フリート・エスケープ(Fleet・Escape) 作:水岸薫
深夜、不知火が高知県・第三島に移動していた最中…突然、艦内に「起きやー! 全員会議室に集合!!」と桃華恋の声が響き渡る。
夜中に叩き起こされた隊員たちは、食堂でも倉庫でも、みんな眠そうで不機嫌。美鈴でも「むぅ……夜中に何なのよ……」とご機嫌斜め。そして会議室に全員が揃うと、晶が深々と頭を下げた。
「夜分に申し訳ありません。しかしこれは“敵を欺く行為”の一つです」
「敵を欺く……?」
「何のためになんすか?」
晶の言葉に盛子と益子は反応すると、桃華恋が静かに口を開く。
「声を潜めて聞いてほしい。この船内に盗聴器が仕掛けられている可能性がある」
桃華恋の言葉を聞いた皆は、一斉にざわつく。
「なんだって!?」
「じゃあ……誰かが持ち込んだってこと!?」
慌てる隊員たちに桃華恋は「落ち着きや」と言うと皆は一斉に黙り込む。
「先ほど言った通り、盗聴器が仕掛けられているのは本人の意思じゃない。もしそんなことしたら、すぐバレるわ」
「ええ、つまりこれは。誰も気づかないうちに“盗聴器を持たされていた”可能性が高いです」
晶の言葉に美鈴は「持たされてた?」と頭をかしげる。
すると出井は「しかし、それをどうやって探すんでい? 盗聴器と言っても種類はたくさんあるぜ」と言うと、桃華恋は「それなんやけど…これを使って探すんや」と言いながら、彼女はポケットから“ある物”を取り出す。
それは―普通の携帯ラジオ。
「ラジオ……あっ!! なるほどデス!!」
ラジオを見て思い出したのは、金髪のショートサイドテールをした女性『
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桃華恋の作戦に隊員たちはラジオを持つと、艦内に隠された盗聴器の捜索をすることに…。
電波が強くなる場所を探すこと数分後、会議室の机には盗聴器が仕掛けられていたメモと物が置いていた。多くはコンセントの中に電源タップ、新品のUSBメモリー。意外なところにあったのは貯金箱に印鑑ケースやぬいぐるみの中にあった。
次々と盗聴器が見つかる盗聴器の山に桃華恋は「こんなにもあったんかぁ……」と呆れるように反応をした。
「どうするのこれ?」
「海に捨てるか?」
盛子と出井の言葉に遥は「少し勿体ないような…」と悲しい表情をしていると、晶が「いや、それを聞かれていたら逆に危険です。普段通りに振る舞うべきです」と冷静に答える。
桃華恋も「せや、これは晶の選択が正しい。とりあえずこの盗聴器の山は、箱に集めとこ」と答えると、黒色のロングポニーテールをした女性『
その頃、神奈川県の緒川財閥の屋敷では、阿久和が「それで、例のアレはどうでしたの?」と燕に向けて言うと、彼女は「はい」と報告していく。
「長門に仕掛けた装置を使用したところ、無事機械の操りは成功しました。しかし…人の操りはまだ…」
燕の報告を聞いた阿久和は、満足げに微笑むと「あらそう」と反応を示す。
「まぁ、初めてにしては上出来ですわ。人の操りは…時間をかければよろしいの」
「不知火の近くにあった戦艦は……あ、“最上”がいます」
透子の言葉に阿久和は「あら、あの最上が」と反応をすると「これはいい機会で」と何か策略があるのか、ニヤリと微笑んだ 。
「そう、それでしたら次は最上に“贈り物”をしませんとね」
阿久和は妖しく笑うと、燕に「最上に“贈り物”を届けてちょうだい」と指示を出すと、彼女は「わかりました」と答え、行動に移していく。
「ふふふ、次は“最上”が不知火を追い詰めますわよ。夢命瓦八千穂、あなたの逃げ場は、もうありませんわ」
阿久和はそう言って外の風景を見ていた時、扉越しからある人物が見ていた。その人物は「姉さま…」と心配していた。