フリート・エスケープ(Fleet・Escape) 作:水岸薫
第二十二話
『こちら見渡恵! 最上がこちらに向かっています! しかも様子が異常です!!』
伝声管から見張員・見渡恵の声が艦内に響いた瞬間、不知火の空気は一気に張り詰めた。
「最上か来たのか」
「せやな。やけどどうしてここに来たんや…本来なら四国周辺から中部南部に向かってるはずやけどな?」
桃華恋の疑問に天城透子は「もしかしたら」とあることを言い出す。
「八千穂を狙っているのでは…彼女は指名手配されている。それを知った長門と松風のように捕まえに来たのかと」
「あり得るな…恵! 最上に『八千穂は居ない』と旗信号を!」
桃華恋はの指示に彼女は『分かりました!』と返答がして数十秒後、突然衝撃が加わり皆は驚く。
『駄目です、旗信号の応答に変化はありません!』
「なんやて!?」
恵の言葉に桃華恋は驚くと、晶は「応答に応じない…どうして」と考えていると、八千穂は「もしかして…私がいることを盗聴器で知ったから?」と言うと、盛子は「そ、そんなことないよ!」と慌てて答える。
「盗聴器は集めたんだよ! そこでどうして八千穂ちゃんがいるって知ってるの!?」
「いや、少しの時間でも構わねぇ。それで八千穂の声がしたらすぐに捕まえる…それだったら話はつなぐ…」
慌てる盛子に対し出井は冷静に答えると、香菜は「ありえますね」と答える。
そうしていると、伝声管から『こちら蟹江! 攻撃を避けてますが、いつ当たるか分かりません!』と蟹江の声がすると、桃華恋は「なんやて!?」と驚きの反応をした。
すると八千穂は「旗信号を無視して砲撃…あれ、それって確か」と何か思い出したのか「桃華恋ちゃん」と声をかける、彼女は「どうしたん八千穂?」と言うと、八千穂は「うん、実はね」とあることを言い出す。
「このような装置…かな? 実は少し前にだけど、見覚えがあるの」
「見覚えが…ある…ってほんまか!?」
「う、うん」
八千穂の言葉に皆は一斉に彼女に向くと、晶は「詳しく話してくれないかな」と質問すると、彼女は「は、はい」と話始める。
「一年くらい前かな…阿久和さんがノートを落としたのを拾って、その際に『操り』と言う何かの資料を見た気が…します」
「資料? 何かの計画を考えてたのだろうか…詳しく覚えてないか?」
晶の言葉に「すみません、少しだけでしたので…」と落ち込むように答える。
すると桃華恋は「だけど、それでわかったことがあったで」と言うと、薫は「え、何がわかったのですか?」と反応をする。
彼女は「緒川財閥が盗聴器を仕掛けたことと、八千穂が学生スパイの濡れ衣を着せた理由や」と言うと、詠は「何か分かったのですか!?」と反応をする。
「八千穂は落とした用紙、資料を拾ったが相手はその資料を見られた。資料には怪しいことが書かれていた、それを見た八千穂はいつか誰かに話す…。そう恐れた阿久和と言う奴は八千穂をどうにかしようとして考えたところ、『学生スパイ』と言う濡れ衣を着せたんや」
桃華恋の推理に、皆は『いや、それはない』と苦笑いするが、鳥乃は「でもあり得るわね」と言うと、菫と澄子も「うんうん」と頭を上下に動かす。
「八千穂ちゃん、人見知りな所はあるけど意外と記憶力は良いわ。高知県・第三島の詳細も知ってるほどだし」
「鳥乃の言う通りや、八千穂は意外と成績優秀でな。たった数秒で記憶するほど優秀なんや」
桃華恋の話に八千穂は「も、桃華恋ちゃん」と照れると、美鈴は「あらあら、そうなの?」と反応をした。
すると晶が「それだとしたら、長門が我々に向けて攻撃したのは…その“操り”が原因で?」と言うと、透子は「恐らく、その可能性が高いな」と答える。
そして盛子は「ねぇ八千穂ちゃん、操りはどうすれば解除できるの?!」と慌てて言うと、彼女は「えっと、よく覚えてませんが、確か本体の核となる装置を、身体から外せば戻ると思います…多分」と慌てて答えると、話を聞いた恭子は「それだけで十分ね!」と立ち上がり「艦長、ここは最上に乗り込んで“操り”の本体を探しましょう!」と言うと、桃華恋は「せやな、もしその“操り”が使用されてたら大変なことになるな!」と反応をする。
留花も「そうね。このあたりは第二島から第五島があるから、もし逃げれたとしたらその島を狙う可能性が高いわ」と答えると澪も「そうだねぇ」と答える。そして留花は「艦長、これは緊急事態です。強制乗艦は私が許可します」と話すと彼女は「分かった! その代わり、八千穂を守ってくれへんか!」と言うと澪は「もちろん、任して」と呑気に応える。
会議室から艦橋へと移動した桃華恋と晶は電線管に向けて、艦内に向けて叫ぶ。
「各隊員に告ぐ! これより最上に向けて強制乗艦したる!! 目的は最上の暴走停止と“操り”を引き離すことや!!」
「贈り物の正体は不明。強制乗艦する者は“ゴム弾入り銃類”を所持するように!」
二人がそう言うと、伝声管から『了解!!』と声が返ってきた。
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最上の主砲が不知火へ向けられると、ドォォォォン!!! と砲弾が放たれる。砲弾が海面に着弾すると、巨大な水柱が立ち上がる。
それを見た焦げ茶色の短髪をした女性『
「よぉし…主砲、撃てぇっ!!」
知弓が言うと不知火の主砲が火を噴き、最上の周囲に水柱が立ち上がる。
「艦長! 最上の攻撃はこっちがやっと来ます! いつでも突撃できます!」
『わかった! せやけど、主砲ばっかやと危険や! 魚雷で足止めできるか? かわした隙を狙えればええが!』
伝声管から桃華恋が言うと、『可能です! ただし魚雷の数に限りがあるので、時間はかかります!』と返答が来ると、桃華恋は『構わん!! それが壊れてても使えなくても、囮の効果があればそれでええ!!』と言うと、隊員らは『了解!!』と返答が来る。
『もし攻撃が低下してなければ、一定の速度を保ちながら攻撃を避け、その間にホバーシップで最上に乗艦するから!!』
「ホバーシップ…そうか、その手もあるね!」
『今は攻防戦に集中しいや!!』
桃華恋の言葉に、隊員たちは『了解!!』と答えるのであった。
不知火の主砲とは反対側の海面に、プロペラが付いた小型船『ホバーシップ』が静かに着水していた。
乗っているのは、沢城鳥乃と薙刀香菜と坂守盛子、水色のショートポニーテールをした
「作戦通りに行けるかは分かりませんが、皆さん、行きましょう」
「任せて、王子!」
王子の言葉に真奈美は答えると、ホバーシップは静かに潜航を開始する。攻撃は不知火が対応し、その間に彼女たちは最上の“死角”へと向かっていく。