フリート・エスケープ(Fleet・Escape) 作:水岸薫
神奈川県立海原寅羽吏女子学園では、授業が終わり、真由は胸の鼓動を抑えながら第二教室へ向かった。
「私に、何かやらかしたのかな…」
真由は心配に思いながら、扉を開けると複数の松風隊員が教室内を調べていた。
隊員たちは「盗聴器、撮影機らしきものはありません」「こちらも異常なし」と、厳重に何かを調べていた。すると純子は真由を見ると「あら、来たのね」と反応をする。
真由は呆然としていた中、純子は隊員に「数名は外で待機。不審な生徒が来たら退いて」指示を出さすと『了解』と答え、隊員たちが外へ出る。
そして純子は静かにカーテンを閉めると、真由の方へ向き直る。
「さて、花園真由さん」
「は、はいっ!」
純子の言葉に真由は一瞬ビクッとなる。彼女の目は鋭く、しかし優しさもあった。
「あなた…夢命瓦八千穂の事を心配しているのね。しかも最近電話をしたり?」
「な、何のことでしょうか!?」
彼女の質問に真由はビクッと反応すると、純子は微笑む。
「あら、そこまで反応してるってことは。連絡したのね」
「そ、それは…」
純子の言葉に真由は怯えていると、純子は「話さないなら私から言うわ」と言い出す。
「夢命瓦八千穂の学生スパイ容疑は濡れ衣、これをしたと思うのは別の人物…」
「え…」
純子の話を聞いた真由は反応すると、彼女は「あくまでこの話は私の推測…でも、矛盾することと気になることがあるの」と話を進める。
「実は私も調べ直していたの、データーが入っていたパソコンは凡ミスするほどの抜けがある。その証拠のパソコンは“緒川デジタル”。
また、学生スパイだと通報したのは緒川阿久和の取り巻きの宮美原透子、そして証言者は“緒川阿久和”本人。偶然にしては出来すぎている。
これは事前に証拠を“用意した”と考えるのが自然よ」
純子の言葉に真由は「じゃ、じゃあ…八千穂ちゃんは、本当に濡れ衣を着せられたの?」と言うと、彼女は「ええ、可能性としてはあり得るわ」と答える。
「だからこそ、八千穂さんの友達のあなたの協力が必要なの…信用してもらえるかしら」
「え、あの…」
純子の言葉と真剣な眼差しに、真由は震える手でスマホを取り出すと「わ、分かりました」と答える。それを見た純子も、懐からスマホを出す。
「それじゃあまずは、連絡先を交換ね…真由さん」
「はい、私の電話番号はこちらで」
真由はそう言いながら電話番号を見せると、彼女は「これがあなたの電話番号ね」と言いながら入力していく。
そして「あと、八千穂さんの電話番号もいける?」と言うと、彼女は「は、はい。こちらです」と言いながら八千穂の電話番号を見せると、彼女は「ありがとうね」と言いながら入力する。
そして入力し終えた純子は「話はここまで、何かあったら電話で連絡するわ。それまでいつも通りの学校生活を」と言うと、真由は「分かりました」と答える。
「失礼しました」
真由は深く頭を下げ、教室を後にした。そして純子は「行くわよ」と外に待機していた隊員らに言うと、彼らは『はっ!』と答え、教室をあとにして去っていく。
一方その頃、高知県・第三島では買い物を終えた桃華恋たちが合流する。
「そちらは終わりましたか?」
「うん、ちょうど終わったところです」
詠の言葉に八千穂は答えると鳥乃は「そろそろ時間になりますね…」と腕時計を見て言うと澄子は「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」と言うと、菫も「そうだね、皆も待っていると思うし」と答えると、桃華恋は「せやな」と答える。
「必要なものは購入したし、急ごっか!」
桃華恋の言葉に皆は『おおー!』と答えるのであった。彼女たちは埠頭へ戻るとゴムボートに乗って、不知火へと戻っていく。
不知火へ戻った桃華恋たちを、晶が「おかえりなさい」と桃華恋たちを迎える。
「ただいまっと、晶。盗聴器に変化はあったんか?」
「いえ。不知火に“入ってこようとした者”はいません。また、盗聴器を入れた箱を隠した部屋を監視したところ、入ろうとした者はいませんでしたので、中の人間が仕掛けた線も薄いでしょう」
「じゃあ、誰が仕掛けたの?」
晶の報告を聞いた盛子は腕を組み、考え込んでいると、薫が突然「それでしたら」とある提案を言い出す。
「ここで考えるよりも、盗聴器が仕込んだものを手にした人たちに聞いてみればどうでしょうか?」
薫の提案に皆は「あ、それがあった」と同意するのであった。桃華恋も「それがあったな」と反応をする。
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桃華恋は盗聴器を持っていた人らを会議室に集めると、「突然なんやけど」と話し始める。
「盗聴器を仕組んだ“品物”をどこで“貰った”ん? それを教えてほしいんや」
「なんで“貰った場所”なの?」
桃華恋の言葉に蟹江は疑問を抱くと、晶「元から買う商品に仕掛けてたなら、相手はどれを購入するか分からない。でも“貰った時に仕掛けた”なら確実だからね」と答えると、伊吹は「搬入時……つまり出航前に仕掛けられた可能性が高い」と答えると、詠も「あ、それなら怪しまれずに済むね!」と答える。
そして隊員たちは、口を揃えて「神奈川県・横須賀の緒川財閥から買いました」と答える。それを聞いた桃華恋は「緒川財閥…」と呟く。
「これは偶然か? もし偶然じゃなかったらあの緒川阿久和と繋がっとるな…」
「そうですね艦長」
「…ねぇ、それがあったってことは。もしかして次の手に移っているんじゃ?」
桃華恋と晶の話に盛子は話をすると、桃華恋は「あり得るな」と真剣に答える。
「せやけど、その次の手は何や…そこはうちも正直気になる」
その頃不知火の見張員、見渡恵が双眼鏡を覗く。周りに異常がないか何度も確認をしていた。すると何かを見つけたのか「うん?」と彼女は反応すると再度双眼鏡を使って覗いてみることに…。
「あれは? 最上?」
恵が見つけたのは軽巡洋艦兼重巡洋艦の最上、しかしおかしなことに、最上は本来この海域にいるはずがない。しかも。
「こっちに向かってる…様子がおかしい!」
違和感を感じたのか、恵は伝声管に向けて「業務連絡!」と叫ぶ。
「こちら見張員の恵! 現在、最上がこちらに向かっています! しかし不審な様子、異常を確認!」
彼女の報告により、不知火の空気が一気に緊張に包まれる。