全てを護りたい少年の幻想英雄譚   作:時雨翠雨

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第7話

第7話 破壊のお嬢様と、紅魔館の修羅場

 

「……でか」

 

 

誓護が見上げた先。

 

 

 

巨大な赤い洋館。

 

 

 

窓の数も、庭の広さも、神社とは比べものにならない。

 

 

 

「ここが……紅魔館」

 

 

 

「はい」

 

 

 

隣で咲夜が静かに頷く。

 

 

 

「館の主が、あなたを歓迎しています」

 

 

 

「歓迎って、強制連行して?」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

「認めるんだ」

 

 

 

淡々としている。

 

 

 

でも妙に会話しやすい。

 

 

 

誓護は少し苦笑しながら門をくぐった。

 

 

 

「おー、咲夜さんお帰りー」

 

 

 

門番の女性が手を振る。

 

 

 

中国風の服。

 

穏やかな笑顔。

 

 

 

「その子が例の?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

誓護はすぐ頭を下げた。

 

 

 

「初めまして。籠音誓護です」

 

 

 

「紅美鈴です〜」

 

 

 

柔らかい人だ。

 

 

 

なんとなく安心する。

 

 

 

……が。

 

 

 

その安心は、一瞬で消えた。

 

 

 

「お姉様ぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

ドゴォォォォン!!!

 

 

 

館が揺れた。

 

 

 

「え?」

 

 

 

「伏せてください」

 

 

 

咲夜の声。

 

 

 

次の瞬間。

 

 

 

窓が――吹き飛んだ。

 

 

 

「えぇぇぇ!?!?」

 

 

 

そこから飛び出してきたのは。

 

 

 

金髪。

 

赤い翼。

 

 

 

そして。

 

 

 

危険なほど無邪気な笑顔。

 

 

 

「新しい人間!?」

 

 

 

近い。

 

 

 

いきなり目の前。

 

 

 

「銀髪だ!」

 

 

 

「うおっ!?」

 

 

 

抱きつかれた。

 

 

 

軽い。

 

 

 

でも勢いがすごい。

 

 

 

「ねぇ遊ぶ!? 壊していい!?」

 

 

 

「その質問怖っ!?」

 

 

 

誓護が思わず引く。

 

 

 

咲夜がため息。

 

 

 

「フランドール様」

 

 

 

「えー」

 

 

 

少女――フランが誓護をじっと見る。

 

 

 

きらきらした目。

 

 

 

でもどこか。

 

 

 

寂しそう。

 

 

 

――あ。

 

 

 

誓護の表情が少し変わる。

 

 

 

なんとなく分かってしまった。

 

 

 

一人だったんだろうな。

 

 

 

そんな感じ。

 

 

 

だから自然に。

 

 

 

「……あとで遊ぶ?」

 

 

 

ぽん。

 

 

 

頭を軽く撫でた。

 

 

 

静止。

 

 

 

フランが止まる。

 

 

 

「……え?」

 

 

 

初めてだった。

 

 

 

怖がられない。

 

 

 

化け物扱いされない。

 

 

 

普通に接された。

 

 

 

しかも。

 

 

 

優しい。

 

 

 

顔が少し赤くなる。

 

 

 

「ほんと?」

 

 

 

「うん」

 

 

 

ぱあっと笑顔。

 

 

 

その瞬間――。

 

 

 

「ちょっと待ちなさい」

 

 

 

上から声。

 

 

 

赤いドレス。

 

 

 

小柄。

 

 

 

でも圧倒的なカリスマ。

 

 

 

「その人間、私の客人なんだけど?」

 

 

 

レミリア・スカーレット。

 

 

 

お嬢様だった。

 

 

 

「え、初めまして」

 

 

 

誓護はすぐ姿勢を正す。

 

 

 

「籠音誓護です。主様?ですか?」

 

 

 

 

敬語。

 

自然。

 

 

 

レミリアが少し目を瞬く。

 

 

 

(礼儀正しい)

 

 

 

しかも。

 

 

 

思ったより可愛い顔。

 

 

 

銀髪も綺麗。

 

 

 

「ふーん……」

 

 

 

興味が湧く。

 

 

 

しかし。

 

 

 

「この人遊ぶ!」

 

 

 

フランがぎゅっと抱きつく。

 

 

 

「ダメよ。まず私が話すの」

 

 

 

「やだ!」

 

 

 

「お姉様ずるい!」

 

 

 

「妹のくせに生意気!」

 

 

 

始まった。

 

 

 

姉妹喧嘩。

 

 

 

しかも。

 

 

 

なぜか誓護の腕を引っ張り合ってる。

 

 

 

「え、待っ、痛っ」

 

 

 

「こっち!」

 

 

 

「私よ!」

 

 

 

「ちぎれるちぎれる!?」

 

 

 

咲夜がため息。

 

 

 

「……図書館へ避難しましょう」

 

 

 

 

静かな場所だった。

 

 

 

巨大な本棚。

 

 

 

落ち着いた空気。

 

 

 

「うわ……すげぇ」

 

 

 

幻想的。

 

 

 

思わず見入る。

 

 

 

すると。

 

 

 

「……騒がしい」

 

 

 

奥から声。

 

 

 

紫色の髪。

 

 

 

眠そうな目。

 

 

 

病弱そうな雰囲気。

 

 

 

本に囲まれた少女。

 

 

 

「落ち着いて本も読めないわ」

 

 

 

そして。

 

 

 

目が止まる。

 

 

 

銀髪。

 

 

 

綺麗。

 

 

 

なのに。

 

 

 

少し疲れた笑顔。

 

 

 

どこか危なっかしい。

 

 

 

そして何より。

 

 

 

「……綺麗」

 

 

 

ぽつり。

 

 

 

無意識に出た。

 

 

 

誓護が目を丸くする。

 

 

 

「え?」

 

 

 

「……なんでもない」

 

 

 

視線を逸らす。

 

 

 

顔が少し赤い。

 

 

 

咲夜が静かに言う。

 

 

 

「こちら、パチュリー・ノーレッジ様です」

 

 

 

「初めまして、パチュリーさん」

 

 

 

柔らかい笑顔。

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

――だめ。

 

 

 

好き。

 

 

 

早い。

 

 

 

でも。

 

 

 

なんかもう。

 

 

 

気になってしまう。

 

 

 

その時。

 

 

 

バァン!!!

 

 

 

扉が開いた。

 

 

 

「せーご!!」

 

 

 

「私の!!」

 

 

霊夢&魔理沙。

 

 

フラン&レミリア。

 

 

 

「え?」

 

 

 

修羅場、開幕だった。

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