フリート・エスケープ(Fleet・Escape)   作:水岸薫

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第八話

八千穂が昼食を終えると皿とトレーを返却用の棚に置き「さて、掃除をしなきゃ」と慌てて部屋から出る。それを見た出井は「えらい早く食ったなぁ」と言うと、黒色のロングポニーテールをした機関班の手羽恭子(てば・きょうこ)も「そうね…意外と早いですね」と同意する。

 

「八千穂の奴、何か抱えてるのかな? 伊吹さんの観察は?」

「流石にわからないね、少ししか観察してないから直ぐには」

「そっかぁ。すまないな、伊吹」

 

 詠の質問に伊吹はお茶を飲みながら答えると、出井は謝罪するが彼女は「気にしないで、私もまだ未熟だと理解している」と答える。

 

 空き部屋へ戻ると彼女は「えっと、ここは終わっているから次は」と箒を持って掃き掃除するが、バケツが置いてあることに気づかずそのまま掃いてしまい、中に残っている水をひっくり返してしまった。

 それを見た八千穂は「わわわっ! ふ、布巾を!」と部屋から出ようとしたが、扉にぶつけてしまい彼女は「いてて…っ」と頭を押さえるが、後ろにコケてゴミ箱をひっくり返す。

 その音を聞いた皆は『何!?』と慌てて行くと、ホコリまみれの八千穂が「むきゅう…」と目を回していた。それを見た盛子は「と、とんでもない不器用だね…」と改める。

 

 

 結局、部屋の掃除は盛子と恭子がやることになり。ホコリまみれの八千穂は詠と一緒に風呂に入ることに、八千穂が頭をゴシゴシ洗っていた時、詠は「まぁ、薄茶色のその髪…綺麗ですね」と言うと八千穂は「あ、ありがとう…そう言われるの初めて」と微笑んでいた。

 

「それにそのウェーブ…天然ですか? 羨ましいです」

「ウェーブは生まれつきで…そこまで羨まれるのは少し…照れるよ」

 

 八千穂の照れに詠は「うふふ」と微笑んでいた。そして風呂に入り温まると「さて、温まりましたし。そろそろ出ますか」と言うと、彼女は「は、はい。詠さん」と慌てて出ると、タオルで体を拭き服を着替える…が。

 八千穂は「これでいいや」とジャージを着ようとしたため、彼女は「え、待って」と反応をする。

 

「八千穂ちゃん、下着は? あと髪濡れているけどタオルは?」

「え? タオルはありません…下着は一つだけですが?」

 

 八千穂の回答に詠は「これは、緊急ね」と呟く。

 

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

 

 その頃、模歌桃華恋は会議室にいた。そこには真紅色の短髪の女性『赤城(あかぎ)留花(るか)』と群青色の短髪をした女性『青葉(あおば)(みお)』が机に対し座っていた。留花は「なるほど、八千穂を匿うですか」と言うと桃華恋は「ああ」と答える。

 

「赤城さんと青葉さんの気持ちはうちも分かる…せやけど、うちは八千穂のことをよくわかっとる。彼女は濡れ衣を着せられたんやと」

「なるほどねぇ」

 

 彼女の話に澪は呑気に応えると「それだったら…少し協力者を探さないといけないねぇ」と言うと、留花は「ええ、彼女の言う通りね」と答える。

 

「協力する人は少しでも多くいたほうがいいわね。幸い私の知り合いが長崎にいるわ。そこに行ってみる価値はあるわ」

「長崎…せや! 中央島か、そこなら警察に相談する可能性はあるが保護はできるな!」

 

 桃華恋の言葉に澪は「そんじゃあ、出発準備をし終えたら直ぐに行くとするか」と言いながら立ち上がると、桃華恋は「せやな、最終の買い出しと同時に機関長にボイラー起動の指示を出すように言ってくる!」と会議室から出る。それを見た澪は「…さてと」と留花に向く。

 

「警察が乗り込んだらどうする? さすがに匿うにも程が」

「限度がある…わかるわよ。でも守るならちょうどいいところがあるわ」

 

 留花の言葉に澪は「おやおや? それは気になるねぇ」と反応を示した。

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