第一話
Side:華琳
私達は反董卓連合の集合地点に向け進軍した。
「華琳様!袁紹の陣地が見えました!他の旗も多く見えます!」
桂花が目的地に到着したことを報告してきた。
「曹操様!ようこそいらっしゃいました」
「顔良か。久しいわね。文醜は元気?」
「はい。元気すぎるくらいですよ」
「結構なことだわ。……で、私達はどこに陣を張ればいいのかしら?案内してちょうだい」
「了解です。それから曹操様、麗羽様がすぐに軍議を開くとのことですので、本陣までおいで頂けますか?」
「分かったわ」
私は煉華、紅に陣の構築を。桂花には参加している諸侯を調べるように指示した。
兄さん、春蘭、秋蘭を引き連れ私は麗羽の元に向かった。
「おーほっほっほ!おーほっほっほっほ!」
……はぁ。
思わずため息が出たわ。
「……久しぶりに聞いたわね。その耳障りな笑い声……麗羽」
何度、何時聞いても好きになれないわ。品が無いのよ。
「華琳さん。良く来てくださいましたわ」
「……」
「あら、曹進さんもいらしたのね。華琳さんも大変でしょうね。こんな愚兄をもって」
あーー無視無視。
麗羽は自分が名家の中の名家の出ということもあり、身分による差別が強い。
母親が庶民の出の兄さんを昔から無能者として扱っていた。
当然、私は最初、怒り心頭であった。しかし、
『なによ、あいつ。兄さんとおば様のことを馬鹿にして!』
『落ちつけよ華琳』
『なんで兄さんは平気なのよ!!』
『可愛いじゃないか。あいつには悪意も何もない。俺が普段浴びている悪意とかからしてみれば可愛いもんさ』
なんて笑って言うので、私だけが怒っていることが馬鹿らしくなった。
軍議を始める前に名乗りをあげることになった。
公孫賛、袁術、袁術の客将の孫策、馬謄の名代の馬超。中々豪華な面子ね。
孫策。話しいに聞いた通り、うちに凄まじい猛獣をかっているわね。袁術に扱いきれるとはとうてい思えない。
最後に劉備が名乗りあげた。場がざわめいた。
ふ-ん。あれが身の程知らずにも兄さんに対抗心をもっている男ね。
ぶ男ね。
「あーら。その貧相なのが、天からの遣いとかいう輩ですの?どこの下男なのかと思いましたわ」
その点は同感。みためは兄さんの圧勝だわ。
軍議は円滑に進められた。もっとも話し合う事などあまりないのだけどね。
此処に集まったのは皆、思惑あってのことだ。
自分達が優位な状況を作る為にも、最低限の情報しか共有しない。
都は十常侍配下の隠密部隊により間者の侵入が困難であった。そのため多くの諸侯は董卓や都の明確な情報は持っていないだろう。
私のところには兄さんが使っている隠密部隊『蛟(みずち)』が情報を手に入れてきている。
もっとも蛟をもってしても困難な任務だという。
そこで蛟の中でも精強な者を集めた部隊、『黒蛇』が担当している。
蛟の指揮官が自ら黒蛇数人と任務にあたっている。
もうひとつ、別の勢力の間者達も紛れこんでいるらしい。孫策である。
孫策というよりは、その軍師の周瑜の配下らしいが。
軍議は進み、麗羽の易い挑発で汜水関の攻略を公孫賛が担当することになった。
馬鹿ね。自慢の騎馬隊を馬鹿にされた程度で頭に血が上って、激情に任せるなんて。
第一、 関の攻略に騎馬隊なんて役にたつ訳ないじゃない。
我軍最強の騎馬隊である、煉華の騎馬隊の中でも、彼女直属の百騎は『黒龍騎』といい、他を圧倒するほどの強さをもつ。
麗羽は白馬軍団と黒龍騎どちらが強いか、汜水関攻略で決めてみては?
と言ってきたが最後にやってきて先陣など恐れ多いと適当にあしらった。
決めることも大方決めたので、軍議を終わらせる方向になったが、麗羽がまだ重要なことを決めてないと言い放つ。
どうせしょうもないことだろう。
「この連合を誰がとりまとめ、仕切るかですわ!」
本当にしょうもなかったわ。
満場一致で麗羽に決まった。
最初から選択肢なんてない。確かに名誉ある総指揮官は成功したさいにそれだけで名を売れる。しかし家柄、地位、権力、財力、どれとってももっと高い袁紹がなるしかない。
麗羽が満足したところで軍議は解散となった。
あー、なんか疲れたわ。