仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
「今、聖杯戦争は重大な危機に見舞われている。」
聖堂教会の支部である冬木教会。
薄暗い室内に一人の神父、監督役として派遣された言峰璃正が人ひとりいない中で話しか
けていた。
「キャスターのマスターは昨今の冬木氏を騒がせている連続誘拐事件の犯人であることが
判明した。」
ただ、人ならざる聴衆、つまり使い魔が集まっている。
「よって私は非常時における監督権限をここで発動し、暫定的ルール変更をここで設定す
る。」
監督の方針は聖杯戦争を一時中断し、聖杯戦争から逸脱した行為を行うキャスター陣営を
排除することだった。
「そして、見事キャスターとそのマスターを討ち取ったものには特例措置として追加の令
呪を寄贈する。」
彼が右腕の袖を捲ると赤き紋様、令呪がびっしりと腕に描かれている。
「これは過去の聖杯戦争で脱落したマスターたちが使い残ったものが回収され、監督役た
る私に託されたものだ。」
キャスターの消滅が確認された時点で排除に寄与したものに配られると補足を加える神
父。
「さて、質問がある者は今この場で申し出るがいい...尤も、人語を発音できる者のみに
限らせてもらうがね。」
裏の読めないにこやかな表情を向ける神父を気にも留めず去ろうとする使い魔。
『ひとついいか?』
座席の背もたれに乗っかる赤いプラモデルの使い魔から声が響く。
「君は...」
『フォーリナーだ。』
「どうぞ。」
ある意味様々な理由で注目を集めていたフォーリナーの発言で留まる使い魔たち。
「話は変わるが、間桐臓硯によると聖杯が汚染されているみたいだが教会側はそれを認識
しているか?」
「聖杯の汚染?」
使い魔たちは彼らのやり取りに釘付けであった。
「アインツベルンによって召喚された
は願いを曲解して叶えられてしまうと聞いているが大丈夫なのか?」
「そ、そんなことが!?」
フォーリナーの使い魔は翼を広げ始める。
「まぁ、まずはキャスターの件を片付けてからだな。一応、運営としてちゃんと調べてく
れよ。」
使い魔が飛び去り、釣られるように他の陣営の使い魔達も飛び去った。
「...汚染か。」
第三次聖杯戦争でも監督を務めていた神父はそのころのことを思い出していた。
水晶の中を覗いていた晴人達。
「...晴人、俺たちもキャスターを追うのか?」
「いつも追跡しているが...他の陣営が追ってくれるなら、俺たちはまず桜の問題につい
て考えてみてもいいかもしれない。」
コヨミが乗り移っている桜を見る雁夜。
「確かに晴人の言う通りチャンスかもしれないわ。桜の体について分かったこともある
し。」
「そうなのか、コヨミさん!?」
頷くコヨミは水晶に心臓を映し出す。
「コヨミ、これは?」
「この子の心臓よ。」
図鑑でよく見る心臓だが、そこに不気味な蟲がとりついていた。
「これは臓硯の本体とも言える脳虫。このリングで抑えてるけど本来は彼女を監視し、本
体がここにあると悟られないために偽装をかけているようね。」
「あの妖怪じじぃ...。」
顔を歪ませる雁夜に晴人は肩を置く。
「大丈夫だ、雁夜。解決策はある。」
黒く縁取られた紫のリングを晴人は眺めていた。
早朝、太陽が眩しく照らす中で遠坂時臣は暗い地下室で燭台を灯しながら協力関係である
言峰璃正と連絡を取っていた。
「お見事でした神父...これでマスターたちはキツネ狩りに興じることになるでしょ
う。」
「協会に集まった使い魔は五体...ロードエルメロイも生きていることでしょう。」
新たな情報に時臣は黙って聞くも、浮かない顔をしている。
「それより問題なのはフォーリナーの聖杯が汚染されているといった情報...アインツベ
ルンがアヴェンジャーを召喚していたというのは本当ですか?」
「間違いない情報です。」
時臣は深く考え込む。
「...情報源の間桐臓硯は聖杯戦争の令呪のシステムを編み出した人物...聖杯の状態を把
握できる可能性は無くはないが、願いを曲解して叶えるという部分はおそらく憶
測...。」
「しかし、聖杯が通常とは異なる状態であるなら一度調べる必要があるのではないでしょ
うか。」
「綺礼に調べさせたいところだが...フォーリナーにアサシンの姿を晒されてしまってい
る。」
「...では、キャスターの排除が完了した後、マスターたちに再び号令をかけましょ
う。」
通話が終わり、時臣は眉間をつまむ。
(まさか雁夜のサーヴァントに頭を抱えるとはな...)
ため息をつきながら、彼は写真立てを手に取る。
「桜はどうしているだろうか。」
姉と仲良く抱き合う桜の笑顔をぼーっと眺めていた。
真夜中のアインツベルン城。その一室でセイバー、アイリ、切嗣と舞弥は作戦会議を開い
た。
机に広げられた地図と他のマスターの情報を広げ、切嗣とアイリを中心として話してい
る。
「何を血迷ったかセイバーをジャンヌダルクと勘違いしつけ狙っている。僕らは待ち構え
るだけでいい。」
「マスター、それでは足りない。やつの悪行は容認しがたい。こちらから討って出るべき
です。」
セイバーは自分の意志を主張するも、切嗣は無視し自分の妻と話し続けていた。
「キャスターと戦わせないの?」
「キャスターは放置しても誰かが仕留めるさ。それよりもキャスターを血眼で追っている
やつが格好の餌食だ。僕はそいつらの背後を狙う。」
セイバーの握られた拳がさらにきつくなり、肩が震える。
「マスター...あなたはいったいどこまで卑劣になるつもりだ!!あなたは英霊を侮辱し
ている!なぜ私に戦わせてくれない!!」
「キャスター以外とは休戦のはずでしょ?」
見てられなくなったアイリはセイバーに助け舟を出す。
「構わないよ。今回の監督は信用できない。なにせアサシンのマスターを匿い、遠坂とグ
ルの可能性がある。」
理の適った切嗣の説明に悔しがるセイバー。
「それよりもアイリ。前回の聖杯戦争でアヴェンジャーを召喚したというのは本当か?」
「...御爺様は知ってるかもしれないけど、私は知らないわ。」
「となると、言及したフォーリナー、もとい間桐家と接触する必要があるな...」
彼の脳裏には警告した青年姿のフォーリナーが思い浮かぶ。
「フォーリナーであれば私も心強い。」
「でも彼は空間を繋げる能力でいつでもこの城に侵入されてしまう可能性があるわ。」
フォーリナーに対してセイバーとアイリスフィールは各々の反応を示す。
「...僕が思うには彼の情報は欲しいが、同盟を組む相手としては信用できないかな。」
「マスター...。」
「それじゃあ、解散としよう。」
無視して出ていく切嗣にセイバーは不満を募らせていた。
「そろそろはじめようか、雁夜。」
「あぁ。」
『フレェイム プリーズ』
間桐邸の広い庭で晴人は雁夜とともに桜の脳虫を摘出しようとしていた。
「晴人、臓硯の姿は見えないけど気をつ」
「コヨミ!!」
「桜!?」
桜の周囲に蟲が漂い始め、人の形になっていく。
「言ったじゃろ...わしに歯向かわず聖杯を献上しろと。」
「臓硯!!」
ぬらりひょんのような姿で現れる。
「...雁夜にそのサーヴァントよ。わしに楯突くとはいい度胸。」
「んっ!?」
「コヨミ!」
腕を掴まれた桜もといコヨミは脱しようともがく。
「...わしの刻印虫で操れないとは...もしや。」
臓硯の視線が桜の中指にはめられたホープリングに目がいく。
「これは...賢者の石か!?」
興味のなさそうな臓硯が急に眼の色を変える。
『コネクト プリーズ』
空間を繋げて臓硯の元から桜を取り返す。
「はっはっはっ...まさか聖杯さえ必要なくなるとはのぉ。」
間桐家の屋敷から大量の蟲が飛んでくる。
「クソ!俺の力では...」
『フレェイム ドラァゴン』
やかましい呪文とともに晴人の周囲に火炎の竜が舞い、周囲の蟲を焼き払う。
ドラゴンが彼の胸に収まるとその姿は赤きローブを纏った龍の魔法使いの姿である。
「相性が悪いが...お主に摘出する暇はあるか。」
次から次へと翅刃蟲がきりなく襲い掛かる。
炎を纏った剣で蟲を切り刻んでゆくが徐々にダメージを喰らい始める。
「はぁ、はぁ、はぁ...」
「晴人!桜が!?うっ!?」
体内の蟲が活性化し、桜や雁夜が苦しみだす。
「雁夜!桜!」
「ほれほれ...フォーリナーよ。あがいてもこれ以上無駄だ。」
雁夜と桜に駆け寄る晴人を見下す臓硯。
「お主は絶望するしかない。それが嫌なら小娘の賢者の石をこちらに渡せ。」
静かに立ち上がる晴人に臓硯は突破口を見つけたかのように眼を向ける。
「お前に
『ドラゴタイム セットアップ』
魔法陣から取り出した大きい腕時計をつける晴人。
「さぁ、ショータイムだ!」
『スタート』
彼は臓硯の方へと走り出した。
次回、仮面ライダーウィザード
「お荷物を放置して良いのかね。」
「おじさん...泣いてるの?」
「晴人...桜は。」
「悪夢はもう...終わりにしよう。」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第7話 龍達の乱舞