仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第29話 悪徳な観客

アイリのアンダーワールドで晴人と笛木の戦いが始まっていた。

 

「お前はあれからコヨミの形見である賢者の石を貴様のアンダーワールドに寝かせたそう

だな」

 

「あぁ、その通りだ。」

 

アックスカリバーとハーメルケインがぶつかり合い、火花が散る。

 

「...お前も大切な存在を失ったはずだ。お前はなぜコヨミを生き返らせようとしない?」

 

『イェス!サンダー ナウ!』

 

一旦距離を取った笛木はベルトをかざして雷撃を晴人に放つ。

 

『ディフェンド!プリーズ』

 

「…コヨミは、他人の命を犠牲にしてまで生きることを望まなかった。」

 

輝きを放つ魔法陣で雷を退ける。

 

「お前はコヨミを失い、絶望したはずだ...」

 

『デュープ ナウ!』

 

「ぐっ!?」

 

晴人の背後からもう一人の笛木が現れて、斬りかかる。

 

インフィニティの装甲でもハーメルケインによるダメージは完全には打ち消せない。

 

「絶望はしたさ...」

 

『デュープ ナウ!』

 

「では、なぜ貴様は折れない?」

 

さらに呼び出された分身が晴人を襲う。

 

「俺は過去に囚われず、前に進まなきゃいけない...託してくれたコヨミの為にも。」

 

「それは諦めだ!!」

 

斬撃を受け止められた笛木は再び指輪をかざす。

 

『デュープ ナウ!』

 

「「「「コヨミを救うことを諦めたも同然でしかない!」」」」

 

「ガハァッ!?」

 

4人の笛木にリンチを受け、膝を着く晴人。

 

「...お前は目の前に聖杯という方法があるにも関わらず、それを手に取ろうとしない。」

 

「いや、むしろ破壊するつもりのようだな。」

 

「貴様はなぜ聖杯を拒む?」

 

晴人を囲む4人の笛木がバラバラに問いかける。

 

「...その聖杯でコヨミが蘇ったとしても、コヨミは望まない。」

 

ゆっくり立ち上がる晴人。

 

「...コヨミの死という絶望があったからこそ、俺の未来に向かう希望が今ここにあるからさ。」

 

「やはり、お前にコヨミを託したのは間違いだった!」

 

『『『『エクスプロージョン! ナウ!』』』』

 

四方からの爆発は晴人に終止符を討とうと巻き込んだ。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ...」

 

「衛宮切嗣...貴様の激昂はその程度のものか?」

 

八極拳を習得した綺礼の一撃により壁に叩きつけられた切嗣はフラフラと立ち上がった。

 

(令呪を魔力源として僕の起源弾を相殺するとはな...奴自身の魔術回路が使用されない以上、起源弾の魔力が効かない。)

 

「どうしたのだ?貴様のあの女に対するものはどうしたのだ?」

 

「僕は魔法使いを信じている...あくまで直感でしかないが、アイリを助けられるさ。」

 

「ほう、以前の貴様ならそんな曖昧なことを信じなかったはずだがな。」

 

とどめを刺そうと構えをとる綺礼に切嗣はおかしそうに笑う。

 

「お前の言う通り、以前の僕ならあいつのことは信じなかった...」

 

「衛宮切嗣...私と同じ空虚で欠陥を抱えているはずだ。仲間どころか家族でさえもため

らわずに殺してきたお前にいったい何があったというのだ。」

 

苦しそうにトンプソンコンテンダーに起源弾を詰める切嗣は続ける。

 

「違うね。僕は希望を持つゆえに他者に裏切られることを恐れ、救えなかった自分を許せなかった...だが」

 

「っ!?」

 

背後に気配を感じ振り向いた先にはキャリコを構えた舞弥の姿を目にする。

 

「まだ生きていたのか...うっ!?」

 

多くの銃弾を跳ね返していくも、もがき苦しむ。

 

「魔法使いに教わったんだよ..信じて仲間を頼ることをな。」

 

転倒しながらも切嗣は銃口から煙が上がるトンプソンコンテンダーを構えていた。

 

腰当たりに受けた起源弾は即死には至らず、ギルガメッシュへの魔力供給に問題はないが激痛に苛まれる。

 

「...遅くなりました、切嗣。」

 

「いや、助かったよ...舞弥。」

 

舞夜の肩を借りる切嗣は綺礼に顔を向ける。

 

「馬鹿な...くっ!...貴様ごときに...そのような目を向けるな。」

 

「言峰綺礼...お前が求めていた同類の僕はここにはいない。人の不幸しか生きる実感を得られない君を同情するよ。」

 

先ほどまでの歪んだ表情から変わって冷たい視線を目にする綺礼は驚愕と苦痛に襲われる。

 

「...行こうか、舞弥。」

 

「はい。」

 

舞弥に支えながらも、地下を後にする切嗣。

 

「私は...まだ...令呪を...」

 

彼の右腕に刻まれた模様の一画が光っていた。

 

 

 

 

「そうだ、おじさん。この女の人を殺せば....私とおじさんを騙したペテン師を永久に追い出せるよ。」

 

「桜を解放できなかった雁夜君ができる勇逸の償いよ!!」

 

横たわるアイリを静かに見つめる雁夜に葵と桜は口を開く。

 

「どうしたのおじさん?」

 

「愛する者のために戦っていたのではないのかね、雁夜。」

 

黙って何もせず俯く雁夜。

 

「きゃ!?」

 

「「桜!」」

 

いきなり傍に近づいた桜を突き飛ばし、彼女を心配して時臣と葵は傍に寄り添う。

 

「雁夜君!!」

 

「私の娘に手を出すとはいい度胸だ、雁夜。」

 

時臣はステッキを取り出して、魔術で炎を灯す。

 

「刻印虫に蝕まれたために狂いおったか...」

 

観客席でケタケタと笑う臓硯。

 

「....ふざけるな。」

 

だが、雁夜の一言で空気がガラッと変わる。

 

「お前たちは桜や葵、時臣....」

 

観客席にいた臓硯に一匹の蟲が飛んでくる。

 

「それに臓硯なんかじゃない!」

 

蟲は臓硯の体を蝕んでいく。

 

「あははは!もう分かっちゃったんだね、おじさん。」

 

「お前はいったい...」

 

その姿はどんどんぬらりひょんからドレスの少女へと変わる。

 

「あ、ごめんね。こちらが一方的に知ってても面白くないよね!」

 

一匹の蟲に喰われながらも軽快な彼女に雁夜の顔が強張る。

 

「僕はフランチェスカとでも呼んでよ!ま、どうで君は知らなさそうだしプレラーティでもいいけどね。」

 

「プレラーティ?...どうして俺に幻術を?」

 

「それより僕の幻術をどうやって見抜いたのか教えてよ!」

 

話を聞かないプレラーティに苛立ちを覚えながらも、吐き捨てるように口を開く。

 

「晴人の持つ賢者の石は臓硯が欲していたものだ。それを閉ざすようなことを奴がするはずがない...」

 

雁夜の回りに蟲が集まり始める。

 

「...それに皮肉なことだが、嫌っていた臓硯が残した蟲が俺を気づかせただけだ。」

 

体から血が流れ、体に寄生する刻印虫が活発化していることが分かる。

 

「あははははは!まさか僕の設定ミスだとはねぇ...それに嫌っていた蟲に救われるとは実に面白いよ君は!」

 

「...こちらの問いにも答えてもらおうか。」

 

高笑いをする観客であるプレラーティを睨む。

 

「そんな怖い顔しなくても答えるって...僕はね、友人であるジルがキャスターとして参加するみたいだったからこの聖杯戦争を見ていたんだよ。」

 

「キャスター...ジル・ド・レェのことか。」

 

「そう!でね、君が呼んだフォーリナーが戦況を傾けすぎちゃって面白くなかったから僕がテコ入れを加えて挙げたの!」

 

鬱陶しかったのか、食い破る一匹の蟲を潰し、笑顔で答えるプレラーティ。

 

「...そんなことの為にこんな下らないテコ入れを。」

 

「下らないテコ入れって...僕の添削にケチをつけてほしくないなぁ。あまりにハッピーエンドな話って、面白くないじゃん?」

 

「貴様ぁ!!」

 

蟲達が雁夜の激怒を表すかのように羽音を激しく響かせる。

 

「あははは!もっと怒ってよ!これはこれで面白いからさ!」

 

「いけ!蟲ども!!」

 

呼び出した蟲の大群がプレラーティを襲う。

 

「いいね!これほどのものなら一回の死ぐらいあげる...でも、もうテコ入れできないのはもどかしいなぁ。」

 

蟲により至る所が穴だらけになり、肉片だけとなった。

 

あまりにも死に対してかけ離れたプレラーティの笑みに雁夜は動揺を隠せなかった。

 

(一回の死っていったい...)

 

落ち着いた雁夜は再びアイリの方へ向ける。

 

「俺は守った...」

 

右手に刻まれた令呪を目にする。

 

「令呪をもって命ずる...三画全てを使って...晴人に力を」

 

紅に輝く令呪に照らせれる雁夜は浮き出た血管から血が垂れ、アイリの傍で崩れ落ちた。

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「それは、賢者の石だな...なぜ貴様が持っている!」

 

「そんな...私が聖杯を拒むことで...」

 

「操真晴人にその指輪に秘める少女よ...なぜ邪魔をする?」

 

「それにたとえその魔法が達成できたとしても、私は否定する...晴人もそう思うでしょ?」

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

 

第30話 隣にいてくれる存在

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