仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第28話 この世全ての悪

「ここは..」

 

 

カーペットが敷かれ、ゴシックな空間に入り込んだ晴人は近くの窓を目にする。

 

猛吹雪により真っ白な世界に包まれていたが、ここが城であることが分かる。

 

「アンダーワールド...にしては違うな。」

 

「泣いているの?」

 

廊下を歩き、手がかりを探すとある一室から子供の声が聞こえる。

 

「衛宮の奥さんと...娘さんか?」

 

隙間から覗き込むとすすり泣くアイリとベットの上で不安そうな目を向けるイリヤがいた。

 

「怖い夢を見たの、イリヤが杯になっちゃう夢。」

 

母に抱き着くイリヤは小さな体を震わす。

 

「イリヤの中にね...物凄く大きな塊が七つも入ってくるの。」

 

「大丈夫...大丈夫よ、決してそんなことにはさせない...」

 

母親らしく柔らかにイリヤを抱えて撫でるアイリ。

 

「あなたがそんなことにはならないわ、イリヤ。」

 

大きな部屋の中心で親子の愛を目にする晴人だったが、不穏な空気を感じ取る。

 

「これは!?」

 

部屋の回りがだんだんと延焼していくように黒い跡が侵食する。

 

「大丈夫か、奥さん!」

 

「あなたはフォーリナー...イリヤは!?」

 

いつの間にか娘の姿はなく、代わりに山積みに捨てられたホムンクルスが傍にある。

 

「どうやら聖杯の中にいるこの世全ての悪(アンリマユ)がお出ましのようだな。」

 

『ドライバーオン!』

 

ベルトを出現させた後、光り輝くダイヤのリングをはめる。

 

「その指輪は...」

 

「俺の最期の希望だ。」

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

聖杯の泥が二人を包み込もうとする中、軽快なリズムを奏でる。

 

「変身!」

 

『イィンフィニティ!』

 

ベルトにかざした瞬間、光り輝くドラゴンが晴人とアイリを囲む泥を蹴散らす。

 

『プリーズ!ヒィスイフード!ボゥザバビュードゴォン!』

 

魔法陣が通過するごとにダイヤのような鉱石に身を包む。

 

「綺麗...これがあなたの宝具なのね。」

 

鉱石が砕かれ、中から煌めくマントと装甲があらわになる。

 

その輝きは空間全てを包もうとしていた聖杯の泥が拒絶するほどである。

 

「あれはいったい...」

 

だが、泥は一か所に固まって徐々に人の形を成す。

 

「アインツベルンのホムンクルスたるもの...聖杯の器となるのは避けられないわ。」

 

「あなたは...ユスティーツァ様!?」

 

泥から形成された姿はアイリと同じくブロンドの髪に赤い瞳を持つ女であった。

 

「...あんたはいったいなにもんだ?」

 

「私はユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン...人体宇宙・第三魔法の広域稼働装置「大聖杯」のシステムそのもの。」

 

ユスティーツァは陶器でできた人形に冷たくこちらに顔を向ける。

 

「てことは聖杯の意志か...」

 

「異邦の魔法使い。あなたは本来、召喚される予定のないサーヴァントだった...もはやサーヴァントではなくあなたそのの。ゆえにこの冬木の儀式で因果律に縛られない特異点...操真晴人、これ以上、聖杯のシステムに介入させるわけにはいかない。」

 

身構える二人に対して、ユスティーツァの目の前に泥がもう一人形成する。

 

「この世界でも面倒な存在のようだな、操真晴人。」

 

「お前は...笛木!?」

 

その姿は白いローブを羽織った魔法使いだった。

 

「操真晴人の過去から読み取り、再現した...排除しろ。」

 

「ふん、今は貴様の命令を訊いてやろう。」

 

フルートと刃物が組み合わさったハーメルケインを構える苗木。

 

「衛宮の奥さん、決して諦めるな。」

 

「切嗣が望んでいるもの...そのつもりだわ!」

 

苗木に応えるようにアックスカリバーを構える晴人。

 

「...さぁ、ショータイムだ!」

 

 

 

 

「...晴人。」

 

横たわるアイリの傍で静かに見守る雁夜。

 

(俺は...晴人の助けになっているのか。)

 

部隊の下ではとてつもない発砲音が響き渡り、綺礼と切嗣が激しく交戦している。

 

「待つのは退屈なもんじゃな...雁夜よ。」

 

「お前は、臓硯!?」

 

すると、一番前の観客席に殺害したはずの間桐臓硯が腰かけていた。

 

「はっ、はっ、はっ...何を驚いておるのだ雁夜。貴様、まさかとは思うが間桐の呪縛か

ら逃れたと思っておるのか?」

 

「何!?」

 

「儂があの青年如き、遅れをとるはずもないだろ?」

 

狼狽する雁夜を面白そうに見る臓硯。

 

「そうじゃ...忘れておったが、お前の桜は解放されておらぬぞ?」

 

「そんな馬鹿な...」

 

奥の入り口の扉が開かれ、そこから小さい人影が見える。

 

「雁夜...おじさん。」

 

「桜!?」

 

こちらに近づいてくる人影は明るい照明の元で桜だと告げる。

 

「騙したんだね...おじさん。」

 

「桜!違う!俺は...」

 

「お前もあのサーヴァントに利用されておったのじゃよ...希望に縋っていたために絶望

に陥るとは見ものじゃな。」

 

頭を抱え、苦しむ雁夜。

 

「晴人がそんなこと...そんなこと...」

 

「雁夜君。」

 

顔を上げた先には葵が立っていた。

 

「葵、さん...」

 

「桜がいなくなって探してみれば...やっぱり騙していたのね。」

 

「お、俺は...」

 

教会で首を絞めた時と同じような表情を浮かべる葵。

 

「無様な様子を見せるとは魔術師の風上にも置けないな。」

 

「と、時臣!?」

 

死んだはずの時臣が舞台に昇ってくる。

 

「君が間桐の家に残っていれば、桜をあの家にやることはなかった...全ては、間桐雁

夜。君のせいである。」

 

「それは...お前が間桐家に。」

 

「おじさんのせいで私はこんな目にあったの?」

 

舞台の真下からハイライトのない眼差しを向ける桜。

 

「俺のせいじゃない!!」

 

「はっ、はっ、はっ...ここまで来て自分のせいでないと断言できるとはのぉ。」

 

「実に見苦しいぞ、雁夜。」

 

嘲笑う臓硯、見下す時臣、憎しみを浮かべる葵に絶望する桜。

 

「ねぇ、おじさん、私や周りを騙した希望を語る道化を裏切ってよ。」

 

「俺は...」

 

「女を殺せば奴は帰ってこれないじゃろうなぁ...さぁ、どうする...雁夜。」

 

4人に囲まれた雁夜はアイリの方へ眼を向ける。

 

(晴人が...そんなこと...そんなこと...)

 

その様子を見えない一人の観客が愉快に腰を下ろしていた。

 

 

 

 

「うぅ...」

 

ライダーの消滅にただ黙って遠くで見届けていたウェイバー。

 

「...セイバーよ、この俺に挑もうというのか?」

 

「そういうことになるな。」

 

そんな彼の様子を気にも留めず、残りの三人は睨み合う。

 

「金ぴかの兄ちゃんよ、俺を忘れてないか?」

 

『ドライバーオン!』

 

仁藤のバックルが立体化する。

 

「そういえばお前もいたな...魔法使いと似ているが何か違うな?」

 

「どっかの白い魔法使いにはアーキタイプって呼ばれたがな...だが舐めてもらっちゃ困るぜ。」

 

金のリングを取り出し、ベルトの左側に差し込む。

 

「ヘェンシン!」

 

『セット!オープン!』

 

バックルの観音扉が開き、魔法陣が飛び出す。

 

『L・I・O・N ライオォン!』

 

「ほう、貴様は獅子というわけか。」

 

ギルガメッシュほどではないが、獅子の黄金の装甲が輝く。

 

「仁藤よ、準備はできたのか?」

 

「あぁ、準備はできたぜ!」

 

セイバーと共にダイスサーベルを片手に構える。

 

「そろそろお前たちの相手もせねばならなかったな、雑種ども...こちらにかかってこい。」

 

「...行くぞ、仁藤。」

 

「皆まで言うな!」

 

二人はギルガメッシュの元へ駆けだす。

 

「お前たちに俺のエアを抜く価値はない...消えろ。」

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)により、剣や矛などの宝具を数十ほど射出される。

 

「痛っ!?」

 

「お前はセイバーほどではないようだな...」

 

セイバーは何回も彼の能力を目にしているため、避けたり弾いているが仁藤は何本か被弾

してしまう。

 

「なめんじゃねーぞ!」

 

『ファルコ!』

 

橙色の魔法陣が右肩を通過することで鷹の頭部が右肩に出現する。

 

『ゴォ!ファ、ファ、ファルコ!』

 

「とぉう!」

 

大きく飛び上がり、宝具の雨の範囲を抜ける。

 

「飛行能力か」

 

「私も忘れるな!」

 

黄金の聖剣が襲い掛かるが、宝物から一本の剣を取り出して受け止める。

 

「その剣は!?」

 

「お前を選んだ剣の原典...と言えば分かるだろ?」

 

「くっ!?」

 

押し返されたセイバーはギルガメッシュの追撃により吹き飛ばされる。

 

「おいおい、俺を忘れてもらっちゃあ困るぜ!」

 

『ファイブ!セイバーストライク!!』

 

魔法陣から出現した鷹型のエネルギー弾がギルガメッシュを襲う。

 

「...なかなか面白いものを見せるでないか、獅子の雑種。」

 

「おいおい、俺の技は当たり外れがあるんだぞ!」

 

「フッ、宝具にギャンブル要素があるとはお前も魔法使いに続いて変わったやつだ。」

 

仁藤の必殺技を相殺した宝具数本が上空を飛ぶ仁藤に牙を向く。

 

「うお!?どんだけ武器あんだよ!」

 

さらに追加された宝具たちによりダイスサーベルで弾くので手一杯になる仁藤。

 

「グハァ!?」

 

だが、獣に対して特攻のある宝具の直撃を受けて、橋に叩きつけられる。

 

風王結界(ストライク・エア)!!」

 

立ち上がったセイバーが剣から暴風を放つ。

 

「どうやら少し俺は舐めていたようだな。」

 

「何!?」

 

暴風がギルガメッシュを吹き飛ばすものの、風が止んだ後のギルガメッシュは特に問題な

さそうに腕を組んで立っていた。

 

「お前にも開帳してやろう...我が至宝、エアをな。」

 

「くっ!」

 

エクスカリバーとエヌマエリシュが互いを捉えようとしていた。

 

「消えろ雑種!」

 

エアが回転し始め、空間がかき乱されたために気流が乱れる。

 

「はぁ....」

 

「おいおい....とんでもねーな。」

 

倒れる仁藤をよそにセイバーの持つ剣も輝きを放ち始め、セイバーを中心に風が発生する。

 

天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)!」

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 

黄金のエネルギーと空間ごとねじ切るエネルギーがぶつかり合う。

 

「ふっ、他愛もない....」

 

押し切られる様子にセイバーは焦る様子にギルガメッシュは冷笑する。

 

「まだまだ早いぜ、成金の兄さんよ!」

 

『ハイパァ マグナムストラァイク!』

 

ライオンの咆哮とともにビーストハイパーに変身した仁藤がミラージュマグナムを構え

る。

 

「てりゃあ!!」

 

黄金の光に加勢するキマイラ型のエネルギー弾によってエアのエネルギーの猛進が止ま

る。

 

だが、押し切ってギルガメッシュにダメージを与えるほどはなく拮抗していた。

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「この女の人を殺せば....私とおじさんを騙したペテン師を永久に追い出せるよ。」

 

「....ふざけるな。」

 

「...お前は目の前に聖杯という方法があるにも関わらず、それを手に取ろうとしない。」

 

「その聖杯でコヨミが蘇ったとしても、コヨミは望まない。」

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

 

 

 

第29話 悪徳な観客

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