カードゲームで魔物と戦う世界に転生した。   作:1-NE

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カードバランスって難しい...現実のTCGの運営は頑張っているんだなと思います。
それと今話で魔獣との戦闘があります。
TSに関しては私の趣味です。
早く正体バレさせたいし、
戻れなくなってほしい(うわ。
ディスクはデュエルディスクを思い浮かべてください。


今日の記念に/予兆

「ま、負けた...」

 

ユウシがテーブルに手をつき、うなだれる。

まあ、初めてだから経験者に負けるのは仕方ない。

 

「なんで負けたか分かるか?」

 

これが分かるか分からないかは大事だ。リアクトに限らず、一度失敗したことについて、なぜ失敗したかを理解しなければ同じ失敗を繰り返すからな。

 

「うーん...ガードをしなかったことですか?でもあそこで先輩があのカードを使ってなければ勝てたのになぁ。」

 

「確かにあそこだけ見ればそうだな。でも、前のターンで俺はわざとダメージを受けていた。あのときあのカードが無ければ、その行動を取ることも無かったし、その後のターンでも防御系のカードを使っただろうな。」

 

それに、あの戦い方は正直危険なので、行動が分かりきっていたユウシみたいな奴にしかやらない。

 

「そっかぁ...じゃあ、カードを使い切ったことですか?」

 

「それもあるが、正解は相手の行動に合わせた行動にしていなかったことだ。」

 

「相手の行動に合わせた行動?でも、相手の行動は見るまでわかりませんよ?」

 

「確かにそうだ。だが、相手がどんな行動をするか読むことはできる。さっきの俺で言えば、お前がアタックチェインしかしないと読んで、最小限のガードで攻撃を受けたり、逆にガードせずに受けてHPを調整したりすることができた。お前のリーダーは強力だが、戦い方によってさっきみたいに負ける。もしお前があそこでアタックチェインをしていなければ、お前は耐え切れた。もしお前が防御系のカードを使っていれば俺は削りきれなかった。だから、勝負を焦ってはいけない。確実に行ける時に決めにいけ。」

 

正直、今の戦い方は得意ではないのだが、相手の行動が予測できるだけで、あっさり逆転できた。

それだけ、行動を読むことは大事なのだ。

 

「行動を読む...か、難しそうですね。」

 

「そんなことは無いぞ。自分が相手だったらどうするかを考得てもいいし、とりあえず最初にガードを入れるのも手だ。」

 

「へぇー、自分が相手ならどうするか...なるほど!ありがとうございます!」

 

「おう。で、何か欲しいカードはあるか?俺が使ってなかったのでもいいぞ。」

 

俺はカードをたくさん持っているが、使ってないカードがほとんどだし、被ってるのもかなりある。だから、倉庫の肥やしにしておくよりは誰かに使ってもらったほうがいいだろう。

 

「気持ちだけ頂いておきます。自分で揃えたいので!」

 

欲しいものは自分で手に入れたいのか、分かるぞ、それ。

誰かからもらうより、中身が分からないパックから目当てのカードが出た時とか、ストレージのカードの中から有用なカードを発掘した時が一番嬉しいよな。

買える数が少ない時は特に。

 

「うーん...じゃあ、好きなパックを幾つか奢るよ。何がいい?」

 

「えっいや悪いですよ、ここまでしてもらってパックまで貰うなんて...

 

「いいんだよ、格好つけさせてくれ。それに、金なら余ってるからな。経済を回すと思って、な?」

 

俺の『仕事』の給料めっちゃ高いからな。正直学生が使い切れる額ではない。今月割と使ったなと思って貯金見ても増えてるしな。ちょっと怖い。

 

「そこまで言うならじゃあ...この『ハロー・ワールド』で!」

 

最初期のパックだな。シンプルな効果のカードが多く、どのデッキにも合わせやすいパックだ。『ミニスキルポーション』や『粗悪な包帯』なども、このパックのものだ。

 

「じゃあ、会計してくるわ。」

 

俺はパックを持って会計に行く。

 

「『ハロ・ワールド』 5パックで5000円だよ。」

 

この世界のカードパックの価格はかなり高く、最新パックは場所によっては1パック10000円くらいしたりする。

ストレージのカードでも、一つ100〜500円する。

このパックは割と古いので安めだ。

 

「現金で。」

 

財布から五千円札を取り出す。この世界でもお金の単位は円だ。でも、お札に描かれた人は少しずつ違う。

現金を使う理由は、どうにもクレジットカードには慣れないのだ。落としたら怖いし、際限なく使ってしまいそうだし。

 

「あの初心者君はお前の後輩か?」

 

会計をしていた店主...智典ヨウが話しかけてくる。

 

「ああ、そうだぞ。それがどうかしたか?」

 

「珍しいねぇ、お前さんが人を連れてここに来るなんてなぁ。初めてじゃないのか?お前さんがここに誰かと来るのは。友達いないんじゃないかと思って、おっさんちょっぴり心配だったんだよ?」

 

確かにここに人を連れてくることは今までなかったが、別に友達がいないわけではない。

ただ、友人とカードショップに行く時は場所のチョイスは友人に任せるので、わかりにくい場所にあるここは選ばれないだけだ。

 

「うるせぇよ、ちょっと放っとけなかっただけだ。一度関わって途中でポイなんて無責任なこと、俺はしないぞ。」

 

実際、リアクトが弱い奴は下に見られる風潮みたいなものがある。

そもそもやってないやつを一般的なプレイヤーどもに任せれば、金を吹っ掛けられるかもしれない。

一回助けてそれでおしまいだと、次は助けてもらえるか怪しいからな。

それに俺が助けなかったせいで警察沙汰になったとかなったら、なんか寝覚め悪いぞ。

 

「まあ、お前さんにもちゃんと心を開ける友人が居る所を見れて安心したってこったぁ。サービスはしないけどなっ!」

 

「そこは流れ的に嘘でもするって言えよ...」

 

「それと、守ってやるだなんて、かっこいいこと言うねー(ニヤニヤ)まっ、いざそうなったら常連のよしみでユウシ君を助けてやらんこともない。じゃっ、ありがとうございましたーっと。」

 

そう言ってヨウは店の奥に消えていく。

 

「...何処から聞いてたんだよ、あいつ。」

 

俺がユウシに割と素で接してるのに気づいてやがった。

と言うか客の話を盗み聞きするなんて、マナーのなってない店長だな。

俺はユウシの元に戻り、パックを渡す。

 

「はい、これ。ここで開けるか?」

 

「なんか多くないですか?...まあ、せっかく先輩に買ってもらったので、1パックはここで開けていきます。一緒に見ましょう!」

 

ユウシはパックを開封する。リアクトのパックは5枚入り。さて、こいつが使えるカードは出るかな?

 

──────────

1枚目:粗悪な包帯

2枚目:世界を繋ぐAI ウィーフィ

3枚目:エナジーシールド

4枚目:良質なトラップ

5枚目:キズナコネクター

──────────

 

こいつ...運が良いな。いきなりリーダーカードを引き当てるなんて。

リアクトのカードパックはリーダー確定パックじゃないとほぼリーダー出ないのに。

それに他のカードもしっかり強いのがあるな。

特に、『キズナコネクター』はあるだけで戦法のは場が広がる強力なカードだ。

 

──────────

キズナコネクター/融合

SP3

このカードをSPに変換する時、3SPに変換できる

 

2つのカードの効果を組み合わせて使用することができる。

ただし、もととなった2枚のコストの合計を追加で支払う必要がある。

──────────

 

 

「ユウシ、お前運がいいぞ、当たりが二つもある!」

 

「えっ!そうなんですか?どれとどれですか?」

 

「この『キズナコネクター』と『世界を繋ぐAI ウィーフィ』だ。両方ともレアカードだ。キズナコネクター』は入れるだけで戦術が広がる。『世界を繋ぐAI ウィーフィ』の方はこのパック限定のリーダーカードだぞ。」

 

ユウシは、ほぇー、といった感じでカードを眺めた。

いかにもロボットみたいな見た目だよな、それ。AI感は正直あんまない。

 

「このリーダーカード、どうしたら良いですか?俺は使わないんですけど。」

 

「売れば良いと思うぞ。リーダーカードなら、ある程度値は付く。」

 

この世界でリーダーカードを単体で買うのは高い。つまり、売っても高い。ウィーフィは古いカードだが限定のカードなので、売ればかなり高いだろう。

 

「あとは、飾っておくのも手だぞ。俺も使わないリーダーのいくつかはケースに入れて飾ってる。それに、飾っておくと、見た時にそのカードを手に入れたときの思い出を思い出したりできる。」

 

俺が飾っているカードも、思い出のあるものばかりだ。

初めて手に入れたリーダーカード、大会で手に入れたカード、友人と交換したカード...などを飾っている。ハンゾウもその一つだ。

 

「おお!!いいですねそれ!じゃあ、これは飾っておきます。今日の思い出って事で!」

 

「スタートと初バトルの記念カードってことだな。さて、この後はどうしたい?」

 

「そうですね...特に予定もないので、一緒に昼飯でも食いに行きましょうよ!」

 

「いいな、それ!何が『(ピリリリリリッ!)』すまん、電話だ。少し席を外させてもらうぞ。」

 

そうユウシに告げ、店の端に移動する。

なんてタイミングの悪い電話だ。くだらん内容だったら許さんぞ。

誰からだ...『カナメさん』か、これはユウシと昼ごはんは行けなさそうだな..

 

『もしもし、タダヒト君かい?』

 

『ああ、カナメさん、タダヒトです。何か起きたんですか?』

 

電話の相手...邦守 要になんの用か聞く。

カナメさんは対策課の人で、一応俺の上司である。

 

『うん、申し訳ないけど今から第1ダンジョンの近くに向かえる?魔物が外に出てきそうなんだ。』

 

『分かりました、今すぐ向かいます。にしてもまたですか、最近増えてますね。』

 

一週間くらい前にも第5ダンジョンで魔物の掃討をしたはずなんだが...

 

『うん、またなんだ。すまない...他の子にもかけてみたんだけど、応じてくれなくてね。』

 

『あー、やっぱりですか。適合者ってなんか気難しい人が多いですからね、何故か自信満々な人も。』

 

多分、その原因は、適合者である事にあると思う。

世界に1枚しかない特別なカードが自分を選ぶイコール自分は特別な人なんだっ!と思うんだろうな。実際、特別である事は否定しないが、そのカードを魔獣との戦いに使わなかったら珍しいリーダー使ってるだけの奴だぞ...

 

『あはは...そうだね...適合者が全員君みたいな子だったらよかったんだけど。』

 

『やめてくださいよ。全員が俺みたいだったらちょっと嫌です。みんな違ってみんないいってことにしておきましょう。では!』

 

『うん、健闘を祈るよ。』

 

電話が切れる

っといけない、早くしないと魔獣が出て来てしまう。

ユウシに断りを入れて早く向かおう。

 

「ユウシ、悪いが急用が出来た。昼ごはんはまた今度だ、その時は、お礼に奢ってやるぞ。じゃあな!」

 

「えっちょっ、」

 

ユウシが止めようと手を伸ばすが無視する。流石に余裕がないしな。

俺は走りだしその場を後にする。

 

「待ってくださいよ!せめて説明くらい!」

 

「止めてやんな、タダヒト君は仕事に行くんだよ。」

 

ユウシが追いかけようと思い動こうとすると、

いつの間にか後ろにいた店長に肩を掴まれそう言われる

 

「先輩の仕事って何なんですか?」

 

「それはおっさんの口からは言えないねぇ。今度本人に聞いてみたらどうだい?多分教えてはくれないだろうが、なんで教えられないかくらいは教えてくれるさ。」

 

────────────────────

 

近くの路地裏に入り、人がいない事を確認する。

...いなさそうだな。懐からバックルを取り出し、腰に装着し、そこに俺のライドカード、『時空の放浪者 サレウ』をセット。

するとバックルから光るカードが飛び出し、俺の頭上まで回転しながら移動する。

真上までくると止まり、横向きになり巨大化した。

大きな光るカードは俺に向かって落ち、俺は光に包まれる。

 

光が消えると、俺は黄緑色の長い髪を後ろで束ねて黄色の目をしていて、砂色のフード付きローブを羽織り、黒いストールを首に巻いて口元を隠した姿になっていた。

 

...だからあんま変身したく無いんだよな。

何を隠そう、俺のライドカードに描かれたキャラクターは女なのである。

 

初めて使った時は混乱した。マジで。

カナメさんによると確認されている中では、カードに描かれたキャラクターとそのカードの適合者の性別は同じそうだ。

なので、俺に女の子疑惑がかかったりした。

 

あの時のことは...うん、忘れよう、思い出してもいいことはない。

なんやかんやで俺が男だと証明されたため、『基本は』同じと言うことになった。

 

うん?こう言うのは服装や装備とかの見た目だけが反映されるだろって?

そんなこと言われたって、変わるもんは変わる。性別ごと。

 

しかし、変身しないで魔獣と戦うのはほぼ不可能。

だから俺は渋々変身をしているのだ。

 

まあ、他の適合者が働かなさすぎて、割と変身してるけどねっ!

 

そんなことを考えながら移動していると、第1ダンジョンが見えてきた。

アレ?一体出かかってね?

 

うおおおお急げぇぇぇぇ!

ただのパーンチ!

 

俺は裂け目から頭を出していた魔獣にパンチし、消滅させる。

低級の魔獣であれば、アクトカードを使わずとも、ダメージを通せる。

 

「やっぱ変だな、パンチ一発で死ぬ程度のやつがあそこまで出てこれる訳がない。」

 

裂け目から出られるのは、最低でも中級以上の個体だ。しかし今のはどう考えても低級。

最近の大量発生といいやっぱり何か異変が起きているようだ。

 

第1ダンジョン。

世界で初めて出現したダンジョンだ。

現在残っている10個の中で一番大きなダンジョンであり、内側には10種以上のさまざまな環境がある。

ダンジョンの内側に広がる環境はここ以外では基本一種、あっても3種ほどなので、ここの特異性が分かるだろう。

 

「裂け目...なんか前より大きくなってる気がするぞ。」

 

今回の掃討が終わったら報告だな。

外側からでも既に2つの異常がある以上、内側にもあると考えたほうがいいだろう。

警戒を怠らないようにしないと。こう言う時1人なのが悔やまれるな。

 

俺は裂け目を通りダンジョンに侵入する。

 

「は?」

 

そこには衝撃の光景があった。

大量の低級魔獣、前回とは違う構造と環境、見たことのない魔獣。

 

これは放っておくとまずいぞ...!

俺はディスクをつけて走り出し、掃討を開始する。

 

幸いなことに、パンチの一撃で倒せるような低級がほとんどだ。

俺は片っ端から低級を倒す。

 

低級をもうすぐ半分まで減ると言う所で、俺の前を何かが通り過ぎる。

飛んできた方を見ると、

 

「さっきのアリみたいな新型!一体何をしてくるんだ...!」

 

俺が身構えて待っていると、新型の魔獣は尻の先から、謎の液体をすごい勢いで噴射した。

速っ...!

 

俺は咄嗟に回避するが、一つ避けきれそうにないものがあった。

それを腕でガードし、体への直撃を防ぐ。

 

「なんだこれ?妙にドロっとしてるな。」

 

謎の液体は腕に付着して取れない。服から煙が上がっている。

毒か?いや、避けた液体が付着した場所を見るに酸か。

 

ディスクのHPゲージを見ると、少しずつだが減っていっている。

俺は腰のスキルカードホルダーから、『清めの塩』のスキルカードを取り出す。

 

このカードは、普通のバトルでは相手の能力上昇を一つ打ち消す効果しかないが、このディスクで使った場合は、あらゆるデバフを一つ打ち消せる。

 

使うと腕にくっついていた液体は消えた。

一応デバフとして扱われているみたいだな。

 

この酸は危険だ。

一般人が掛かればかかった場所が全て溶ける。

無理に取ろうとすれば手が溶けて、他人に助けを求めればそいつの手が溶ける。

当たりどころが悪ければ窒息なんかもあり得る。

尚更こいつを出すわけにはいかないぞ。

 

ただ、こいつの動きはそこまで早くない。

近づけばあっさりやれそうだ。

 

俺は噴射される酸を避けながら近づいて行き、新型にパンチする。

 

ガンッ!

 

低級にしては硬いな。

だが

 

ゴシャッ!

 

装甲ごとやれば関係ない。

さて、掃討の続きを...

 

「マジかよ...こいつあんなにいるのかよ。」

 

奥から大量の新型が出現する。

そして一斉に俺に向けて酸を放つ。

 

「ははっ...こりゃまずいぞっ!」

 

俺生きて帰れるかな...?

俺は敵の大群に向かって走り出した。

 

────────────────────

「はぁ、これどうするか....」

 

俺は魔獣の死骸と、体に付着した酸を見てため息をつく。

 

酸の攻撃は、魔獣の死骸を盾にする事によりある程度は何とかなったが、囲まれていたのでそれだけでは避け切れなかった。

 

デバフ解除のスキルカードも、『清めの塩』と、もう一つ位しか積んでいないので、解除し切れない。

 

というのも、付与してきた魔獣ごとに独立したデバフらしく、一つクリアの塩では解除し切れないのだ。

 

もう一つの方は、全てクリアだが既に使い切っている。

重複ダメージがわりとヤバかったんだよ...

 

かと言って山札のリセットをするのも危険だ。

新手が来たら余裕で死ねる。

 

なので、アクトカードのヒールでなんとか耐えているのだか、ヒール中はあまり動けないのだ。

 

魔獣の死体に関しては、放っておくと他の魔獣が取り込んでしまうので、基本は回収して行くのだが、いかんせん数が多い上に、ダンジョンの構造が変わっているので何が起きるか分からない。

 

だから回収してもらう事も難しい。

仕方ないので、一度放っておいて報告に行くことにした。

 

今は色んな意味で見られたくないので、ちょくちょく回復を挟みつつコソコソ移動して、やっとの思いで対策課の拠点に着いた。

 

『(ピンポーン)』

 

俺がチャイムを押すと、少しの間の後に、ドタドタと走る音とともに扉が勢いよく開く。

 

「タダヒト君!終わったのかい?」

 

出てきたのは青い髪に黒い目をした優しそうな人...カナメさんだ。

 

「はい、終わりました。ですがちょっと問題がありまして...中で話してもいいですか?」

 

「分かったよ、飲み物はいるかい?」

 

「じゃあコーヒーもらえます?」

 

俺たちは家の中に入り、廊下を歩く。

 

「ところで、珍しくまだ変身しているけど、何かあるのかい?」

 

やっぱり?思うよね、そりゃ。

いつもダンジョンから出たらすぐ変身解除して、ここに来るときには普段の姿だし。

 

「それは...これが原因ですね。」

 

俺は体についた酸を見せる。

 

「ええっ!?それはっ!そんな!」

 

するとカナメさんは、目に見えて動揺し始める。

 

「知っているんで「(男に)襲われたのかい!?」まぁ(魔獣に)襲われましたね。」

 

なんで魔獣倒しに行ってそんなことを聞かれるんだ?

ダンジョン内で襲われない訳ないだろうに。

 

「そんな...その、君を襲ったのはどんなやつだい?」

 

あの魔獣は確か...

 

「俺より大きくて、他のよりは硬くて、黒っぽくて...」

 

「そ、そんな所の特徴を言われたって...もっと他の特徴は!?」

 

他の特徴?見た目以外の特徴は...あっ!

 

「なんかたくさんいました。」

 

「なっ!?た、たくさん!?」

 

「はい。群れるタイプのやつなのかも。」

 

もしそうだったら厄介だな。低級だけど一撃で倒すには少し硬い上、遠距離からデバフをかけてくる。デバフ除去がなかったら数によっては普通に死ねるぞ。

今回たまたま多かっただけならいいが、見た目的にそれはないだろう。

 

「そ、そうかい...場所はどこだい?待ってて、今すぐ警察に...」

 

うん???ダンジョンは、警察じゃなくてあんたらの管轄では???

 

「はっ?えっ?ダンジョンですよ?どうにも話が噛み合ってない気がするんですけど。」

 

「(ピーーーー)されて、タダヒト君はもとに戻れなくなったんだろう?」

 

「そんな訳あるかぁ!確かにこれは白っぽい液体ですけど決してカナメさんが思い浮かべてるものではないですからね!!」

 

この人って意外と頭ピンク色なのか?これ見せてまず思い浮かべるものがそれて...

 

「これは酸ですよ。新型の魔獣に掛けられました。今解いたらどうなるか分からないので変身したままなんです。」

 

「ああ...良かった。って酸!?それはそれで大丈夫なのかい?」

 

「もともと煙みたいのが出てたんですけど、しばらくしたら固まっちゃいまして。謎物質だしどうしようかなと。」

 

固まったらHPは減らなくなったけど、残っている以上、どんな効果があるか分からないからな。もしこれが爆発するとかだったらめちゃめちゃタチ悪いぞあの新型。

 

「一度着替えたらどうだい?酸がついてる服を脱いでから解除すれば安全に戻れるんじゃないかな?」

 

なるほど、確かにそれなら。

なら服を「ここで脱がないで欲しいかな。それに...ほら、今の君ってその、」

 

ああうん、今のは俺が悪いね。

俺は拠点にある風呂場の脱衣所で服を脱ぎ、体に直接酸がついてないか確認した。

 

うーん、多分ついてないな。

しかし、こうやってじっくり見ると、自分の体だとしてもちょっと気恥ずかしいな。

なんて言うか...その...

 

...やめだやめ、早く戻るぞ。酸がついて無いんならこの姿でいる意味はないしな。

バックルからカードを抜く。すると俺の体は光に包まれた後、元の姿に戻る。

 

「って、結局服着てないんかい!」

 

戻っても服は戻ってこなかった。

アレェ?おかしいな。今までこんなことはなかったのに。

 

疑問に思いさっき脱いだ服を見ると、そこには俺の服があった。

 

「それ、そう言う仕様だったんだ...知らんかったぞ。」

 

服も俺と同じように変身してたのね。

どうしよう?カナメさんに服ないか聞いてみるか。

 

「カナメさーん?服ってありますかー?」

 

「あるけどどうしてだい?」

 

「ちょっと俺の知らない仕様が...」

 

突然、扉がズバァンと勢いよく開く。

 

「ふっふっふ...話は聞かせてもらったよ...服がないんだね?なら今こそこれを...」

 

そう言って、茶色の髪と灰色の目をした女性が、ゴスロリ衣装を持って近づいてくる。

 

「着ませんよ!てか普通に入ってこないでください!それにもう戻りました!」

 

「別に私は男の娘もイケるから、今の君に着せたっていいんだ。」

 

コイツ...無敵か?どうあっても着せるつもりだな!?

 

「カナメさんヘルプ!助けて!」

 

(カナメ)b

 

うん?なんだその指は?

 

「(僕じゃ勝てない、諦めて犠牲になるんだ。)」

 

「fu○k!!」

 

役に立たないなこの人!

あっっちょっ、引っ張らないで!俺に何をする気だ!

 

ギャアアアアアアアアアアアア!!

 




3話に分割出来る1話ってなんだ?
分けても割とボリュームあるし。
アニメ的に言うとここまでは一話とかじゃなく回想で出る部分ですね。一話で負けるアニメ主人公なんていなかったんです。
それはそれとして、てんちょのキャラだけ妙に具体的で安定してる気がする。この作品の主人公はてんちょだったのかも。

用語、人物解説

ハロー・ワールド:パックの名前
初期も初期のパックであり、このパックに入っているカードは他のパックにも入っていたりする。
パック限定のカードは、パック名になぞらえたものが多い。

カナメさん:邦守要
くにもりかなめ と読む。
対策課の人で、タダヒトの上司。
対策課の中のヒエラルキー的なもので一番下であり、苦労人気質。

第5ダンジョン:5番目のダンジョン
今も残る大きなダンジョンの中で5番目に発生したダンジョン。
内側は火山のような場所になっていて、熱対策は必須。
炎、岩系の魔物が多い。

バックル:ライドバックル
早い話ブレ○バックルみたいなもの。
これを破壊されると変身は解ける。
なぜバックルなのかについては、腕だと相手に取られそうだからである。

時空の放浪者 サレウ:タダヒトのライドカード
そのうち作中で説明します。

魔物の等級:強さの指標
下から、低級、中級、上級、超級 となっている。
低級はカードを使用せずとも倒せるものが多く、中級以降はリアクトバトルが必要になるものが多い。
上級より上は、ほぼ自由にダンジョンと外を行き来できる。

新型:アリみたいな魔物
低級だが、群れて出る。
酸を飛ばす攻撃をしてくる。
ぶっちゃけ地○防衛軍のデカいアリみたいなもん。
アリなのでもちろん…

対策課の女性:舞戸サエ
対策課の開発担当。
対魔物用の兵器を開発しているが、結果は芳しくない。
だが、作ったものは普通に兵器として強いので予算を切られたりはしていない。

おまけ:世界を繋ぐAI ウィーフィの詳細
見た目:アナログテレビの上からプロペラのようなものがついて浮いている。側面からはアームが飛び出していて、画面には^ ^が写っている。
──────────
世界を繋ぐAI ウィーフィ/機械•雷•飛行
 
攻撃力:100
HP:5000
ヒール:250
 
パッシブスキル:ワールドコネクター
同じアクトカードを連続で使うとそのアクトカードの効果量2倍

ファストスキル: ゲートオープン
3ターン目以降に発動可能
スキルカードを3枚引く
 
ノーマルスキル: スキルコネクト
7ターン目以降に発動可能
コスト5以下の2枚のスキルカードを組み合わせて使用できる。
ただし、もととなった2枚のコストの合計-3を支払う必要がある。

フィニッシュスキル:オールクリア
12ターン目以降に発動可能
相手のカード効果を全て打ち消し、手札を全てトラッシュエリアに送らせる。
──────────
なんかおかしい性能してる気がせんでもない。
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