仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
「あぁ...切嗣だ。」
切嗣はアインツベルン城以外で用意した隠れ家の土蔵に入り、魔法陣の上に寝かされたアイリと会う。
「ホントに...また、会いに来てくれたのね。」
「そうだよ...」
アイリの元に膝をつき、今にも消えそうな声で答える切嗣。
そんな切嗣を見て微笑むアイリ。
「最後に...これを返さないとね。」
彼女の腹部辺りが輝き、そこから黄金の鞘、「
その鞘の輝きは土蔵を黄金色に照らしていた。
「これは...アヴァロンは、この先あなたが必要なもの。あなたが最後の戦いに挑むとき、きっと役に立つもの。」
輝く鞘を手に取る切嗣。
「恋をして、愛されて...夫と娘と九年も...あなたは全てを与えてくれた...わたしには望むべくもなかったこの世の幸せの全てを。」
「...すまない。君にはもっと世界の全てを見せたかった。」
「ううん。もういいの...取りこぼした幸せの残りは全部...イリヤにあげて、私たちの大切なイリヤに...」
「分かった...じゃあ、行ってくるよ。」
アヴァロン片手に蔵を後にする切嗣。
「お気をつけて...あなた。」
アイリの柔らかい視線に迎えられた切嗣は扉の前で警護していた舞弥に口を開く。
「...セイバーはすでにフォーリナーの方に向かっているな?」
「はい、すでに。」
「僕は遠坂時臣と間桐雁夜を仕留める...セイバーとフォーリナーが行動を起こせば、アーチャーがその場に現れる可能性も大きい。君は引き続きアイリの警護を頼む。」
「分かりました。」
衛宮邸を去ろうとする切嗣に舞弥は追いかける。
「あの...切嗣。」
振り向いた切嗣の目に映ったのは舞弥の微笑んだ顔だった。
「戻りましたね...昔のあなたの顔に。」
「ご馳走様、桜。」
「お粗末様です、お父さん。」
間桐家のダイニングでは桜の作った朝食の楽しみを終えていた。
「晴人、今後はどうするんだ?」
「そうだな...今、残っている陣営は俺たちに遠坂、セイバー、ライダーの四つだが、コヨミや臓硯の言う聖杯の汚染が本当なら俺的には争う必要性を感じていないんだ。」
桜が皿をカタカタと鳴らして洗うbgmで語りあう雁夜と晴人。
「俺も別に聖杯は求めてない...今は桜を守りたいな。」
「そうだな...どこか預けられる場所があればいいが」
「晴人...葵さんに預けるのはどうかな?」
色々と今後の方針を相談し、桜を時臣には内緒で葵に預けることにした。
「桜、お母さんやお姉ちゃんと会いたい?」
「...あの人たちも前のお父さんのように裏切ったの?」
洗い物を済ませてこちらに戻ってきた桜に問いかけた雁夜は目を見開く。
「どうしてそう思うんだい、桜?」
「...お姉ちゃんもお母さんも、助けてくれなかったお父さんに賛同するんでしょ?」
桜は未遠川での時臣の言葉から母や姉に対しても不信感を募らせていたようだ。
「桜ちゃん、お姉さんもお母さんも心配はしているはず...だけど、魔術師の掟に囚われて動けないだけなんだ。」
二人の様子を見ていた晴人は桜に向かって口を開く。
「だからもう一度、二人を信じてあげてほしい。」
「...うん。」
晴人の言葉に少し悩みながらも頷く桜。
「あ、お姉さん?いいよ。」
「ん?どうしたんだ桜。」
「変わってもらったのよ。」
瞳が桃色に輝く様子に雁夜と晴人は驚く。
「どうしたんだ、コヨミ?」
「晴人に伝えたいことがあるの。」
コヨミは近くにあった水晶玉を取り出して映し出す。
「この人は?」
「...確かセイバーと一緒にいた白髪の外国人だな。」
「アイリスフィール・フォン・アインツベルン...彼女が小聖杯よ。」
映りこんだのはアイリスフィールの寝込んだ姿だった。
「小聖杯?」
「そう、彼女は聖杯を守るための殻として造られたホムンクルスなの。」
「ホムンクルス...だと!?」
目を見開く二人を気にも留めず再び話を進めるコヨミ。
「彼女は倒されたサーヴァントを聖杯として回収するごとに聖杯の機能が優先されて生体機能・人格は塗り潰され消失し、最終的には存在自体が破壊されてしまうわ。」
「...あいつ、自身の妻でさえも切り捨てるというのか。」
晴人の脳裏に切嗣の塗りつぶされた瞳が思い浮かぶ。
「彼の真意は分からないけど...いずれにせよ、彼女は小聖杯に変わってしまうわ。加えて、聖杯の汚染については彼女のアンダーワールドを経由して大聖杯に入って
「なるほど...まずはセイバーの隠れ家に行くしかないな。」
「おい、待ってくれ晴人。」
ダイニングから去ろうとする晴人を止めようとする雁夜。
「相手はビルの破壊に躊躇せず、平気で約束を裏切るマスターだ...いけるのか?」
「...俺はたとえあの男でも助けたいんだ。俺は希望の魔法使いだからな。」
「分かった。行ってこい!」
喝を入れられた晴人は二人の警護を使い魔に任せ、マシンウィンガーで街中を駆けて行った。
(フォーリナーの気配は感じるが、こんなに小さかったか?)
セイバーはメットを被り、切嗣から送られたYAMAHAの大型二輪「VMAX」に跨って遠くから間桐邸を監視していた。
「あれは...」
マスターらしき男と未遠川で連れて帰った少女とともにフォーリナーが玄関から出てくる。
(アイリスフィールの娘とそう変わらない少女...。)
セイバーはため息を吐く。
その後、バイクを走らせたフォーリナーの後をつけていく。
(「セイバー、フォーリナーはどうだ?」)
(現状、彼はバイクで街を探索しています。)
(「そうか...しばらく尾行を続けてくれ。」)
切嗣から受けた命令に少々不安を抱かせながらも、後をつけるセイバー。
戦いの始まらない様子に焦燥感に駆られながらも黙って彼の後をつけ続け、日が沈む夕方の一本の山道に差し掛かる。
「!?」
「セイバーか?」
カーブに差し掛かった直後、サイドミラーに映りこむフォーリナー。
「あんたがストーカー行為をしているとは信じられんな。」
「...これはマスターからの命令だ。それに昼の街中で勝負を持ち込むなどできない。」
「そうかい。」
お互い、停車して話をするセイバーとフォーリナー。
「あれから、あんたのマスターとアイリスフィールさんは大丈夫なのか?」
「...二人の仲は問題ない。」
「そうか...あんたはアイリスフィールが聖杯の器であることを把握しているのか?」
フォーリナーの問いに驚いた様子のセイバー。
「その様子だとあんたのマスターは何も言ってくれなかったようだな。」
「...どういうことだ?フォーリナー。」
「アイリスフィールは自身の中にある小聖杯を守るためのホムンクルス...あの夜を見た感じ、もう彼女は犠牲を承知で聖杯になろうとしている。」
セイバーはこれまでの聖杯戦争での彼女の様子について振り返る。
サーヴァントが脱落するにつれて体調が悪化していたのを目にしていた彼女は眉をひそめる。
「...つまり、切嗣はアイリスフィールも犠牲にして願いを叶えようというのか。」
「そういうことだ。俺のマスターにもう願いなどない...俺の願いは誰かの希望になることだ。」
切嗣の背中を思い出すフォーリナーはバイクを切り返す。
「それに聖杯は汚染されている...願いを叶えたことで絶望する人々を防ぎたい。」
「...本当なのか?フォーリナー。」
「それはお前が信じるかどうかだ、セイバー。」
セイバーはフォーリナーと真っすぐ視線を合わせる。
(「俺は目の前で絶望しそうなやつに手を伸ばしたいだけだ。」)
「信じよう、フォーリナー。私が案内する。」
「助かる。」
セイバーとフォーリナーは山道を下る。
(「令呪を以て命ずるセイバー。」)
「待て!切嗣!」
脳内に響き渡る切嗣の声に戸惑うセイバー。
(「フォーリナーを潰せ。」)
「どうしたんだ?セイバー。」
「早く逃げろ!フォーリナー!!」
セイバーの風王結界により、バイクもろともフォーリナーを吹き飛ばす。
「どうしたんだ!?」
「...切嗣の狙いはお前のマスターだ!早く!」
もがき苦しむセイバーを目にし、急いでフルスロットルで駆け抜けるフォーリナー。
「まさか!」
逃げるフォーリナーの軌道をすぐさまセイバーも追いかけた。
次回、仮面ライダーウィザード
「外道に落ちたか!!衛宮切嗣!」
「令呪を三画すべて使ってフォーリナーを自害させろ!」
「おじさん...私からお父さんやお兄さんを奪うの?」
「この状況を打開できるのは...」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第21話 魔術師殺しの罠