第8話 正座と説教と、なぜか増える距離感
「――つまり」
パチュリーの隣。
誓護は本を片手に、真剣な顔をしていた。
「魔法って理論あるんですね」
「当たり前よ……」
パチュリーが少しだけ呆れた顔をする。
でも。
悪くない。
というか。
思ったより話しやすい。
「普通もっと怖がるんだけど」
「え?」
「紅魔館だし。魔法使いだし」
誓護は首を傾げた。
「いや、普通に優しい人じゃないですか」
沈黙。
パチュリーが止まる。
「……優しい?」
「はい」
悪気ゼロ。
まっすぐ。
しかも。
自然に距離が近い。
本を覗き込む時も。
「これって何の本なんですか?」
ひょい。
近い。
「……っ」
パチュリーが少し視線を逸らす。
(近い……)
でも嫌じゃない。
むしろ。
なんだろう。
落ち着く。
そんな空気になっていた。
その時――。
バァァン!!!
図書館の扉が勢いよく開いた。
「せーご!!」
聞き慣れた声。
「魔理沙?」
続いて。
「ちょっと! いきなり消えるとか何してんのよ!」
霊夢。
そして。
「せーごー!!」
フラン。
「咲夜!!勝手に連れてくなんて何考えてるのよ!」
レミリア。
全員集合だった。
そして。
止まる。
視線。
誓護とパチュリー。
妙に近い。
近いというか。
もう普通に隣。
本を一緒に読んでる。
しかも空気が静か。
馴染んでる。
「…………」
霊夢。
「…………」
魔理沙。
「…………」
レミリア。
フランだけは違う。
「せーごぉぉ!!」
どーん!
飛びついてきた。
「うおっ!?」
そのまま誓護の膝の上。
「遊ぶって言った!」
「お、おう」
レミリアも当然のように隣へ。
「私との話が先よ」
自然に手を掴む。
「逃げないでよ?」
「いや逃げてないですけど!?」
混乱。
パチュリーは静かに本を閉じた。
……少しだけ面白くない。
なんとなく。
「へぇ」
魔理沙がニヤっとする。
「紅魔館満喫してんじゃん」
「違っ、これは!」
「説明して?」
霊夢の笑顔。
怖い。
すごく怖い。
「……せーご」
「はい」
「正座」
反射。
「はい」
数分後。
図書館の床。
正座。
目の前に霊夢。
完全に説教モード。
なぜか。
膝の上にはフラン。
「せーご、重くない?」
「いや、大丈夫だけど、、」
「よかった!!」
隣。
レミリア。
なぜか手を繋いでいる。
「……あの」
「嫌?」
「いや、嫌じゃないですけど」
「ならいいわ」
堂々としていた。
魔理沙は笑いを堪えてる。
アリスは若干呆れ顔。
パチュリーは静かに見ている。
霊夢が額を押さえた。
「まず」
ため息。
「なんで勝手に連れてかれてるのよ」
「いや、俺もびっくりしたんですって!」
「咲夜さんの能力で急に!」
「“さん”付けなんだ」
魔理沙が笑う。
「えいやだって年上だし、?」
自然だった。
レミリアが少し目を細める。
(礼儀あるのね)
悪くない。
そして。
霊夢はじっと見る。
少し疲れた顔。
でも笑ってる。
相変わらず無理しそう。
「……ちゃんと帰るわよ」
ぽつり。
「神社」
少しぶっきらぼう。
でも。
どこか安心した顔だった。
誓護は笑う。
「はい、!」
その言葉に。
なぜか。
霊夢が少しだけ嬉しそうだった。