仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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File3:お願い!アインツベルン相談室 その1

「「お願い!アインツベルン相談室!!」」

 

 

『まぁじっくたぁいむ、とぉりっくじゃない♪』

 

とある事務所でテレビを見る白髪の袴を着た女性、アイリスフィール・フォン・アインツベルン。

 

彼女はアインツベルン相談室を開設し、相談にのある師範だ。

 

「師匠、なんですかその番組?」

 

「これ?オープニングの最後で分かるわよ、ぜっちゃん。」

 

そこにトイレから戻ってきた少女、弟子ゼロ号。

 

アイリの弟子で、通称ぜっちゃんと呼ばれている。

 

「かめん、らいだー...ウィザード?」

 

「そう、仮面ライダーウィザードよ。」

 

弟子第0号は首を傾ける。

 

「よく分からないですけど...これ、実写でやってるってことは特撮ですか?」

 

「そうよ。これは2012年に放映された平成仮面ライダーシリーズ第14作目...毎週朝8時に

1年以上放映していた作品よ。」

 

「へぇ~...でも、よく一年も一週間に一回放映できましたよね。で、今回はそれと聖杯

戦争にどう繋がってくるんですか?」

 

新たな疑問が浮かぶ弟子ゼロ号の前にたくさんの冊子を目の前にドスンっと置くアイリ。

 

「それは別世界による干渉のせいで仮面ライダーウィザードこと操真晴人がこの聖杯戦争

に呼ばれちゃったせいなのよ。」

 

「別世界...パラレルワールドってことですね!」

 

「本当は交わることはあり得ないんだけど、それを望む多くのファンがこぞって創造する

わけね。」

 

冊子を手に取った弟子ゼロ号は目を通していく。

 

「でも、ここは敗北した英霊が来る場所なんですよね?...その晴人さん?がまだ敗北し

ていない以上、今日はなんでその人が出ていた作品について見ていたんですか?」

 

「それはね...フフッ。今日は同じ作品に出てくるスペシャルゲストが来る予定なの。」

 

「...そうなんですか?」

 

「うん。だから全53話を今から見る予定だからぜっちゃんもおいでよ。」

 

「全53話ですか!?1話大体30分として...」

 

指を折ったり、うならせながら計算していく弟子ゼロ号。

 

「だいたい27時間で見終わるわ。」

 

「い、1日以上かかるじゃないですかぁ!?」

 

 

 

『晴人...』

 

「終わりましたぁ!!」

 

エンドクレジットが終わったのを見て、叫ぶ弟子ゼロ号だがぶっ倒れる。

 

「...ちょっと中だるみはあったけど、人間の絶望をテーマにしている関係上なかなかシ

リアス要素もあって良かったわ。」

 

「私はアクションとか華やかで魔法もバリエーション豊富で楽しかったですし、主人公の

晴人さんとか同じ魔法使いの仁藤さんとかいろいろ魅力的でしたけど...物語の根幹が

ヒーローものにしてはちょっと深すぎませんか?それに終わり方がちょっとビターというか...」

 

「だからいいのよ、ぜっちゃん!人間の絶望から生まれる怪物とか、娘さえ復活すれば他

は犠牲を顧みない父親とか結構いいと思わない?」

 

目を輝かせながら語るアイリに苦笑いを浮かべる弟子ゼロ号。

 

(なんか師匠の目の付け所、少し怖いです...)

 

「それで見終わったわけですが...この相談室に来る人って誰なんですか?」

 

「そういえば言ってなかったわね...今回のお客さんはコヨミちゃん」

 

「え!?あの子が来るんですか!?」

 

「...のお父さんよ。」

 

弟子ゼロ号はアイリのフェイントにずっこける。

 

「コヨミちゃんのお父さんって確か...あのめちゃくちゃ強い人ですよね。」

 

「そうねぇ。想定外かつ最強形態のインフィニティスタイルと互角な上にハーメルケイン

持ってると勝ってしまうものね...」

 

「思ったより肉弾戦が強いのは私も見習いたいものです!」

 

正拳突きをする弟子ゼロ号。

 

「ぜっちゃんの言う通り戦闘面も好きだけど、私は他人を絶望させてまで本人の意思を無

視して望みを叶えようとする点は好きよ。」

 

「...あの人に同情できる点はありますけど、やってることは完全に黒幕なんであんまり

好きじゃないんですよ。」

 

「好まない理由は理解できるけど...まぁ、こればっかりは仕方ないわね。ぜっちゃんは

まだ子供だもの。」

 

不満そうに口を膨らます弟子ゼロ号を見て、アイリは苦笑を浮かべる。

 

「「あ」」

 

お互いが感想を述べあうこの時、ドアベルが鳴り響く。

 

「ぜっちゃん、苦手な方かもしれないけど、よろしくお願いできるかしら?」

 

「はい!これでも師匠の弟子、こんなことで嫌がるわけにはいきませんから!!」

 

弟子ゼロ号が玄関のほうへ飛んでいく。

 

「フフッ...どうやら再現には成功したようね。彼はこの聖杯戦争を成功させるためには

必要な」

 

「師匠!」

 

「いけないいけない...ぜっちゃんには分からないようにしないと。」

 

帯を強く締め直し、やってくるであろう笛木と弟子を待つ。

 

「師匠!連れてきましたよ!!」

 

「...」

 

「あらあらいらっしゃい、笛木さん!」

 

やってきた笛木は険しい顔をアイリに向ける。

 

「...どういうつもりだ?」

 

「!?」

 

アイリを睨みつけ、明らかに相談しに来た様子に見えない笛木の態度に弟子ゼロ号は目を

見開く。

 

「相談しに来たんじゃないんですか!?」

 

「相談?...私に相談することなどない。あるとすれば、この状況と暦を生き返らせる方

法だけだ!」

 

「ひぃ!?」

 

笛木の気迫に押されてしまった弟子ゼロ号はアイリの背中に回り込む。

 

「し、師匠!!この人、めっちゃ怖いです!」

 

「あらあら、怖気づいちゃだめよぜっちゃん。ここはアインツベルン相談室...ここに

辿った以上、何かしらの相談事があるのよ!」

 

「で、でもないって言ってるみたいですが...」

 

コソコソと話し合う様子を見た笛木はさらに不信感を募らせる。

 

「そもそも私はなぜこんなところにいる?私はあの忌々しいファントムに命を落としたは

ずだが?」

 

「あ...そうです師匠!そもそもここは敗北したサーヴァントさんたちが訪れる相談室...

こんな場所にまったく無関係な人が来るものでしょうか?」

 

「確かにぜっちゃんの言う通り、本来想定されているのはサーヴァントの方々...でも

ね、それを言うならあなたも該当してしまうのよ。」

 

「そ、そうです...となると、私も死んでいるんですか!?」

 

瞬きを繰り返して驚く弟子。

 

「ほう...魂が存在しているということかな?」

 

「それはあなたの解釈に任せるけど、ここで相談を受けてもあなたに損はないわ。」

 

「わ、私が...魂?」

 

狼狽している弟子ゼロ号には気にもとめず、二人の目は互いの方へ向ける。

 

「いいだろう...お前の言う相談とやらをさせてもらおう。」

 

「えぇ、あなたの相談内容楽しみにしてるわ。」

 

 

 

改めて席についた笛木と飲み物をお出しする弟子ゼロ号。

 

「...なんだこのふざけた飲み物は。」

 

「私が入れたものよ。お客様に何もお出ししないのは失礼と思って。」

 

「これは師匠が丹精込めて作ったシチューなのです!」

 

ティーカップに入れられたシチュー...?に眉をひそめる笛木。

 

「...改めて自己紹介をさせてもらうが、私は笛木奏。本業は物理学者だ。」

 

「そういえば、笛木さんってもともと生粋の魔術師ではなかったですよね。」

 

「私はこの女と話しているのだが?」

 

睨みつけ自分をのけ者にしようとしてくる笛木に口を膨らませる弟子ゼロ号。

 

「ごめんなさい、笛木さん...この子はまだ見習いなんです。」

 

「...そちら側の事情と言うことだな。」

 

「そろそろ本題に戻りたいわ。あなたの来歴について話してくれないかしら?」

 

(なんか今日の師匠...やっぱりおかしい。)

 

笑顔を絶やすことはないものの、笛木に圧を掛けるアイリ。

 

「少し深入りしてしまったようだが...一旦本題に戻るとしよう。」

 

笛木は一瞬、カップに手をとるが、中のシチューを目にして一切口につけずソーサーに戻

す。

 

「...私はかつて妻と娘の暦の3人家族で暮らしていた。妻は他界してしまい、暦も元々体

が弱かった上に不治の病を患っていた。」

 

(『お父さん...』)

 

「私が専門とする物理学の他に医学、科学とあらゆる学問に手を出してなんとか暦を救え

ないか模索していた。」

 

彼の脳裏にはベッドに横たわる暦と彼女の手を取る笛木の姿。

 

「だが、その努力も空しく娘はこの世を去り、私は絶望に叩き落とされた...」

 

(『暦?...暦!?』)

 

糸が切れた人形のようにぐったりと横たわる暦に呼びかける笛木。

 

一室でただ彼は泣き叫ぶことしかできなかった。

 

「よほど狂っていたのだろう...私は科学の粋を超えた学問である魔法にまで手を伸ばし

た...」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

突然、笛木の姿が白い怪人へと姿を変えて、弟子ゼロ号は慌てふためく。

 

「科学と魔法を融合することで魔力を扱うためにファントムをその身に宿すことのできる

カーバンクルを作り、そして埋め込んだ。」

 

「一世代でしかも消費文明である科学まで併用するのってやっぱり私たちの世界とはまた

違ったものなんですね。」

 

「ぜっちゃん、ちゃんと魔術のことをちゃんと覚えていてくれたのね!」

 

笛木が話しているのにも関わらず、弟子の成長に喜ぶアイリ。

 

「...話の途中だが?」

 

「「ご、ごめんなさい!?」」

 

怪人姿のまま呆れる笛木。

 

「...そして手に入れた。人でありながら魔法を意のままに操る術を。」

 

「また変身した...てこれ本編のままじゃないですか!」

 

「さすがにうるさすぎる...」

 

白い魔法使いの姿へと変わった笛木に突っ込む弟子ゼロ号に指輪をはめる。

 

「な、なにをするんですか?」

 

「しばらく席を外してもらうだけだ」

 

『テレポゥト ナウ!』

 

「え?ちょ、ちょっと!?」

 

白い魔法陣が弟子ゼロ号の頭上に出現し、通過し終わると完全に姿は消えていた。

 

「...その後は暦に生と死を入れ替える賢者の石を埋め込み、それを起動するための魔力

を得るためにサバトを起こした。」

 

「でも、その復活は不完全で彼女は記憶のない魔力で動く人形(コヨミ)ちゃんでしかなかったわけね。」

 

「...最初から知っているのなら、わざわざ私の来歴を語るまでもなかっただろう?」

 

変身を解除した笛木はアイリに視線を向け、彼女はただニコニコする。

 

「あら、そんなことないわ。こうやってお客様からの話も聞くことでより理解を深めるこ

とができるのよ。」

 

「...まぁ、そこはどうでもいい。問題はお前にコヨミを生き返らせる方法があるのか、

ということだ...それも完全な状態でだ。」

 

「そうね...」

 

笛木の問いに対して少し間を置くアイリ。

 

「それを答える前にあなたに一つ質問で返すことになるけどいいかしら?」

 

「構わん。」

 

「例え、誰かの犠牲で成り立ち、あなたの娘がそれを望んでいなくとも暦ちゃんを復活さ

せたいのかしら?」

 

それを聞いた笛木は鼻で笑う。

 

「愚問だな...他者が不幸となっても娘を失った悲しみと比べたら小さいこと。」

 

「つまり、イエスということね。」

 

「期待外れだったかな?」

 

目を閉じるアイリの口角があがる。

 

「いいえ、そんなことないわ。私だってイリヤのため、切嗣の為なら私もきっと同じこと

をするもの。」

 

「...それで娘を蘇らせる方法は?」

 

「教えて差し上げましょう...」

 

 

 

「ごへっ!?」

 

街中に弟子ゼロ号は笛木のテレポートによって放り出された。

 

若干、宙に浮いた状態で解放されたためずっこけた状態で横たわる。

 

「い、痛ぁ~...やっぱり私、あの笛木って人嫌いです!」

 

悪態をつきながらも、立ち上がるのが嫌になったのか寝転び続ける。

 

「お主は何をやっているのだ?」

 

「あ、あなたは...征服王のライダーさん!?」

 

「お、余を知っているということはお主は相談室の者か?」

 

顔を上げると目の前には筋骨隆々のマントをはためかせた大男、ライダーが立っていた。

 

「はい、そうなのです。」

 

「なるほど。しかし、お主をどこかで見たことがあるような気がするのだが...あぁ!」

 

「どうしたんですか!!」

 

弟子ゼロ号の姿に目を見開くライダー。

 

「お主は余の強奪した樽を取り返...いや、余のマスターに教師を勧められた小娘だった

か。」

 

「ライダーさんとウェイバーさん、私と面識があったのでしょうか?」

 

「?...お主、覚えとらんのか?」

 

ライダーの問いに首を傾げる弟子ゼロ号。

 

「えーっと...実は私、相談室の師匠に拾われる前の記憶が曖昧で...」

 

「ほう...記憶喪失であれば、余やマスターとの記憶もないわけだが」

 

顎髭を触るライダーはどこか引っ掛かっている様子。

 

「余は敗れたサーヴァントである故、聖杯の中に入るのは必然なのだが...人間であるお

主がどうしてここにおるのだ?」

 

「...?」

 

「分かっておらんようだが、お主は現界した余と会っているということは少なくとも現実

世界にいたはずなのだ。」

 

「それは...」

 

(「そもそも私はなぜこんなところにいる?私はあの忌々しいファントムに命を落とした

はずだが?」)

 

弟子ゼロ号の脳裏に笛木の言葉がよぎる。

 

彼女はアイリに拾われ、相談室にいるのを当然のこととして見ていたが、ライダーの一言

で崩れ去る。

 

「それじゃあ私はいったい...」

 

「あなたに関して話したいことがあるわ。」

 

「ん?」

 

話をしている二人の横から一人の指輪をはめた少女が入ってくる。

 

「あなたは...コヨミちゃん!?」

 

「...一応、初対面なはずだけどこの際、呼び方なんてどうでもいいわ。」

 

「少し待て!余が置いていかれているのだが...」

 

弟子ゼロ号とコヨミの間で勝手に話が進むことに待ったをかけるライダー。

 

「あなたは征服王ね。晴人がお世話になったわ。」

 

「晴人...?」

 

「仮面ライダーウィザード...フォーリナーのことよ。」

 

「お主はフォーリナーの関係者ということか。それで小娘に何のようだ?」

 

ライダーの問いにコヨミは背を向けて、ある建物に指をさす。

 

「それも含めて、あの建物の中で聞かせてあげるわ。」

 

その建物の看板には面影堂と書かれていた。

 




元ネタはFate/Zero BD-BOX特典映像「お願い!アインツベルン相談室」です。
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