじゃないの!」

 

「当り前よ。物事に絶対はないのだから」

 

「……結局、何が言いたいの?」

 

「黙っていてあげてもいい、と言っているのよ」

 

「……どういう事?」

 

「あなた達の人を集める才覚は相当なものよ。それを私のために使うというのなら……その命、生かしてあげてもいいわ」

 

「何?脅迫するつもり?」

 

脅迫ねぇ。やはりこの次女は立場が分かっていないようだな。

 

「目的は何?」

 

「ちょっと、人和!」

 

姉二人とは違って末っ子は多少出来るかな。本隊をなんとか支えられていられたのも彼女あってか。

 

「私が大陸に覇を唱える為には、今の勢力では到底足りない。だから、あなた達の力を使い、兵を集めさせてもらうわ」

 

「その為に働けと……?」

 

「そうね。一種の雇用とでも思ってくれても構わないわ。活動に必要な資金は出してあげるわ。報酬は働き応じて変動。稼ぎたかったらがんばりなさい」

 

「……私達はあなたに雇われるわけね。分かった。その条件飲みましょう。その代わり、私達三人の全員を助けてくれる事が前提」

 

「問題ないわ。決まりね」

 

話がまとまりそうだっただが、また次女が騒ぎ始めた。

 

「ちょっと人和!何勝手に決めてるのよ!……姉さんも何か言ってやってよ!」

 

「えー。だってお姉ちゃん、難しい話ってよくわかんないし……」

 

「あーもう役に立たないわねっ!」

 

騒々しい姉妹だこと。うちの姉妹はどうかと目を向けると、

 

「…………」

 

「……どうした秋蘭。なぜ私を見る」

 

「いや……何でもない」

 

秋蘭、気持ちは分からなくもない。

 

 

…………俺は大丈夫か?

 

 

 

 

Side:早苗

 

なんやかんやとあり、張三姉妹は華琳様に雇用されることで話がまとまったみたい。

 

「あなた達は広報も担当してもらうわ。あなた達の今後の活動については早苗、あなたが指揮をとりなさい」

 

「…………はい?」

 

突然の命令に状況が把握しきれない。

 

「ど、どうして私何ですか!?」

 

「あなたこういうの詳しそうじゃない。らいぶ?とかいったかしら?」

 

そりゃそうですけど……。私特に好きなアーティストとかいなかったし、テレビで観た事があるくらいで裏方の仕事とか全然知らないですよ!

 

「安心しなさい。全部あなたにやってもらう訳じゃないわ。責任者は当面桂花にして、落着いたら専任の部署を作るから。あなたには色々と助言をしてもらえればそれで良いわ」

 

なるほどアドバイザーですか。なんか格好良いかも!

 

そういえばアイドルマスターという、アイドルを育てる(?)ゲームがあったっけ。

 

私の周りでやっている人はいなかったから全然知らないんだよな。

 

ふふ、リアルアイドルマスターですな。

 

腕が鳴る!さながら私は早苗P!!

 

何千、何万というファンを持つ、アイドルグループにしてやろうじゃないか!!

 

 

 

 

 

<没ネタ>

春蘭が黄巾党にはめられた時の没ネタ

 

 

「…呆れた。それで、孫策に借りを作ったまま帰って来たというの?」

 

「馬鹿だな」

 

「馬鹿だな」

 

「お馬鹿さんね」

 

「死ねば良いのに」

 

華琳に続き俺、煉華、紅、桂花と一気に叩きつける。

 

「な、なにも皆揃ってばかばか言わなくたっていいじゃないか」

 

なっ!?

 

泣きながら眼をこすっている春蘭がそこにいた。

 

……あまりの出来事に思考が停止してしまった。

 

「ガッハッ!……姉者は、ゴホッ、やっぱり、ゲフン、……可愛いな」

 

秋蘭、何でお前は吐血しながら悶えているんだ!?

 

俺達が遠征にいっている間に何があったんだ!!??

 

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