第10話 もう一人の巫女と、二人の神様
「――つまり!」
早苗の目がきらきらしていた。
「東京なんですよね!? 令和ですよね!? スマホあります!?」
「あります」
「コンビニ!?」
「当然あります」
「YouTube!?」
「あります」
「ヒカ○ン!?」
「生きてます」
「うわぁぁぁぁ……」
感動していた。
本気で。
「懐かしい……文明……」
「詳しいですね」
誓護が苦笑する。
すると早苗は少し胸を張った。
「私、外の世界出身なんですよ!」
「え?」
「元々は普通に現代日本で暮らしてました」
誓護が驚く。
「マジで?!!」
「はい!」
なんか親近感。
急に距離が縮まる。
「ちなみに高校三年生です!」
「え、先輩!?」
「そうです!」
早苗が少し嬉しそう。
そして。
自然に。
「じゃあ早苗先輩?」
ぴたり。
止まる。
「…………へ?」
今。
なんて?
先輩。
しかも自然。
敬語。
距離感ちょうどいい。
心臓が少し跳ねる。
(な、なんですかこの子)
礼儀正しい。
でも壁がない。
そして何より。
顔が良い。
銀髪綺麗。
笑顔明るい。
なのに時々。
少し寂しそう。
なんか放っておけない。
「……先輩」
もう一回心の中で反芻。
ちょっと嬉しい。
かなり。
その時だった。
早苗の視線が下がる。
そして――止まる。
「……あれ?」
誓護。
霊夢。
――手、繋いでる。
数秒。
静止。
「…………へぇ〜?」
にやぁ。
早苗の顔が悪い笑顔になる。
「え?」
誓護が首を傾げる。
霊夢だけが固まった。
「え、ちょ、これは!」
急いで離そうとする。
でも。
なんかタイミング逃した。
「迷子防止ですよね〜?」
にこにこ。
絶対分かってる顔。
「ち、違っ……!」
霊夢が赤くなる。
魔理沙が吹き出す。
「ははっ!!」
アリスも少し笑う。
「へぇ、霊夢」
「違うって言ってるでしょ!!」
誓護だけ。
「え、迷子防止じゃないんですか?」
本気。
天然。
全員が黙る。
「……天然強すぎ」
魔理沙。
「厄介ね」
アリス。
早苗はちょっと笑った。
(面白い人)
まだ。
恋愛感情はない。
でも。
気になる。
かなり。
別れ際。
「また話しましょう!」
早苗が笑う。
「外の世界の話もっと聞きたいです!」
「いいっすよ、先輩」
また。
先輩呼び。
少し嬉しい。
「約束ですよ!」
「はい!!」
手を振って別れる。
そして。
守矢神社。
山の上。
「ただいま帰りましたー!」
神社の中へ。
すると。
「お、帰ったか」
大きな声。
威厳ある女性。
もう一人は落ち着いた雰囲気。
神。
八坂神奈子と洩矢諏訪子。
「どうだった?」
神奈子が聞く。
早苗は少し笑った。
「外来人に会いました!」
「ほう?」
「銀髪で、すっごく明るい人で――」
話す。
外の世界。
東京。
高校生。
そして。
少しだけ。
寂しそうな目。
神奈子の顔が変わった。
「……銀髪?」
諏訪子も目を細める。
「外来人、ねぇ」
空気が少し変わる。
そして。
神奈子が言った。
「早苗」
「はい?」
「その少年」
少し笑う。
でも。
どこか意味深。
「明日、連れて来い」
「……え?」
「会ってみたい」
理由は言わない。
だけど。
神である二人は。
確かに感じていた。
――何かが動き始めている、と。