元ITエンジニアの俺、祖先の召喚術から召喚プログラムを組み上げて神も悪魔も従える   作:パラレル・ゲーマー

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第6話 ヤタガラスちゃんねると、御門の孫

【結界】最近の日本都内の霊的事情スレ468日目【また東京が危ない】

 

1:名無しのヤタガラス職員

 

ここは最近の日本、特に都内近郊の霊的事情について雑談・情報交換するスレです。

 

注意事項:

 

・ガチ喧嘩は禁止。

・現代社会を破壊するレベルの喧嘩は禁止。

・広域結界を破る行為は禁止。

・うっかり東京を消し飛ばしかける儀式は禁止。

・喧嘩するとTier0が出てきて怒られるので、みんな自重しましょう。

 

ヤタガラスに登録したばかりの初心者は初心者スレへ。

 

吸血鬼に覚醒した子は吸血鬼スレへ。

霊能力に覚醒した子は霊能者スレへ。

悪魔契約で困っている人は契約相談スレへ。

土地神関係は神職・土地守りスレへ。

 

次スレは>>970が宣言して立ててください。

 

Tier1以上の方は、勢いでスレッドサーバーを物理的・霊的に燃やさないでください。

 

2:名無しのTier3

 

おつ。前スレの最後、新宿の未確認大型妖魔の話どうなった?

 

ヤタガラスの検問まだ続いてる?

 

3:名無しの神職

 

あれはもう解決済みだよ。

 

昨日の午前三時頃、ヤタガラスの特例実働部隊が突っ込んで、跡形もなく浄化された。

 

一般社会じゃ「地下鉄の電気系統のトラブル」で処理されてる。

 

おかげでこっちは早朝から現場のお清めに駆り出されて、袴が煤だらけだ。

 

4:名無しの契約悪魔

 

お疲れさん。あんなのを新宿のど真ん中で実体化(顕現)させようとするテロ屋の気が知れねえ。

 

昨日から周辺の霊的ノイズ(ログ)がうるさくて、契約者の耳元で甘い囁きをする仕事が全然捗らねえよ。

 

5:名無しのTier3

 

>>4

 

もっと建設的な仕事しろよ、この穀潰し悪魔。

 

12:名無しのTier2

 

今月の東京広域結界の定期メンテナンス、やっと終わったな。

 

昨日まで新宿から秋葉原にかけての霊圧(パケット)が妙に重かったけど、今はスッキリしてる。

 

やっぱり邪神召喚未遂の「残り香」がノイズになってたみたいだな。

 

13:名無しの神職

 

未遂で済んで本当によかったわ。

 

昨日の儀式、あと五分遅かったら今頃山手線が異界の触手でコーティングされてたぞ。

 

これだから「週末の都心」は嫌なんだ。

 

14:名無しの新人Tier4

 

え……あの、横から失礼します。

 

邪神召喚未遂って、そんなに頻繁にあることなんですか?

 

テレビのニュースでは「異常気象による局地的な雷雨」としか言ってませんでしたが。

 

15:名無しのTier2

 

新人くん、ようこそ裏社会へ。

 

テレビで「邪神が来そうでした」なんて流したら、翌日の株価はストップ安、現代社会はパニックでログアウトだ。

 

ヤタガラスが情報操作(カバーストーリー)を完璧に流してくれてるんだよ。

 

「何も起きてない」という平和こそが、俺たちが裏で勝った証拠だ。

 

16:名無しのTier1

 

今月のはまだ可愛い方だったよ。

 

召喚門(ポータル)が三割くらい開いたところで、ヤタガラスの特殊部隊が物理(火器)と呪術の同時飽和攻撃で物理的に叩き潰したからな。

 

去年の夏、六本木に出た『深淵の落とし子』の時は、街が空間ごと半分消えかけてマジで撤退戦を覚悟した。

 

17:名無しの新人Tier4

 

街が空間ごと消える……!?

 

そんなの、SF映画か何かだと思ってました……。

 

18:名無しのTier1

 

いや、毎月のように何かしらあるから、そのうち慣れる。

 

「あ、今週も世界滅亡がデバッグされたんだな」くらいの感覚になるぞ。

 

19:名無しの新人Tier4

 

……一生慣れたくないです。

 

25:名無しの新人Tier4

 

あの、もう一つ初歩的な質問をしてもいいでしょうか。

 

このスレで皆さんが使っている「Tier(ティア)」って、具体的に何のことですか?

 

ヤタガラスに登録された際に「あなたはTier4相当です」と言われたのですが、正直、自分の立ち位置が全く分かっていなくて……。

 

26:名無しのTier3

 

マジか。ヤタッピ講習、お前飛ばしただろ。

 

27:名無しのヤタガラス職員

 

初回登録の時に「命に関わるから必ず全部見ろ」って言った動画があるはずだ。

 

あれを見ずにスレに書き込むとは、いい度胸というか死に急いでるな。

 

28:名無しの神職

 

ヤタッピの「やたっと学ぼう! 因果律と社会常識!」の動画か。

 

あの三本足のカラスのゆるキャラ、声は腹立つけど内容はガチの「生存マニュアル」だからな。

 

29:名無しの新人Tier4

 

あ、その……友達から「ヤタッピはただの事務説明だから、後で見ればいい」って言われて、そのまま……。

 

30:名無しのヤタガラス職員

 

その友達をここに連れてこい。即座に「再講習」の強制通知を端末へ送ってやる。

 

31:名無しのTier2

 

仕方ない。暇だしヤタッピの代わりに誰か詳しく解説してやれ。

 

40:名無しのTier2

 

よし、ヤタッピ講習の「これだけは覚えとけ」版を書いてやる。

 

新人、よく読んどけ。

 

【ヤタガラス公認:能力者Tier分類】

 

■Tier 0:規格外(Singularity)

 

世界の物理法則とか因果律(ロジック)そのものを、無意識または恣意的に書き換える連中。

 

人間というより、歩くバグか自然災害か神様。

 

基本的にヤタガラスも「手出し無用」で、機嫌を損ねないように遠巻きに見てるだけ。

 

彼らが動くと、世界の「仕様」そのものが変わることがある。

 

■Tier 1:国家戦略級(Strategic Level)

 

個人戦闘力、あるいは霊的影響力が軍隊一つ分に相当する化け物。

 

因果律は書き換えないが、物理的な破壊力や術式の規模が狂ってる。

 

国家間のパワーバランスを一人で左右できるレベル。

 

ヤタガラスの最高幹部や、歴史ある名門宗家の当主クラスがここ。

 

■Tier 2:特殊作戦級(Tactical Special)

 

単独で国を滅ぼすほどではないが、特定の専門能力が極めて高いスペシャリスト。

 

高難度の結界破り、未来視、高位悪魔の使役者など。

 

チームで動くとTier1すらハメ殺すことがある、裏社会の主戦力。

 

■Tier 3:戦術級(Field Grade)

 

ヤタガラスの現場要員や、プロの退魔師、霊能エージェントの標準帯。

 

小規模な怪異案件なら一人で解決できる。ここからが「食っていけるプロ」。

 

■Tier 4:潜在的脅威(Potential Threat)

 

目覚めたばかりの素人能力者、または力が微弱な連中。

 

力は弱いが、コントロール不能で予測がつかないため、ヤタガラスが一番監視にコストを割く層。

 

■Tier 5:原石(Raw Stone)

 

まだ覚醒していないが、霊的な適性がある一般人。

 

■Tier 6:可能性(Possibility)

 

今のところ全く兆候がない普通の人たち。

 

だが、彼らの「日常」こそが世界の土台を支えてる。

 

43:名無しの新人Tier4

 

……ありがとうございます!

 

めちゃくちゃ分かりやすいです。

 

つまり僕は、まだ「ちょっと危なっかしい素人」ってことですね。

 

44:名無しの神職

 

その自覚があるならマシだ。

 

Tier4の最大の問題は、「自分が何をしてるか分かってない」ことだからな。

 

94:名無しの神職

 

そういえば、話は変わるが、御門のじいさん亡くなったらしいな。

 

95:名無しのTier3

 

御門?

 

ああ、あの「万能召喚術(笑)」の御門か。

 

まだ存続してたんだな、あの家。

 

96:名無しの契約悪魔

 

悪魔の間じゃ有名だったぜ。

 

「全属性、全系統、全存在と契約する」なんて大風呂敷を広げて、結局、何一つ満足に呼べずに没落した悲劇の本家様だろ。

 

裏社会じゃ「理想だけ高い無能(笑)」の代名詞だったはずだが。

 

97:名無しのTier2

 

御門宗一郎氏か。

 

戦闘力はほぼなかったが、古文書解読では世話になったよ。

 

ヤタガラスの禁書庫管理にも協力してたはずだ。

 

103:名無しのTier1

 

御門の始祖は本物だったという伝承がある。

 

神も悪魔も、すべて一系統の術式で管理しようとした狂気の家系。

 

現代の召喚術は「属性特化」が主流だからな。

 

すべてを継ごうとした御門は、結局、手順(プロトコル)の複雑さに脳が耐えきれずに自滅した。

 

118:名無しの神職

 

その御門の屋敷、孫が継いだらしいんだわ。

 

119:名無しのTier3

 

孫? いたのか。

 

120:名無しのTier2

 

ヤタガラスの記録によると、今まで霊的な活動は一切なし。

 

完全な一般人として生活してたらしいぞ。IT関係の職種だったとか。

 

122:名無しのTier4

 

一般人の孫が、あのガラクタと呪いの詰まった御門の蔵を……。

 

三日で精神病んで逃げ出すか、適当な業者に売っぱらって終わりだろうな。

 

130:名無しのヤタガラス職員

 

……ところが、そうでもないらしい。

 

その孫――御門悠真っていうんだが、登録直後に「低級悪魔」を一体、完全に契約して報告してきた。

 

131:名無しのTier3

 

は?

 

132:名無しの契約悪魔

 

低級悪魔? 登録直後に?

 

修行もしてない素人が悪魔契約なんて、普通は魂を齧られて終わりだろ。

 

138:名無しのヤタガラス職員

 

担当した職員の報告によれば、その悪魔は完全に「御門の術式」で縛り上げられていたらしい。

 

しかも、契約内容が異常に細かい。

 

悪魔側が「抜け道がない、仕様条件が細かすぎる、人権侵害だ」って愚痴をこぼすレベルだそうだ。

 

139:名無しの契約悪魔

 

「仕様条件」……? 何だその単語。

 

150:名無しのヤタガラス職員

 

で、さらにその数日後だ。

 

さっき、衝撃の報告が上がってきた。

 

その御門悠真、今度は「塵霊(ダスト・スピリット)」と契約したらしい。

 

151:名無しのTier3

 

塵霊?

 

あの、掃除機で吸ったら消えるほど弱い最底辺の妖魔か?

 

154:名無しのヤタガラス職員

 

数が問題なんだ。

 

彼が連れてきた(報告した)のは――

 

100体だ。

 

155:名無しのTier3

 

………………は?

 

156:名無しのTier2

 

……ちょっと待て。100体? 書き間違いだろ。10体じゃなくて?

 

157:名無しのヤタガラス職員

 

100体(ひゃくたい)だ。

 

市街地の塵霊を一括して、謎の契約管理方式で束ね、街全体の情報網(グリッド)として運用中。

 

160:名無しの古参召喚師

 

馬鹿野郎、強さの問題じゃねえ!

 

「契約の維持コスト(ランニングコスト)」の問題だ!

 

161:名無しのTier2

 

召喚契約ってのはな、相手がどんなに弱くても、一本ごとに術者の精神リソース(メモリ)を食うんだよ。

 

それを100体同時に、整然と「管理」する?

 

普通の召喚師なら、10体を超えたあたりで契約内容が混線(エラー)して脳が焼ける。

 

162:名無しの契約悪魔

 

信じられねえ……。

 

塵霊みたいな知能の低い存在を100体同時に、一糸乱れぬ「管理」下に置く?

 

そんな精密な並列処理、どんな魂の構造をしてやがるんだ。

 

163:名無しの神職

 

神職の視点から言わせてもらえば、小さな祠(ほこら)を100社同時に管理して、供物の種類も、祭りの日も、禁忌のルールも、一ミリの狂いもなく回してるようなもんだ。

 

そんなの、人間の業(仕事)じゃない。

 

165:名無しのTier1

 

俺でも嫌だ。

 

強敵をぶった斬る方が、100本の契約管理をするより100倍楽だ。

 

そんなの、戦いじゃなくて「極限の事務」だろ。

 

事務能力にTierを振るなら、間違いなくTier1級だぞ、それ。

 

168:名無しのヤタガラス職員

 

事務を舐めるな。世界は事務で守られている。

 

現在、その100体の塵霊が、街中の「予兆」を拾い上げる監視網として機能し始めてる。

 

ヤタガラス側も、その精度の高さに戦慄してるよ。

 

175:名無しのTier2

 

どうやって維持してるんだ?

 

報告書でも「契約維持方式は非公開」だが。

 

176:名無しの古参召喚師

 

御門本家の隠し術式か?

 

だとしても、それを数日で実用化するのは狂ってる。

 

もしかして、あの「万能召喚術」の理論を、現代の技術でハックしたのか?

 

182:名無しの契約悪魔

 

雑に100体従えたなら危険だが、きっちり100体「管理」してるならもっと怖い。

 

御門の孫、たぶん戦闘型じゃない。

 

「秩序形成型(システム・ビルダー)」だ。

 

190:名無しの古参Tier3

 

御門の万能召喚術(笑)って言われてたけどさ。

 

もしかして、笑う方が間違ってたのか?

 

191:名無しの神職

 

御門家の理論は、本来「すべての存在に役割を与える」ものだ。

 

弱いものを弱いまま、巨大な仕組みの中に組み込む。

 

孫は、誰も成し遂げられなかったその「万能」を、一番地味で強固な形で実現し始めたのかもしれない。

 

205:名無しのヤタガラス職員

 

ちなみに、塵霊100体の初成果だ。

 

駅裏の住宅街、内見者が逃げ続けていた空き家に居座っていた悪戯精霊を特定。

 

不動産案件として解決済みだ。

 

206:名無しのTier3

 

早いな、おい。

 

210:名無しのヤタガラス職員

 

祓ってないぞ。

 

「守護精霊」として再契約して、役割を与えて管理下に置いた。

 

さらに対象精霊に「お化け屋敷勤務希望」あり、と報告が来ている。

 

211:名無しの神職

 

……お化け屋敷勤務希望?

 

212:名無しの契約悪魔

 

祓うんじゃなくて雇うのかよ。しかもキャリア支援までしてるのか。

 

悪魔の俺より性格悪いぞ、その召喚師。

 

213:名無しのヤタガラス職員

 

報告書を読んだ烏丸(担当者)が、今、頭を抱えてるよ。

 

「優良新人なのに、行動速度がおかしい、既存の法整備が追いつかない」ってな。

 

ルールを破らずに、ロジックで枠組みをハックしてくるタイプ。

 

悪魔より悪魔じみた手際だ。

 

240:名無しの新人Tier4

 

で、その御門の孫はTierいくつなんですか?

 

241:名無しのヤタガラス職員

 

現行登録はTier4相当だ。

 

本人の戦闘能力はほぼなし。霊力も突出してはいない。

 

242:名無しのTier3

 

でも塵霊100体。

 

243:名無しのヤタガラス職員

 

だから判定に困ってるんだよ!

 

本人の戦闘力がなくても、周辺の低位存在を契約で秩序化して、街全体の怪異を自分の「管理領域」に変えようとしてるんだぞ。

 

放っておくと、一年後には街全体の怪異が「御門さんの管理物件」になりかねない。

 

それは実質、Tier2以上の影響力だろ。

 

248:名無しのTier1

 

……笑えない冗談だな。

 

世界を救うのは、いつも派手な必殺技じゃない。

 

誰かが最初の異常に気づくことだ。

 

御門の孫がやったことは、地味だが本質的な価値がある。

 

弱い奴を、弱いまま巨大な仕組みに組み込むのは、強い奴を強く使うより遥かに難しい。

 

260:名無しのTier1

 

真面目な評価をしよう。

 

御門悠真。現在はTier4だが、彼が味方ならありがたい。

 

敵なら……面倒だ。すごく面倒。

 

戦闘不能にしても、彼が構築した「契約の網」がどう動くか予測がつかないからな。

 

280:名無しのヤタガラス職員

 

警告しておく。

 

御門悠真への無許可接触は禁止だ。

 

勧誘、試験、挑発、契約持ちかけ、全部やめろ。

 

特に悪魔契約系、お前らだぞ。

 

281:名無しの契約悪魔

 

何もしてないだろ!

 

282:名無しのヤタガラス職員

 

する前に言ってる。

 

あいつ、悪魔より契約が細かいタイプだからな。

 

下手に近づくと「お化け屋敷の受付嬢」にでも再就職させられるぞ。

 

300:名無しのヤタガラス職員

 

御門の万能召喚術(笑)

 

もう、誰も笑ってねえな。

 

301:名無しの新人Tier4

 

……御門さん。いつか初心者スレに来てくれないかな。

 

302:名無しのTier3

 

来るわけないだろ。

 

あいつ、もう別のステージ(領域)に立ってるよ。




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