仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第31話 原典VS無限

「大丈夫か!?」

 

衛宮切嗣は舞弥の肩を借りながらも、アイリの傍で倒れる雁夜に駆け寄った。

 

「...二人の様子はどうだ?」

 

「特に問題はありませんが...」

 

舞弥の視線が雁夜の甲に向けられる。

 

「...まさか、魔法使いは...!?」

 

アイリの体から黄金の杯が現れ、彼女と分離する。

 

「アイリ!!」

 

我を忘れて聖杯の杯を雑に退け、アイリに抱きしめる。

 

「...おめでとうございます、切嗣。」

 

「あぁ...」

 

しばらく抱き寄せ続けた切嗣を静かに舞弥は見つめる。

 

「ほう、手にしたい聖杯を退かし、切り捨てる覚悟さえあった妻を取るとは実に面白い。」

 

「!?」

 

振り返ると観客席の中央で腰をかけるギルガメッシュが二人の目に映る。

 

「呼ばれたか...」

 

「私が時間を!」

 

銃を取り出して構える舞弥に対し、ギルガメッシュは鼻で笑う。

 

「ふっ、安心しろ雑種ども。俺の財を無様に扱うのは癪だが、お前のアレンジに免じて許す。」

 

「では、我々を見逃してくれるのか?」

 

「...それはまだ早いぞ雑種。まだこのショーでマジックを見せる主役が登場していないではないか?」

 

切嗣と舞弥は彼の言葉を理解できず、顔を強張らせる。

 

「どういうことだ、アーチャー?」

 

「言葉の通りだ...お前たちの様子を見る限り、魔法使いは人形と聖杯を分別させるために中に入っているのだろう?」

 

何も答えない二人を見て、笑みを浮かべるギルガメッシュ。

 

「貴様らが帰ってしまうと魔法使いも帰ってしまうわけだ。なに、別に貴様らが留まれば危害は加えんよ。」

 

「...分かった。だが、雁夜が倒れているのはお前のせいか?」

ぐったりと倒れる雁夜にギルガメッシュは目を向ける。

 

「俺ではないぞ雑種...言っておくがこの男は魔法使いのマスターだ。こいつがいなければショーが続かんではないか?」

 

「それもそうだな...お前と戦っていたライダーやセイバーはどうした?」

 

「...征服王は俺が裁いた。セイバーは...お前自身でも分かるだろう?」

腕に刻まれていた令呪は依然として残っている。

 

突然、寝かされていたアイリの傍に魔法陣が出現する。

 

「そろそろのようだな...」

 

「...」

 

静かに一同が魔法陣を見守る中、光り輝く何かが飛び出す。

 

「どうやら待たせたようだな。」

 

「魔法使い...なのか?」

 

「あぁ、そうだ。」

 

白銀のごとく輝く装甲を纏った姿に目を奪われる切嗣。

 

「ほう...それが貴様の真の姿か?」

 

「アーチャーか。」

 

いつの間にかギルガメッシュは舞台に上がってくる。

 

「その姿は重く歴史を語る黄金でもなければ、神々の時代のものでもない...貴様の言う希望というものでできた結晶か。」

 

「そうだ...これは俺の最期の希望だからな。」

 

ギルガメッシュは美術品を鑑定するかのように晴人を目に映す。

 

「我の納める財は人類が叡智をかけて作り出したもの...過去だけでなく現在にとって未来である財を持つこの俺が我が蔵にないお前の宝具を鑑定せねば気が済まない。」

 

「鑑定...生憎だが、あんたに譲る気はさらさらない。」

 

切嗣と舞弥は雁夜とアイリを舞台の外へ運び出す最中、ギルガメッシュと晴人は相対する。

 

「この世の全ての宝は俺が裁定し、我が蔵に収めるのが理...フフフ、我が財を持ち続けたいなら覚悟してかかれよ魔法使い。」

 

「あんたこそ覚悟してもらうぞ、英雄王。」

 

[[rb:王の財宝 > ゲート・オブ・バビロン]]により数十挺の財が顔を覗かせると同時に

アックスカリバーを構える晴人。

 

「衛宮!雁夜を頼んだぞ。」

 

「あぁ...」

 

切嗣たちが劇場から去るまで二人はその状態のまま静止する。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

彼らが見えなくなったと同時に宝具の雨が晴人に降り注ぐも、アックスカリバーで弾く。

 

さらに時間操作による高速移動により弾幕を掻い潜り、ギルガメッシュとの距離を徐々に詰めていく。

 

「ほう、時間操作か...だが、そう蟲のようにちょこまかと動いても俺に勝てんぞ。」

 

「くっ!あんた、なんでもありだな。」

 

一部の回避した宝具が踵を返し、晴人の方へと飛んでくる。

 

「ならこれはどうかな?」

 

『リキッド プリーズ』

 

ギルガメッシュは自身に向けてアックスカリバーを振り下ろす晴人を余裕そうに棒立ちする。

 

「おいおい、避けなければ...何!?」

 

背後に襲い掛かる宝具は晴人を狙うも、液状化した体をすり抜けてギルガメッシュに飛んでくる。

 

「たぁ!」

 

「ちっ!?」

 

懐から財であるデュランダルの原典を取り出して自分の仕掛けた追尾宝具を弾くも、その

次に襲い掛かるアックスカリバーの衝撃を逃がすことはできずに体が後退する。

 

「...手品で接近し、こうして俺に力比べでは勝てないことを教えるとは...実に不愉快なものだ。」

 

「おいおい...さっきまでの余裕はどこへいったんだ?」

 

「黙れ雑種、その減らず口を我が財で閉じさせてやろうか...」

 

ホールのありとあらゆる周囲に黄金の波紋が中央の舞台に向けて浮かび上がる。

 

その数は百の位になるほどであり、ギルガメッシュの表情と合わせて琴線に触れてしまったことに気づく晴人。

 

「これは...まずいな。」

 

「その言葉が最期だ、魔法使い。」

 

ギルガメッシュが一言こぼしたと同時に全方位にありとあらゆる特攻を持つ宝具が放たれる。

 

「ぐはぁっ!?」

 

『フォール プリーズ!』

 

無数の宝具により爆発の中から晴人の絶叫が聞こえる。

 

「意外と終わりは呆気ないものだ...だが、面白かったぞ。」

 

倒壊するホールの中、ゆっくりと後にするギルガメッシュであった。

 

 

 

 

「...りや!ま...雁夜!」

 

「...ここは?」

 

ぼんやりとした視界に切嗣とそのパートナーである舞弥が映る。

 

「冬木市民会館の外だ。」

 

「そうか...あんたの奥さんは大丈夫か!?」

 

節々の痛みに耐えながらも上体を起こすと隣に寝かされているアイリがいる。

 

「無事だ...どうやら魔法使いは奇跡を起こしたらしい。」

 

「そうか...これは?」

 

切嗣と舞弥の傍に置かれた黄金の杯。

 

「これはアイリと分離された小聖杯...願望機だな。」

 

「あんたはこれを使う...はずないよな。破壊しないのか?」

 

黄金の杯を手に取り、それを使って説明する切嗣。

 

「聖杯を破壊すること自体は簡単だ...だが、その中にある敗退したサーヴァントの魔力が問題だ。」

 

「問題...魔力がか?」

 

杯の中を覗く二人。

 

「サーヴァントはそもそも膨大な魔力の塊とも言える。それが四つもこの聖杯に集められていれば、破壊した際は魔力の暴発によりちょっとした核爆弾になるだろう...いや、[[rb:この世全ての悪 > アンリマユ]]に汚染されているならより最悪な状況になるかもしれない。」

 

「...このまま放っておけば誰かが悪用するんじゃないか?」

 

「だからこそ、僕は君のサーヴァントである魔法使いを待っているんだが...」

 

市民会館から衝撃音が彼らの耳に届く。

 

「...彼は今、あのアーチャーと戦っている。」

 

「アーチャーと...てことは今の爆発は...」

 

建築途中にも関わらず、崩れ始める会館。

 

「晴人は無事なんだろうか...」

 

「彼も強いが...宝具を山のように持つアーチャーはそれ以上に手強いからな。」

 

「...切嗣?」

 

倒壊する建物を二人が神妙な目で見守る中、舞弥に担がれたアイリが口を開く。

 

「アイリ!!」

 

「き、切嗣!?」

 

切嗣は目覚めたアイリに抱擁する。

 

空気を読んだのか、舞弥はそっとアイリからいつの間にか離れていた。

 

「良かった...君を失えば僕はもう...」

 

「ウフフ、こんなにあなたに愛されるなんて...今死んでも後悔はないわ。」

 

「冗談はよしてくれよ、アイリ...」

 

アツアツな二人の再会に胸焼けした雁夜はため息をつく。

 

「...あんたは嫉妬しないのか?」

 

「私はあくまで切嗣のパーツで!?」

 

突如、切嗣に抱き着かれたアイリに抱擁される舞弥。

 

「あなたも大事な家族なのよ、舞弥さん。」

 

「マダム...私には勿体ないお言葉です。」

 

あまりのアイリの行動に唖然とする舞弥。

 

「それよりもアイリ、これは...」

 

「これ?魔法使いの指輪よ、切嗣が早く指輪をはめてくれないからよ。」

 

「...」

 

面白そうにエンゲージリングを見せつけたアイリだったが、ショックを受ける切嗣を見て焦り始める。

 

「き、切嗣!これは私を助けるのにはめられたの!それにほら、結婚指輪は薬指よ!」

 

「...そ、そうだったな。」

 

二人のやり取りに思わず笑みを浮かべる舞弥だったが、相変わらず神妙そうな顔つきの雁夜を目にして表情を戻す。

 

「私が見てきましょうか?」

 

「え?...すいません、せっかく和やかな雰囲気に...」

 

「いえ、まだ終わってないのにいちゃつく切嗣とマダムが悪いですから。」

 

小声で愚痴る舞弥に少し苦笑する雁夜。

 

「残念ながら貴様らの待つ魔法使いはもう来ないぞ、雑種ども。」

 

「お前は!?」

 

彼らの後方に小聖杯片手に突然現れるギルガメッシュ。

 

「聖杯が!?」

 

「晴人は...」

 

「どうやらちゃんと消滅したようだな、魔法使いは。」

雁夜の右手の甲へ視線を送るギルガメッシュ。

 

「残るサーヴァントはお前のセイバーのみ...そういえば貴様らはもう聖杯を必要としなかったのだな。」

 

[[rb:王の財宝 > ゲート・オブ・バビロン]]が開かれ、四つの宝具が切嗣の方へ刃を向ける。

 

「残りの令呪でセイバーに自害を命じろ。面白い舞台を見せた貴様らに対する最大限の譲歩だ。」

 

「お前は...本当に英雄なのかよ!」

 

怒鳴る雁夜に対し、高笑いするギルガメッシュ。

 

「勘違いするな雑種、英雄としての俺を見せるのは我が臣民のみ...勘違いにも甚だしい。」

 

「...アーチャーよ。仮に聖杯を掴んでもその中身はすでに汚れている...君のコレクションにするにはいささか無理があるんじゃないかな?」

 

アイリを庇うように立つ切嗣はギルガメッシュに問う。

 

「確かにこの杯は我の財とするにはいささか汚物と化している...だが、この中に詰まった泥は俺の庭に引き締め合っている雑種を選別するのに良いと思ってな。」

 

「選別...だと?」

 

「まだ早計であるが、この俺の時代と比べて随分人類が繫栄しているのは実に喜ばしいことだが...」

 

ギルガメッシュの言葉に息を呑む一同。

 

「同時に無意味で価値のない雑種も増えてしまった...貴様らもガラクタやゴミがあれば掃除をするであろう?」

 

「...それがお前の聖杯の使い道か。」

 

雁夜と切嗣は睨む。

 

「というわけで貴様ら自身に願いがない以上、大人しく俺に献上するのが身のためだ。」

 

「...残念ながらそれは無理な願いだ。」

 

懐からコンテンダーを取り出し、ギルガメッシュに構える切嗣。

 

「俺も晴人の思いを裏切ることはできない!」

 

蟲を呼び出す雁夜。

 

「はっはっはっ!...愚か者が。」

 

四人に向けて宝具が射出される。

 

「切嗣!!」

 

アイリは叫ぶが、放たれた宝具の衝撃は一向に来ない。

 

「急にいなくなったと思えば、ここにいたのかよ金ぴかの兄ちゃんよ!」

 

「遅くなり申し訳ない、マスター。」

 

セイバーと仁藤が降り注ぐ四本の宝具を薙ぎ払っていた。

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「さっきの戦いの分の魔力は返してもらうぜ!」

 

「切嗣よ...おそらくこの一回で私は消えてしまうが...いいな!」

 

「お前たちのあの全力はせいぜい一発が限度...貴様らに後れを取るはずなどないわ。」

 

「...あんたの蔵には世界の全てがあるが、たった一つだけ...ないものがあるな。」

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

 

 

第32話 孤高の英雄王

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