仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第2話 聖杯戦争開幕

「ここは...」

 

かつて操真晴人が仲間たちと過ごした空間である骨董品屋「面影堂」にいた。

 

「晴人」

 

水晶が置かれた店の受付にコヨミが座って彼に呼びかける。

 

「コヨミ...どうしたんだ?」

 

右手の中指には晴人の希望(ホープリング)がはめられていた。

 

「今回の聖杯戦争、ちょっと問題があるの。」

 

「問題?」

 

磨いていた水晶から手を離すと、禍々しく粘性のある黒い何かが蠢く様子が水晶から映し

 

出される。

 

「これは?」

 

「大聖杯の中身。晴人がこの世界に召喚されたときに聖杯についての知識が流れたと思う

 

んだけど...これはそんな類のものとは思えないわ。」

 

コヨミは晴人と目を合わす。

 

「つまり?」

 

「あそこに溜まっている魔力は汚染されていて、下手すると願いの叶え方が思うようなも

 

のにならない...」

 

「願いの叶え方?」

 

コヨミは深く考え込み、口を開く。

 

「...例えば、「ある女の子にモテたい」願いなら、自分より魅力のある男の子をすべて

 

殺害してその子の選択肢を自分以外に選べなくする。」

 

「...なんだそのえげつねー方法、そんなことさせるわけにはいかない。」

 

晴人の手を握るコヨミ。

 

「...よかった。てっきり、私を蘇らせたいのかと思ってた。」

 

「...一度失った命は取り戻してはいけないんだろ。俺はお前の最後の希望だからな。」

 

彼女にはめられたホープリングを一瞥し、コヨミと向きあう。

 

「...また、なにかあったら教えるわ。」

 

「あぁ、ありがとうコヨミ。」

 

 

 

 

 

「晴人、大丈夫か?」

 

「...あぁ、少しぼーっとしてな。」

 

『続いてのニュースです。冬木市の昨日未明、一軒家に住む家族全員が殺害され...』

 

流れるテレビの報道を見る雁夜と晴人、そして朝ごはんのトーストを頬張る桜は間桐家の

 

ダイニングに集まっていた。

 

「なぁ、雁夜。あんたのお兄さんとは仲が悪いのか?」

 

「...兄貴は俺がこの家を出なければ、間桐家の当主にならずに済んだんだが...俺のせい

 

でな。」

 

今朝、そそくさと出ていった雁夜の兄である鶴野の姿に顔を思い浮かべ、俯く。

 

『これまで起こった3件の殺害現場すべてに被害者の血で描かれた魔法陣と思われる謎の

 

図柄が...』

 

「まさか...」

 

彼は複数の指輪を取り出す。

 

『ガルーダァ! ユニコォーン! クラァケーン! ゴォーレェム! プリーズ』

 

計四つのプラモデルのようなものから四体の使い魔が現れ、彼らにリングをはめる。

 

「ゴーレムとユニコーンは雁夜と桜ちゃんの護衛、ガルーダとクラーケンは事件を追って

 

くれ。」

 

ガルーダとクラーケンは窓から飛び去り、ゴーレムとユニコーンは二人のそばに寄る。

 

「晴人、お前も行くのか?」

 

「あぁ、今希望を求める人達がいるかあらな。」

 

『コネクト プリーズ』

 

晴人の真横に大きな赤い魔法陣を出現させる。

 

「爺さんから桜ちゃんを守るんだぞ」

 

魔法陣をくぐって消えていった。

 

 

 

 

 

ある一軒家のリビング、日常であれば家族団欒にすごすものだが、

 

「んー!?んー!!」

 

縛り上げられ、ガムテープで口を塞がれた少年は悪魔を呼ぼうとする青年に恐怖した。

 

リビングの中央には少年の両親を殺して得た血で描いた魔法陣が彼の狂気を物語る。

 

「あーっははははははは!!悪魔に殺されるってどんな感じなんだろうねっ!?貴重な体

 

験だ痛っ...」

 

泣きもがく少年を気にも留めず興奮してきた青年だったが、右手の甲に静電気のような痛

 

みが生じる。

 

「なんだこれ?」

 

甲には赤い紋章が浮かび上がり、魔法陣が輝き始めあたり一帯に煙が漂う。

 

輝きが落ち着き、煙が晴れると出目金で真っ白な肌の不気味な大男が立っていた。

 

「問おう。我を呼び、我を求め、キャスターの座を依り代に現界せしめた召喚者、貴殿の

 

名をここに問う。 其は、何者なるや?」

 

突然の出来事に唖然とした青年だが、話す内容をぼちぼち絞り出す。

 

「えと、雨生龍之介っす。職業フリーター。趣味は人殺し全般。子供とか若い女とか好き

 

です。最近は基本に戻って剃刀とかに凝ってます。」

 

「よろしい、契約は成立しました。貴殿の欲する聖杯は私も悲願とするところ.......」

 

大男の語る内容を理解しきれない雨生。

 

「かの楽園の釜は、必ずや我らの手にするところとなるでしょう。」

 

「せい....はい?まぁ、とりあえず....ご一献どうですか?」

 

雨生は少年の方へ視線を向ける。

 

「あれ、食べない?」

 

「んー!?ンーー!!」

 

実際に現れた悪魔に少年は絶望の淵へと叩き込まれる。

 

大男の巨大な眼球が少年の方に一度だけ向け、彼は一冊の本を取り出す。

 

「すげー!それ、人の皮でしょ?」

 

本のカバーは人間の皮膚でできており、歪んだデスマスクが浮かび上がっている。

 

「クトゥルフ・ムグルナフ.......」

 

「んー!?んー!!」

 

大男は興奮気味の雨生に気にも留めず、椅子などの障害物をどけながら少年のもとへ歩き

 

出す。

 

近づかれるにつれて少年の叫びもだんだん声にならない悲鳴になり、大男は手を伸ばす。

 

「怖がらなくていいんだよ、坊や。」

 

拘束具を解き始める男に少年は涙を流し、雨生は怪訝な表情を浮かべる。

 

「立てるかい?」

 

涙を腕で拭い、立ち上がった少年。

 

「さぁ、坊や。あそこの扉から外に出られる。一人で行けるね。」

 

少年は頷き、大男の指したドアに向かう。

 

「なぁ、ちょっと」

 

「しーっ。」

 

不満のある雨生に人差し指を置き,少年の方に男の眼球が向けられる。

 

扉の先には温かい光が刺す玄関へと出る。

 

「っく...」

 

安堵とともに4足の靴が余裕のできた少年に傷をつける。

 

扉の先で突っ立っている少年の姿が男の瞳に映る。

 

「...恐怖というものには鮮度があります。」

 

「アァー!?」

 

「うーわ。」

 

少年の背後に伸びた触手が闇へと引き込む。

 

「怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。真の意味での恐怖とは、静

 

的な状態ではなく変化の動態。」

 

少年の悲鳴が響き続ける。

 

触手が伸びる先には...

 

「希望が絶望へと切り替わる、その瞬間のことを言う...いかがでしたか?」

 

「んーー、クール!最高だよあんたは!聖杯だがなんだか知らないが、あんたに着いてて

 

いくよ!さぁ,あんたの殺しっぷりを見せてくれ!!」

 

興奮して憧れと尊敬を向ける雨生に大男は笑みを浮かべる。

 

「龍之介と言いましたか。貴殿のような理解あるマスターに選ばれたのは幸先がいい...

 

これはいよいよ我が悲願の達成に期待が持てそうです。」

 

大男は嬉しそうに雨生の手を取る。

 

「あぁ、そういえばまだあんたの名前を聞いてない。」

 

「名前ですか...この時代で通りのよい呼び名は...とりあえず、青髭とでも名乗っておき

 

ましょうか。」

 

 

 

 

「あぁ...」

 

もうすぐで闇に引き込まれる少年は諦めて、目をつむる。

 

「大丈夫か?」

 

「え?」

 

いつの間にか茶髪の青年が家の前で少年の手をつないでいた。

 

「お、お兄さん?」

 

「怖かったろう...」

 

青年は彼の目線に合うようにかがむ。

 

「パパとママ...それにねぇちゃんも...」

 

「...お兄さんも子供の頃に両親を亡くしてな...俺は絶望した...だけど、死ぬ前に言っ

 

てたんだ。」

 

涙が途切れない少年の中指にリングを通す。

 

「お前は私たちの最後の希望だってね。お前のお父さんもお母さんもそしておねぇさん

 

も...お前が最後の希望だ。」

 

『スリープ プリーズ』

 

薄れていく少年の意識は最後にこの言葉を聞き取る。

 

「約束する...俺が君の最後の希望だ。」

 

少年は青年に身を預ける。

 

「...この子を届けないとな。」

 

『コネクト プリーズ』

 

少年を安全な場所に逃がし、被害のあった住宅の中へと歩む。

 

「...くそ!」

 

リビングの中にはクラーケンのリングと破壊されたパーツが散乱し、死体を残して消えて

 

いった。

 

 

 

 

 

ある真夜中、遠坂邸の庭に黒い影が忍び込んでいた。

 

「他愛ない。」

 

影は遠坂時臣が仕掛けた警備を難なくかわし、結界を構築する宝石に手を伸ばす。

 

「グァ!?」

 

槍が影が伸ばした手を宝石ごと貫いていた。

 

「地を這う虫けら風情が。誰の許しを得て面を上げる?」

 

あたり一帯をどれも一級品といえる剣や槍、あらゆる武器が庭へと放たれた。

 

「あれを...恐れることがない...だと!?」

 

遠坂邸の上空には黄金の鎧を纏った男と波紋からこちらを覗くありとあらゆる武器が影を

 

見下していた。

 

「貴様は俺を見るに能わぬ。虫けらは虫けららしく地だけをみながら死ね...」

 

無残に残った骸骨の仮面を遠くから見ていた使い魔たちが震えていた。

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「晴人は絶対負けないわ。」

 

「諫言は次の打ち込みを受けてからにしてもらおうか。」

 

「この場に限っては失策だったな...セイバー。」

 

「双方、剣を収めよ。王の前であるぞ!」

 

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

第3話 集まる英霊たち

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