仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
「急にいなくなったと思えば、ここにいたのかよ金ぴかの兄ちゃんよ!」
「遅くなり申し訳ない、マスター。」
現れたセイバーと仁藤。
「セイバーに仁藤!」
助けられた一同は一旦安堵する。
「アーチャーよ、覚悟してもらおう。」
「さっきの戦いの分の魔力は返してもらうぜ!」
ミラージュマグナムを向ける仁藤とエクスカリバーを構えるセイバー。
「...実にしつこいものだが、まぁ良いだろう。」
懐から乖離剣・エアを取り出すギルガメッシュ。
「お前たちのあの全力はせいぜい一発が限度...貴様らに後れを取るはずなどないわ。」
エアの円筒が回転し始める。
「切嗣よ...おそらくこの一回で私は消えてしまうが...いいな!」
「頼む、セイバー!」
黄金の剣に風が纏い始め、光り輝く。
「しゃーねぇな、俺も全力を出すぜ!」
『ハイパァ マグナムストラァイク!』
赤い獅子型のエネルギーが銃口を構える仁藤の回りを駆け巡る。
「俺にここまで抗ったことは褒めてやるが、死して後悔するんだな。」
『コネクト プリーズ』
「残念ながらそうはさせない!」
手元の魔法陣から伸びた腕にエアを盗まれるギルガメッシュ。
「何!?」
『ドリル プリーズ!』
「くっ!?」
真下から回転する晴人にギルガメッシュは空中に打ち上げられる。
「いけ!セイバー!仁藤!」
「「あぁ!」」
セイバーと仁藤は互いに目を合わせタイミングを測る。
「
振り下ろされる巨大な黄金の光がギルガメッシュに襲い掛かる。
「この程度、我の財で」
「たぁ!!」
自動で防御を行う宝具を展開しようとするも、正面から放たれる仁藤のエネルギー弾に反
応してしまう。
「ちっ!たった二方向からの攻撃に遅れなど」
「残念だが俺も加勢させてもらう。」
『チョーイイネ!キックストライク サイコォ!!』
真下にいる晴人はギルガメッシュに向けて飛び上がり、白銀の魔法陣の蹴りを向ける。
真上のエクスカリバー、正面の仁藤の必殺、真下の晴人のストライクウィザードがギルガ
メッシュの退路を塞ぐ。
「フィナーレだ!」
「この俺が...この俺がぁ!!」
彼らの必殺を直撃したギルガメッシュを中心として衝撃波が広がる。
「こ、この衝撃...」
爆撃も大きく、三人を巻き込むほどの大きさであった。
徐々に爆発による光は収まり、何かドサッと落ちたような音が聞こえる。
「原初の王である、この俺が...敗れるとはな...」
「...あんたの蔵には世界の全てがあるが、たった一つだけ...ないものがあるな。」
煙が晴れると横たわる満身創痍のギルガメッシュと傍で立っている晴人。
「...言え、魔法使い。」
「それはあんたが一番分かっているはずだ。」
ギルガメッシュは静かに眼を瞑る。
「...それは友か?」
「ある意味そうだな...あんたの蔵には人の温かさがない。」
「暖かさ、だと?」
消えゆく意識の中で僅かに眉を動かすギルガメッシュ。
「金銀財宝やあらゆる英雄の宝具の原典、人が生み出した叡智の結晶...どれも完成された至高の一品かもしれないが、あんたと関わった人との思い出や仲間がない...」
「戯け...それくらい俺も持っている。」
宝物庫から鎖を取り出す。
「生涯俺が認める友の形見...天の鎖だ。」
「孤高なあんたにも過去に仲間がいたんだな...もしやあんたは友を無くして失うことを恐れて孤高になったのか?」
「ズケズケと俺に踏み込むな、魔法使い。」
拒絶された晴人は気まずそうに俯く。
「...失うことを恐れてなどない。俺の隣に座す者は後にも先にもたった一人...それが友との盟約であり、俺の王道だ。」
ギルガメッシュの脳裏にエルキドゥとの思い出がよぎる。
「貴様の言う温かさとやらは脆い幻すぎぬが、希望を失わずその幻を信じたお前の輝きは本物であったぞ...」
「最古の王に認められるとは光栄なもんだ...アーチャー。」
黄金の煌めきと共に遂に天へと去ってしまったギルガメッシュの横たわった後には聖杯し
か残っていなかった。
「...聖杯をなんとかしないと...!?」
手に取ろうとする晴人だが、杯から真っ黒な泥があふれ始めていた。
「これはマジでヤバい!!」
アックスカリバーを取り出し、杯の中身を攻撃する。
しかし、避けた泥は上空へ逃げて一か所に丸く集まり始める。
「いったい...!?」
泥の塊は雁夜達の方へと動いていた。
「どうやら勝てたようだな...」
「無事、これで聖杯を...」
「セイバー!?」
煙が舞う最中、セイバーはふらつき、転倒する。
「...さっきのエクスカリバーで魔力が持たなかったのか。」
「はい、私と切嗣ではせいぜい出せて二回が限度でした...」
切嗣はセイバーを抱える。
「なぜ僕の魔力を使い切らなかった?」
「...切嗣よ、以前のあなたであれば理由は違っていたが、今のあなたには生きてほしいと思った...それに。」
アイリや舞弥の方へ視線を向けるセイバー。
「あなたにはフォーリナーに助けてもらったアイリスフィールや舞弥がいる...過去に生
きた私より今のあなたが生きるべきです...」
「駄目よセイバー!...私はセイバーと最後まで...」
「泣かないでください、アイリスフィール。」
泣きつくアイリの頭を撫でるセイバー。
「...あなたは私や切嗣の騎士よ...最後まで私や切嗣を守って!」
「申し訳ありません...ですが、私はもうここで」
『まだ終わらない。』
どこからかエコーの掛かった声が響く。
「逃げろ!!」
ギルガメッシュの倒れた方向から晴人が駆けつけてくると同時に真っ黒な粘性が高い泥が上空からセイバーたちに向かう。
『グラビティ プリーズ!』
「きゃ!?」
三人にかかる重力を横方向に加え、強制的に切嗣とアイリは吹き飛ばされるが、セイバー
はその場にとどまっていた。
「魔法が効かない!?」
「アアァァ!!」
泥がセイバーに降りかかり、彼女を包み込む。
悶え苦しむ様子にアイリと切嗣は強張らせる。
「セイバーの対魔力はA相当...君の魔法も弾いてしまうのか...」
「いったい何が起こっているの!?」
「おいおい騎士のねぇちゃんは大丈夫かよ!」
聖杯の泥に飲み込まれるセイバーを心配そうに見つめる仁藤とアイリ。
「クソッ!何としても!」
「見てらんねーぜ!」
『コネクト プリーズ!』
『ドルフィ!ゴォ!ド、ド、ド、ドルフィ!』
晴人は泥から引きはがすために空間を繋ぐための魔法陣を出現させ、仁藤は泥に侵された
セイバーを回復しようと試みる。
だが、聖杯の泥に抵抗しているためかこれらの魔法はセイバーに触れる瞬間に消失する。
「...逃げ...て...」
「セイバァァ!!」
やがてセイバーの声は途絶え、セイバーの姿は完全に泥の中へと消えてしまった。
「なぜ...聖杯はまだ起動するはずが...」
『とっくに七騎分の魔力は回収されているんだよ。』
「なっ!?」
泥の中から先ほどの声が響く。
『アーチャーは他と比べて三倍の魔力を持つからね。』
「それで七体...ということか。」
「お前が...
戦慄するアイリや雁夜に、泥の塊を睨む晴人と切嗣。
『そうだよ、魔法使い。君のせいで大聖杯とのパスが切れて受肉化できそうにないからセイバーを飲み込ませてもらった。』
「...あんたはいったい何がしたいんだよ。」
「答えよう...その問いを。」
泥の塊が花びらのように開く。
「こ、これは...」
「どういうことなの!?」
漆黒の重厚な装甲に包まれ、禍々しい剣を手にする女騎士。
「争いも、裏切りも、絶望も...未来を壊すのは人。」
「くっ!?」
禍々しい空気を放ち、呪いを辺りにまき散らす。
「希望を抱くほど、絶望は訪れる。」
手にしていた剣を大地に刺し、震えさせる。
「ならば最初から終わらせればいい。」
濁った黄金に染めた瞳のセイバーがそこには立っていた。
次回、仮面ライダーウィザード
「セイバー...いったいなにがあったんだよ。」
「ここで止めれば絶望する人間が出てしまう...全てを破壊して救う!」
「でもね、セイバー...あなたのそれは未来の可能性を捨てることにならない?」
「...未来に対して希望を持てるのは、壊れていないときだけだ!」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第33話 未来を恐れる騎士王