フリート・エスケープ(Fleet・Escape) 作:水岸薫
朝日が上がり街が光に照らされている中、神奈川県にある大きな豪邸…そこは緒川阿久和の実家である有名財閥『緒川財閥』の豪邸。彼女は自室にこもりテレビから流れるニュースを見て「ふふっ」と微笑む。
ニュースには『学生スパイ容疑として疑われた『夢命瓦八千穂』、神奈川県立海原寅羽吏女子学園から逃亡中』と報道されている。阿久和は「これは面白くなりましたわね」と言いながら立ち上がると外を見て「逃亡したのは想定外でしたが、このような状況になったのはいいことですわね」と答える。
「さて、あとは無能の警察たちに任して。わたくしはわたくしの計画を」
彼女はそう言いながらパソコンを出すと、電源をいれるとあるフォルダを開く。そこには『操り計画』と書かれていた…。
その頃、八千穂は桃華恋と一緒に部屋で寝ていた。ベッドから八千穂は起き上がると辺りを見渡して「今日はここで寝たんだ…」と呟く。すると桃華恋が「おはようさん」と声を出すと八千穂は「ひゃっ!」と驚き、ベッドからドスンと落ちる。
「いてててて…」
「ああ、すまんな。ビックリしてしもうた?」
「ビックリって…もう、脅かさないでよ」
頬を膨らませる八千穂に桃華恋は「すまんすまん」と謝ると「さて、今日から八千穂はここに住むことになったが…体の調子はどうや?」と質問すると、彼女は「う、うん」と反応すると「少し…調子は戻ってきたよ。でも」と悲しい表情をする。
「真由ちゃん…大丈夫か心配してきたの」
「真由ちゃん? もしかして、そこで知り合った友達なん?」
桃華恋の言葉に八千穂は「うん、中学で入学した時から仲良くなった友達なの」と微笑むと「私と同じ孤児院出身…友達が桃華恋ちゃん以外に話したのは初めてなの」と答える。それを聞いた桃華恋は「そっか、それでか」と理解すると「確かに心配する気持ちはわかるで」と答えると「よし、そんじゃあその真由ちゃんのことはうちらに任しとき! なんとかしたる!」と桃華恋は答える。それを聞いた八千穂は「ありがとう…桃華恋ちゃん」と心配そうに言うが表情は微笑んでいた。
〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
そして朝になって不知火の隊員らは会議室へと集まっていた。その理由は桃華恋が伝声管で『朝からすまんが、全員会議室へ集合や! 遅れたら腕立て三百回させたるで!』と言われたため、皆は慌てて会議室へと集まっていた。突然集められた隊員らは「朝から集まるって、何があったのかな?」や「重要な話かな」に「とんでもない事態が起きたのかも」と不穏な話が広がっている。
すると扉が突然開くと桃華恋が入ってきて、皆は一斉に彼女を向く。そして副艦長と思われる赤色の短髪をした男性が入ってくると「皆は集まりました」と桃華恋に言うと、彼女は「ありがとさん」と小声で答える。
「さて皆、朝から集まってすまんな…これから話す内容は少し重い話や。しっかり聞いてくれへんか?」
桃華恋の話に隊員らはざわつくと、副艦長は「静かに」と言うと皆は一斉に黙り込む。そして桃華恋は「突然やけど、夢命瓦八千穂が学生スパイ容疑がかけられとるのは知っとるやろ」と言うと、一人の隊員が「昨日のSNSで知りました…でもどうしてそれを?」と不思議そうに質問すると、彼女は「それはな…入ってくればわかるやろな」と答えると「入ってきてもええで」と扉に向けて、扉が開くとオドオドとした八千穂が入ってくる。
それを見た隊員らはざわつくと「夢命瓦八千穂! ど、どうしてここに!?」や「え、どうして不知火に!」に「なんだいこれは!?」と慌て始める。桃華恋は「静かにしいや!」と叫ぶと、隊員らは再び黙り込む。
「慌てふためく気持ちはうちも分かるで…やけどな、うちは八千穂のことをよく知っとる。それは幼稚園の頃からよう知っとるんや」
「桃華恋ちゃん…」
真剣な目つきで言う桃華恋に八千穂は呆然としていると、一人の隊員が「ですが艦長、ニュースで見たと思いますが。彼女は学生スパイ容疑がかけられています」と言い出すと「ここで匿うと私たちにも被害が」と心配するように答える。
すると桃華恋は「わかっとる…それは十分わかっとるで」と頷く。
「やけど、うちは理解し難いんや。なんで手先が不器用な八千穂が容疑をかけられたんか、うちは分からんや」
桃華恋の言葉に、隊員は「それほど不器用なのですか?」と言うと、桃華恋は「不器用やで。折り紙を作るのも下手やし、スマホはよく落とすし、本を読むのも苦戦するほど不器用で鈍感や」と真顔で言うと八千穂は「も、桃華恋ちゃん」と顔を赤くする。
「とにかくや! 今日から八千穂は不知火で保護したる! もし密告しようとしたら…たこ焼きのタコを鷹の爪にして食べさせたるで?」
桃華恋の言葉に隊員らは『は、はい!』と慌てて反応すると、彼女は「わかったらええで」と微笑んでいた。
副艦長は「しかし艦長、八千穂さんはどこの部屋で?」と質問すると、彼女は「せやなぁ、空いてる部屋はあったっけ?」と反応すると薄茶色のショートツインテールをした隊員が「ありますね。ちょうどここにですが」とタブレットを彼女に渡すと、桃華恋は「おお、ここなら誰も使っておらへんし。少し掃除をすればええな」と反応をする。
八千穂は「掃除入れなの?」と言うと、タブレットを手にした隊員は「掃除入れじゃないよ」と苦笑いする。
「あ、あとあたしは
「え…はい」
坂守盛子の言葉に八千穂は戸惑いながら答えると、彼女は「事情はどうあれ、館長の言う通り。ここは見逃せない気持ちは理解するよ」と微笑むと、八千穂は「あ、はい」と戸惑うのであった。