ついに彼女がでます!
誕生日から数えて4日後。
4月9日。僕たちの入学式だ。
内容は特にないけど、新入生代表の人がとても綺麗な人だなって思った。浮気ではないよ。
サカヨリイロハって子らしい。
同学年に芦花と同じくらい綺麗な人がいるとは。まあでも芦花の方が可愛いし? 美人だし?
あとは何事もなく各クラスに分かれて初めてのホームルームだ。
今回も僕たち4人組はクラスが一緒だった。良かった良かった。
守は仕方ないとして、芦花、僕、真実は今年も並んでいた。
その芦花の隣に、あの新入生代表の子がいた。
最初の自己紹介でも言ってた。酒寄彩葉って書くらしい。京都から来たんだ、わざわざ上京してきたとは。
初日は一部授業のガイダンスもあった。
お昼休み。初日からお弁当を用意するとは思ってなかったが、そこそこ進学校なので、授業にすぐ入れるようにらしい。
「ひゃー授業ついてけるかわかんねー」
「さすがに高校ともなると内容難しそうだね」
「ね〜今年も頼らせてもらっても〜?」
「おー。任しときー」
寄ってきた守が悲鳴をあげてる。真実も少しげんなりしているようで。
芦花は席が隣で早速仲良くなったのか酒寄さんとお話ししてる。
「芦花〜? お昼食べよ〜あとその子紹介してよ〜」
「あ、ごめんごめん。彩葉、いい?」
「うん、大丈夫」
おお、もう下の名前で呼んでる。仲良くなるのはやっ。
真実に声かけられて2人がこちらに振り返る。
顔面偏差値高い組み合わせだなぁ。この席めっちゃ羨ましがられそう。
「私、酒寄彩葉といいます。よろしくお願いします」
「わたしは諌山真実、真実でいいよ〜よろしくね彩葉〜」
「俺は鳩河守です。よろしくお願いします」
「鳩河くんと諌山さ「真実だって〜」……真実ね。よろしく」
真実もまたしれっと下の名前で呼んでるし。まあでも芦花と真実は仲良くしたい女子は下の名前で呼んでたから、そういうことでしょう。
守がちょっとカチカチなのが面白い。まあ真実にも芦花にも似たような感じだったし、あんまり得意じゃないっていうのも変か。
全員方向性の違う顔の良い人ばっかだし。
美人でクール系の芦花と、ふわふわ可愛い系の真実。それに綺麗で真面目そうな酒寄さん。うん、なんで僕たちここにいるんだ?
「アキくん?」
「あ、はい。荒鷹千秋です。好きに呼んでね」
「荒鷹くんですね。芦花とは仲が良いの?」
「私の幼馴染だよ。昔からの」
「幼馴染かぁ」
どうも昔からの幼馴染です。好きに呼んでね!
「4人は仲良いね。同じ中学?」
「そうだね〜、中学から一緒だよ〜」
「いいなぁ……」
ちょっと僕らの仲が羨ましそうな酒寄さん。
こういうのってズッ友とか言うんだっけ。古いか?
とまあ自己紹介も終わったとこで、気になることがあった。
「彩葉のご飯それだけ〜?」
「え、あぁ。今日はちょっと忘れてて……」
真実も気付いたようで。
酒寄さんが持っていたのはコンビニのパン、しかも結構安いやつ一袋だけだった。
いくらなんでも少なくない?
と思ったのは全員同じで、一瞬顔を見合わせた。
そしてまあ、いつも通りに作ってきてた僕が声をかけることにした。
「足ります? 僕多めに作ってきてるから持っていっていいですよ」
「いやいや、さすがにもらえないですよ」
「自分の分はあるから大丈夫ですよ」
「さすがに学校始まって初日から人様のご飯をもらうのはちょっと……」
今回も芦花と真実のために増やしてきてるので何も問題はない。
けど、酒寄さんは貰うのが心苦しい様子。
「大丈夫だよ〜。たかちーのお弁当は私と芦花の分がいつも入ってるからね〜その分彩葉にあげる〜」
「というか、食べてもらわないと私たちも食べづらいと言うか?」
「う、押しが強い……本当にいいんでしょうか」
「どうぞーお気になさらずー」
芦花と真実の波状攻撃により陥落。
じゃあと僕が渡した割り箸でおずおずと卵焼きを1つ持っていった。
お、それが最初とはお目が高い。
一口食べてから少し目を見開いたのがわかる。
今日も自信作です。えっへん。
「美味しい……」
「でしょ〜? たかちーの卵焼きは絶品だよ〜」
「ねー。毎日食べても飽きないよね」
「え、これ荒鷹君が作ってるんですか?」
「「うん」」
なんか酒寄さんがすごい複雑そうな顔してる。
いやまあうん、たぶん僕が作ってるの知ったら大体の人はそういう顔しそうだけども。
なんか初めましての酒寄さんにその顔されるのはちょい傷付きます。
「というわけでいっぱいお食べ〜」
「真実のじゃないけどね?」
「気にしない気にしな〜い」
真実は平常運転すぎるな?
いやまあいいけど。
にしても、なんか周りから視線がすごい突き刺さってるんだけど。
主に女子3人へ。この辺は男子も女子も。
あと僕と守。こっちは男子が多いな?
嫉妬やら羨望やら、うんまあ気持ちはわからないこともないけどね。
別に芦花と比べて顔が整ってるわけでもない僕が仲良さそうに話してるのは、さぞ妬ましいでしょう。幼馴染特権ですどや。
守はスポーツ系の爽やか野郎です。腹立たしいことに芦花たちと並んでても多分遜色はなさそう。
そういえば高校生でも部活するのかな?
「守部活入るの?」
「あー、バイトとかしてみよっかなって思ってるから保留」
「なるほど。始めたら教えてね行くから」
「くんなくんな」
「え〜私も行きたい〜」
「えっ」
僕と守がじゃれあっているところに真実が入ってきた。
見事に守が固まった。この子はいったいいつになったら真実の耐性がつくのでしょうね。
「ちなみになんのバイトする予定なの?」
「料理とかしてみたいからそっち系かな」
「ふーん? なるほどね?」
「おいニヤニヤすんな」
「なになに〜? 真実さんにも分かるように説明してよ〜」
料理ねぇ。それは誰のためなんでしょうねぇ。にやにやが止まりませんなぁ。
芦花もニコニコしてるし、酒寄さんは、おっと置いてけぼりか?
まあ高校入って初日でついてこれる話題ではないのでお許しを。
内輪ノリってやつですね。
「私もバイトしてるんだ。ホールだけど」
「そうなんだ! どこで働いてるの?」
「家の近くの隠れ家的なカフェだよ」
「今度行ってみたい!」
「えっ、もうちょい慣れるまで待ってほしいな〜って」
もうバイトしてるんだ。早いなぁ。僕もバイトとかしてみるか? いやでも芦花のために使う時間が減るのはなぁ。いっそのこと芦花がバイト始めたりしてくれるなら僕もついてけるのに。
「彩葉えら〜い。わたしはのんびりしたいしバイトしないかも〜」
「私もかなー。もっとフォロワー増やせるか試したいし」
よかったかは分からないけどバイトはしないみたいですね。まあ僕もしばらく忙しくなりそうだし、バイトはできないかな。
とりあえず一年の範囲を終わらせるまでは、無理そう。
高校にも入ったし、自由な時間が増えるから芦花も真実もインフルエンサーとしての活動増やしてくのかな。
どうせなら2人でコラボとかしてみたらいいのに。
中学生だったから2人とも動画投稿とかがメインだったし、せっかく高校生にもなったから配信とかチャレンジしてほしいな。
力添えが必要そうならいくらでも頼ってくれて構わないけど。
「芦花と真美でコラボとか良さそうじゃない?」
「お〜! いいねぇ!」
「ありかも! ナイスアイデアだよアキくん!」
「どうもどうも」
褒められて悪い気はしませんな!
そういえば酒寄さんはそういうのやってるのかな?
「酒寄さんはなにかやってたりするの?」
「私? 私は……ゲームでちょっとお小遣い稼ぐくらいだよ」
「ははーん? さてはKASSENでしょ」
「もしや荒鷹くんも?」
「いえす」
ここでバチりと視線が合う。
同じようなことを言っている僕が言うのもなんだけど、酒寄さんは強そうだ。
別にバトルジャンキーとかではないけど、知り合いにできる人がいたらやりたくなるよね。
「ふふふ……」
「ふむ……」
お互い戦いに身を置くもの同士、わかり合ったような空気を共有していた。
なんか厨二病みたくて恥ずかしくなってきた……。
やめやめ!
「今度やろうよ」
「いいね。荒鷹くんの腕前拝見させてほしいね」
「おやおや〜? 私たちを蚊帳の外に置いてずいぶん楽しそうですね〜」
「私たち寂しくて泣いちゃいそうー」
と、ここで芦花と真実が乱入したきた。
酒寄さんと楽しそうに話してるのがちょっと羨ましかったのかな?
いや、楽しそうだったかは分かんないけど。でも今の所美人で近づき難いイメージのあった酒寄さんが少し身近に思えた。
入学式の新入生代表スピーチを終えて、待機場の違いから私だけ教室に戻るのが遅れてしまった。
私が入った瞬間、ほぼ全員の視線が私に突き刺さるのを感じた。
ひえっ、都会ってこんなに1人をじっと見るものなのか!?
そそくさと自分の席を確認して着席する。
隣の席の子は……わ、髪の毛ピンク色のギャルだ。
仲良くなれるかなぁ……、なんて思ってたら。
「はじめまして。綾紬芦花といいます。酒寄さんだよね?」
「あ、はじめまして。酒寄彩葉です」
「スピーチ凄かったね! 同い年であんなにハキハキ喋れるのかっこいいって思っちゃった!」
「い、いえいえ。それほどでも……」
向こうから話しかけられてしまった。しかも思ってるよりも全然気さくでフレンドリーな子だった!
人は見た目で判断してはいけないとは言うけれど、まさにこの事かと身をもって知るとは。
そのまま初回の授業開始までお話を続けてみる。
上京した私には知り合いなどいないので、こうして仲良くなって情報とか手に入れないとね。
「私、京都から越してきたからさ、あんまりこっちのことに詳しくないんだ。綾紬さんがよければいろいろ教えて欲しいんだけど……」
「いいよ! あと苗字だと硬いから芦花でいいよ? 私も彩葉って呼びたいし」
距離詰めるのはっや。でもちょっと長いなと思ってたから助かる。
「よろしくね芦花」
「よろしく、彩葉」
彼女が、私の上京人生最初の友達だった。
その後お昼休みになり、彼女の後ろの席に座っていた真面目で大人しそうな男の子とそのまた後ろの女の子、そして男の子の席に近づいてきたスポーツ系な男の子の3人が揃ったところで、私と話していた芦花が呼ばれた。
正直あんまり周りを見ている余裕がなかったので気付かなかったが、女の子はかなり可愛い子だった。
芦花は綺麗で美人なタイプだとしたら、その子はふわふわで可愛いタイプだった。あとタレ目。
その後自己紹介してもらって、女の子は真実。芦花の後ろに座ってた男の子が荒鷹くん。スポーツ系の男の子が鳩河くんというそうだ。
なんというか、少しアンバランスだなって思った。
いやまあ失礼だなって思ったけど、明るくて綺麗な芦花、ふんわり可愛い系な真実。スポーツ系の爽やかな感じの鳩河くん。
でも荒鷹くんってどちらかと言うと3人とはあんまり仲良さそうなイメージが持てないというか。
どちらかと言うと静かに本とか読んでそうな感じがする。
でも話してみると全然そんなことはなくて。適度にイジったりもするし、かと思えばボケたりして和ませたりするし。
不思議な組み合わせだなぁと私は感じていた。
それにしても、さっきから視線がすごい。
あちらこちらから私たちに視線が突き刺さっている。
教室に入った時とは、また別のタイプの視線だ。
入った時のは画面越しに有名な人を見た時の感じ?
今は、女子からは値踏みされてるというか、男子からは不躾なことを言うなら狙われているというか。
まあ確かに芦花と真実というタイプの違う可愛い子がそばにいるから仕方ないとはいえ。私も巻き添えを喰らうのはごめんなのだが。
でも男子の視線は私たちだけじゃなくて鳩河くんと荒鷹くん、どちらかというと荒鷹くんの方が多い気がする。
芦花と真実は慣れてるのか気にした様子もないし、鳩河くんも気にしてなさそう。
荒鷹くんは……ん?
「……」
芦花と真実が話してそこに鳩河くんが相槌を入れている。
それを聞きながら、辺りを見回してはじっと見つめてる。
辺りをというのは違うな。たぶんこっちを見てた男子を見てたんだと思う。牽制、してるのかな。
時折睨むような目になってたし。でも話題を振られたら何も無かったように返答してる。
うーん、荒鷹くんがよくわかんなくなってきた。
まあ、初日だしもっと話したりすればどういう人かは分かるでしょ!
初日から失礼な視線ばっか感じるからちょっとイラっとしたけど、そんな些細なこと芦花と話せばぜーんぶ解決!
「アキくんさっきからどこ見てるの?」
「ん? いや高校の教室も中学とはそんなに変わんないんだなーって思ってね」
「確かにねー。でも高校生っていう立場になったからかなんか少し大人になった気はするよね」
「わかる」
「わかる〜」
「わかります」
めっちゃ同意が得られて芦花さん困惑してます。
たしかに中学の頃は高校生って大人だなって思ってたから。いざその立場になってみると対して変わった気もしないのに大人になった気がして。
なるほどこれもまた成長?
酒寄さんも口には出さないけどうんうんと頷いてた。
放課後。
いつもの4人に加えて酒寄さんを加えた5人でわらわらと階段を降りる。
前に女子3人後ろに僕ら男子2人だ。
「このあとどうする〜?」
「私はバイトがあるので」
「俺はバイト先探そうかなと」
「芦花は〜?」
芦花はうーんと人差し指を頰に当てて考えてる。
僕も予定は無いようなものなので。
「特になにもないんだよね」
「じゃ〜一緒にマ◯ク行こ〜?」
「仕方ないなー」
「いえ〜い。たかちーもくるでしょ?」
そんな来ないわけないみたいに言われても。
「いや当たり前にくると思われてる」
「え、来ないの?」
「行きますけど」
「だよね〜」
「いいよね芦花?」
「もちろん」
芦花が来てもいいというなら僕の予定など全て後回しよ。
という話を聞いている酒寄さんがちょっと怪訝な顔してる。
「3人ってよく今みたいに出かけるの?」
「うん。鳩河くんが来る前は大体そうだったよ」
「ね〜、カフェ行ったり、買い物行ったり」
「??? 荒鷹くん楽しいの?」
「? うん。荷物持ちもお安い御用ですよ」
「違うそうじゃない」
なんか信じられないものを見た顔してる。
そんなおかしなことかな?
芦花が楽しそうにしてくれればそれだけで楽しいので、はい。
真実と楽しそうに買い物してるのを見るのは最高だぜ。
「すごい、仲良しなんだね」
「そうだよ〜」「そうだね」
息ぴったりに芦花と真美が返答した。
僕はそうだねぇと首を縦に振っていた。
2人の仲は3年経ってもっと深くなってる。これからはここに酒寄さんが入るかな?
楽しくなるといいなぁ!
ようやく彩葉さん登場
とはいえまだ原作には程遠いのでがんばります