フリート・エスケープ(Fleet・Escape)   作:水岸薫

14 / 15
第十三話

所変わって、ここは神奈川県の豪奢な屋敷。

その一室で、当主である緒川阿久和は松風の報告を受けていた。

 

「ぬぁんですってぇ!? 不知火に“あの小娘”がいませんの!?  一体全体どうなってますのぉ!!?」

 

 阿久和の反応に宮美原透子は「何かあったのですか?」と黒髪の片目を隠した秘書の燕(つばめ)に質問すると、彼女は「実はお嬢様の嘘の通報で不知火にいることを知らせたのですが」と話始める。

 

「その不知火を調査したところ、夢命瓦八千穂は発見されませんでした…おそらく、それを察知した不知火側が匿っている可能性が高いかと」

「なるほど」

 

 燕の話に透子は理解すると、阿久和は机を叩き、怒りで頬を紅潮させる。

 

「あの小娘! あたくしの邪魔をするなんて、数億年早いですわよ!!」

「お嬢様、落ち着いてください」

 

 燕の言葉に阿久和は我に返ると深呼吸をし、ゆっくりとスマホを取り出す。

 

「そうなれば、あの組織に協力を依頼しますわ」

「あの組織…まさか全保軍に?」

 

 燕の言葉に阿久和はニヤリと笑い、電話をかける。そして待つこと数秒後。阿久和は「もしもし? あたくし緒川阿久和ですわ。ええ、夢命瓦八千穂は不知火にいますの…それで、少しお願いしたいことがありまして」と話始める。

 そして阿久和が微笑みながら話すこと数分後…。

 

「はい! では“例のアレ”を使用する許可をお願いしますわ。捕まえたあとはすぐに警察に…あとはご自由に! では!」

 

 彼女はそう言って電話を切ると、彼女は狂気じみた笑みを浮かべる。

 

「ふふふ…今度こそ、夢命瓦八千穂。貴方の運命はここで終わりますわ」

 

 阿久和の言葉に透子は「おおー流石阿久和様」と目を光らせていた。そして、緒川財閥が“何か”を動かした。それは、松風とは比べ物にならない脅威の予兆だった。

 

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

 

 松風が去って数分後、補給班の沖谷菫と沖谷澄子と在庫管理班の三日月詠が「ただいま帰りましたー」と戻ってくると、盛子が木箱を開けて中から夢命瓦八千穂を出してきた。それを見た詠は「あら八千穂さん、どうして木箱に?」と疑問を抱いてると、盛子が「あ、実はね」と三人に話をしていく。

 話を聞いた三人は「松風がここを調査しに来た!?」と驚く。

 

「そ、それで! 八千穂ちゃんはどうしてここに!?」

「大丈夫、幸いここに隠したからバレなかったよ」

 

 詠の質問に盛子は答えると、伊吹が「意外と松風の隊員らはこういう所に抜け目があるね」と言うと、晶は「確かに」も理解する。

 

「だけど、次は徹底的に調査する可能性があるから対策を考えないと」

「そうですね…薙刀香菜(なぎなた・かな)に相談してきます」

 

 晶の言葉に澄子は答えると、菫は「買い出ししたものを入れますので、失礼します」と言うと盛子は「あ、そうだね。わかったよ」と彼女は八千穂を連れて在庫管理室から出ていくのであった。

 そして菫は「えっと、これはここに入れて…これはここに」と買い出ししたものを棚に入れていく。

 

 模歌桃華恋は艦橋に入ると「さて、これで準備は万端…」と言いながらタブレットを出すと、専用のペンで長崎県のある場所に『目的地』と書いていく。

 

「さて、目的地は決まったからあとは…」

 

 桃華恋は濃い紫色のロングウェーブの天城透子に向けて「航海班、方位に変化は?」と言うと、彼女は「異常ないわ、上から出航許可も下りてますから問題はありません」も冷静に答えると、彼女は「よっしゃ、わかった」と反応をする。そして。

 

「不知火、これより長崎県に向けて発進! 速度を微速、前進せよ!」

 

 桃華恋の指示に緑色のショートボブをした少女『梶村蟹江(かじむら・かにえ)』は「速度微速、前進!」と言いながらエンジン・テレグラフを動かして『前進 微速』に動かすと、不知火は港から離れていき目的地の長崎に向けて発進していく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。