仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
「あなたに会えることを望んでいました...王よ。」
「そなたは...
長髪で黒き鎧を身にまとう騎士ランスロットはセイバーの前に跪く。
「セイバーの配下を召喚するとはなかなか面白い余興をしてくれるではないか、石仮
面。」
酒を片手に面白そうに語るアーチャー。
「...なぜフォーリナーが召喚を?」
「もともと俺よりランスロットが英霊として召喚されるはずだったが、譲ってもらったん
だ。」
「諦めていましたが、こうして王と対面する機会をいただけるとは指輪の魔法使いには感
謝しきれない。」
感謝を伝えようとするランスロットだが、フォーリナーは止める。
「それよりもあんたは王に要があるんじゃないのか。」
「そうでした...我が王よ。」
セイバーの方へ向くランスロット。
「どうしたのだ?ランスロット卿。」
「王にお願いがあります。」
彼らのやり取りを黙って見守る周囲。
「私の不忠の罪を改めて裁いていただきたい!」
「何を言うのだ!それは我が許したではないか!」
「では、なぜ私の罪を許すのです!!」
真っすぐな視線を浴びせるランスロットにセイバーは重い口を開く。
「私は民やお前を含む臣下の理想の王として決断した...私の感情でお前を捌くことがで
きない!」
「...騎士王よ。こやつのために激怒してやれ。」
「征服王?」
黙って聞いていたライダーが口を開き、苦しそうなランスロットを見る。
「分からんか!?貴様の臣下は良心の呵責に苦しんでいるのだぞ!」
「何を言う征服王!ランスロットの罪はもう許されて...何を笑う!アーチャー。」
高笑いし始めるアーチャーにセイバーが癪に障る。
「なぁ、セイバーよ。お前に人の心はあるのか?」
「どういうことだ、アーチャー!」
「貴様は心を抑え、理想の奴隷たる故に臣下に対しても理想を押し付けるのが実に滑稽で
なぁ。」
いたずらにニヤニヤするアーチャーにセイバーは目を丸くする。
「この金ぴかの言う通り...お主は理想に焦がれる故に国や民にも求めた。貴様は正しさ
と理想を追うあまりに臣下や民を無視していたに過ぎない!!」
「...私が、無視していたと...理想を追うあまりに...」
膝から崩れ落ちるセイバー。
「では、私は王に選ばれなければ...」
「王よ...それは違います。」
「ランスロット卿?」
セイバーの傍に駆け寄るランスロット。
「あなたが王でなければ円卓の騎士などなかった...王でなければ侵攻してきたサクソン
人から民を救うことができなかった...」
「確かに国は破滅してしまったかもしれない...だけど、現在の人達にこれだけの功績が
届いているのはあんたに救われた人がいるんじゃないか?」
俯き続けるセイバー。
「王は十分ブリテンを救い続けた...もう過去に囚われる必要はないのです。」
「ランスロット...」
彼は立ち上がって、腰に付けていた剣を地面に突き刺す。
「そんなあなたに私の最後の願いを乞います...私の不忠を。」
「...そうだな。」
剣を構え、立ち上がるセイバー。
「お前の罪を裁く!!」
彼女の突きが装甲を貫く。
ランスロットの体は光の粒子を散らす。
「希望の魔法使い...」
「俺より王に言うことあるだろ?」
「あぁ...王に勝利を。」
完全に彼の姿は消滅した。
「なかなかに面白かったぞ、セイバーに石仮面。」
「...セイバーよ。お主の願いはなんだ?」
再びライダーはセイバーに問う。
「私は...ん?」
この場にいるサーヴァント達に不穏な空気が流れる。
「うわぁ!?」
背後に現れたアサシンに驚き、ウェイバーはライダーの傍に避難する。
周囲に次々と骸骨の黒い影が出現する中、アイリスフィールもセイバーの元に戻る。
「これは貴様の計らいか?金ぴか。」
「...時臣め。余興を興ざめさせるとは。」
顔をしかめるアーチャー。
「思ってたより数がいるな...思い出す。」
「なんでこんなにアサシンがいるんだよ!」
指輪を構えるフォーリナに対し、ウェイバーはビビる。
「我らは分断された個。」
「群にして個のサーヴァント。」
「されど個にして群。」
「影。」
周囲のアサシンがぽつぽつと語る。
「多重人格の英霊が人格の数だけ実体化しているのか?なぁ、ライダー...おい。」
「こらこら坊主。そう狼狽えるでない。」
ライダーの大きい背にひっつくウェイバー。
「宴の客を遇する度量でも王の器は問われるのだぞ?」
「あんな[[rb 奴儕> やつばら]]までも宴に向かい入れるのか?征服王。」
「当然だ。王の言葉は万民に向けて発するもの...わざわざ傾聴しに来た者ならば、敵も
味方もありはせぬ。」
樽から酒器で酒を掬い上げ、掲げるライダー。
「さあ、遠慮はいらぬ!ともに語ろうという者はここ来て杯を取れ...この酒は貴様らの
血と共にある!」
「!?」
ライダーの誘いに対し、即座にアサシンたちは掲げた酒器を破壊する。
庭の石畳にかかる酒の香りが辺りを漂う中、アサシンたちはライダーに対して笑う。
「なるほど...この酒は貴様等の血と言ったはず。」
立ち上がるライダー。
「敢えてぶちまけたいと言うならば..是非もない。」
彼を中心として突風が起き、周りは飛ばされないように必死になる。
「くッ!?」
「臣下の声を聞いたセイバー、アーチャーよ!これが宴の最後の問いだ。」
彼の服装は変化する。
「...そも、王とは孤高なるや否や?」
「王たらば…孤高であるしかないと思っていた...でも、私には。」
旋風を腕で遮るセイバーにライダーは口を開く。
「分からんのか...では余が今ここで、真の王たる者の姿を見せつけてやらねば
なぁ!!」
「!?」
ライダーを中心に眩い光が辺りを飲み込んだ。
瞳を晒すと灼熱の砂漠が広がっていた。
「なっ!?」
「これは...」
この場にいた者たちが砂塵を運ぶ風に晒されながら困惑していた。
「固有結界...心象風景の具現化を!?」
ライダーの口元がにやつく。
「ここはかつて我が軍勢が駆け抜けた大地...余と苦楽を共にした勇者たちが、等しく心
に焼き付けた景色だ!」
太陽が照りつく中、規律正しい多くの足音が奏でられる。
「この世界、この景観をカタチにできるのは、これが我ら全員の心象であるからさ!」
皆が振り返ると遠くからこちらに軍勢が行進している。
「見よ、我が無双の軍勢を!」
兵士一人ひとりの顔つきは勇ましく、ただの人間ではなく英霊に匹敵する者も見られる。
「肉体は滅び、その魂は英霊として世界に召し上げられて...それでもなお余に忠義する
伝説の勇者たち!!」
アサシンやセイバーたちは彼の率いる兵力に圧倒される。
「時空を超えて我が召喚に応じる永遠の朋友たち...彼らとの絆こそ我が至宝!我が王
道!イスカンダルたる余が誇る最強宝具...『
ライダーに応えるが如く、軍勢は声を上げて武器を天高く掲げる。
「これが...征服王なのか。」
「こいつは...一人一人がサーヴァントだ!?」
自身の持たない絆の象徴にセイバーは狼狽し、マスターであるウェイバーでさえも目を見
開いた。
「久しいな、相棒...」
ライダーの傍に駆け寄る黒馬。
「王とは!!誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!」
「「「然り!然り!然り!」」」
掛け声を上げる臣下に対して、黒馬に乗り込むライダー。
「すべての勇者の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが、王!!」
セイバーやフォーリナーはともかく、アーチャーでさえも彼の方へ視線を向ける。
「故に!王は孤高にあらず...その偉志はすべての臣民の志の総算たるが故に!」
「「「然り!然り!然り!」」」
アサシンの方へ体を向けるライダーに身構えるアサシン達。
「では始めるかアサシンよ...見ての通り、我らが具象化した戦場は平野。生憎だが数で
勝るこちらに地の利はあるぞ?」
後ずさるアサシン。
「蹂躙せよ!!」
剣を抜き、黒馬で疾走するライダーの後を追う軍勢。
「これ...せこいな。」
「...」
フォーリナーが愚痴り、アーチャーが真剣に眼を向ける以外は唖然としていた。
『AAAALaLaLaLaLaie!!』
そんな彼らを軍勢は通り抜け、王に追従する。
土煙ではっきり見えないが、ある人影の頭部が崩れ落ち、また別の人影は槍で胸を貫かれ
た。
「「ウォォ!!」
「「「オォ!」」」
巨大な影を切り裂いたライダーは辺りを見回した後、勝利を確信したのか軍勢とともに雄
叫びを上げる。
彼の表情は誇りに満ちていた。
風景は闇夜に浮かぶ満月に変わる。
「色々と邪魔が入ったが、セイバー。貴様は聖杯に何を望む?」
樽に残る酒を掬い、セイバーに問うライダー。
「...私はかつてブリテンだったところを訪れ、我が臣下である円卓の騎士にブリテンの
未来を届けることを願う!」
「ほう...つまり受肉するのだな。」
セイバーはゆっくりと頷く。
「セイバーよ。お前の王としての理念は否定するが...王として今認めよう。」
ゆっくり立ち上がるライダー。
「お互い言いたいことも言い尽くしたよな...そういえば、魔法使い。」
「なんだ、ライダー?」
「貴様の聖杯に対する願いを訊き忘れていたな。」
アサシンがいなくなった今、彼らの視線はフォーリナーに集まる。
「俺は聖杯に願うものなんてないな。」
「ほう...では石仮面、お主は何のために聖杯の導きに応えたのだ?」
「...俺が誰かの希望になるためさ。」
フォーリナーの言葉に顔をしかめるアーチャー。
「他者の希望になると?はっ、不愉快だ。」
「別にあんたに否定されても、俺はそうやって乗り越えてきたんだ。」
睨みつけるアーチャーにフォーリナーは真剣に向かい合う。
「...不愉快だが、気に入ったぞ魔法使い。我が寵愛に値するはずだったセイバーを変え
た貴様は非常に興味深い。」
「あんたに興味持たれてもなぁ...」
アーチャーとフォーリナーが立ち上がる。
「ともかく今宵の宴は終わりだ...ドーナツを運んできたのにもったいないなぁ魔法使い
よ。」
「まぁ、酒とは合わないから宴の手土産でいいんじゃないか?」
「それはいい...では、英霊たちよ!好きなものを持っていくがいい...」
複数のボックスをフォーリナーから受け取ったライダーは開く。
「ほう...ではこれを頂いて帰るとしよう...こいつは綺礼への賜物としよう。」
「それを持って帰るのか...」
アーチャーの持って帰る真っ赤のドーナツに顔をしかめるフォーリナー。
「私は...これは何なのだ?フォーリナー。」
「あぁ...これは店長の新作ドーナツだな。えーっと...卓上ドーナツ?」
セイバーの指すドーナツは真っ白なホワイトチョコに小さな果物が円に沿って乗っている
ものだった。
「...私はこれにします。アイリスフィールも。」
「そうね。切嗣と舞弥さんの分も取ってあげないと...」
各々ドーナツを選ぶマスター達。
「土産は選び終わったな。ではまた会おう!」
剣で空を切るライダーは
込んでどこかへ消えてしまった。
「次のショーを楽しみにしているぞ魔法使い。」
アーチャーはドーナツを蔵の中に入れ、金の粒子を散らして消えていった。
「またなセイバー...お前のマスターを導いてやれ。」
「分かりました...希望の魔法使いですか。」
「あぁ、そうだ。」
『コネクト プリーズ』
魔法陣を展開させ、フォーリナーも去っていった。
次回、仮面ライダーウィザード
「桜を、私があの俗物から守らねば...」
「僕が目的であれば筋が通るがなぜだ...言峰綺礼。」
「お前がまた聖杯に選ばれる可能性もあるのではないか?」
「...雁夜、お前はまだ生きたいと思ったんじゃないか?」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第13話 聖杯の招き