フリート・エスケープ(Fleet・Escape) 作:水岸薫
最上の艦橋では、最上艦長の
中央の宝石は赤く妖しく輝いており、計器が自動で動き、最上は不知火へ向けて加速する。
『こちら恵、報告します!! 最上、速度を上げて接近中。行動が異常です!!』
「長門の次は最上、これは完全に“操り計画”が動いとるな」
恵からの報告を聞いた桃華恋は真剣につぶやくと、八千穂は「もしかして、私を狙うために、誰かが操られてる?」と心配そうにいうと、それに気付いた桃華恋は「八千穂落ち着き、今は鳥乃たちが対処しとるから安心しいや」と落ち着かせるようにする。
船航中のホバーシップが荒れ狂う波を越えていく中、香菜は眉間に皺を寄せていた。
「…どうにも腑に落ちませんね」
「どうしたの香菜。何か“違和感”でもあったの?」
真奈美の言葉に香菜は「いえ、そうではなくて…“不思議”なのです」と腕を組みながら話続ける。
「砲撃を操るには複数の人間が必要。しかし、もし長門のように“人以外にコンピューターも”だとしたら」
「コンピューターに侵入してる、ってこと?」
「それなら相当な腕前のハッカーだな」
香菜の言葉に盛子と王子が答えていると、真奈美は「でも、一人でそんなにできるとは思えないけど…」と答えると、鳥乃が「いや、それが人じゃなくてじゃなくて“シナリオのような人物”…つまり、あらかじめ用意したのが用意したシナリオがあるとしたら?」と言うと、皆は「え?」と反応する。
「ええ。計画は阿久和さんですがコンピューター自体は本人が直接やっていない。それでしたら侍女か彼女の取り巻きの誰かが、コンピューターに強い人物が操っている可能性が高いです」
「あり得るね。八千穂さんにその取り巻きの話を聞かないといけないね」
その頃不知火では、桃華恋が「主砲、そっちはどうや!」と伝声管に向けて言うと向こうから『主砲、問題なし!』と返答が来る。
「魚雷班はどうや!?」
『装填完了、いつでも放てます!』
「よぉし、発射せぇ!!」
魚雷発射班に指示を出しと、ゴォォォン!! と魚雷が海中を走り、最上へ向かう――しかし最上側も魚雷を発射し、ドォォォン!! と海中で爆発が起きる。水柱が上がり、その衝撃で不知火が大きく揺れる。
「なかなかやるなぁ。八千穂、大丈夫か!?」
「う、うん! 大丈夫だよ!」
表情が青い八千穂を見た桃華恋は「無理はせんとき、深呼吸で落ち着きや」と言うと、八千穂は胸に手を当て深呼吸する。
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最上の砲台が向いている反対側、ホバーシップが静かに最上に着くと、王子がフックショットを放つとそのまま最上に登り、甲板につくと縄梯子を設置していく。
「人がいない。いや、むしろ“何かに慌ててる”ような気配だな」
縄梯子を設置すると王子は「上がっていいぞ!」と言うと香菜たちは次々と最上へ乗り移る。鳥乃は「念のため、私はここに残ります」とホバーシップに残る。
王子たちは最上の艦内へ突入。そこで見たのは、武器を持った最上の隊員たちが、無言で立ち尽くしている。
「……早速お出ましか!」
隊員たちは無言のまま襲いかかってくると、王子は近くにあったのは刺股を掴み、隊員の攻撃を受け止める。
「今だ、急ぐぞ!!」
「分かった! みんな、行くよ!!」
王子の言葉に知弓は香菜たちはそのまま突入していき、最上の内部へと走り出した。