真・恋姫無双 華琳の兄は死神   作:八神刹那24

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第七話

Side:趙雲

 

私が生涯仕えるのに相応しい人物を探す放浪の旅もここ曹操軍で最後だな。

 

これまで回った勢力の中でこれはと思えたのはたった一人だけだった。

 

その人物の名は孫策。

 

勇猛、知略にも通じ、従える将はそれぞれ一騎当千。今は袁術の下に甘んじでいるがかならず牙を剥くことだろう。

しかし、あそこは昔からの将達による団結心が強すぎる。新参であそこに入っても肩身が狭い気がする。

 

勢力でいうのであれば袁紹なのだが、名門の名ばかりのぼんくらだな。

 

他の勢力は有象無象。

 

 

 

曹操に会うため私は城にやってきた。

 

「失礼。私は趙雲と申す。客将として雇ってもらいたいのだが曹操殿に合わせて貰えないだろうか?」

 

「売り込みか。だったらあそこの赤い屋根の建物があるだろ。そこで受付をしているから行ってくれ。詳しい話は係りの者に聞けば分かる」

 

受付?私は事情がよく分からなかったが言われたとおりにした。

 

建物に入ってみると、左に『文』、右に『武』と書かれた受付があった。

 

入口にいた案内の女性によると、内政と軍で受付が分かれているらしい。

 

私は勿論『武』の方に行った。

 

「こんにちは、本日はどのような御用件でございますか?」

 

受付の女性が爽やかな笑顔で挨拶してきた。

 

「客将として雇って貰いたく、曹操殿に合わせて貰いたいのだが」

 

「客将希望ですね。どなたかの推薦状はお持ちですか?」

 

「……推薦状ですか?」

 

女性の説明によると、曹操軍の上級将校以上、文官の地位の高い者に推薦状を書いてもらえるらしい。

推薦状の有無により不利になることは特にないが、あれば紹介した者に特典があるらしい。

 

もちろん唯書けばいいものではない。其の人物が高評価であれば良いが、たいしたことがない奴ならば推薦した者の評価も下がる。

 

よほど見こんだものでなければまず書けないらしい。

 

推薦状はなしで次の話に移ろうとした時声を掛けられた。

 

「ひょっとして星ではないか?」

 

「おお、愛紗ではないか。どうしてここに?」

 

「それは私の台詞でもあるのだがな。私は今、曹進様に仕えているのだ」

 

曹進。曹操の兄で色々な噂を聞いていた。良い噂と悪い噂が半々でよく分からん者だ。一部では死神や影の支配者などとも呼ばれている。

 

私は愛紗が曹進に仕えるまでの経緯を聞き、私がここに来た理由を話した。

 

「そういうことなら私が直接、刹那様に紹介してやろう」

 

「有難いが私はここのやり方も興味があるのでな、通常のやり方で行かせてもらうよ」

 

「そうか。なら私が推薦状を書いてやろう。それくらいは良いだろう?」

 

「そうだな。ならお願いしようか」

 

愛紗に推薦状を書いてもらい、受け付けを終了させると別の部屋に案内された。

 

部屋で待っているとすぐに男が入ってきた。

 

「それではこれからいくつか簡単な質問をします。なおこの質問は試験官が円滑に試験を進めるのに参考にするためのものです。」

 

質問はそれほど難しいものはなかった。

 

姓名、年齢、出身地、これまで仕えてきたところ、趣味、特技、長所、短所などである。

 

一刻ほどで終わり、試験本番は二刻後だそうだ。

 

特にやることもないので待合室で待っていた。時間だと告げられ部屋に案内された。

 

そこで待っていたのは夏侯淵だった。

 

先にやった質問を更に詳しく聞かれ、次になぜ曹操軍に志願してきたのかなども聞かれた。

推薦人である愛紗との関係なども聞かれた。

あとは他愛のない世間話などを少々やった。

 

夏侯淵の話によるとこの試験自体は人となりを見るためのものであり、たいした意味は無いらしい。よほど酷い者をはじくためのもだそうだ。

 

腕前や素質を図る為に明日から調練に参加することになった。

 

どのような内容にするかは曹進が決めるらしいので、曹進の元に案内された。

 

「刹那様、秋蘭です。趙雲を連れてまいりました」

 

「ああ、入っていいぞ」

 

夏侯淵に続き中に入った。

「お初にお目にかかります。趙雲と申します」

 

「曹進です。どうぞおかけください」

 

この男が曹進か。

 

私は引き付けられた。

顔は整っていて美形の部類に入るだろう。しかし私が引き付つけられたのはそんなところではない。心にしみ込んで来る声、穏やかな表情。これだ、とはっきり言えないがこの人は人を引き込む何かを持っている気がした。

 

夏侯淵が役目を終え、部屋から出ていく。

 

曹進とは他愛ない話を二刻程した。

 

本題に入ると、曹進は客将には二つに分類できると言う。

 

一つは自分を売り込みたい者。その中で更に、本気でその人物に仕えたく実力を認めて貰いたい者。金が目的で実力を認めて貰い高額の給金を欲しがるものがいる。

 

二つ目は私のように仕えるに値するか見極めようとするものだ。

 

二つの種類によって対応が全く違ってくるらしい。

 

前者の場合は、その者の実力を見極めること。後者なら自分達のことを見極めてもらうこと。

 

私は一月から二月程かけて曹操軍に身を置き、軍全体の様子を見詰めることになった。

 

このような待遇は初めてなので楽しみになってきた。

 

曹進という男中々興味深い。

 

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