仮面ライダーウィザード  in第四次聖杯戦争   作:T氏@pixiv

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第3話 集まる英霊たち

夢を見た。

 

晴人が4属性を秘めた指輪の力で人々を絶望に叩き落として仲間を増やすファントムを倒

 

していた。

 

この世界と違って魔術というものは存在しないが、一般人が何も知らずに巻き込まれるの

 

はあの世界でも同じようだ。

 

「もう...駄目みたい」

 

ある女性刑事は警察を目指すきっかけだった父の形見を壊されて絶望した。

 

「ごめん...僕に...魔法なんて使えるはずがなかった...」

 

ある青年は魔法使いになれない現実を見せつけられ、夢のきっかけである絵本を燃やされ

 

た。

 

他にも多くの絶望した人々がいた。

 

「約束する……俺がお前の、最後の希望だ。」

 

彼らに対し晴人は指輪を中指にはめ、ベルトにかざす。

 

指輪は俺にくれたものと同じもののようだ。

 

『エンゲージ プリーズ』

 

絶望した人から出現する魔法陣へと突っ込んでいく晴人。

 

こうして見ると晴人が救った人数は数えきれない。

 

「あなたが晴人と契約した魔術師?」

 

突然、雁夜は横から少女に話しかけられる。

 

「君は?」

 

「わたしはコヨミ。晴人の希望よ。」

 

右手には俺と同じように指輪をはめていたが、そのリングはどこか少し特別な意匠が施さ

 

れていた。

 

「あなたの救いたい間桐桜は臓硯によって蟲に寄生されているわ。」

 

「なんだって!?」

 

コヨミははめていたリングを外して渡す。

 

「あなたのそのリングと交換して、このホープリングをあの子の指にはめなさい。」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

視界がブラックアウトする。

 

 

 

「ここは...」

 

雁夜はいつの間にかベットで寝かされていた。

 

「よっ、雁夜。」

 

「...また、倒れてしまったみたいだな。心配かけてすまない、晴人。」

 

「いいって。それよりも雁夜、お前の体いつ死んでもおかしくないぞ。」

 

晴人はプリーズリングを取り出しながら彼の手を取る。

 

「これは!?」

 

「夢でコヨミさんに出会ったんだ。その時、このリングを桜ちゃんにはめてくれって。」

 

渡されたホープリングを見つめる晴人。

 

「...コヨミは起きてしまったんだな。」

 

ホープリングをしまって、雁夜に再び顔を向ける。

 

「それよりも雁夜。あんたがいなければ、解放された桜はどうするんだ。」

 

「それは...あの子には、葵さんや凛ちゃん、それに悔しいけど時臣がいるから。」

 

柔らかな表情をみせる雁夜に晴人は口を開く。

 

「...俺はできるだけあんたを全力で生かすし、桜ちゃんをあの爺さんから守る。だか

 

ら、約束してくれ...あんたは最後まであの子の希望になってほしい。」

 

(「あの人たちと.......また会えるの?」)

 

桜の言葉がふと雁夜の脳内に浮かぶ。

 

あの頃は、彼女に対して無責任な希望を抱かせてはいけないと思っていた彼だが...。

 

「あの子が望まなければ、俺の独りよがりでしかない。俺は決めたよ、晴人。桜ちゃんの

 

希望になるって。」

 

「よし。そうと決まれば、行くぞ。」

 

彼らはダイニングの方へ向かう。

 

「あ、雁夜おじさんとお兄さん。」

 

朝食を食べ終わった桜がどこかへ行こうとしていた。

 

「桜ちゃん、この指輪を付けてほしい。」

 

「うん...いいけど。お兄さん、いいの?」

 

ホープリングを懐かしそうに見る桜。

 

「あぁ、大丈夫。ただ、そこには俺の希望がつまった指輪なんだ。」

 

(「桜、本当に申し訳ない...だが、一流の魔術師になってくれたら私も幸せだ。」)

 

「大切にするね。...これ見てると、お父さんを思い出すよ。」

 

複雑な表情を浮かべるも笑みを浮かべる雁夜を後目に晴人は続ける。

 

「ちょっと手を借りるぞ。」

 

『ホープ プリーズ』

 

リングが桜色の輝きを放つ。

 

「おねぇさん...うん、いいよ。」

 

桜が独り言をつぶやいた後、瞳がピンクに染まる。

 

「晴人。」

 

「まさか...コヨミか!?」

 

桜は頷く。

 

「桜ちゃんをどうした?」

 

雁夜は怪訝な様子だが、桜もといコヨミは雁夜へと視線を向ける。

 

「私が入っただけで意識は無事よ。」

 

「雁夜、いろいろ複雑だと思うがコヨミを信じてくれ...」

 

頭を下げる晴人に困った雁夜はコヨミの方を向く。

 

「...桜ちゃんは無事なんだな。」

 

「無事よ。でも、精神状態と肉体に歪みがあるから、この子が起きるときは調べさせても

 

らうわ。」

 

「...分かった。俺は君を信じるよ。」

 

覚悟した雁夜を確認した後、コヨミは近くにあった水晶を手にする。

 

「晴人、これを見て。」

 

「これは...」

 

昨夜に発生した遠坂邸の襲撃の映像である。

 

「俺も視蟲を通じて見たが...アサシンがやられたみたいだな。」

 

「雁夜、これからはできるだけ蟲を使うのは避けた方がいいわ。」

 

覗き込む雁夜にコヨミが忠告を行う。

 

「私は透視できるし、戦うのは晴人ができる。それ以外にあなたのできることを考え

 

て...」

 

「...分かった」

 

一連の出来事が終わり、元の透明のガラスへと戻る。

 

「アサシンがやられたからこれで残り6体か...」

 

「いや、これは陽動かもしれないな。アサシンは暗殺者である以上、こんな堂々と侵入す

 

るものなのか?」

 

晴人がいつの間に出したプレンシュガーを頬張りながら、断定する雁夜に疑問を投げかけ

 

る。

 

「とりあえず保留するとして、サーヴァントは宝具をあんなに持てるものかしら?」

 

「...おれが知ってるサーヴァントの宝具の知識としては英雄が所持していた武器以外に

 

も逸話を元にした能力もあるとは聞いているけど...」

 

コヨミの問いかけに雁夜は記憶をなんとか絞り出した。

 

「たくさんの武器をもつ英雄...か。」

 

「...あの英霊に勝てるのか、晴人。」

 

心配そうに見つめる雁夜に対して、晴人は気にせずプレンシュガーを頬張る。

 

「晴人は絶対負けないわ。」

 

力強い視線に雁夜は一瞬唖然とするも笑みを浮かべる。

 

「安心しろ、雁夜。」

 

晴人はリングを取り出す。

 

「俺はちょっと外に行ってくる。使い魔を付けとくがコヨミと桜ちゃんを頼むぞ。」

 

『コネクト プリーズ』

 

「...あぁ。」

 

魔法陣の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

コンテナに積まれた港は昼では船やトラックの行き来が多くにぎやかだが、暗い時間にな

 

ると誰一人おらず物悲しい場所である。

 

そこにはただ一人静かに敵を求める二本の槍を持った男が徘徊していた。

 

「ふん...」

 

強者の気配を感じ取った男は笑みを浮かべ、広い場所へと出る。

 

そこにはスーツ姿の女とその後ろを歩く銀髪の女。

 

「良くぞきた。今日1日、この街を練り歩いて過ごしたものの、どいつもこいつも穴熊を

 

決め込むばかり...」

 

二人は男の存在に気づき、彼を睨む。

 

「俺の誘いに応じた猛者は...お前だけだ。」

 

スーツの女からは鋭い視線を放ち、武道に長けた様子がうかがえる。

 

「その清澄な闘気、セイバーとお見受けするが...如何に?」

 

セイバーと呼ばれたスーツの女は男の武器を一瞥する。

 

「如何にも。そういうお前は、ランサーに相違ないな?」

 

「ふっ、これより仕合うという相手と、尋常に名乗りを交わす事もままならぬとは。興の

 

乗らぬ縛りがあったものだ...」

 

ランサーは大きさの違う二本の槍を回転させ、構えをとる。

 

対するセイバーは周囲に風が発生して土埃が舞い、風が止むと鎧を纏いまるで見えない剣

 

を構えるように対面する。

 

今にも始まろうとしている戦いを周囲の魔術師同様にコヨミと雁夜は水晶ごしで覗いてい

 

た。

 

「...雁夜、もし晴人の身が危なかったら令呪で避難させてほしい。」

 

「そのつもりだ。」

 

両者の戦いは周りのコンテナを崩壊するほど白熱したものだった。

 

お互いが実力を認め合うほどだったが、しびれを切らしたランサーのマスターが宝具の使

 

用を許可したことにより、セイバーは魔力を断つ破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)

 

に風の魔力で隠していた剣の刀身を見られ、魔力で編んだ鎧を貫通される。

 

さらに鎧を捨てて素早さを取ったセイバーの判断はもう一つの宝具必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)の穿てばその

 

傷を決して癒さぬという呪いにより左腕に手痛い傷を負ってし

 

まった。

 

「その二本の槍と乙女を惑わす右目の泣き黒子...フィオナ騎士団随一の騎士、輝く顔の

 

ディルムッド。まさか手合わせの栄にあずかるとは思いませんでした。」

 

「だが誉れ高いのは俺の方だ。時空を超えて英霊の座にまで招かれたものならその黄金の

 

剣は見違えはせん。かの名高き騎士王とつばぜりあい、一矢報いるとは...どうやらこの

 

俺も捨てたものではないらしい。」

 

お互いに真名を見破り、得物を構える。

 

「互いの名を知れたところでようやく騎士として尋常なる勝負を挑めるわけだが...片腕

 

を奪われた後では不満かな?」

 

「戯れ言を。この程度の手傷で気兼ねされては屈辱だ...」

 

強がるセイバーだが、傷により全力を出せない状態ではランサーとの戦闘は危うい。

 

「覚悟しろセイバー、この次は取る!」

 

「それは取られなければの話だぞ、ランサー!」

 

お互いにらみ合い出方を伺う。

 

「AAAALaLaLaLaLaie!!」

 

「「!?」」

 

両者の間で突然、雷が割り込む。

 

戦車(チャリオット)!?」

 

2頭の筋骨隆々の牛が牽引する戦車が二人の間に横入りする。

 

荷台に乗っているのは威風堂々たる巨漢と泡を吹いている少年だった。

 

「双方、剣を収めよ。王の前であるぞ!」

 

巨漢は彼らの顔を交互に見て、戦いが静まり彼に注目が集まったのを感じて口を開く。

 

「我が名は、征服王イスカンダル!此度の聖杯戦争では、ライダーのクラスを獲て現界し

 

た。」

 

真名を堂々と口にするライダーに少年は顔面蒼白である。

 

「なにを考えてやりますかこの馬鹿はぁ!痛っ!?」

 

ライダーはマスターと思われる少年にデコピンで黙らせる。

 

「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡り合わせだが…矛を交えるより先に、まずは問うてお

 

くことがある。」

 

セイバーとランサーは警戒してライダーを睨む。

 

「我が軍門に降り、聖杯を余に譲る気はないか!?さすれば余は貴様らを朋友として遇

 

し、世界を征する快悦を共に分かち合う所存でおる!」

 

ライダーの馬鹿馬鹿しい発言に二人の空気が悪くなる。

 

ランサーは忠誠を誓う新たな君主であるマスターに聖杯をささげるため、

 

セイバーはブリテン国を担う騎士王としての誇りを守るため、ライダーの提案をはねのけ

 

た。

 

「ん~。待遇は、応相談だが「「くどいっ!」」 」

 

諦めきれないライダーは親指と人差し指で待遇を上げるジェスチャーを示すが、しつこい

 

彼に二人は遮った。

 

「これは交渉決裂かぁ~...残念だなぁ。」

 

「ライダァ!」

 

我慢しきれなくなった少年はライダーの背中をポカポカと殴る。

 

「まさか私の聖遺物を盗み出し、参加していたとは...ウェイバー・ベルベット君。」

 

「ぁぁ...」

 

ランサーの声に震え、ライダーのマントを掴むウェイバー。

 

「私が自ら課外授業をしてあげようではないか...魔術師同士の戦いにおける恐怖と苦痛

 

を余す所なく教えてあげるよ。光栄に思いたまえ。」

 

顔を歪ませ、頭を抱えるウェイバーの背中に大きな手を添えて彼に微笑むライダー。

 

「魔術師よ!!察するに貴様はこの坊主に成り代わって、余のマスターになるハラだった

 

らしいが片腹痛いのう。余のマスターならこの坊主のように共に戦場を馳せる勇者でなけ

 

ればならん!姿を現す度胸すら無い臆病者なぞ、役者不足も甚だしいぞ!」

 

高らかに笑うライダーに沈黙で返すランサーのマスター。

 

「おい、こらぁ!他にもおるだろうが!?闇に紛れて覗き見してる連中は!!」

 

あたりを見回し、鋭い眼光を飛ばす。

 

「どういうことだ、ライダー!」

 

疑問が浮かぶセイバーにライダーはランサーとの競い合いを賞賛しつつ、その戦いに惹か

 

れた英霊が他にもいることも暗示する。

 

「聖杯に招かれし英霊は、今此処に集うが良い!!尚も顔見せを怖じる様な臆病者は、征

 

服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れぃ!!」

 

隠れて盗み見るものたちに向け、挑発を込めたライダーの発言がこの場を支配する。

 

「あれは...」

 

ライダーの後方にある街頭に黄金の粒子が漂い始め、黄金の鎧を纏った男が現れる。

 

「俺を差し置いて、王を名乗る不埒者が、一夜に二匹も湧くとはな。」

 

皆、アサシンを仕留めたアーチャーであるこの男に視線が集まる。

 

「難癖付けられたところでなぁ...イスカンダル足る余は、世に知れ渡る征服王に他なら

 

ぬのだが。」

 

「たわけ。真の王たる英雄は天上天下、我おれ唯一人。後は有象無象の雑種に過ぎん。」

 

ポリポリと頬を掻くライダーに対し、上からこの場のものを見下すアーチャー。

 

「そこまで言うならまず名乗りをあげたらどうだ?貴様も王たる者ならば、まさか己の異

 

名を憚りはすまい。」

 

「問いを投げるか?雑種風情が。王たる我が拝謁してなお、この面貌を見知らぬと申すな

 

ら...そんな蒙昧は生かしておく価値すらない!!」

 

アーチャーの背後から無数の波紋が浮き上がり、そこからさまざまな武具が顔を覗かせ

 

る。

 

それに対して彼の宝具を分析するライダー、マスターを守るセイバー、視線を外さないラ

 

ンサー。

 

「ふっ。」

 

深紅の瞳が下にいるものを捉え、アーチャーは不敵な笑みを浮かべる。

 

「雑種ども、せめて散り様で俺を興じさせよ。」

 

彼の言葉とともに覗かせていた武具たちが飛び出す。

 

『コネクト プリーズ』

 

「!?」

 

アーチャーの攻撃に備えていた彼らだが、目の前の赤き魔法陣が遮る。

 

「悪いな遅れて。これは俺からの詫びだ。」

 

「サーヴァント!?」

 

けたたましいエンジンの駆動音とともにバイクに乗ったフレイムスタイルの晴人が現れ、

 

飛び降りる。

 

「我が宝物を海に沈めるとは...」

 

今度は晴人に多くの武具が向けられた。

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「もはや肉片1つも残さぬぞ!!」

 

「それより裏方にもこちらに来てもらおうか。」

 

「...アイリスフィール、フォーリナーは危険かもしれせん。」

 

「あまり刺激すると小娘がどうなるかのぉ。」

 

 

「さぁ、ショウタイムだ。」

 

 

第4話 激戦の序章

 

 

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