仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第21話 魔術師殺しの罠

「速すぎるだろ!?」

 

令呪によって追跡するセイバーから晴人は振り切ろうとするが、なかなか距離が離れなかった。

 

『ドライバーオン』

 

「変身!」

 

『ハリケェーン プリーズ』

 

ハリケーンスタイルに返信し、風の魔法でマシンウィンガーの加速を強化する。

 

だが、セイバーのマシンも風の補助をどんどん強め、近づいていく。

 

「避けろ!」

 

「!?」

 

降りかかる黄金の剣だが、抵抗しているのか車体を傾けて避ける。

 

「この状況を打開できるのは...」

 

『ちちんぷいぷい!』

 

晴人の仲間である瞬平の声が響き渡る。

 

「何をやっているフォーリナー!」

 

「...すまない。」

 

だが、何も起こらず、必死にバイクを止めようとするセイバーに叱られる。

 

「これだ!」

 

『チョーイイネ!スペシャル サイコー!』

 

マシンウィンガーの周囲に暴風が発生し、セイバーのバイクを後ろに退けて自身はさらに

加速する。

 

「こ、れは!?」

 

だが、それに応えるかのように装甲を解除されたセイバーのバイクが変化する。

 

「おいおい、止める気があるのかセイバー!」

 

「できればとっくに止めている!」

 

お互い停まるに停まれないチェイスバトルが炸裂する。

 

「そこの二台のバイク、停まりなさい!」

 

「「!?」」

 

山道の出入口に警察車両一台が停まっている。

 

「このままいけば民を巻き込むぞ、フォーリナー!」

 

辛そうに訴えるセイバーに晴人はリングを取り出す。

 

『コネクト プリーズ』

 

「止まれぇ!!」

 

車両を横にしてふさいだ警官だったが、停まる様子のない二台を目にして逃げる。

 

「え!?」

 

だが、パトカーは大破することなく出現した魔法陣へと消えていく二台。

 

「...なにが起こったんですか?」

 

「私にも分からん。」

 

間の抜けた警官の声はサイレンの音にかき消された。

 

 

 

 

「くっ!?子供がいるのになんてことを!?」

 

「...。」

 

間桐邸の廊下で震える桜を抱えて逃げる雁夜を切嗣は黙って追いかけていた。

 

銃弾が辺りを響かせるが、結界により外は静寂となっている。

 

(事前に使い魔を置いてきたのか。)

 

本来、雁夜程度ならすぐに殺害できる切嗣だが、晴人の置いてきた四体のプラモンスター

により照準をずらされ、リロード中に妨害を受けたことで逃げる時間を稼がれてしまっている。

 

(ここはあえて退くか...)

 

雁夜がいる方向とは逆に走り出す切嗣。

 

使い魔に追いかけられる中、扉を目にした切嗣は手榴弾を取り出す。

 

急いで室内に入った切嗣を使い魔は扉に攻撃しようとした瞬間、爆発する。

 

「爆発!?大丈夫か?桜」

 

「うん...!?」

 

遠くまで離れたと思った二人だったが、回り込んだのか切嗣の姿は遠くで見える。

 

もう足止めしてくれる晴人の使い魔はいなくなり、切嗣は急接近する。

 

「きゃ!?」

 

「くっ!」

 

桜を抱えて近くにあった窓に飛び込む雁夜。

 

「飛び降りたか...」

 

割れた窓に近づき、下を見ると桜を上にして衝撃から守った雁夜が倒れこんでいた。

 

(「避けろ!」)

 

(敵に塩を送るとは...騎士王のことは理解できないな。)

 

余裕のできた切嗣は視界を共有してセイバーの様子を見る。

 

「...」

 

時間の無駄だと判断した切嗣は割れた窓から飛び降り、下の庭に降りる。

 

「いけっ!」

 

桜を庇うように前に立つ雁夜の声とともに翅刃虫が切嗣に襲い掛かる。

 

それに対して切嗣は蟲の大群にスモークグレネードを投げつける。

 

「なぜだ!?」

 

(間桐家は蟲使いで有名だが...生物である以上、気門を塞げば対処可能だな。)

 

バタバタと倒れていく蟲に困惑し、血を流す雁夜。

 

「お父さん...」

 

「大丈夫だ、桜。」

 

やがて煙が晴れ、これ以上打つ手のない雁夜と桜にピストルを構える。

 

「何!?」

 

両者の間に魔法陣が出現し、二台のバイクが庭でクラッシュする。

 

危機を感じた切嗣はすぐに後退していたため、セイバーと晴人のバイク事故に巻き込まれ

ずに済んだ。

 

「雁夜、大丈夫か!」

 

「あぁ...それより桜を」

 

駆け寄った晴人に対し、後ろにいた桜の方へ目を向けるも姿が見られない。

 

「そこまでにしてもらおうか...魔法使いさん。」

 

「桜!!」

 

ピストルを桜の頭に突きつける切嗣が二人の前に立っていた。

 

「切嗣!貴様は再び!?」

 

「くっ!」

 

止めようとするセイバーだが、令呪の影響により指輪をかざそうとする晴人に斬りかかっ

て鍔迫り合いになる。

 

「外道に落ちたか!!衛宮切嗣!」

 

「...騎士道精神溢れるお嬢様には困ったものだ...魔法使いも不審な真似をすれば、この

子の命はないと思え。」

 

「この野郎...」

 

サーヴァント二人から雁夜へ視線を移す切嗣。

 

「桜は関係ないだろ!!」

 

「いいや、この場に居合わせたんだ...僕からすれば交渉材料として有益だからね。」

 

銃口を突きつけられた桜は恐怖の色に染まる。

 

「間桐雁夜、君にできることはただ一つ...令呪を三画すべて使ってフォーリナーを自害

させろ!」

 

「!?」

 

雁夜や晴人、加えてセイバーまで顔を歪ませて怒りをあらわにする。

 

「おじさん...私からお父さんやお兄さんを奪うの?」

 

「...そうだ。おじさんは君たちを犠牲にすることで世界を救うんだ...恨んでくれて構わ

ない。」

 

光のない桜の瞳に切嗣は同じように視線を向ける。

 

「ずるいよ...おじさん。」

 

(「ずっるーい!ずるい!ずるい!ずるい!切嗣、ずーっとズルしてた!!」)

 

(イリヤ!?)

 

桜の言葉に切嗣は自身の愛娘であるイリヤを思い出す。

 

「恨むことで、おじさんの気持ちが楽になるのなら...私は恨まない。」

 

彼の表情は誰もが辛そうに見える。

 

「衛宮切嗣!貴様は自らの非道を少女に恨まれる覚悟で正当化するのか...その覚悟、卑小で独善的なものではないか!!」

 

「黙れ!!」

 

セイバーの言葉に反応して上空に向かって発砲する切嗣。

 

「…僕はどこまでもずるい男だ。卑怯者と呼ばれても、かつて僕が殺してきた者の死が無

駄になるのなら...汚名を引き受けてでも世界を救いたいんだ。」

 

「…あんた、正気か?そんなもの、ただの、呪いにすぎないぞ!」

 

再び桜に銃口を向けられたことで、黙り込む晴人。

 

「...さぁどうする、間桐雁夜...僕はあまり時間をかけたくないのでね。」

 

切嗣に瞳を向けられた雁夜は自身の手の甲に刻まれた令呪を見る。

 

「令呪を以て命ずる。」

 

「諦めるな!雁夜!」

 

口にした雁夜を必死に止めようとする晴人。

 

「お兄さんを殺さないで!」

 

「さく、ら?」

 

桜の必死な叫びに静止する雁夜。

 

「私はもういいの...雁夜お父さんやお兄さんのおかげで楽しいこといっぱいできた...もともと諦めていた私に希望をくれたんだ。」

 

「待て!桜!」

 

銃口を掴み、より近づける桜に静止しようとする二人。

 

「世界って…そんなに大事なもの?お兄さんに雁夜お父さんを犠牲にして求めるものなの?」

 

(クソっ!こんな時に...)

 

リングを取り換えたい晴人だが、セイバーの力強さにより鍔迫り合うことに精一杯であ

る。

 

「大切なひとを奪うんだったら...私を殺して!」

 

「…わかった。君の望み通りにしよう。」

 

「やめろ!」

 

この場の者たちの静止を聞かず、再びトリガーに指をかける。

 

『ちちんぷいぷい!』

 

晴人のちちんぷいぷいリングとランスロットから託された魔除けの指輪が光りだす。

 

『カメレオン!』

 

「!?」

 

銃口を突きつけられた桜の姿が消えていた。

 

「俺を呼んだのに心当たりがないのか?晴人。」

 

桜をお姫様抱っこしたライオンの仮面を被った男が晴人の後方に姿を現す。

 

「仁藤!?」

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「あんたにもいるはずだ...奥さんやセイバー、なんなら俺や仁藤も協力さ。」

 

「皆を救うことができない僕には多数を優先して少数を切り捨てるしかなかった。」

 

「暗い顔すんなよ、おっさん。」

 

「…衛宮切嗣。貴方がそこまで己を呪い、孤独に固執していた理由…今、ようやく理解した。」

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

 

 

第22話 ひとりじゃない

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