仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
アインツベルン城の中庭、闇夜の中で月光に照らされる二人のサーヴァントは腰を下ろ
し、対面していた。
その一人であるライダーは樽を破壊し、柄杓のような形である酒器で掬って飲み干す。
「聖杯は、相応しき者の手に渡る定めにあるという...それを見定めるための儀式がこの
冬木における闘争だというが、なにも見極めをつけるだけならば血を流すには及ばない。
英霊同志、お互いの格に納得がいったなら!」
もう一人であるセイバーは渡された並々入れられた酒器を受け取る。
「自ずと答えは出る。」
飲み干した酒器を甲冑の音ともに突き出すセイバー。
「ほう...。」
「それで...まずは私と格を競おうというのか、ライダー。」
突き出された酒器に笑みを浮かべながら受け取る。
「その通り。お互いに王を名乗って譲らぬとあっては捨て置けまい。」
サーヴァントたちのマスターはその様子を離れたところで見守る。
「いわばこれは『聖杯戦争』ならぬ『聖杯問答』...どちらがより聖杯の王に相応しき器
か?酒杯に問えばつまびらかになるというものよ。」
厳かな彼の発言に対して、板津らな笑顔を向けるライダー。
セイバーは毅然とした態度で彼を見ていた。
「戯れはそこまでにしておけ、雑種。」
「お前のために持ってきたぞ、ライダー。」
黄金の粒子を纏いながら現れるアーチャーと現れた魔法陣から登場するフォーリナー。
「アーチャーにフォーリナー!?あなた方はいったい...。」
顔をしかめるアーチャーに対し、飄々と持ってきたものを見せびらかすフォーリナー。
「いやなぁ...アーチャーは街で見かけたんで誘うだけ誘っといたのだ。フォーリナーは
余に紹介してくれたドーナツというものを運んできてくれたのさ。」
二人はライダーのもとへ歩みだす。
「よもやこんな鬱陶しい居場所を『王の宴』に選び、あまつさえ俺の前に無礼を働いた石
仮面と会わすとは...この非礼、どう詫びる?」
「すまないが、俺はライダーに免じて持ってきただけだぞ?」
赤く輝く宝石の仮面を被るフォーリナーに鋭い視線と不快そうな顔を向けるアーチャー。
「まぁ固い事を言うでない...今宵は王の宴である。フォーリナーは王ではないが余の目
では素晴らしい魔法使いと見越したのだ。魔法使いもお主の格を示せ。」
樽に酒器を突っ込んで酒を酌み、アーチャーにそれを差し出す。
「ほい、駆けつき一杯!」
黙って飲み干すアーチャーは侮蔑の目を向ける。
「お主も!」
「ほいほい。」
受け取ったフォーリナーが青年の姿へと変わる。
「やっぱプレンシュガーだな。」
『コネクト プリーズ』
飲み干して酒器を返したフォーリナーはお酒があまり会わなかったのか、魔法陣からドー
ナツを取り出す。
「この雑種が好まないのも当然だ。この安酒で本当に英霊の格が量れるとでも思った
か?」
「そうか?この土地の市場で仕入れたうちじゃあ、こいつはなかなかの逸品だぞ。」
「そう思うのは、お前が本当の酒というものを知らぬからだ...雑種めが」
アーチャーの手元から黄金の波紋が出現し、金に輝く酒器が手元に現れる。
「おう!?」
「見るがいい...これが王の酒というものだ。」
「これは重畳!」
ライダーに4つの黄金の杯を手渡し、彼らのマスターに視線を向ける。
彼らは恐れおののいたのか遠慮した。
「...これ、俺が飲んでいいのか?」
「貴様に飲ませるのは癪だが、晒した面に免じて許してやろう。」
注がれたアーチャーの酒を静かに3人は口にする。
「むほォ、美味いっ!」
「俺でも飲める...これ。」
この場にいるサーヴァントたちはアーチャーの提供した酒に釘付けになる。
セイバーでさえも顔に出るほど驚きを隠せない。
「酒も剣も我が宝物庫には至高の財しか有り得ない。」
自身も一口つけるアーチャー。
「...これで王としての格付けは決まったようなものであろう。」
「アーチャーよ、貴様の極上の酒はまさしく至宝の杯に注ぐのに相応しい...が、あいに
くと聖杯は酒器とは違う。」
アーチャーの発言で彼を睨むセイバーと口をはさむライダー。
「まずは貴様がどれほどの大望を聖杯に託すのか、それを聞かせてもらわねば始まら
ん。」
「仕切るな雑種...第一、聖杯を奪い合うという前提からして理を外しているのだぞ?」
一同、疑問や不信を抱く。
「そもそもにおいて、あれは俺の所有物だ。世界の宝物はひとつ残らず、その起源を我が
蔵に遡る。」
「昔聖杯を持っていたのか!?」
「どういうものか知っているのか、アーチャー。」
フォーリナーが目を丸くし、ライダーは彼に問いかける。
「知らぬ!雑種の尺度で測るでない。」
「ん?」
「俺の財の総量はとうに俺の認識を超えている...だが宝であるという時点で我が財であ
るのは明白だ。」
彼の朱き瞳が鋭くなる。
「それを勝手に持ち去ろうなど盗人猛々しいにもほどがあるぞ。」
「おまえの言はキャスターの世迷言とまったく変わらない...錯乱したサーヴァントとい
うのは奴一人だけではなかったらしい。」
セイバーは呆れた様子でアーチャーを睨む。
「いやいや、どうだかな。」
「心当たりがあるのか?ライダー。」
「フォーリナー、この金ピカの真名に心当たりがあるぞ余は。」
嬉しそうにライダーは再び杯に口をつける。
「でもなアーチャー。貴様、べつだん聖杯が惜しいってわけでもないんだろう」
「無論だ。だが俺の財を狙う賊には然るべき裁きを下さねばならぬ...要は筋道の問題
だ。」
相変わらず不審な目を向けるセイバーに臆せず、酒をのどに注ぐアーチャー。
「つまり何なんだアーチャー?そこにはどんな義があり、どんな道理があると?」
「法だ...俺が王として敷いた王の法だ。」
即答で答えるアーチャー。
「お前が犯し、俺が裁く...問答の余地などどこにもない。」
「うむ!そうなると...あとは剣を交えるのみ。」
ライダーは酒を再び杯に注ぐ。
「征服王よ。おまえは聖杯の正しい所有権が他人にある者と認めた上で...なおかつそれ
を力で奪うのか?」
セイバーが突然、ライダーに話を振る。
「そうまでして...聖杯に何を求める?」
「確かにライダーの願いは気になるな。」
注目を集める中顔を赤らめ、酒を一口飲んだ後に開口する。
「...受肉だ。」
「「「はぁ?」」」
ライダーの発言に困惑する3人。
「はぁ?望みは世界征服だってぶっ!?」
「...ウェイバー可哀そう。」
彼のマスター自身も困惑のあまりライダーに突っ込むも、片腕で軽く吹っ飛んでいった。
周りは唖然とする中、雑に扱われるマスターに憐みを向ける晴人。
「現界しているとはいえ所詮我らはサーヴァント...余は転生したこの世界に、一個の
[[rb: 生命> いのち]]として根を下ろしたい!」
拳を握りるライダー。
「体一つの我を張って天と地に向かい合う...それが征服という行いのすべて!そのよう
に開始し、推し進め、成し遂げてこそ我が覇道なのだ。」
「...そんなものは、王の在り方ではない!」
ライダーの発言に異議を挙げるセイバー。
「なら、セイバーはどうなんだ?」
疑問を投げるフォーリナーにセイバーは口を開く。
「私は、我が故郷の救済を願う...万能の願望機をもってして、ブリテンの滅びの運命を
変える!」
アーチャーとライダーに不穏な空気が生まれる。
「セイバー...滅びの運命を変えるってことは歴史を改変するということか?」
「そうだ...たとえ奇跡を以てしても叶わぬ願いであろうと、聖杯が真に万能であるなら
ば、必ずや」
アーチャーは笑い始め、ライダーは眉間に皺を寄せる。
期待した反応ではなかったのかセイバーは口を閉ざす。
「...セイバー。貴様、よりにもよって自らが歴史に刻んだ行いを否定するというの
か?」
「そうとも...なぜ訝る?なぜ笑う?王として身命を捧げた故国が滅んだのだ!それを悼
むのがどうして可笑しい?」
険しい顔を向けるライダーに笑いが止まらないアーチャー。
「おいおい聞いたかライダー、石仮面!この騎士王を名乗る小娘は…よりにもよって故国
に身命を捧げたのだとさ!」
「笑われる筋合いがどこにある!?王たるものならば身を挺して治める国の繁栄を願う
「いいや違う!」」
ライダーの強い否定に閉口するセイバー
「国が、民草が、その身命を王に捧げるのだ...断じてその逆ではない!」
「それは暴君の治世ではないか!」
「然り、我らは暴君であるが故に英雄だ!自らの治世を、その結末を悔やむ王はただの暗
君だ。暴君よりなお始末が悪い!」
「イスカンダル、貴様とて…世継ぎを葬られ、築き上げた帝国は四つに引き裂かれて終
わったはずだ。その結末に貴様は何の悔いもないというのか?今一度やり直せたら故国を
救う道もあったと…そうは思わないのか?」
「ない...余の決断、余に付き従った臣下たちの生き様の果てに辿り着いた結末であるな
らば、その滅びは必定だ。悼みもしよう。涙も流そう。だが決して悔やみはしない」
セイバーとライダーでお互いヒートアップする二人。
「そんな...貴様はどうなのだフォーリナー!」
そんな中、黙って聞いていたフォーリナーに飛び火する。
「俺は王ではなく魔法使いだ。王としての道については否定しない...むしろ民に捧げる
精神は俺としては賛同はできる。」
「フォーリナー...」
ライダーは思わぬフォーリナーの助け舟に唖然とする。
「あんたの仲間や民は悲惨な結末に至ったかもしれない...だが、俺なら過去を変えず未
来に進む。」
「あなたも救えなかった命があるはずだ!!なぜあなたは後悔しない!!」
フォーリナーの答えがまた予想外であったため、ライダーとアーチャーは再び耳を傾け
る。
「ほう石仮面...貴様はセイバーとは違いそうだ。では、なぜやり直そうとしない。」
「俺は家族にコヨミも失った。だけど、これらの絶望があったからこぞ俺はだれかの希望
になれたんだ。」
「それは諦めではないのですか!?」
激高するセイバーに唖然とするマスターと冷めた目で見るライダー。
「諦めかもしれない...それでも、俺は救われた人や一緒に戦った仲間の未来のために受
け入れる。」
「私が救えなかった命はどうするのだ!!王はすべての民を救わねばならない!」
「...あんたは完璧を目指しすぎだ。そんなあんたに伝言だ。」
フォーリナーは新たな指輪を取り出す。
「それは...」
『ランスロォット! プリーズ』
やかましい音声とともに魔法陣が床に出現し、その中から一人の騎士が現れる。
「あなたに会えることを望んでいました...王よ。」
「そなたは...[[rb:湖の騎士 > ランスロット]]卿!?」
次回、仮面ライダーウィザード
「私の不忠の罪を改めて裁いていただきたい!」
「では、私は王に選ばれなければ...」
「なかなか面白い余興をしてくれるではないか、石仮面。」
「見よ、我が無双の軍勢を!」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第12話 王の軍勢